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都市のトパーズ



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都市のトパーズの評価: 4.00/10点 レビュー 1件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(4pt)

虎のイメージはちょっと違う

これは小説というよりも小説の体裁を借りた島田流都市論と云った方が正鵠を射ているだろう。まあ、内容としては都市論に留まらず、日本人の特質から根幹を成す行政論も展開しており、江戸の鎖国から連なる日本人の閉鎖性など、日本人の欠点をこれでもかこれでもかという所まで徹底的にバッシングしている。云わば“島田荘司の青年の主張”であり、内容としては密度が濃い。しかし、それがために同じ事の反復が目立つのもあり、いささかくどくなっている。つまり、小説にスピード感がなく、流れとしては非常に悪く、ノレなかった。

話としては、ある寺が虎を飼っており、主人公はその虎に魅せられ、世話をするようになる。ある日、大きくなった虎は檻から抜け出し、東京の街を疾走する。東京の街は当然ながらパニックになり、主人公は虎を守るべく虎と共に東京の街を疾走する。これだけである。
このトパーズという虎に島田氏は象徴性を持たし、主人公の理想はその虎に集約される。主人公はかつて若き日に研鑚し、勝ち得た肉体、躍動感が社会人となって蝕まれ、朽ち落ちていく毎日に絶望を抱いている。そのかつての姿を彼は虎の中に見、その姿が永遠である(と彼は信じている)ことに羨望を抱く。従ってこの虎はあくまでも幻想的である。そこが私のイメージとどうしても重ならなかった。
主人公の虎に抱くしなやかさ、躍動感、強靭さ、敏捷性はどうも私にはチーターのそれとしかイメージできない。虎はガタイが大きく、短足である。そこがどうも東京の街を疾走するイメージと重ならないのだ。

しかし、そんな瑕疵を抜きにしても、今回の作品はどうもつらい。主張が強すぎて、あまりに島田氏の考えに傾いており、ニュートラルではないからだ。
すまん、島田氏。今回、私はいい読者ではなかった。


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Tetchy
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