(短編集)

クラッシュ



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    初公開日(参考)2003年08月
    分類

    短編集

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    クラッシュ (徳間文庫)

    2007年02月01日 クラッシュ (徳間文庫)

    歌舞伎町。シャブの売人。カジノにはまった。借金の返済がせまっている。十七歳のユウ。金を持っていた。シャブ漬けにしてカモるはずが、やくざにあてがうことになった。疼く心。炸裂する暴力。鮮烈に描く破滅に向かう青春。馳星周の傑作短篇。(「BOOK」データベースより)




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    クラッシュの総合評価:6.33/10点レビュー 9件。Eランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (3pt)

    救いの無さもほどほどに

    馳星周氏が夜の仕事や裏社会で生活する人々を描いた短編集。

    まずは「ストリートギャル」は渋谷を闊歩する雑誌モデルの女性の日常を描いた1編。とはいえ書いていることは生々しく、自分たちに憧れて近づいてきた女子高生を乱交パーティに誘うえげつなさ。世の中舐めた女の話。

    「ギャングスター」は新宿に巣食う素人ギャングの1人が宿敵のギャング一味に見つかり、逃走中に中国人の店に匿われて…と云う話。これも言葉を解さず、ただ微笑むだけの中国人にミステリアスな印象を持たせながら訳の解らない終焉を迎える。

    「溝鼠」は700万の借金を抱えるヤクの売人が会社社長の娘を見つけ、金蔓にしようとする話。まさに社会の底辺でもがく男の物語。

    「スリップ」はキャバクラでバイトする女子大生がルームメイトの結婚をきっかけに次第にバランスを崩していくという話。
    キャバクラという女たちのドロドロとした競争社会の陰湿な世界が描かれ、そんな状況の中で特に売れてないキャバ嬢が私生活ではルームメイトにさえない恋人が出来たことで部屋を追い出されようとする。新しい生活を迎えるため、必死にバイトで金を稼いで引っ越そうとするが、キャバ嬢の陰湿ないじめに遭い、というもの。

    「ジャンク」はさらに救いがなく、15歳の少年がまみれた犯罪の日々。学校にも行かず、母親と二人で暮らし、父親は女の所へ入り浸って帰ってこない。そんな家庭で暮らす淳一は日々退屈を持て余し、仲間から麻薬を買って日中獲物を探してブラブラしている。その日見つけたカモは23歳のOL。ナイフで脅し付け、仲間の部屋に連れて行き、ヤク漬けにしてヤリまくる。

    とにかく情けない男の悪夢の一日を綴ったのが「土下座」。タイトルそのままのように山田和正なる低下層労働者を思わせる男が競馬で金をすり、逝く先々の行きつけの店で土下座を強いられる話。
    主人公の山田はどこにでもいる小汚いおっさんで、昔からの顔なじみはいながらも笑顔の陰で嫌われているような存在だ。そんな微妙なバランスで成り立っていた関係がふとしたきっかけで崩れる様子が描かれている。上手く行かないときは全く上手く行かないという日は誰しもあるが、馳氏はそんな厄日を考えうる最悪の事態まで持っていく。

    一瞬ウォーム・ストーリーかと思わせるのが「マギーズ・キッチン」だ。
    馳作品のどうしようもない荒廃感から一転して、売れないホストがマレーシア女性の経営する店に勤めることになり、そこでアジア人たちと交流の輪が広がる。そして男は次第にマレーシア女性に惹かれていく、という馳氏にしては珍しいハートウォームな話だと思わせておきながら、中国系マフィアの犯罪に巻き込まれ、付け狙われそうになるという展開はああ、やっぱりねといった印象。
    特に東南アジアの、金はあるところから取る、貰う、金持ちと結婚して幸せになるという金本位の価値観は現実味があって痛烈。愛よりも金なんだよなぁ、彼らは。そんな現実を知っている馳氏がロマンティックな国境を越えたシンデレラ・ラヴストーリーなんて書くはずないか。

    最後の表題作はジャニーズ顔のために幼い頃から女に体を求められながら早漏のため女からバカにされたことが心の傷として抱えている男の話。美しい顔に美しい指を持った圭介は指のテクニックで早漏の欠点をカバーし、ヒモ生活を送っているが車にのめり込むことで指をオイルで汚し、せっかくの金蔓を逃していくといった展開。
    馳作品特有の心に暴力的衝動を抱える主人公。但しジャニーズ顔と美しい指を持ったがために女に云い寄られ、女には不自由しないが早漏という欠点を持っているのが面白い。早漏をバカにされて暴力に走るというのが若さゆえだろうが、今までの馳作品の設定ではかなり浅く感じる。車にのめり込んで走り屋に興味を示し、女から遠ざかっていくなど全てにおいて青臭さが残る作品だ。


    各編どれも相変わらず救いがない。ほとんどの作品が物語をほっぽり出して唐突に終わる。歯切れの悪い読後感が残され、自分の中でどう収拾つけたらよいのか解らないと云ったところ。

    語られるのは渋谷のギャルの自己本位な生活、一昔前のチーマーを想起させる新宿に跋扈するギャングスターたちの抗争の一幕、ヤクの売人が家出少女を捕まえて借金返済の金蔓にしようと働かす悪知恵、分不相応のお水の世界に足を踏み入れたばかりに人間関係に疲弊する女子大生、家庭不和の環境に育ち、学校にも行かず麻薬と暴力、強姦に明け暮れるやさぐれた少年の日々、その日暮らしの日雇い労働者が陥った最悪の一日、売れないホストとマレーシア女性との交流、ジャニーズ顔と美しい指で女に貢がせながら金を車につぎ込む走り屋、と今まさにどこかに実在しているであろう人々の話だ。

    彼ら彼女らは家族を憎み社会のせいにして犯罪を愉しむ者、上辺だけの友達付合いに退屈を持て余している者、社会の底辺這いつくばって人を騙して金を巻き上げようとする者などおよそ向上心とは無縁の人間たちの日々と生活が如実に語られる。そこには物語が読者に抱かせてくれる幻想などは一切ない。

    そんな人々の話を馳氏は勢いと衝動に任せて筆を奔らせているように感じる。したがって物語の中には起承転結がないものがある。いやほとんどの作品が起承転結がないといってよかろう。本書に収められている物語は過去から未来まで続いていく彼らの生活のワンシーンを切り取って我々読者に見せているだけといった趣が感じられる。

    しかしこれほど読後感が悪い短編集も珍しい。この前に編まれた短編集『古惑仔』にも増して救いがない、いやむしろ物語の結末をつけること自体放棄した感が強まったように感じられる。

    前に述べたように起承転結がないだけに登場人物も読者も舞台のただなかにいきなり放り出されたような感覚に陥る。唐突に終わるだけに本当に何も残らない。

    これは果たして金出して読むだけの価値があるかはなはだ疑問を感じる。
    馳氏は自分の読みたい物語がないから自分で書くことにしたというのが作家になった動機だが、これらの作品群が本当に自分で読みたかった物語なのだろうか?こんな奴らがいるんだと酒飲みながら語るようなオチの無い話を文字に表した、そんな作品だと思わざるを得ない。

    これでは小説が売れなくなるわけだ。作家と出版社はもっと読者と云うお客のことを考えて書店に並べるべきだろう。
    あまりに乱暴すぎる不親切な短編集だと辛口を承知で苦言を呈しておこう。


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    No.8:
    (3pt)

    アンダーグラウンドな世界を白日のもとに晒す作品集

    どろっとした悪意に、時に不快感すら感じるノワールな作品集。アンダーグラウンドの世界を白日のもとに晒す著者らしい8作品が収録されている。

    少女や少年が主役の「ストリートギャル」(タイトルも!)、「ジャンク」といった受け入れ難い作品はあるものの、タイトル作は、成長物語として読ませてくれる。読後感は総じて悪いのだけど…。

    対立するチームから逃れた先は「ギャングスター」、売人が見つけたカモの少女「溝鼠」、キャバ嬢のバイトに明け暮れる女子大生「スリップ」、一文なしの中年の受難「土下座」、アブナイ会話を耳にしてしまった元ホスト「マザーズ・キッチン」など。

    美しいが故に女性を虜にするものの性的に問題を抱える青年の苦悩「クラッシュ」だけは、本作品集の中で微かな希望が見出せる。
    クラッシュAmazon書評・レビュー:クラッシュより
    4198617171
    No.7:
    (3pt)

    短編集

    落ちが特にない。出来はどれも同じぐらいで大差ない。面白くないとまではいわないが大したことない。
    クラッシュAmazon書評・レビュー:クラッシュより
    4198617171
    No.6:
    (3pt)

    アクがない。

    先に「鎮魂歌」を読んでしまったためか、詰まらなくは無いのですが、どれも物足りなさを感じます。

    強烈な「アク」が無いのではないかと思います。

    上手く表現できないのですが、しっくり来ません。

    他の作品を、もう少し読んでみようと思います。
    クラッシュAmazon書評・レビュー:クラッシュより
    4198617171
    No.5:
    (2pt)

    同工異曲

    作品の単体のレベルは高いと思うのですが、ある程度氏の作品を読んでいると、登場人物と舞台を変えると殆ど区別がつかないのです。
    デビュー作の[不夜城]が実は最高傑作だったのでは…。

    良い意味でワンパターンを成功させている西村氏、赤川氏といった作家は[アクのなさ]や[読後感の薄さ]といった[読み飽きない・安定した品質]をキープしてますが、氏の作品はその正反対の質を持ち、尚且つワンパターンという、ある意味飽きられやすい性質を持っている様に感じます。
    クラッシュAmazon書評・レビュー:クラッシュより
    4198617171
    No.4:
    (4pt)

    短編で冴えわたる毒気

    馳星周さんの短編集は、彼の特徴が短い文面によく現れている傑作が多い。確かに長編のようなストーリーでの面白さには欠けますが、明らかに彼の描く「人」は違う。それぞれが都会の闇の中、窮屈な現代からはみ出したアウトローたちを描く世界はダークそのもの。ほとんどの物語に救いは無く、淡々と描かれる現代物語にすこし陰鬱な気持ちにはなりますが、それも紛れも無い馳さんの小説の持つ魅力のひとつ。
     爽やかで感動したい人は本書をとってはいけません。これは都会の闇、現代の穴底を覗き見したい人達にお勧めの、危ない8つの「クラッシュ」壊れる物語です。
    クラッシュAmazon書評・レビュー:クラッシュより
    4198617171



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