■スポンサードリンク
ミステリウム
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
ミステリウムの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「作者のマコーマックにははなから通常のプロットのある推理小説を書く気が全くないようでただひたすら読者を居心地の悪い空間に誘い込み、そのまま置き去りにすることが目的だったように思われます。 色々な謎が出てきて読者を翻弄する不条理な展開で、一応謎に対応した解答も提示されるけど、いまいち釈然としないまま唐突に終わり、なぜ?という問いだけが残る場面ばかりが続き、作者にはぐらかされた気分になります。殆どのシーンもなんとなく人工的で普通の小説を読んでいる気になりませんし、ジャンルもミステリ、ホラー何れにもあてはまるような、あてはまらないような変な気が抜けません。 何故、このような作品を書いたかはマコーマックに訊いてみないとわかりませんが、私の勝手な解釈では、人間社会は不条理で必ずしもすべての物事はパズルのピースのようにうまく収まらない場合もあり、もしかしたら、そういうことの方が多いと、言いたかったのではと思います。 一応、推理小説としても読めますが、上記のような理由により、謎の解決するカタルシスを持った推理小説を期待すると肩すかしを喰うかもしれないのでご注意のうえお読みください。私は面白く読みましたが。」 上記は以前のエディションで読んだ際の感想ですが、今回読み直して、あまり変わらない印象でした。少し変わったところもありましたが、概ね同じ感じでした。 少し変わった所とか印象に残った点を挙げると、 「その妻は整った猫科のような顔の女性で、」「夜は灰色の幼児を出産していた」とか形容が判りにくい表現があり、室生犀星の「うどんのように笑った」みたいに感じました。 ここから少しネタバレかもしれないので、未読の方は読まないでください。 最後に犯人らしいキャラクターが遺書を残しますが、自分の体に字を書いて残すので、一人では無理で、もう一人共犯か真犯人がいそうですが、まったくでてこなかったり、最後も毒ではなく、コロナみたいな感染症だった、と説明がありますが、その対策はまったくなされなかったり、やはり不条理な小説に思えました(私の感想も傑作といいつつ、☆4つだったり、年末のベストテンにはいらないと書いてますが、ベスト20にはいった媒体もあったりで不条理ですが)。 ともあれ、面白さは変わらず、面白かったので今回は☆5つにしました。個人的には若い頃のアイラ・レビン氏のいい作品(「ブラジルからきた少年」とか「ステップフォードの妻たち」とか)を思い出したので、期待しておりましたが、著者の方は2023年に亡くなられたそうで、残念です。心からお悔みとご冥福をお祈りいたします。 不条理サスペンスの最高峰っぽい作品。是非ご一読を。蛇足ですが、これを面白かった方にはデイビット・イーリイ氏の「観光旅行」なんかも不条理サスペンスでお勧めしておきます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
おもしろいです。作者が亡くなってしまったのが大変悔やまれます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
謎に満ちた炭鉱町キャリックにて、新聞記者見習いの「私」が町の人々にインタビューを試みる。過去と現在の事件。秘密と陰謀。記念碑と墓石は破壊され、図書館の書籍には酸がかけられ、動物は死に、人々は奇病におかされ、・・・ ミステリだと思って謎を解こうとすると、何も答えが得られず呆気にとられるだろう作品、だが不思議と読後は充実感がある。作者エリック・マコーミックはスコットランドの貧しい炭鉱町出身であるとか。もしかすると作者の脳内ではすでに「解決」した何らかの「事件」を、別の事件へと「翻訳」して描いている? なんてことを感じた。「水」がキーワードなのかしら? あるいはまったく無関係・・・? 「?」だらけになるストーリー、ですが何にしろ、私にとってキャリックは、とても「居心地の良い」町だった。時間がゆったりと流れて、文体も穏やかで美しく、それでいてショッキングで俗悪な事件が続く、という意外性。涼しげに描かれているけれど、実はあつっくるしい登場人物たちも面白い。カークとアンナ、そしてランキン医師が印象的。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
事件はどうなるかというより、 読み始めてしまった後悔をいつか覆してくれという その一心で読み進めてしまった。 真ん中あたりで物語はがらりと、汽車を乗り継いだような 変化をみせる。 後悔は一応、ぼんやりした感動に変わった。 本の出だしは薄暗さに嫌気がさしたのに 最後の2ページでは、薄暗さが懐かしく思える。 もう終わってしまう、と思いつつの読破。 ミステリもマコーマックもはじめて読んだが とても興味深かった。 これを読んで、よかったと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
東京国際ブックフェアの出版社ブースでどれを買うかさんざん迷った挙句、こちらを買いました。 「ミステリウム」という言葉の意味はわからなかったのですが、表紙が気になって。 穏やかな語り口で背筋がさむくて、読み出したら止まらなくなり、毎日夜更かししながら読みました。 単純な謎解きではない、複雑に絡み合った歴史、人間関係、家族の血、、、。 日本の推理小説で描かれる人間関係は狭い世界の中でドロドロ渦巻いている感じですが、 ヨーロッパのドロドロは、いろいろな人種が入り混じり、侵略し、逃げて、復讐して、それを繰り返してきた歴史なのかなと。 江戸川乱歩や横溝正史が好きでおもに日本の推理小説を読んでいますが、こういったヨーロッパのも良いな、と思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
冒頭からラストまで、ぼや〜っとした妙な“不安感”が漂ってました。 デヴィッド・クローネンバーグ監督の映画を観てるような、不気味なんだけど思わず見てしまうみたいな感覚にさせる作品です。 展開が気になって一気に読んでしまいました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
死滅しつつある薄暗い小さな街を訪れ、死の床に臥している住人から話を聞く若き記者。 住人の話を総合し、また本人の自供からも、この街が滅びつつあるのは作為的なことと考えられていたが。。。 ある面からは事実に見えたことが、別の立場から見ると虚偽であったかのように感じられたり、大きな陰謀が原因と推測していたのに、わりとありがちな人間臭いことが発端と伝わっていたり。とにかくすっきりとは終わらない作品。 しかしながら、暗い街の陰惨な状況を扱っているわりには文章は決して重くなく、一気に読み進めることができた。 この作者の他の作品も読んでみようと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
スコットランドを思わせる、さびれた田舎の炭坑町。 戦死者の記念碑や、墓地の像が悪いジョークのような破壊をされ、その後、殺人事件が起こる。町の人々は次々と奇妙な病気にかかり、訳の分からない事をべらべらしゃべって死んでいく…。 犯人は、町の薬剤師だというが…。 最後のほうにひねりがあって、きっちり筋の通ったストーリーの作品ではなく、不気味で奇抜なイメージと「謎」そのものが主役のようなミステリー作品。 記念碑の破壊、殺人事件、奇病の患者、ひとつひとつの描写がシュール全開で、読んでいる最中は、奇妙で細かい描写の数々に、ひきつけられるがままに、次々とページをめくっていきます。 なのに、読み終わると、灰色の霧がかかって見通しのきかない風景の向こうに、無数のイメージがうごめいているような印象が残ります。 この読後感が、かなり好きでした。 でも、かなりグロテスクな状況でも、文章の技なのか、なぜか不快感が少ないのが不思議です(マコーマック作品の特徴らしいです)。 余談ですが、230ページ。 祭りの芸人のくだりで、「炭鉱夫の半数が死亡するか不具になった町で片足を失った二人の男」の話が出てましたが、この二人がどうして片足をなくしたか、何が起こったか、というと……。マコーマックの他の作品(『隠し部屋を査察して』)に出てきた、あの事故でしょうか…? どうやら、他の作品とも世界がリンクしているようです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ミステリではご法度のネタバレになるかもしれませんが、本作においてはそうはならないと思いますので言ってしまうと、作中の事件はまったく解決しません。興味深い糸口はいくつも見つかりますが、肝心の結び目は固く結ばれ秘密につつまれたまま終わってしまいます。 作者の試みは未解決の事件を提示し読者に解釈をまかせたり、解決の不可能性を証明しようとするものかというと、どうもそういうことでもないようです。あくまで「私」が秘密を秘密のままで見ようとしそれに失敗し続ける物語である、というのが私の解釈です。 作品全体は曖昧模糊としていますが、いくつかの秘密が解き明かされては覆されるストーリーは十分刺激的ですし、舞台となる謎めいた町の描写も魅力的でクセになりそうな味わいがあります。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
作者のマコーマックにははなから通常のプロットのある推理小説を書く気が全くないようでただひたすら読者を居心地の悪い空間に誘い込み、そのまま置き去りにすることが目的だったように思われます。 色々な謎が出てきて読者を翻弄する不条理な展開で、一応謎に対応した解答も提示されるけど、いまいち釈然としないまま唐突に終わり、なぜ?という問いだけが残る場面ばかりが続き、作者にはぐらかされた気分になります。殆どのシーンもなんとなく人工的で普通の小説を読んでいる気になりませんし、ジャンルもミステリ、ホラー何れにもあてはまるような、あてはまらないような変な気が抜けません。 何故、このような作品を書いたかはマコーマックに訊いてみないとわかりませんが、私の勝手な解釈では、人間社会は不条理で必ずしもすべての物事はパズルのピースのようにうまく収まらない場合もあり、もしかしたら、そういうことの方が多いと、言いたかったのではと思います。 一応、推理小説としても読めますが、上記のような理由により、謎の解決するカタルシスを持った推理小説を期待すると肩すかしを喰うかもしれないのでご注意のうえお読みください。私は面白く読みましたが。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!