善良な男



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    初公開日(参考)2008年06月
    分類

    長編小説

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    善良な男 (ハヤカワ文庫NV)

    2008年06月01日 善良な男 (ハヤカワ文庫NV)

    「ここに半分ある。残りは女がいなくなってからだ」なじみのバーで、レンガ職人のティムは見知らぬ男から奇妙な言葉とともに封筒を渡された。封筒には札束と、名前と住所を記した女性の写真が入っていた。ティムは人違いで殺人を依頼されたことに気づくが、男は去っていた。彼は標的の女性を探し出して警告するが、早くも二人に不気味な殺し屋の魔手が迫ってきた。強烈なサスペンスが貫く逃亡と追跡のサバイバル・ゲーム。(「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

    善良な男の総合評価:6.86/10点レビュー 7件。Bランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (8pt)

    いい男ぢゃないか!

    古くは『ストーカー』、『邪教集団トワイライトの襲撃』、『ウィスパーズ』、『ウォッチャーズ』、そして最近では『ハズバンド』、『チックタック』といった一連の逃亡物、クーンツ独特のノンストップアクションだ。
    そして上にも挙げたように、これらの作品においてクーンツは傑作が多く、逆に最近の同じ系譜の作品が最後に悪い意味で裏切られる傾向にあったのだが、本作でとうとうそれらの忸怩たる思いが一気に解消された。
    とにかく本作ではクーンツの悪い特徴である勿体ぶったところが全くなく、いきなり物語の核心から始まるところが非常によい。往年のノンストップアクションスリラーが帰ってきたかのように、物語はどんどん加速度をつけて進んでいく。

    主人公のティム・キャリアーは朝起きては仕事場でレンガ工として働き、仕事が終わると行きつけのバーで旧友と他愛もない会話を楽しみ、家に帰って寝ては、また翌日から仕事に向かうという単調で安定した生活を送る独身男性だ。
    最初は殺し屋と間違われたことで、それら安定した生活が終わりを告げる。赤の他人の命をそのまま殺し屋に委ねて、自らの安寧を固持してもよかったのだが、自らの心に問うてみるとやはりそれは出来なかった。そして彼には彼女を守る“力”があった。

    このティムの秘密は、物語の進行で折に触れ、小出しに触れられるが、最後の最後でようやく全貌が明らかになる。それは色々なアクション映画や同種の小説を読んできた者にしてみれば、特段意外な正体という物でもなく、十分予想が付く物だが、今回はそれで語られる周辺のエピソードが非常に心地よい。これについては後で話そう。

    翻って不幸にも標的となった女性リンダ・パケット。TVも持たず、キッチンと車庫の間の壁を取っ払い、台所に自身お気に入りの39年式のフォードを停めている作家だ。彼女はペンネームで何冊かの小説を上梓しているが、それはいずれも己の内なる憤怒をぶちまけた物である。何ゆえ彼女がそれほどまでに世間に対し、人間に対し怒りを持っているのか、それは後半で明らかになる。
    このリンダが幼い頃に味わった不幸、家族が経営している保育園が、モンスターペアレントの心無い悪評で、幼児虐待施設となり、両親ともども幼児嗜好の高い性的倒錯者だと周囲に刷り込まれ、実刑判決が下り、共に刑務所で服役中に死亡するという救いのない話は、『ドラゴン・ティアーズ』から続くクーンツの裏テーマ“狂気の90年代”に他ならない。

    そして彼らを執拗に追うクライト。クーンツ諸作に出てくる絶望的なまでに狂気を湛えた殺人鬼同様、彼もまた異常な価値観と自己陶酔の気を持った自信家であり、また狂気に満ち溢れた人物として描かれている。
    自らを世界の皇帝と称し、世界は全て自身の都合のいいように便宜を図り、失敗する事など微塵も信じない男。その精神の安定性は一種独特の狂気がなせる業なのだが、とにかく変わった人物だ。常にR・Kのイニシャルを持った偽名を使い、自分の家を持たず、他人の家を自分の家として留守の間に勝手にシャワーを使い、料理を食べ、ベッドで寝る、普通の神経では考えられない男だ。よくもまあ、クーンツはこんな特異な人物を次から次へと考え付くものである。

    物語の主題はこの2人と1人の逃亡・追跡にあるのだが、もう1つ“何故リンダは命を狙われるようになったのか?”という謎がある。昨今のクーンツ作品と本作が違うのはこれについてもきちんと答えを用意していることだ。しかもクライトとの決着がついた後に30ページ弱を費やしてこの辺について語り、更に決着までつけている。しかもそれが読書の余韻を静かに誘う。
    真相は陳腐といえば陳腐。
    こういう風に書いていくと、本作がなぜこれほどまでに私の中で評価が高いのかが一向に理解できないと思われるだろうが、この作品にはクーンツ一連の単なるジェットコースター型ノンストップアクション小説とは一線を画す味付けが最後に施されていたからだ。

    最近になって再び刊行が顕著になってきたクーンツ。
    とはいえ『ハズバンド』、『対決の刻』、『チックタック』と続いた一連の作品は消化不足感が拭えず、フラストレーションが溜るばかりだったが、ここに来てようやく快作が出た。傑作とまでは云わないまでも、クーンツ作品の中でも私の中では上位に入る作品となったことを付記しておこう。


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    No.6:
    (4pt)

    職人作家の手腕に唸るサスペンス

    間違って殺人を依頼された主人公が被害者になりそうな女性と会い・・・というお話。

    巻き込まれ型サスペンスですが、主人公が狙われる訳ではない所が本書の新味でしょうか。後はいつものクーンツ氏の作品の様に最後までノンストップで進む作品でした。

    クーンツ氏に関しては、誠実で人生の目的がはっきりしている方、理屈抜きで虚心坦懐で楽しめる職人作家、信仰心の強いカトリックの人、と様々な見識がありますが、個人的にはどんな作品でも暖かいヒューマニティを感じて好感を持てます。

    以前、最近でも健在で作品を発表しているそうなので、何れ日本で翻訳された物だけでも、全て読みたいと思います。

    職人作家の手腕が唸るサスペンス。機会があったら是非。
    善良な男 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:善良な男 (ハヤカワ文庫NV)より
    4150411751
    No.5:
    (2pt)

    既視感満載

    解説によると「チックタック」という作品に似ているらしいです。そちらは読んでいませんが、「夜の終わりに」というのにもそっくりです。目立つのを嫌うけれども戦闘スキルの高い男が魅力的な女とともに逃げたり反撃したりするというお話し。
     それ自体はこの作家に限らず繰り返されて利用されるプロットなので批判は出来ませんが、ありありのプロットであるほど、理由と決着には工夫を凝らしてほしいものです。
     敵の残虐行為に比例しないあっさり決着であったり、虎の威を借る狐型の落とし前の付け方であれば、500頁の前振りは長すぎでしょう。
     なぜクーンツを読まなくなったのかを思い出しました。好きな作家の劣化を見るのが辛いからでした。
    善良な男 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:善良な男 (ハヤカワ文庫NV)より
    4150411751
    No.4:
    (4pt)

    原書、そして訳がいいのだと思う。

    久々に和書の小説を読んだせいもありますが、比喩的な表現が多い原書を全般的に上手く訳して、その比喩的な文章で表される風景を想像し味わいながら読み進められました。主人公などの会話もアメリカンジョークと言えるのか分かりませんがウイットに富んでいて面白い。逆に言えば、これらのせいで少し展開が遅く脂っこさのようなものを感じてしまうかもしれません。

    本文抜粋

    「格子つきの細い窓が並ぶ、どっしりとしたレンガ作りの図書館は、要塞を思い起こさせる。まるで、将来を見渡せる司書が、野蛮人の群れに対抗して書物を死守すべき日が刻々と迫っていることを悟ったかのようだ。」

    物語は、石工にすぎないお人好しの主人公が、ひょんな事から謎のプロの殺し屋に見知らぬ女性が狙われている事を知ったために事件に巻き込まれ逃走劇が始まるというものです。
    善良な男 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:善良な男 (ハヤカワ文庫NV)より
    4150411751
    No.3:
    (2pt)

    面白くないわけではないが

    チックタックやハズバンドも読んだが、最近のクーンツの作品には雰囲気がないと思うのは私だけだろうか?中古で購入して読むくらいなら楽しめるのでは?というくらいのレベル。ウォッチャーズ、ストレンジャーズ、心の昏き川、ファントム、コールド・ファイア、ミッドナイトなど、数々のすばらしい作品に比べると、なんと味気ない作品なのか。
    善良な男 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:善良な男 (ハヤカワ文庫NV)より
    4150411751
    No.2:
    (4pt)

    ほんま善良です

    主人公のティムが全く面識のない女性を殺し屋の魔の手から助ける本当に善良な男です。
    冒頭からなぜリンダが狙われるのか気になってしまってハイペースで読んでしまいました。
    その理由とやらは、そんな無茶な理由でって突っ込みたくなりますよ。
    それとティム、はただのレンガ職人ではないと思ったけど・・・。
    追うものと追われるものの目線から物語が進行するので2つの線が交わっていく展開が面白かったです。
    今の時代、大勢の人の中に紛れ込んで逃げる事すら出来ないぐらいハイテクが進んでるのにはビックリした。
    ラストは良かった〜。
    善良な男 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:善良な男 (ハヤカワ文庫NV)より
    4150411751



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