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リバー



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【この小説が収録されている参考書籍】
リバー

リバーの評価: 8.67/10点 レビュー 3件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.67pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全3件 1~3 1/1ページ
No.3:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

リバーの感想

これは面白いですね!
650Pほどの厚さですが、久しぶりに寝るのを忘れて、一気読みしてしまいました。
10年前、河川敷で発見された2件の絞殺女性死体。未解決のまま、再び同じ河川敷で連続して2件の女性死体が見つかる。そして浮かび上がる3人の容疑者。
大筋はどこにでもある普通の犯罪小説なのだが、とにかくこの小説はテンポよく読ませてくれる。そして、犯罪小説にありがちな重さや陰鬱さは一切無い。
それどころか、読んでいて思わず読者を笑わせるギャグも散りばめられている。
このギャグのポイントが、刑事・容疑者以外の登場人物、すなわち10年前の被害者の父親、新人新聞記者、犯罪心理学者なんですね。
特に被害者の父親のキャラは特筆ものです。絞殺された娘を想う父親の哀しい行動ですが、その無茶で妙に滑稽な行動、そしてその妻との対比、これがギャグとして読者を笑わせてくれる。
記者と父親の関わり、また記者と犯罪神学者とのやり取り、ここにも傍から見た人間の滑稽な一面を感じさせる。この辺りの心理描写が実に面白く絶妙ですね。
まさに犯罪小説の名を冠した群像小説で、単なる「犯人探しの謎解き小説』ではありません。

▼以下、ネタバレ感想

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マッチマッチ
L6YVSIUN
No.2:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

リバーの感想

面白い、読み易い、読み始めたらやめられない!作品です。
容疑者、被害者、警察と検察、マスコミ、事件記者、表裏の双方の社会に生きる人たちが、10年越しの事件の真相に向い、集約されていく様が描かれています。数多の登場人物それぞれに家族や友があり、生活があり、人生があることも上手く書かれており、ややもすると混乱を招くほどの人物の動きが、簡潔に平易な言葉で語られています。物語の流れもわかり易く、分厚い本ながら、あっと言う間に読了でした。
敢えて残念なところを挙げるとしたら、
①直截的で誰でもわかり易言葉や表現を意識しているのか、同じ言い回しが多く使われており、文学的な愉しみを味わうことが出来なかったこと、
②興味深い登場人物…特に容疑者たちの、細かい心理描写がなされていなかったこと、です。これは、読み進めなかわら、わざと容疑者たちへの先入観を持たないようにしているのではと思い、最終章を期待していました。というわけでラストが幾らか物足りないを感じを受けました。
そうは言いましても、間違いなく面白いです。ぜひ、お読みになることをオススメします。

はつえ
L7BVQMDY
No.1:4人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

社会派の群像劇だが、犯人のキャラが頭抜けていて面白い

2019年から22年に雑誌連載された長編ミステリー。いくつかの現実の事件を想起させる出来事をベースに犯罪者、捜査側、関係者が濃密な人間ドラマを織りなしていく群像劇ミステリーである。
渡良瀬川の河川敷で若い女性の全裸死体が発見された時、警察は凍り付いた。というのも、10年前に同じ手口での2件の連続殺人があり、容疑者を別件逮捕したものの本件では証拠固めができず釈放したという苦い経験があったからだった。あの容疑者がまたやったのか。警察は威信をかけて捜査を始めたもののなんの手がかりも得られずにいるうちに、またもや同じ手口の事件が発生した…。
新たな捜査を担う刑事たち、10年前の未解決事件を担当した元刑事、容疑者となった男、被害者の父親、警察担当の若手記者、今回の事件で浮かび上がった重要参考人などを中心に展開されるドラマは、10年の歴史が背景にあるだけに分厚く、複雑でストレートに事件解決とはいかないのだが、そのもどかしさにはきちんとした裏付けがあり、エピソードの広がりが読む者を惹きつける。登場人物は多くてもキャラクター設定が巧みなので混乱することはなく、ぐんぐん読み進められる。作品を構成するテーマやエピソードが広すぎて、最後はやや強引にまとめた感があるものの、面白いミステリーを読んだという満足感が味わえる。
単なる謎解きではないミステリーのファンに、文句なしのオススメである。

iisan
927253Y1

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