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新しい人生
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新しい人生の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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本に憑かれ、「新しい人生」を始めるために出発する主人公。読んだ物語に振り回されたり、出来事の背後に何らかの陰謀があるという物語を作り上げてしまったりする登場人物のあり方は、エーコの『フーコーの振り子』を想起させます。『フーコー』の背景には、政治運動が終息した後のオカルトやニュー・エイジ流行があることが小説自体のなかに書きこまれていますが、『新しい人生』にも、何らかの時代背景があるのかもしれません。 物語に過剰な意味を読み込んだり、自分で書いているかのように書きうつしたり、過去に書いた物語をもとに、あるいは他人が書いた文章をもとにして物語を書いたり、幼い頃に読んだ物語に発想を規定されていたり、自分の人生を、物語を読むように解釈してみたり。そんな「物語」と人との関わりが描かれていく中に、「物語」への作者の愛が感じられます。 | ||||
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パムクがノーベル賞を受賞する10年少し前に書いて、トルコでベストセラーになった小説ということであるが…こんな小説がそんなに売れたことに驚かされる。決してけなしているわけではない。川端康成のように自然に頭に入ってくるような文章とは程遠い、複雑難解な文章で構成された小説だからである。パムクの別作品の翻訳をけなしているレビューがかなりあるが、読みやすく訳すことは不可能だろうし、無理に平易化すると、パムクの持ち味を完全に損なってしまうだろう。 前半は、なぜバスなのか(列車ではなく)、なぜバス事故なのか、といった素朴な疑問を抱きながら読み進めていったのだが、ルフクおじさんとの関係は暗示されているものの、結局よくわからないままだった。しかしこのバスでの放浪の旅が幻惑的でいいのだ。それが一段落した後で落ち着いていると、再度始まってしまうのには驚かされた。 | ||||
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こんなに細部までこだわって書かれた小説を久しぶりに読んだ。 詩的なメタファーで散りばめられた文章も魅力的。個人的には 明らかにされてなかった主人公の名前がほのめかされるくだりに 鳥肌がたつほど衝撃を覚えた。また、あとがきを先に読むと文化背景を より理解しやすいだろう。邦訳されているパムク氏の小説の中では一番 彼らしい魅力が詰まった作品だと思う。 | ||||
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こんなに細部までこだわって書かれた小説を久しぶりに読んだ。 詩的なメタファーで散りばめられた文章も魅力的。個人的には 明らかにされてなかった主人公の名前がほのめかされるくだりに 鳥肌がたつほど衝撃を覚えた。また、あとがきを先に読むと文化背景を より理解しやすいだろう。邦訳されているパムク氏の小説の中では一番 彼らしい魅力が詰まった作品だと思う。 | ||||
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3年前に英訳("The New Life")で読んだ際は、「つまらなくはないが、 仕掛けが完全に成功しているかどうかは微妙」とレビューに書いた。 今回、邦訳が出たのを機に読み返してみたが、 とくに大幅な誤読をしていたわけでもなかったらしく、 基本的には同じ感想を持った。なんというか、 「ポストモダン小説」的に思わせぶりな暗合が多過ぎて、 それを必死に読み取ろうとする主人公たちが、 やや思い込みの激しい人たちに見えてしまうのである。 (訳者あとがきにもあるように、本書に氾濫する数多の商標名は そのままトルコの苦難に満ちた近代化の過程を映し出したものであり、 トルコ人読者にとっては、その名称自体が強い喚起力を持っているはずだが、 我々がそれを感じ取るのは不可能に近いということもあるのだろう。) ただ、今回読み直してみて以前より強く印象に残ったのは、 数か月にわたるバスの旅が結末を迎えた後で あっさりイスタンブルの母の家に戻り、結婚もして 一見平穏無事に暮らしている主人公のその後のことだった。 同じ経験をした人間以外にはまず説明できないような、 そればかりか今となっては、自分がなぜその時そんな行動に出たのかが 幾分いぶかしくも思えるような出来事に遭遇してしまった人間は、 それをきれいさっぱり忘れ去るのでない限り、 多かれ少なかれその地点に囚われたまま生き続ける。 その過程で、主人公はかつて読んだ本「新しい人生」の成り立ちを ゆっくりと理解し始める(というより「想起する」)ことになるのだが、 私自身がいささか歳を取ったせいもあってか、今回は前半のサスペンス的な展開よりも、 「解説部分」とされる最後の数十ページのほうに、より強い哀切さを感じた。 | ||||
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『雪』に強い感銘を受けたパムクさんの新作かと思ったら、新訳ではあるけれど、90年代に発表された小説。 ふと手に入れたある本を読んだことで、今までの行き方を捨てて、あこがれの女性と旅をすることになった大学生の「ぼく」は長距離バスを乗り継ぎながらトルコ中を旅し、行方の分からなくなった、同じ本の読者である若者を探す。その旅で「ぼく」が出会うのは欧米化していく祖国、そして欧米化に抗するために諜報活動、そして殺人も辞さない秘密結社のようなグループのリーダー。そして「ぼく」は禁じられたその本の作者を知り(彼は「ぼく」が幼い頃から知っていた元鉄道員の「暗殺」された童話作家だった)、そして行方不明だった若者の居場所を突き止め……。 『雪』が「世界文学」だとすると、『新しい人生』はロード・ノヴェル、青春文学の形をとった「国民文学」なのかもしれない。よって、その切実さ、文化的な痛み、土地勘がうまくつかめないところもあるのだけれど、誠実な「苦さ」は伝わってきた。 | ||||
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