家庭教師・鷲津兵輔が、生徒として引き受けることになった女子高生の乾倫子。

“四ヶ月の浮浪者生活で、イクオの服装はそれにふさわしく汚れていた。かなりの異臭が立ち昇っていた。

小説を愛してやまない文芸編集者の澤野逸郎は、文芸誌“小説○○”の編集長になった。

時は戦国、下剋上の世。京都・相国寺近くにある三好家の屋敷に、その男はいた。

人を殺し、育った修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧。なおも修道女を犯し、暴力の衝動に身を任せ、冒涜の限りを尽くす。

諏訪徳雄は、コンピュータおたくの四十男。ある日突然、妻の沙夜子がコツコツ貯めた一千万円の貯金とともに蒸発してしまった。

人を殺し、育った修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧。なおも修道女を犯し、暴力の衝動に身を任せ、冒涜の限りを尽くす。

警視庁公安部の「アンタッチャブル」と、捜査一課の「落ちこぼれ」コンビが巨 大テロの脅威に挑む。

現代の「神と人間」をめぐる壮大な叙事詩『ゲルマニウムの夜』『王国記』『汀にて』に続く王国記シリーズ最新作。

マリーは泣きそうな子供のような顔をした。「なにする!」圧しころした声で言った。

一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。

東京のやくざ組織・東鞘会に所属する兼高昭吾は、弟分の室岡と沖縄に飛び、ターゲットの喜納修三を殺害した。

娘はボダ子と呼ばれた。ボーダーだからボダ子。

この中に紹介されている悪所場に独りで、あるいは悪友と出かけた、著者の味わった愚かさと無常観と、そして幾ばくかの快感を味わってみてください。

昔、文字は本当に生きていたのだと思わないかい? 秦の始皇帝の陵墓から発掘された三万の漢字。

「待たんかい。

南シナ海の烈風。眼下で砕ける三角波。

あいつらは飢えた狼だ―― この世を地獄に変える 凶悪軍団vs復讐を期す刑事 目をそむけたくなる冷酷な連射……。

五十八歳にして初めて子を得た小説家・愛葉條司。「家族クソ食らえ」の條司だが、子育ての喜びを知り、のめり込む。

1963年3月21日、翌年の東京オリンピック開催を前に、公式記録映画の監督を務めることになっていた黒澤明が降板した。

不自由な日常から、自由な世界へ。オートバイを愛し、野宿旅を続けている人気作家が、その思想と実践について語る。

警視庁捜査一課の“お荷物"刑事・志麻由子は、張り込み中に首を絞められる。

捜査のためなら、俺は外道にでもなる。

哀しく、それでいて熱い旋律。沢村がつま弾く音に、麗子が目を付けた。

2022年、雪と氷に閉ざされた北方領土の離島。

太平洋戦争。 寒村で起きた悲喜劇。

大神の天衣無縫な笑顔には、誰もがやられてしまう。スレてる俺でさえ例外じゃなかった―。

もう許していただきたいのです。負けを認め、教子が祈りを捧げた朧の息子・太郎。

スーパーカブを駆って日本一周をつづける、十九歳、浪人生のひと夏の物語。

俺は、住み込みの牛乳配達員として働きはじめた。「暴力太郎」と渾名される筋者と付き合うようになり、生活は次第に乱れてゆく。

五歳のころ、放浪癖のあった父親と同居することになり、程なく、花村少年の地獄の日々がはじまった。

白称モデルで、過食嘔吐を繰り返す宮島弥生は、カルチャーセンターの小説講座に通う作家志望の女性。

朝子は、活気あふれる19歳のロックシンガーだ。ライブで人気を集めるバンドを率いている。

北海道の奥深く潜伏していたヒカルと鉄男は、冬の到来を前に、南に向けて旅を再開する。

元ヤクザの木常は、神保町にある呑み屋のオヤジだ。ある日、現役の徳光からアタッシェ・ケースを預かる。

新宿で最も有名な探偵“眠り猫”。俺はその息子だ。

伊賀には表と裏がある。八劔なる裏伊賀の忍者たちは、血を掛け合わせて人材を生み出す謎の集団。

桜町は、いま渋谷・道玄坂でルシファーというバーをひらいている。

深夜2時、渋谷。少年院から出たばかりの貢は、北勢会のチンピラを蹴り上げていた。

私は喰い散らすだけの存在である。作法もなにもない―。

次郎、17歳。吉祥寺で週二回、ギターを習うだけが日課の毎日。

ヤク中で慢性自殺志願者のブンガクさん。浅草置屋の娘で、文学少女のくせに暴走族にも一目置かれているタカミ。

少年の名は峰岸情、十七歳。彼にとってトルエン、窃盗、暴行は日常茶飯事。

「孤独ってみじめだけど、孤独にならないと先に進まないこともある」と愛犬・ブビヲに呟きつつ、お好み焼きに淫し、資料に痺れ、刻むように書く毎日。

毎日毎日パンの耳を主食とし、たまの贅沢といえば“サトウ”のメンチカツ…。

青年よ、旅に出よ―。大学生の「僕」は、学園祭で講演に来た「花村」という作家にそそのかされて、北への独り旅に出かけた。

姉の下腹には盲腸の手術跡があって、砂をガラスで引っ掻いたようなケロイドが残っている。「注意したほうがいいわよ。

歴史。それは「姫」の思うがまま。

「バカ」海底に置き去りにした女に向かって、伊禮ジョーはひとこと呟いた。

新宿で最も有名な探偵“眠り猫”。俺はその息子だ。

「私は小説を書くようになって、昔からの友だちを失った」 花村万月初めてのエッセイ集。