私の庭 蝦夷地篇
- アイヌ (10)
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権介と茂吉の性格は対照的ですが 、権介はある種超越した性質を持つことから、ボクは茂吉側の視点に立ちました。 蝦夷でのサバイバルは想像の世界でしかありませんが、強烈な寒さとアイヌの知恵は、旅を知る花村萬月の経験が裏打ちされた描写だと感じました。 権介と茂吉は再会するのでしょうが、何処でどんな形で再会するのか続編が楽しみです。 | ||||
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07年刊行。それぞれ弁当箱サイズの単行本全三部から成る本シリーズは、数多ある氏の著作の中でも異色の歴史大河巨編。そしてこれがまた、凄まじく面白いのだ。 前作『浅草篇』で江戸を捨て蝦夷地へと向った権助と茂吉。幕末〜明治へという激動の時代にありながら、しかし本作ではそうした「公式」の時代変遷は主だったものとしては記されない。なぜならそのふたりの流浪人は、はからずも蝦夷地へ渡る足がかりであった漁村で凄絶な殺傷劇を展開し、逃げるように飛び乗った小舟で嵐に呑まれ半死で蝦夷へ辿り着き、着いたら着いたで厳しい蝦夷地の冬を乗り越えるための山篭りに突入するという、いわば「世間」とは隔絶されむしろ大地とダイレクトに交感するような場所に居たから。だから彼らが初めて目の当たりにし肌に触れた函館のまちは、単に「何か大きな戦があった後のきな臭い」昂揚の残滓として映るだけであり、維新だ攘夷だ大政奉還だといった政(まつりごと)とはある意味かけ離れている。 そして同時にこの徹底して地に足のついたというか、大地から発つ土の匂いを感じさせる生々しい描写が、本書を稀に見るリアルな時代小説たらしめているところがある。血の匂い臓物の匂い遊郭の白粉の匂い、雪の冷たさ土の温かさ広大な情景の峻厳さ。蝦夷地という「未開の」大地をこれほどまでリアルに描き出せる作家はそういないだろう。さらに本作はそのエンターテインメント性としても第1部を遥かに凌いでおり、先の蝦夷地渡りや山中での越冬の描写を皮切りに、蝦夷の山中で白狼とともに暮らしアイヌと交わっていく権助と、瓜実顔の鬱陶しい男だった茂吉が、蝦夷地をとりしきるヤクザの親分としてのし上がっていくその2人のサマが交互に活写され、昂ぶる興奮と息詰まるような濃密な空気が途絶えることがない。○○とは?なんて命題が声高に語られることはないのだが、語らずして明らかに滲み出る濃密な「生」のあらゆるものが濃縮されてもいる快作。めっちゃくちゃ面白い | ||||
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さて、萬月愛好読者として一言断りを入れて置きたい。私はこの蝦夷地編を前作の浅草編より前に読んでいる。道民として、そして浅草編より早く入手できた事から蝦夷地編から先に読んだ。只今浅草編を読んでいるが順序違いが却って権助の出自を推理でき楽しめているような気がする。 蝦夷地編では権助が津軽の茂吉と共に津軽海峡を小舟で渡り、維新直後の蝦夷地を生きる様子が書かれる。当然そこには蝦夷地ならではのアイヌとの絡みがあり、道民としてはまず読みたかったというのが本音だ。 最近の萬月氏の著作の傾向として、「たびを」にも通じるかと思うのだが登場人物のpersonaの非常に大きな変貌が目立つように思う。 この編では茂吉だ、津軽の社会底辺にいた茂吉は蝦夷地に渡り大きな変貌を遂げる。 この編では権助と茂吉の別離以来二人の独立した視点でstoryは進む。パラレルの変化に富み全く違う二人のstoryが進む。 この二人の行き着く処は何処にあるのか、邂逅はどういう形をとるのかこの編では明らかにされない。 北海道の歴史考証上においても内地の人には理解されずらい部分が詳細であり、道民として好感を持つ。萬月氏の著作においては本人の現地での実感、取材資料などが正確であり、少なくても北海道民の自分として北海道を題材にしている部分について非常にrealityを感じている。 この「大河小説」、萬月氏の初めてのcategory,基本的に現代をbaseにして展開させてきた萬月氏、更に幕末、維新の歴史factorを加え、第三部はどう結んでいくだろうか、、、 非常に楽しみである。 | ||||
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