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汝ふたたび故郷へ帰れず
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汝ふたたび故郷へ帰れずの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.09pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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ここではないどこかへ行こうとする主人公たちと、つなぎとめようとする仲間たち。ここではないどこかなどない。 今、この瞬間を輝かせるために自分の命を燃やすことで、今いる場所が、行きたかった「どこか」に変わる話。 | ||||
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試合の描写が緻密で1ラウンドとても3分では読めない。この筆力がなければ、プロボクサーのカムバックというシンプルすぎるストーリーで読者は得られない。 それにしても、現在2人目のミドル級日本人チャンピオンが出て、タイトルマッチの再戦ごとに結果をひっくり返すという漫画のような展開を見せている。もちろん彼のファイトマネーはダントツに高い。本書ではミドルという階級が、日本で飯が食える可能性がいかにないかを丁寧に描いているが、事実は小説より奇なり。 | ||||
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切実なる人間を描く。 そう考えると、彼の小説の過酷な運命、翻弄される運命。 という主人公、登場人物に共通の思いを感じる。 過酷でありから切実が浮かび上がる。 そんなふうに僕はこの小説家を見ている。 表題作「汝再び故郷に帰れず」 「スピリチュアル・ペイン」「プロミストランド」 飯島和一の小説の原点。 これを書いた男が「雷電」「始祖鳥」「神無月」「黄金」「出星」と連なる作品群の すべての始まり。 すばらしい、です。 | ||||
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飯嶋さんの本はどれも評価が高いようで、まず、この本を読みました。いいです。いい本です。久しぶりにエンディングが怖い!と思いながら読みました。「汝ふたたび故郷へ帰れず」 良かったなあ。 | ||||
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ボクサーが主人公の小説ですね。私はボクシングのことは全く不案内。ナノで、冒頭部分の主人公がリングで敗退してアル中同然になる迄の部分(ボクシング試合の描写や試合を前にしたボクサーの神経など)は皆目理解できず。同様に、故郷から再び上京してリングに復活しての描写もどんなに優れていようと理解も共感も出来ないのでした。なのに、その中間に描かれている部分に涙が止まりませんでした。こんな風にしか社会に居場所を見つけられない人間が居るのか!それを取り巻く人々もこれまた異常と言ってもおかしくないフツーの人々。会ったことも無い登場人物達の動きに涙してしまいました、久々に小説読みながら。 | ||||
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トカラ列島宝島にて、移動図書館の木箱の中で本作を見つけ拝読して以来、 目にする機会がなく、もう読むことは出来ないか・・・と思っていたのですが。 文庫化されていて、しかもAmazonに在庫があるなんて!! Amazon様に感謝。 (ただ、し奥付を見ると10年前に刷られた本。確かに前後のページがくっついて おりました) お 宝島の光景が目に浮かびます。 離島に関心がない方はご存じない方も多いと思いますが、鹿児島県のトカラ 列島に「宝島」は実在します、ハイ。 再読してみると、宝島での場面は思ったより、少なかったのですが。 ずっ〜とタイトルは『〜帰らず』と記憶していたのですが、正しくは『〜帰れず』。 そのわずか一文字の違いが物語る、熱さ。 やっぱり漢(おとこ)は、闘ってナンボだ! 近頃はすっかりソフトな小説ばかり読む人間になっておりましたが、 久しぶりに“血の気”を感じました。 そして、そして、他に収録されている短編2編も、珠玉。 『プロミスト・ランド』は、『〜帰れず』に相通ずるものがあり。 | ||||
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どういう作品を書くのかと買ってみたものです。結構よかったのではと。 | ||||
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なかなかいい。江藤淳が選考委員だった文芸賞受賞の表題作の中篇と、後はより若い頃に書かれた短篇、「スピリチュアルペイン」と、小説現代新人賞受賞短編「プロミストランド」の二つ。 まず表題作。ボクサーがやる気をなくし、逃げ出してアル中になった挙句に、復活するまでを描いたもの。何しろボクシングだし、いかにも泥臭く、暑苦しい。劇画だとそれも苦にならないが、この濃い目の、言葉を費やした文章だといかにも重い。だが、読み進めるうちに、その暑苦しさこそが核心だとわかる。つまりそこにあるのは、ぎりぎりのところを描こうとする強い意思だ。切実なるものを描こうというのがこの作家の特質だと見た。それと表裏一体のこの文体である。 短篇二つでもそれは共通している。「スピリチュアルペイン」は、戦時中少年だった父が、愛する馬を軍馬に取られた無念さを、その父の死病とからめて、息子から見るという形を取る。「プロミストランド」は過疎になりつつある侵害されつつある山の集落で、禁じられた熊撃ちに己を賭ける男と、それに付き添う若者を描く。いずれも切実な思いを持った人物、あるいは、その切実さを見て己の閉塞した生き方を打ち破ろうとする人物がいる。 やはり優れているのは『汝』で、これはそうした人物の構成が巧みに錯綜して交響しているし、かつボクシングという軸の一方に故郷というモチーフを対峙させて、これらを巧みに交錯させている。この故郷、奄美大島近くの「宝島」という設定が実にいい。暑苦しさと同時に、風の吹き抜ける爽快さがある。同時に、プロットは常に困難から前進へと向かうものなので、最後は、解説に言うように励まされるような、元気をもらう感じになる。型どおりのプロットともいえるが好ましい、気持ちのいい作品だ。後の二つにはそうした感覚的な爽快感が欠けていて、やはりまだテーマだけで書いているような未熟さを感じさせてはいるが、作家としての飛躍を期待させる萌芽は確かに見られると思う。 | ||||
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中編の表題作は、江藤淳が選考委員を務めた文芸賞の受賞作。後はより若い頃に書かれた短編「スピリチュアルペイン」と、小説現代新人賞受賞の短編「プロミストランド」の二つである。 まず表題作。ボクサーがやる気をなくし、逃げ出してアル中になった挙句に、復活するまでを描いたもの。何しろボクシングだし、いかにも泥臭く、暑苦しい。劇画だとそれも苦にならないが、この濃い目の、言葉を費やした文章だといかにも重い。だが、読み進めるうちに、その暑苦しさこそが核心だとわかる。つまりそこにあるのは、ぎりぎりのところを描こうとする強い意思だ。切実なるものを描こうというのがこの作家の特質と見た。それと表裏一体の文体である。 短編二つでもそれは共通している。「スピリチュアルペイン」の設定はなかなか凝ったものだ。戦時中愛する馬を軍馬に取られた少年。その少年もやがて大人になり、やがて老いて、今は死病に侵されていている。死を前に蘇る少年時の無念さを、彼の息子の視点から描いたものである。 「プロミストランド」は、過疎化して侵害されつつある山の集落で、禁じられた熊撃ちに己を賭ける男と、それに付き添う若者を描く。 いずれも切実な思いを持った人物、あるいはその切実さに触れて己の閉塞した生き方を打ち破ろうとする人物である。 やはり印象深いのは『汝』だろう。ここではそうした人物たちの思いが錯綜して響き合っているし、かつボクシングという軸の一方に故郷というモチーフを対峙させて、これらを交錯させるやり方が見事だ。 奄美大島近くの「宝島」、というこの故郷の設定が実にいい。暑苦しさと同時に、風の吹き抜ける爽快さがある。また、プロットは常に困難から前進へと向かうものなので、解説に言うように、最後は励まされるような、元気をもらうような感じになる。型どおりのプロットともいえるが、そうだとしても好ましい、気持ちのいい作品だ。 後の二作は、比べてみればそうした感覚的な爽快感で見劣りがするし、まだテーマだけで書いているような未熟さを感じさせるが、とはいえこの作家の飛躍を予感させる萌芽は確かに見られると思う。今後への期待大である。 | ||||
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短編集『汝ふたたび故郷へ帰れず』です。三本収録しています。いずれもおおざっぱにいえば出直しの話です。表題作『汝ふたたび故郷へ帰れず』は文藝賞受賞作で、ボクシングを扱ったスポ根です。離島出身の主人公が、一度はボクシングからドロップアウトしながらも、故郷で自分を取り戻し、復帰戦に挑むという話。『スピリチュアル・ペイン』は、主人公の父親が子供の頃からずっと引きずっていた、戦争に連れて行かれてそのままの馬への思いを、主人公がどう受け止めるか、という話。戦争へ馬が連れて行かれた、というエピソードが時代の流れとともに忘れられる。それに対して銅像を作る主人公。ところがその銅像すらも時の流れの中で忘れられます。『プロミスト・ランド』は小説現代新人賞を受賞した作者のデビュー作です。禁止された熊撃ちにあえて挑むマタギの話。マタギとは猟師のことです。自分の進むべき道を理不尽に閉ざされ、それでも信念を貫き、そして、再出発です。ボクシング、馬、猟師と、三作それぞれに題材は違いますが、いずれも、大人の落ち着きをそなえた文体ながらも、主人公には炎のような情熱があり、エンターテインメント的な面白さも申し分ありません。専門知識に関する細かい描写も行き届いていて、三作ともきわめてハイレベルな珠玉の短編小説です。 | ||||
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最近、エンターテイメントの小説はそれなりにレベルがあがっている気がします。飽きさせないようにきちんと考えられた構成、ある程度のリアルな状況&登場人物設定で楽しい時間が過ごせる、それも小説の価値です。でも、この小説にはそれを超えた価値があります。やや大げさに聞こえるかもしれませんが、生きていく力をもらえるようなそんな気のする小説です。個人的には、飯島和一の代表作、始祖鳥記と同じくらい好きな小説です。 | ||||
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初めての飯嶋和一作品でした。濃い人物描写と昭和の匂い、そして登場人物の息遣いすら感じられる圧倒的な描写。この小説は「はじめの一歩」という傑作ボクシング漫画に確実に影響を与えています。「フリッカージャブ」「チョッピングライト」というパンチをご存知の方なら読んで損は無いでしょう。間違いなく、傑作です。これほどのボクシング小説は今後、日本では出てこないのでは無いでしょうか。カマーン!ハイデジャロウ、カマーン! | ||||
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圧倒的なスピード感を持った小説です。ボクシングを題材に小説を描いた本ははじめて読みましたが、減量の厳しさや試合前の緊張感や恐怖感がビンビン伝わってきます。そして実際の試合の場面ではものすごいスピード感も体感できます。いままでこんなに臨場感のある小説を読んだことはありませんでした。著者の本は「雷電本紀」と「始祖鳥記」を読みましたが、本書はこれら2冊と全く違うタッチで書かれています。とても同一人物の小説とは思えません。飯嶋氏の懐の深さを改めて感じました。 | ||||
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表題作の「汝ふたたび故郷へ帰れず」の他、「スピリチュアル・ペイン」「プロミストランド」が収録されている。どの作品にも共通しているテーマは生まれ故郷。自分が生まれ育った土地と、そこに住む人々との心温まる交流が描かれている。故郷とは人間にとってどういう場所なのか?生まれ育った場所という地理的な意味を超越した、故郷の大切さを教えてくれる。特に「汝ふたたび故郷へ帰れず」で、主人公のプロボクサーが、夢破れて挫折して故郷に帰ってくるが、故郷の人達との交流により再生し、カムバックの道を選ぶ過程は感動した。人間形成において、幼少時の環境というのは非常に重要なファクターだと認識した。私も都会で一人暮らしをしているが、帰るべき場所のある事の幸せを実感した。故郷を離れて頑張っている人達に是非読んで欲しい作品だ。 | ||||
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表題作の「汝ふたたび故郷へ帰れず」の他、「スピリチュアル・ペイン」「プロミストランド」が収録されている。 どの作品にも共通しているテーマは生まれ故郷。 自分が生まれ育った土地と、そこに住む人々との心温まる交流が描かれている。 故郷とは人間にとってどういう場所なのか? 生まれ育った場所という地理的な意味を超越した、故郷の大切さを教えてくれる。 特に「汝ふたたび故郷へ帰れず」で、主人公のプロボクサーが、夢破れて挫折して故郷に帰ってくるが、故郷の人達との交流により再生し、カムバックの道を選ぶ過程は感動した。 人間形成において、幼少時の環境というのは非常に重要なファクターだと認識した。 私も都会で一人暮らしをしているが、帰るべき場所のある事の幸せを実感した。 故郷を離れて頑張っている人達に是非読んで欲しい作品だ。 | ||||
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飯嶋和一氏の著作が持つ魅力のひとつは、心の奥底にある拭いがたい人間の反抗心・独立心を呼び起こす点にあるのではなかろうか?それはまるで休火山の地下深くに埋もれていたマグマに刺激が与えられるようなもの。巨大な組織、忌まわしい過去、強く根を張って頑強に立ちつくす社会環境に巻かれて、いつしか愚痴っぽくなっている自分に、ズルズルと後退してしまいそうな自分に、「本当にこのままでいいのか?」と問いかけてみたくなる。そんな印象を読了して抱くことが多い。既に高く評価されている『始祖鳥記』『雷電本紀』は、それぞれ刺激的なエピソードが複数束になって構成され、多声楽のような魅力を持つものである。それに対し、この短編集は、よりストレートに魅力が表現されているものだと思う。しかも、彼の小説の本質はいささかも損なわれていないとも感じる。無為な日々を重ね、深い闇夜のなか、崩れゆく足場に気持ちも揺らぎ、寄って立つ場所を手探りで探して彷徨しているうちに、彼の小説に遭遇した。その魅力にみせられた者として、読了して本を閉じたとき目に付いた「ふたたび故郷(「安息の場所」も意味するHome)へ帰れず」という題名、その重さに、息を呑んだ。 | ||||
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飯嶋和一氏の著作が持つ魅力のひとつは、心の奥底にある拭いがたい人間の反抗心・独立心を呼び起こす点にあるのではなかろうか? それはまるで休火山の地下深くに埋もれていたマグマに刺激が与えられるようなもの。巨大な組織、忌まわしい過去、強く根を張って頑強に立ちつくす社会環境に巻かれて、いつしか愚痴っぽくなっている自分に、ズルズルと後退してしまいそうな自分に、「本当にこのままでいいのか?」と問いかけてみたくなる。そんな印象を読了して抱くことが多い。 既に高く評価されている『始祖鳥記』『雷電本紀』は、それぞれ刺激的なエピソードが複数束になって構成され、多声楽のような魅力を持つものである。それに対し、この短編集は、よりストレートに魅力が表現されているものだと思う。しかも、彼の小説の本質はいささかも損なわれていないとも感じる。 無為な日々を重ね、深い闇夜のなか、崩れゆく足場に気持ちも揺らぎ、寄って立つ場所を手探りで探して彷徨しているうちに、彼の小説に遭遇した。その魅力にみせられた者として、読了して本を閉じたとき目に付いた「ふたたび故郷(「安息の場所」も意味するHome)へ帰れず」という題名、その重さに、息を呑んだ。 | ||||
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