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中原の虹
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【この小説が収録されている参考書籍】
中原の虹の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.35pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全107件 101~107 6/6ページ
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浅田次郎の一連の清末のシリーズは面白い歴史小説の要素を詰め込んだ作品群といえるだろう。丹念に調べられた史料と、大胆な歴史解釈と魅力的な架空の人物。近代史の史料は膨大に存在する。気の遠くなるような時間と労力をかけなければこれだけのしっかりした背景を描くことはできなかっただろう。それでも歴史の謎といえる部分は清朝末期にも数多く存在する。光緒帝は西太后に殺されたのか?この謎も小説の中では一つの答えをみちびきだしている。前作『蒼穹の昴』から、中国の未来を担うべき指導者の候補が次々とあらわれ物語の主人公となっているのだが、本作では張作霖がメインキャラクターとして活躍する。そして、物語の鍵を握るのが天命を受けた者の御印である龍玉である。そう、ドラゴンボールを手にしたものこそが歴史の覇者たることを暗示されているのだ。我々は張作霖・張学良の親子、袁世凱の運命は知っている。だが、そのようにその終末を迎えるかは予想もつかない。ドラゴンボールは最終的に誰の手に渡るのだろうか?やはり『蒼穹の昴』の最後に顔見せで登場したあの人なのだろうか?西太后死して、辛亥革命へと突き進むであろう第3巻以降が楽しみである。なお、西太后に関しては中公新書『西太后―大清帝国最後の光芒』を副読されるとこの作品世界がよりいっそう楽しめるだろう。 | ||||
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浅田次郎氏の本を読み始めるきっかけは、友人に『蒼穹の昴』を勧められてからです。この夏、『蒼穹の昴』4巻を二度読みました。読めば読むほどに、その面白さに惹きつけられました。その『蒼穹の昴』の続編、この『中原の虹』1巻、2巻とも読了し、また1巻に戻っています。『蒼穹の昴』で、日本に亡命をした梁文秀、リンリンが出てきたときには、涙がこみ上げてきました。壮絶な最後を迎える、西太后、感動的なシーンです。もちろん、張作霖、李春雷なども、魅力的です。ただ、李鴻章が亡くなっているのが残念です、亡霊でも良いですから、3巻には出てきて欲しいですね。 | ||||
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「蒼穹の昴」で、主人公の春児が仕えてきた西太后の最期が描かれる1冊。「中原の虹」1巻では、張作霖ら馬賊を中心とした新しい物語がスタートした印象を受けたが、この2巻は、前巻で登場した新キャラクターたちが平原で壮大な戦いを繰り広げるパートと同時に、宮廷で衰えていく西太后が、清朝の次の皇帝を指名して死んでゆく物語が進んでいく。こちらの物語は、「蒼穹の昴」の後編の続きのようだ。「蒼穹〜」「珍妃の井戸」を読んでから読むことをお薦めします。物語をずっと牽引してきたヒロイン(?)西太后の最期のモノローグの壮絶さと美しさに涙しました。 | ||||
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「光緒帝が玉座に座っていれば、清国を喰い散らかそうとする列強諸国の傀儡として苦しまなくてはいけなくなる」そう考えた結果、光緒帝を幽閉した西太后。光緒帝自身も、幽閉されている真の意味を理解していた。2人をこの世での苦悩から解放しようと一緒に天国に旅立たせるための罪を背負おうとする若き大総官李春雲(通称春児)。しかし、彼の思いを知って「お前はまだ、不幸な目に遭った分受けるべき幸福の帳尻が合っていない。生き別れになっている兄・春雷に再会するまでどんなに辛くても生きなさい」と、最後の命令を下す西太后。やり場のない思いを吐露する春児の為に殉死という形で光緒帝と一緒に自殺する道を選ぶ春児のかつての弟分・蘭琴。「人が人として、人間らしく生きる」ただそれだけの事が実はいかに難しい事なのかと痛感させられ、涙が溢れてきました。この第2巻では、後に中国近代史の中で大きな役割を果たす2人の少年・宣統帝溥儀と張作霖の息子張学良も登場。次巻以降もとても楽しみです。 | ||||
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浅田次郎の作品はたぶん全部読んでいる。短編は、面白いが、長編はさらに心が躍る。蒼穹の昴除く変である本作は、躍動感が加わってさらに面白い作品になっている。満州事変の発端となった張作霖事件くらいでしか知らなかった人物に焦点を当てるとこんなに面白い小説になるとは思わなかった。早く続きが読みたい作品である。 | ||||
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蒼穹の昴の続編として本当に期待していた作品でした。躍動感溢れる浅田作品の中でも非常に良いものに仕上がっています。長編ですが飽きることなく一気に読み上げてしまいました。歴史上の張作霖は関東軍の謀略で爆殺された軍閥としてしか認識されていませんでしたが、清朝末期の満州をまさに白狼の如く自由に駆け回る野性味溢れる一代の英傑として魅力的に描かれています。蒼穹の昴の登場人物も各所にちりばめられスケールの大きな物語の序章を感じさせてくれました。19世紀末から20世紀初頭の本当に混沌とした中国史を歴史上の人物たちを独自の視点から生き生きと蘇らせた浅田次郎氏に脱帽です。続編が本当に待ち遠しい、今年一番の傑作だと思います。 | ||||
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「珍妃の井戸」が「蒼穹の昴」の外伝的な作品であったのに対し、今作は正当な続編である。主人公こそ変わったが、明らかにあの後の中国を綴った大作である。私にとって「蒼穹の昴」は今まで読んだ中でダントツのナンバーワン小説である。その正当な続編・・・。出版されると聞いただけでうれしくて泣いてしまった。 さて内容はなぞの老婆から途方も無い予言を受けた張作霖が馬賊の頭となり、中国統一を目指す話である。この一巻は、大いなるプロローグ、といった感じで本当に話が動き出すのは二巻以降になりそう。ただ、一巻でも十分に物語を堪能できる。相変わらず、出てくるキャラクターはみんな魅力的。これは浅田次郎のうまさなのだが、新キャラクターが登場し、その人物について2〜3ページも読むと読者はすっかりファンになってしまう。とにかく人物描写が巧みで、一つ一つの台詞に血が通っている。今作で新たに登場したキャラはまとめて好きになった。その中で、この巻ではわずかしか登場しなかった西太后と李春雲が光る。旧キャラと新キャラの邂逅を想像するだけで今後から目が離せない。 あの名作中の名作、「蒼穹の昴」の続編にして浅田次郎渾身の中国歴史小説「中原の虹」。やはり圧倒的である。 | ||||
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