(短編集)

古惑仔(ちんぴら)



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初公開日(参考)2000年07月
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古惑仔 (角川文庫)

2009年07月25日 古惑仔 (角川文庫)

這い上がれ。足掻き続けろ。絶望の淵に溺れる前に--。 5年前、中国から同じ船でやってきた阿扁たち15人。だが、毎年仲間は減り続け、残るは9人……。歌舞伎町の暗黒の淵で藻掻く若者たちの苛烈な生きざまを描く傑作ノワール、全6編。(「BOOK」データベースより)




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古惑仔(ちんぴら)の総合評価:7.70/10点レビュー 10件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

日本人の甘さを思い知らされる

古惑仔と書いて“チンピラ”と読む。馳作品にはお馴染みの呼称。中国語での呼び方。
本書は表題作を含む短編集。

最初の「鼬」は中国から来た売春婦に惚れた男の話。彼女の元締めを殺し、彼女を解放して一緒に暮らそうと決意をするが…。
これはまさに日本人とは違う民族性を上手く使った作品。しかし結末の虚無感と云ったら。

続く表題作は日本のやくざの娘の香港観光案内を任されたチンピラの話。云われるままに毒づきながらも従う古惑仔、家健。
流れるままの観光案内のように物語は進んでいくが、一転意外な結末を迎える。これまた何とも云いようのない話だ。

「長い夜」は大久保でアジア系の友人たちとつるんでいる日本人女性の話。
今でこそ大久保界隈は韓流ファンの聖地となっているが、昔から彼の地は在留外国人のメッカだったらしい。
そんな場所で遊ぶ日本人女性涼子。彼女は心は許しても金銭は許さない関係を貫いていたが、明日をも知れない容態のミャンマー人女性のミーナのためになんとパスポートまで売り渡してしまう。

こういった短編集にはクリスマスにちなんだ作品がつきものだが、本書では「聖誕節的童話」がそれに当たる。
いやあ坂道を転がり落ちるが如くの転落人生。全てが悪い方向に働いていく。やはり密入国と云う不法行為から始まった者には幸せの道など残されていないと馳氏は断じるのか。
ちなみに題名は「クリスマス・ストーリー」と読む。何とも皮肉なタイトルである。

「笑窪」もまた皮肉な物語だ。
普通に働いていれば身持ちもしっかりした手に職持った料理人だが、酒癖の悪さとギャンブル好きの血が災いをもたらすという阿藤良は典型的な馳作品の転落人生キャラ。しかもメグと云うマレーシア女性に嵌ってしまうという「飲む、打つ、買う」の三拍子揃った転落人生劇場。

最後の「死神」はまさに馳作品に相応しい題名と内容だ。
運命論的な縛りに抗えずに導かれるまま破滅への道を進む。それは親の虐待に起因する業が多いのだが、本編の主人公阿扁は偶々街中で逢った密入国仲間がその直後に死ぬという偶然が続いたがためにそれを真に受けてしまった男だ。
カラオケでの福建省からの密入国者たちの仲間の壮行会の最中にモノローグとして挿入される死んでいった仲間たちのエピソードと主人公阿扁が堕ちていくまでの模様が語られる。またもや虚しい結末だ。


人生の敗残者たちの宴。
6編全てがアンハッピーエンドという馳氏らしい短編集。日常から非日常へ足を踏み出した人々の不穏な行く末、あるいは悲惨な末路を綴った物語集だ。

相変わらず容赦がない。
一編目の「鼬」の虚無感にため息をついたがその後の表題作の何とも悲惨な結末を筆頭に「聖誕節的童話」と「笑窪」の主人公らの転げるような転落人生模様はもう呆れるしかない。
さらに「長い夜」は親切が仇になってしまうという何ともいいようがない結末だ。ラストの「死神」も何かに引き寄せられるように死へ向かう連鎖に絡め取られていく男達の顛末だ。

各編に共通するのはアジア系民族が絡んでいること。そのほとんどが日本に不法滞在している者たちで、彼らのすさんだ生活と性格が短文を連発する文章ながらも詳らかに語られる。このテンポの良さでサクサクと読めるのにしっかりと彼らの堕ち様が腑に落ちるようになっているのは馳氏ならではの職人技だ。

しかし馳氏のメッセージは徹底している。6編全てに共通するのはあの有名な言葉だ。

「同情するなら金をくれ」

貧しいアジア諸国で生まれた人間は金はあるところから貰う、取るのが当たり前だ。同情や愛情などは何も生まれやしない。日々の生活が苦しいだけに楽して暮らしたいという願望が強すぎるのだ。

そんな人間の剥き出しの欲望を馳氏は徹底して訴える。愛などクソ食らえだ!と嘲笑うかの如く。

この救いのない人間たちの物語を読者はどんな気持ちで読むだろう。そして何故にこれほどまでに容赦なく主人公たちを貶めるのだろうか?
どうしようもない現実が存在すること、我々の住む世界の紙一重の所にはこんな無残な人生と世界が潜んでいること。それを馳氏は見せたいのか?

暗鬱になるだけの物語6編。ここにもあそこにも不幸な奴がいることを知らされる。
頑張っていれば、努力していればいつか報われる、などは脆くも崩れ去る物語群。ゆめゆめ爽快感など期待して読まないように。


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Tetchy
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No.9:
(4pt)

隔世の感はあるが

在留外国人らにスポットを当て、暗黒の世界を垣間見せる短編集。

出稼ぎ労働者が憧れているきらびやかな日本が描かれているが、隔世の感が否めない。とは言え、出口なしの窮乏に喘ぐ人々の日々は、息苦しさを覚えるほどに真に迫っている。

売春婦に入れ上げ元締めに牙を剥く男の顛末『鼬』、

香港で日本のヤクザの娘をアテンドする現地組織の男の悲劇『古惑仔』、

深刻な病気の不法滞在者を放っておけない日本人女性『長い夜』、

幸せを夢みて働く恋人たちが陥った苦悩の日々『聖誕節的童話』、

違法カジノに嵌められて転落していく日本人男性『笑窪』、

次々に仲間を失っていく不法滞在労働者の決断『死神』。

後半三作品が良い。

『聖誕節的童話』は、愛し合っていた二人が壊れていく軌跡に戦慄してしまう。ラストのトドメを刺されることになる。

『笑窪』の転落する様はありがちだが、酒とギャンブルに溺れていく様は鬼気迫るものがある。

『死神』会った友が偶然死を迎えることから「死神」と渾名をつけられてた男が主役。ラストにそれを払拭する行動に出るのだが、絶望感を強く印象付けられる。
古惑仔 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:古惑仔 (角川文庫)より
4043442084
No.8:
(4pt)

最初はクズ作の寄せ集めと思ったが

一気に読もうとすると、それぞれの小編ごとに馴染みにくいシナ名と人間関係を把握するのに手間取り(作者は少なからぬ配慮はしているだろうが)、その割には展開も結末も
  粗野な違法滞在シナ人群 → トラブル → 破滅
と定型していて徒労感しかないだろう
しかし寅さんやダーティーハリーのように定型を受け入れれば、それぞれの構成の違いや配色の違いを味わえる
私は再読のため本棚に残すことにした
古惑仔 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:古惑仔 (角川文庫)より
4043442084
No.7:
(2pt)

ほとんどの作品を読んだが、、、

小編はあまり楽しくない
古惑仔 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:古惑仔 (角川文庫)より
4043442084
No.6:
(5pt)

日本の裏側

だれもその存在を気にもしない
そのあり方さえ・・・
陽のあたらない者たちの陽のあたらない人生
古惑仔 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:古惑仔 (角川文庫)より
4043442084
No.5:
(2pt)

短編

中国語の名前は読みづらく大変だった。面白くない。作者の気が抜けているのが良く分かる一冊。
古惑仔 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:古惑仔 (角川文庫)より
4043442084



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