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介護士K



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【この小説が収録されている参考書籍】
介護士K
介護士K (角川文庫)

介護士Kの評価: 3.00/10点 レビュー 1件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
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(3pt)

老いの苦しみ  理想論vs現場の声

これまでの久坂部作品でも医療の現実について描かれていましたが、本作は、介護現場の過酷さが色濃く詳述されていたと思います。
今回のテーマはタイトルどおり『介護』。人生100年時代を美辞麗句に長生きできる社会になった反面、認知症や褥瘡で悲惨な状態になってもなお、機械で命を長らえさせることの是非。メッセージ性があり、考えさせられる小説でした。
とある介護施設で入居者が転落死するニュースを目にし、主人公である女性ルポライターが不審に思い、調査に乗り出すところから話は始まります。その不審に思った点は、さすが、医師と作家の二足のわらじである作者ならではの着眼点で感心しました。作者が医師でもあるだけに、死体の描写もリアルに感じられました。ホラー小説ではないのに、空恐ろしくなります。
ただ、物語としてどうかというと、辛辣にならざるを得ません。先ほどホラーではないと書きましたが、ではミステリーかというと、それも当てはまらないです。純文学ともまったく異なります。
だからでしょうか、ミステリ好きな私には、あまり楽しめませんでした。また、主人公の女性ルポライターが、入居者を転落させたかもしれない人物Kに、中盤から共感しているのも、どうかと思いました。そこは対立軸として相容れないということを貫いてほしかったです。
そして致命的にマイナス評価になったのは、現実の犯人を擁護する描写があったことです。たしかに、ひょっとするとメディアの印象操作により、犯人の人物像が歪められ、子供時代のエピソードを悪く脚色した部分はあったかもしれません。ですが、大勢の入居者を死傷させたことは事実であり、肯定してはならないと思います。
話がとっ散らかってると思ったら案の定、連載していたものを一冊の本にしたようなので、もう少し煮詰めて書けば、出来栄えが良くなったのではないかと思える一作でした。

bamboo
NU17PFML

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