レディ・ジョーカー

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レディ・ジョーカーの評価:

4.49/5点 レビュー 127件。 A ランク

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平均点4.49pt

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全148件 101〜120 6/8ページ
No.48
(5pt)

名作が文庫化

1997年に発売された同タイトルの文庫化。
一心不乱に読みながら、興奮に手に汗を握り、あまりの悔しさや切なさや、また感動にのた打ち回るのは大学生だった当時も今も変わりはなかったが、思わず涙してしてしまったのは、改稿ゆえか、会社員という立場に変わったからか、単に年を取って涙腺がゆるんだからなのか。
ともあれ、人は変わるし、変わることの出来る生き物だということを信じていますよ、ええ。
以前の作品をご存知の方もそうでない方もぜひご一読を。
上巻は、誘拐事件まで。
本書の冒頭、昭和二十二年の「怪文書」に引き込まれたあなたに、眠れぬ夜がまっています。
レディ・ジョーカー〈上〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈上〉より
4620105791
No.47
(5pt)

わずかな隙間

上巻では、犯行に及ぶまでの犯人たちの心情や歴史が描かれていたが、中巻では振り回される被害者と警察とネタを追う新聞記者が描かれ、上巻でよく知るようになった(つもりの)犯人たちは影しか見えない。
行き詰る捜査がもどかしいやら、自分だけは知ってる犯人にたいしてあれこれ思うやらで読みながらも忙しいのだが、しかしなんといっても中巻の読みどころは、城山(誘拐された社長)と合田(警護という名目で社長に張り付く刑事)の仕事振りであろう。
自社を守るため警察に黙って犯人と取引しようとする城山と、警察官として犯人をつきとめたい一心の合田。
企業の利益と、犯人逮捕。
どちらも公人としての任務を全うするため譲れないわけだが、そんな二人にもごくたまに私人となる瞬間があり、普段は抑えなければならないお互いを助けたいと言う気持ちが溢れ、そのわずかな隙間に胸を打たれる。
最初から隙間があって、みんなが善人だったならばきっと感動はないんだろうな。
隙間がないからといって諦めず、自らの努力で隙間を作っていくところに、人としての尊厳があり、感動があるのだろうな、などと思った。
果たして、仕事上自分はどうか?
全てのサラリーマンに捧げる名作。
レディ・ジョーカー〈中〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈中〉 (新潮文庫)より
4101347174
No.46
(5pt)

肝硬変を起こした世界

事件後の崩壊が描かれる最終巻。
むなしさ切なさここに極まれり、おいおい待て待て、大丈夫か!と狂っていく登場人物に思わず止めに入ってしまうが、それが会社に、自分に、見切りをつけた一つの姿なのかも知れないなあと思ったりもする。
そう簡単に大団円を迎えることは出来ないが、それぞれの良心や悪鬼にどうにか着地点が見つかって良かった(のか?)。
ちなみに、大改稿後はなんとか生き残ってくれないかなあと願っていた人はやはり残念な結果となり、また反対に、改稿後も絶対に削らないでくれと願っていた名台詞は無事でホッとしました。
さて、自分の悪鬼の着地点はいづこ?
レディ・ジョーカー〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈下〉 (新潮文庫)より
4101347182
No.45
(5pt)

名作が文庫化

1997年に発売された同タイトルの文庫化。
一心不乱に読みながら、興奮に手に汗を握り、あまりの悔しさや切なさや、また感動にのた打ち回るのは大学生だった当時も今も変わりはなかったが、思わず涙してしてしまったのは、改稿ゆえか、会社員という立場に変わったからか、単に年を取って涙腺がゆるんだからなのか。
ともあれ、人は変わるし、変わることの出来る生き物だということを信じていますよ、ええ。
以前の作品をご存知の方もそうでない方もぜひご一読を。
上巻は、誘拐事件まで。
本書の冒頭、昭和二十二年の「怪文書」に引き込まれたあなたに、眠れぬ夜がまっています。
レディ・ジョーカー〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈上〉 (新潮文庫)より
4101347166
No.44
(5pt)

苦悩、虚無、狂気、そして再生するのか?

 高村薫の作品は読み手を選ぶとよくいわれます。私の場合は、体と心のコンディションが整った状態で能動的に読みにいくタイミングを計って読むように心がけています。本作品も購入後何ヶ月も積読状態の後、正月休みを利用して一気に読みました。
 読み手を選ぶ要因にはその文体にあると思います。これでもかとディテールを書き込む、重厚とも粘着質ともいえる文体はそれだけで拒絶反応を示す読者が少なくはないでしょう。著者の文体には第一段階として、詳細は読み飛ばすことで人物とストーリーを先ず読んでみて下さい。さらに高村ワールドを体感したいのであれば、この文体を様式美としてそれ自体を味わうように読むことができるのではないでしょうか。その心積もりで読み進めれば、重厚なストーリーに詳細な人物描写にくわえて様式美としての文体を堪能することができると思います。それゆえ私はコンディションを整えて高村作品に向き合っています。
 著者の人物描写についても触れておかなければなりません。本編では犯行グループ、自害企業、警察、検察、新聞社、総会屋、政治家と一遍の小説にしてはたくさんの人物が登場します。それぞれの主要人物の苦悩、虚無、狂気、再生が丁寧に描かれており、それぞれの視点からそれぞれ一遍の長編小説が成立する贅沢な作りになっています。かといってその詳細な人物描写がストーリーを侵食することなく不可欠な部品として配置されている点も見逃せません。高村作品の狂言回しを思わせる合田雄一郎の描写も全体から俯瞰すると主要であるが作品の部品に過ぎない点も好感が持てます。ただ下巻後半の犯人の狂気が合田とシンクロして終幕に突入する部分は圧巻でした。
 それにしてもレディー・ジョーカーはいつ文庫化されるのでしょうか。文庫化に当たっては大幅に改稿をされるのが常ですので、文庫化の際はもう一度読んでみたいと思います。
レディ・ジョーカー〈上〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈上〉より
4620105791
No.43
(5pt)

高村さんは、優しい

高村さんの目線は、無名の人達に向かって、とても優しい。
女性が苦手で、男性ばかり描いてしまうとのことですが、
とても素適なおばさんと思います。
レディ・ジョーカー〈下〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈下〉より
4620105805
No.42
(5pt)

ときめく哀愁

おっさんに身近な世界で、しかも、読む者をおっさん化させるので、結局、
おっさんの哀愁が読む者みなに身近になる、うらぶれたダンディズムの入門書。
レディ・ジョーカー〈上〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈上〉より
4620105791
No.41
(4pt)

誘拐事件を背景に日々の営みを赤裸々に

グリコ・森永事件をベースとしたビール会社の社長誘拐事件を題材にして、社会の諸問題を重厚かつ緻密に綴った骨太の作品。元の事件当時、一般人が(不謹慎ながら)興味を持ったのは以下の点であろう。

(1) 誘拐は狂言ではないのか ? 監禁の過程で裏取引があったのではないか ? 裏社会が絡んでいるのではないか ?
(2) 犯人の狙いは本当に金だったのか ? 愉快犯ではなかったのか ?
(3) 犯人像は ?

本作で高村氏は冒頭で殆どアッサリと答えを出しておき、事件そのものより、企業と裏社会の闇の係り、社会で弱い立場にある人間の悲哀と精一杯の反攻、組織における個人の埋没性などを執拗と言える程丹念に描く。高村氏は現在の日本のあり方、社会のあり方に深い疑念を持っており、それを本事件を背景に描こうとしているように思える。本の帯に「人質は350万Klのビール」などと扇情的に書いてあるが、物語の本質はそうしたハデな設定にある訳ではない。合田と事件の係らせ方も巧み。合田自身も組織から疎外されかけてる人間なのだ。事件のスケールの大きさと対比するように、被害企業、警察、検察、犯行グループ、記者連中などの関係者の個々人の苦楽・生きる事の意味の問い掛け・孤立性が鮮明に浮かび上がる。身代金受け取り方法に工夫が無いのが難点だが、大きな虚構の中で現実の社会の問題を抉る力量は高く買いたい。最近の文学賞の受賞作が卑近な私小説化して行く中、小説を読む醍醐味を堪能させてくれる力作。
レディ・ジョーカー〈上〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈上〉より
4620105791
No.40
(5pt)

塗り盛られた油絵のような、、、

「マークスの山」・「照柿」・「レディ・ジョーカー」と、合田刑事3作品を並べて気づくことがあります。描く世界の種類が増えているのです。「マークスの山」では刑事。「照柿」では刑事の世界のなかの不協音が増えて描き方が徹底され、それに工場労働の世界が加わったことで描く世界が二つに増えました。「レディ・ジョーカー」では、犯罪者たち・刑事世界・企業世界にくわえ、ジャーナリズムが加わりました。つぎは政治家か?と思いきや、5重テーマではさすがに分解するのか、「新リア王」で禅との二重テーマになりました(彰之という同音の名前・母の不倫で生まれたという背景からも中上健次への意識を強く感じます。そのせいか、榮の世界に比べて彰之の世界が借り物のようにどうしても感じてしまいます)。次作ではどの世界を見せてくれるのか、どの世界の匂いを嗅がせてくれるのか。ゴッホの絵の具のように盛り上がらんばかりに文字を重ねて、狂気寸前の理性を追求し続ける貪欲さに、満腔の拍手を送ります。
レディ・ジョーカー〈下〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈下〉より
4620105805
No.39
(5pt)

高村薫の「歯応え」真骨頂

「マークスの山」で感動し「照柿」で圧倒されかつ閉口した、この著者の筆力と細部への拘り、そして心理描写の粘性。本品では、多様な背景をもつ関係者を絡ませた一連の事件の顛末を描く中で、さらに効果的に発揮されている。
特に、誘拐・恐喝事件に至るまでの「事情」の積み重ね方、犯人に振り回される捜査本部の緊張感、競馬仲間の関わり方や大企業上層部での微妙な会話のやり取りなど、ストーリーテラーの面目躍如たるものがある。
それに加えて、異なる職歴・年齢・人生観を持つ犯人側、被害者、捜査側の人物がそれぞれ己の内部を覗かせる部分は、ある程度まで人生を経た段階で人生を省みた人間が感じる、執着と諦観の間の揺らぎを見事なまでに表現している。
事件ミステリーの形を借りた抒情詩というとセンチメンタルに聞こえ過ぎようか。
レディ・ジョーカー〈上〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈上〉より
4620105791
No.38
(5pt)

絶対的剛速球

自称評論家と素人がわいわいと楽しくやっている草野球のように、

草小説という世界があったとする。

チームの指南役が新人をつかまえ「短編というのは芸事だから、

肩の力を抜いた感じで軽うくな。で、オチの後は余韻がスーッと

残るようにやってみな」と指導し、それじゃ軽く投げてみますと答えた

高村投手がズドンと160キロ。

「おいお前はもう少し力抜くとかカーブを混ぜるとかできんのか」と

責められ、私はこのタマしかないんで、みなさん打つのが無理なら

50メートル離れてみましょうかと言ってまたズドン。

次第に周囲は、セオリーとかジャンルとかタイプとか、そういうハコに

押し込める行為自体が無意味な「絶対的な剛速球」というものが存在する

ことに気づき、畏怖する。

日吉町クラブというアイデアのスケッチに、思う存分筆を振るうだけの

フィールドと道具立てがそろっても、なお、剛球は剛球のままだった。

長大ではあるが過不足は無し。

社長、刑事、新聞記者、犯罪者、総会屋など、それぞれの職業人の

むんむんと色気が漂うような描写を通して、雇う者と雇われる者、

脅す者と脅される者、差別する者とされる者など、あらゆる関係性を

緻密に切り取って、戦後という大風呂敷を畳んでみせる。

しかし、その視線はあらゆる物事を上から見る神のものでも、調べ

尽くす学者のものでもない。

「日の出のビールはうまかったなあ」

こんな台詞で日本人の戦後を語りきってしまう高村薫は、やはり

徹頭徹尾小説家であり、このテーマが小説で描かれたことに対し

て心底誇りに思う。
レディ・ジョーカー〈上〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈上〉より
4620105791
No.37
(5pt)

ミステリーと言うよりは、やっぱり社会派小説

この人のはやっぱり難解。専門用語の説明が物語の中にあまり無い。
「仕手筋」の証券株とか書かれていても、何のことだか…。新聞をよく読みましょう!って言われていたのはこう言うこと!?(-_-;)
冒頭の手紙の部分の旧仮名遣いを読むのにも苦労しました。時間がすごく掛かった…
「マークスの山」⇒「照柿」⇒「レディー・ジョーカー」と連続で、合田刑事の話を読んだけど、段々と刑事として彼の捜査を語る部分は減っていく、彼の『私』の部分を描くことが多くなっていった。
前・後編でP.1000を超える長編で作者が巧いだけに、読み応えが合って面白かった。
最後の締めが少し意外で、この人が死んじゃったの!?と言うのがやけにあっさり書いてあったり、過去の話でおなじみの人のその後がさっくり触れてあったり、やっぱりこう来るか!と言う所もあったりしました。
合田刑事シリーズは、もう書かれていないようで、それがちょっと寂しいかな?
レディ・ジョーカー〈上〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈上〉より
4620105791
No.36
(4pt)

これぞ「社会派」

恥ずかしながら、推理小説というものをほとんど読まない私、
しかも映画を先に見て、何がなんだかよくわからなかったもので
本で確認、というなんともオソマツな入り方。
その名をとどろかす高村薫という作家についても、なーんにも
知らなかったわけですが。
読んでのけぞる思いでした。この人は何と圧倒的な筆力を持って
いるのでしょうか。ただの博覧強記というレベルをはるかに超えて、
社会構造のさまざまな側面の本質を突き、人間の本質を突き、
登場人物とその背景を、極めて精密な筆致で描き分ける。見事です。
ご本人は嫌がられるかどうかわかりませんが、これが真の「社会派」
サスペンスではないでしょうか。
あれだけのボリュームの内容、取材や調査も並大抵ではなかったはずで、
その体力にも脱帽。いやあ、あれを映画化するのはしょせん無理な
話でしたね。じっくり描けるTVドラマだったらなんとか…ってやっぱり
無理かな。とにかく社会をじっくり見据える視線がないと、映像化は
むずかしいでしょうね。
レディ・ジョーカー〈上〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈上〉より
4620105791
No.35
(5pt)

緻密な細部リアリズムのお手本

長期に渡って著名な著者だが、何故か拝読するようになったのはここ2年程.まず本作読了での感想は「巧い」の一言に尽きる.多くの著者の世評にあるよう「経験したかのようなのディテール」の精密さ、地道な調査・資料等によって裏づけられた場面細部の構築によって、所謂スカスカ感やウソ臭さから遥かに遠いリアリティがある.ビール会社における上級経営職の職務内容のリアル、工場等における現場仕事のリアル.この様な事実に裏づけられたタイプの作品は必要以上の情報を盛り込むとストーリテリングのダイナミズムを失速させ「書きすぎの冗漫」に陥る点で歴史モノと同じ性質のリスクを持つが、本作における情報の再構築によってフィクションに仕上げるスキルは見事としか言いようが無い.著者の実力はフレデリック・フォーサイスや「レッド・ドラゴン」時点でのトーマス・ハリスに匹敵するレベルだろう.このスタイルを成立させる資質として、想像力や言葉への感受性といった所謂「小説創りの才能」に加え、極めて明晰な知力-理解力・分析力・論理的構築力-が必須であり、更にそれを十二分に発揮する為の作劇のトレーニングが欠かせない.その上で執筆と訓練に当てる「充分な時間」だ.著者が拙速の多作派でないのはそれが理由なのが明らかだと思う.まだ未読の作品が多くあるため、楽しみで仕方が無い.
レディ・ジョーカー〈上〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈上〉より
4620105791
No.34
(5pt)

傑作ゆえの、最悪の読後感

高村薫の本を読むときは、腰を据え、物語に没頭する覚悟で臨まなくてはならない。
深く暗い絶望感を持った人間達には、雑念を振り払って対峙しなくてはならない。
本書では警察官、大企業の重役、犯罪グループ、闇社会等、極めて個性的な人物達が登場する。
結末に向かう過程で悪夢は繰り返される。まさに絶望そのものだ。
これほど吐き気を感じる読後感は、後にも先にも経験がない。
とはいえ本書は傑作である。登場人物達の事件を巡る攻防は読み応え十分だ。
嫌悪感を与えながらも、ここにはリアルな人間が包み隠すことなく描かれている。ただ合田雄一郎はやさしく成り過ぎたか。
僕らは生きていく中で、好むと好まざるとに関わらず、社会的立場というものを得てしまう。
さらにその背負った立場ゆえの葛藤、呪縛にもがき苦しむ。その姿こそ本書の最大の魅力だと思う。
本書の題材が、1984年に世間を賑わせたグリコ・森永事件であることは明らかだ。この事件にまつわる様々な説が、物語りの中にちりばめられている。「日本はどうなってしまうのか」の一文は、絶望感に対する著者の強いメッセージである。本書はミステリー・社会派作家としての、著者の最高傑作である。
レディ・ジョーカー〈下〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈下〉より
4620105805
No.33
(5pt)

組織の中で生きる人間がどうなるか?

企業に勤めたことのある人間、会社のしがらみを知っている人間であれば、共感しながら、読める本です。それでいて、企業という組織から離れれば、人間っていうのは、本当はこうなんだよなぁ、と思わされるストーリーです。誰が正しいとか、誰が間違っているとか、という視点でなく、人間が組織で生きていったときに見えてくる弱点を読んでいくような本だと思います。そして、人生も考えます。
レディ・ジョーカー〈下〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈下〉より
4620105805
No.32
(5pt)

細かい設定まで、キチンとしています

企業に勤めたことのある人間、会社のしがらみを知っている人間であれば、共感しながら、読める本です。それでいて、企業という組織から離れれば、人間っていうのは、本当はこうなんだよなぁ、と思わされるストーリーです。誰が正しいとか、誰が間違っているとか、という視点でなく、人間が組織で生きていったときに見えてくる弱点を読んでいくような本だと思います。そして、人生も考えます。
レディ・ジョーカー〈上〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈上〉より
4620105791
No.31
(4pt)

高村薫の素晴らしさ

上下2巻のこの本、かなり読み応えがあると思います。社会問題系ミステリーと言った感じでしょうか。社会の醜い部分を細部に渡って描いてあります。多少業界用語や難しい言葉もありますが・・読破の価値大の本です。
レディ・ジョーカー〈下〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈下〉より
4620105805
No.30
(5pt)

LJ原作本が読み難いという映画鑑賞者の為に

LJの入門書いうか雛型習作として高村薫「日吉町クラブ」(誇りたかき掟・角川ノベルズ収録)を推薦するよ。
①人生の酸いも甘いもわきまえた男たちが、府中競馬場にたまたま集い
互いに共通の憤懣や屈託を認識し、共有しあう。
②この憤懣を何かに転換できないか→犯罪につかえないかと犯意を抱く
(※ この「犯罪動機」を説明するのが高村作品解説の最大のネック。
ま、読めば何となく情緒でわかるのだが・・・)
③府中競馬場につどう男たちと、誘拐対象である会社社長は相互の鑑無しを確認
(※ 警察の犯罪捜査は、地縁血縁知人の鑑捜査から始まる。
つまり相互の面識無ければ、警察は犯罪現場と犯人を結び付けられず完全犯罪となる)
④じゃ、誘拐犯罪をやろうかとなる
⑤読者は、犯人たちの虚無感に、ダンディズムなりヒロイズムを感じて酔うべし
LJはこの犯人たちを中心に、戦後日本という壮大な地獄巡りを読者に仕掛ける作者畢生の大作。
レディ・ジョーカー〈下〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈下〉より
4620105805
No.29
(3pt)

なんともやりきれない

緻密な構成、スピーディな展開、リアルな背景描写、人物の心の深み。どれをとっても文句のつけようがない。上下2冊で900ページ近い大作ながら、一気に読んでしまった。しかし、である。なんともやりきれない、この読後感。多数の作中人物で誰か、救われた人はいるのだろうか。たしかにこの世の中、いつも能天気なハッピーエンド、ってわけにはいかないのかもしれない。けれども、こんなに苦しく絶望に満ちた人生のオンパレードには、とうてい理解が及ばない。そういえば、この小説に登場する人物には誰一人、心からのバカ笑いは、ない。人間って、そんなに絶望が深いものなのだろうか。文章として、描写として、徹底的にリアルに書かれてはいるが、この小説には、だから、生きている人間のリアリティがない。人間は失意の中にあっても、毎日の生の中で見つけた小さな小さな幸せを繋ぎ合わせながら生きていけるような、本質的にわりと能天気な動物であると思う。作者はなぜ、こんな小説を書いたのだろうか。それがわからない。物語の巧みさに惑わされてしまうが、しかし、これは物語ではなく、ある種の観念小説、といってよいのだろう。ちまたに「感動の巨編」というが、少なくとも私には「感動」はなかった。
レディ・ジョーカー〈上〉 Amazon書評・レビュー: レディ・ジョーカー〈上〉より
4620105791