■スポンサードリンク


夜の底を歩く



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
夜の底を歩く

夜の底を歩くの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

差別の多重構造に縛られながらも人を愛する少女に涙

本作を16歳で書き始め、17歳で完成させ、19歳で刊行し、史上最年少でブッカー賞にノミネートされた天才文学少女のデビュー作。オークランドの黒人街で暮らす17歳の少女がありとあらゆる差別、暴力、理不尽に翻弄されながらも強靭な復元力で生き延びるヒューマン・ドラマで、刊行後すぐにN.Y.Times紙のベストセラーに入ったのも納得の力強い作品である。
貧しい黒人街で生きる17歳のキアラ。父は病死、母は刑務所で兄のマーカスと二人で住むアパートの家賃にも事欠く綱渡り生活だった。にも関わらず、マーカスはラッパーになって大金を稼ぐ夢に取り憑かれて働かず、キアラは一人で家計を担っていた。しかし、いきなり家賃が倍増し、同じアパートに住む無責任な母親に置き去りにされた9歳のトレバーの面倒も見ることになり、追い詰められたキアラは必死に職を探すのだが高校も卒業していない17歳の少女を雇ってくれる職場はなく、やむなく売春に手を染めた。そして警察に現場を押さえられることになったのだが、警官たちはキアラを保護するどころか性的搾取をし始めたのだった…。
著者が13歳の時に遭遇した警官による黒人少女の性的搾取事件に強烈な違和感を持ち、16歳から作品化し始めたという本作。アメリカでマイノリティの少女が日々押し付けられる人種差別、性差別に対する鋭い反発に圧倒される。周囲の大人、権力者、行政からの理不尽で醜悪な攻撃はグロテスクで、読み進めるのは気軽ではない。それでも、キアラがとる行動に微かな温もりが感じられるのが救いになる。
社会派のノワール・ヒューマンドラマとして、一読をオススメする。

iisan
927253Y1

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!