枯草の根
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初版刊行(参考)
種別
長編
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評判
枯草の根の評価:
7.00/10点 レビュー 1件。 B ランク
枯草の根の総合評価:
7.80/10点 レビュー 15件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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元町駅東口を出て、南に道路を渡る。「かもめ荘」の設定場所「穴門筋」だ。途中の「元町北通」を少し右(西)に行くと、裏側が狭い路地となっている区画がある。かもめ荘が収まるにはやや小さいが、「穴門筋に近い路地」「あまり広くない道路に面している」というイメージに合うとすればこの辺りだろうか。すぐそばには、昭和27年創業の喫茶店「エビアン珈琲ショップ」や広東料理「別館牡丹園」などがある。穴門筋の東側も見るため、鯉川筋を横断し「三宮町3丁目」の路地をトアロードまで往復する。所要時間は往復7分程度。そちらは衣料品関係の店が多く、飲食店はほとんど無い所だった。
次に線路の北側へ行く。作中、徐銘義がトアロードで李社長と立ち話する中で、かもめ荘の場所を「その路地を入ったところ」と説明しているが、穴門筋の西側では離れすぎている気がする。それを考慮し、もう少しトアロード寄りで、かつ「近辺には飲食店が多い」というイメージの「かもめ荘」の設定場所として、「北長狭通3丁目の鯉川筋近く」を訪ねる。この辺りは1990年代後半から、ファッションや雑貨のセレクトショップ、カフェ等が増え「トアウエスト」と呼ばれるようになったが、昔は華僑の住居が多かった所であり、その関係から「順徳」や「青葉」「紅宝石」など古くからの中華料理店が多い所である。歩いてみると、飲食店全般の数は穴門筋ほど多くはないが、いくつか裏路地もあって、かもめ荘のようなアパートが、いかにもありそうな雰囲気であった。そこから東のトアロードへ出る。かもめ荘に対して「そこから遠くない」という朱漢生の「安記公司」はトアロードにある設定だが、かもめ荘から安記公司に象棋の場を移す陶展文と朱漢生が、一旦トアロードに出ているので、「トアロード沿い」あるいは「トアロード東側の路地」というイメージになる。下山手通から北長狭通、三宮町のどこになるだろうか?安記公司のすぐ近所には備前屋というやきとり屋があり、北長狭通2丁目にはやきとり屋がたくさんある…。
トアロードから南へ、大丸の東側の「明石町筋」を海岸通へ向かうと、風格のある近代建築が見えてくる。「商船三井ビルディング」である。7階建てだが、間近に見上げると6階建ての様に見える。これが「東南ビル」のモデルであると思う。作品が書かれた頃は築40年くらいで、古ビルのイメージだったろうが、現在では大正時代の名建築として海岸通の顔となっている。そこから前町通を東へ200mほど行くと、京町筋沿いに「神戸市立博物館」(旧東京銀行)があり、その左斜め向かいには「日本銀行神戸支店」(昭和36年7月落成)がある。作中では、どうやらこの辺りが生田警察署らしい。
京町筋を南へ歩き、海岸通で右に折れ、「メリケンパーク」へ向かう。波止場の先にある「神戸港震災メモリアルパーク」の中から、向かいの新港突堤や、旧居留地を眺める。ここが作中、陶展文が立つ波止場の先端辺りだろう。また、メリケンパークの入口近くにある、フィッシュダンスホール周辺の地面と、その先へ少し進んだ所には高低差があるが、その低い方が、当時の波止場の範囲を示しているのではないだろうか。当時の写真などによると、昭和30年代のメリケン波止場の西側は、無数の艀が繋留される艀溜り(はしけだまり)となっており、波止場にはバスやタクシーが乗り入れ、港めぐりの遊覧船はここから出ていたようだ。
[収録作品]「枯草の根」(昭和36年10月) 「王直の財宝」(昭和59年5月) 「くたびれた縄」(昭和37年6月) 「ひきずった縄」(昭和37年7月) 「縄の繃帯」(昭和37年8月)
[参考:本書収録以外の陶展文作品]長編「三色の家」「割れる」「虹の舞台」、短編「崩れた直線」「軌跡は消えず(神獣の爪)」