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九度目の十八歳を迎えた君と



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九度目の十八歳を迎えた君との評価: 6.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.00pt

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(6pt)

九度目の十八歳を迎えた君との感想

ミステリ・フロンティアに属する作品ですが、ミステリというよりファンタジーを用いた青春小説でした。

物語は社会人となった主人公が、駅のホームで高校時代の同級生の女性を目撃する所から始まります。
ただし違和感がある所は、その女性は高校生の姿のままである事。他人の空似、見た目が若い、姉妹、というわけではなく、言葉通り18歳の高校生のままという事。本作品はこの状況を現実的な解釈を用いるのではなく、こういう世界であるとファンタジーな事象を日常の1コマのように捉えているのが面白いです。
ミステリとして見るなら「何故彼女は18歳の高校生のまま変わらないのだろうか?」という謎を起点とした物語となります。

ただ読書して感じた事は、ミステリを描いたのではなく"年齢"に着目したテーマや想いが主要である事。年齢という呪縛。同世代や異なる世代のずれ、年齢と共に忘れてしまった思いなどを強く感じました。
印象的な一文は「年齢というものは、その人間の性格よりも、能力よりも、本質よりもずっと手前に陣取っている憎いやつだ。」というもの。社会人となった主人公の悩み同様に、年功序列、能力社会といった社会的なテーマを感じた一幕でした。
当時のままの同級生という設定からくる物語は、姿だけでなく高校生の頃の想いを思い出させます。大人へのあこがれや希望、やりたい事の夢、そういった光に対して現実の闇を対比させて考えさせるテーマ性を帯びている為、本作品を読む読者の年代によって響く所が異なるのではないかと感じました。

一昔前ならタイムトラベルもの作品で同様なテーマが描かれそうですが、今の時代に合わせた内容や不思議な世界の描き方は現代的な作品となっていました。この描き方は著者の持ち味で面白いなと思います。

egut
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