フランケンシュタイン 支配



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初公開日(参考)2011年06月
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長編小説

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フランケンシュタイン支配 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-13)

2011年06月05日 フランケンシュタイン支配 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-13)

刑事のカースンとマイクルは、人造人間がニューオリンズの至る所に浸透していることに気づき、デュカリオンはヴィクターの研究所を突き止めようとしていた。一方ヴィクターは、新人種の殺し屋夫婦にカースンとマイクルの抹殺を命じた。そして人造人間の第一号であるデュカリオンが生き延びていて、自分を倒そうとしていることを知る。その頃、ヴィクターの支配下にある廃棄物処理場では異変が…激動のシリーズ第2弾。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

フランケンシュタイン 支配の総合評価:7.00/10点レビュー 5件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

引っ張るねぇ!

クーンツ版フランケン・シュタインシリーズ第2弾。実は最近のクーンツ作品ではとびきりに面白い作品だと感じ、新刊が出るのを愉しみにしていた。

物語は前作からの続き。時系列的にもハーカーの死の直後から始まる。つまり連続ドラマを見ているような構成になっている。

本書では前作のハーカーに当たるようなカースンとマイクルのコンビに敵として立ちはだかるキャラクターとしてはヴィクターが生み出したレプリカントの夫婦の殺し屋ベニーとシンディのラブウェル夫妻が登場する。この2人のキャラクターが出色の出来だ。
ハンサムな夫に美しい妻で常に太陽のような笑顔を浮かべている、所謂アメリカの良心とも云うべきような理想のカップルなのだが、その役割が示すように微笑を浮かべながら殺しを履行するのだ。さらにシンディは培養によって生み出された生物でありながら出産願望が常にある。よくもまあこんなキャラクターを次から次へとクーンツは思い浮かべるものだと感心する。

1話完結で紡がれたオッド・トーマスシリーズと明らかに創作作法が違うが、逆に私はこのシリーズの手法の方が先が読めない展開だけに面白く感じた。

またところどころに挿入される小ネタも面白く、その中の1つに登場人物の口から古今東西の小説の名前が出てくる点が非常に楽しく感じた。

例えば前作で読書好きのヴィクターの妻エリカ4に後妻として登場するエリカ5が秘密の培養室に潜り込むときには少女探偵ナンシー・ドルーのように云いながら、いやノラのように勇ましいと訂正する。
前者は恐らく日本の読者でも知っているだろうが、後者は「?」が点灯することだろう。実は私もピンと来なかった。なんとノラとはハメットの『影なき男』に登場する私立探偵ニック・チャールズの妻なのだ。なんともマニアックな選択だ。既読の私でさえ思い出せなかった。

他にもデュカリオンの相棒である映画館オーナーのジェリー・ビッグズがミステリ好きであり、自身の好みを開陳する。曰く
「刑事が先住民だったり半身不随だったり、強迫神経症だったりする話は好きじゃないんだ。それに探偵が料理上手なのも」
それぞれ該当するシリーズが思いつくのではないだろうか。思わずニヤリとしてしまうシーンだ。

また古典『フランケン・シュタイン』の時代から生きてきたヴィクター。彼が今まで生きてきたことで歴史の裏側で時の権力者に関ってきたことがエピソードとして語られる。

スターリンもその中の1人で、彼が行った大量虐殺はヴィクターが自分の意のままに操れる新人類を生み出すことを見越しての行為だったと記される。こういったアクセントは小説好きの興趣をそそる。

そしてやはりキャラクターの妙味を忘れてはならない。
正直に云って主人公のカースン、マイクルのコンビは存在よりもヴィクターと彼が創造したレプリカントや新人種のキャラが立ちまくっている。彼らはヴィクターにあらかじめ人間を殺してはいけない、命令に背いてはいけないというプログラムが施されており、しかも本書では担わされる役割でアルファ、ベータ、ガンマ、エプシロンといった階級分けがされていることが判明する。彼らが旧人種と呼ぶ人間に成り替わって社会生活を営む者からヴィクターの身の回りの世話や研究所の掃除をするだけの役割の者でダウンロードされる情報量が違うという設定だ。
しかし何といってもヴィクターのプログラムゆえに発生するその特異な思考や性癖が彼らのキャラを際立たせているといっていい。前述した夫婦の殺し屋ラブウェル夫妻はもとより、人間の死体を処理する廃棄処理場長、警備主任など、クーンツの奇想のオンパレードだ。
元々クーンツには物語ごとに狂人やフリークを生み出しては読者をハラハラさせていたが、ここに至ってさらにその枠を大きく振り払って、嬉々として健筆を揮っているかのようだ。

しかしその中のキャラクターでも物語を鍵を握ると思われたヴィクターの実験場ハンズ・オブ・マーシーを抜け出した新人種ランドル6が早くも退場するとは思わなかった。しかも主役のカースンの弟に会いに行くという役割的には重要だっただけに、あっさり殺されたのはなんとも呆気ない。
本書を読むとやはりクーンツは三部部作構想だったようで、ヴィクターとデュカリオンの対決を早々に着けようとしているようなせっかちさを感じた。

本書ではレプリカント、新人種の生みの親ヴィクターの制御が徐々に崩壊し、カタストロフィへ向けて様々な事象が描かれる。
細胞分裂を起こし、異形の存在へ変身する者。
抑えていた旧人種すなわち人間への嫌悪感への箍がはずれ、殺人衝動のままに殺戮を起こそうとする者。
レプリカントである自分の存在に絶望し、死を乞う者。
そして前作ハーカーから分離した存在は創造主ヴィクターへの反逆を促し、殺すよう促す。研究所を制御していたコンピュータはバグを起こし、怪物を世に解き放とうとする。
そしてとうとうヴィクターと対面したデュカリオンはどう彼に対抗するのか。色んな謎や不吉な予感を孕みつつ物語は閉じられた。
一刻も早い次巻の刊行を望む。枯れてもクーンツと思わせる次が気になる作品だ。


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No.4:
(5pt)

わくわく!

とても面白かった。
続きが出るといいな。
フランケンシュタイン支配 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-13)Amazon書評・レビュー:フランケンシュタイン支配 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-13)より
4150412413
No.3:
(2pt)

がっかり

「野望」がかなり面白かったので、
(ここのレビューの評価がイマイチなのは気になったものの)ワクワクしながら続編を読み始めたのですが・・・。
結論。もうガッカリでした!
私が面白くないと感じた理由は以下の3つ。

1、異常をきたした新人種たちのエピソードが、これでもかというくらい続くのだが、どれも薄っぺらな内容で、正直飽きる。
異常のきたし方も、あまりにアホくさくてウンザリ。
残酷なシーンも「はあ、またですか」的な感覚におちいる。

2、刑事2人を筆頭に、登場人物たちの会話がくどい。
作者の「気が利いたセリフだろ?ここ笑うところだぜ。面白いだろ?」という気持ちが伝わってくるようで萎える。
まあアメリカ的といえばアメリカ的なのかな。

3、カーソン、マイクル、デュカリオンの影が薄い。
特に刑事2人は、打倒ヘリオスというミッションに関して、武装した以外は何するわけでもなく車でウロウロ。常に受け身の態勢。

「対決」も読んだのですが、本当に肩透かしをくらったようなラストでした。
ただまあ、小人のジョッコとエリカ5のエピソードは面白かったので☆2。
フランケンシュタイン支配 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-13)Amazon書評・レビュー:フランケンシュタイン支配 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-13)より
4150412413
No.2:
(4pt)

後書き曰く、「モロー博士の島」的展開---同感

前作「野望」がクールでスマートに変貌した新人類第一号デュカリオンを全面的にフューチャーしたマーベル・コミック的なテンポの良いSF色の強い作品
で、三部作の最高の導入となり、本作ではいよいよヘリオス率いる新人類 VS デュカリオン・チームの戦いが激化、と思いきや
話が「モロー博士の島」的方向にひたすら突き進んでゆくのには、ちょっと驚いた。それも新人類たちの自我の崩壊が
ことさらデフォルメされており、廃棄物センターでの下層階級新人類のハチャメチャな廃棄セレモニー、足が4本生えて来てゴキブリ化
しつつある男、殺しの衝動が抑えられない上級新人類検事夫婦、自分の指を食らう執事、突然現れた死体を奪うクモの様な生物、
踊る小人、いやはやエンタメと言うにはあまりに地獄絵図の如き描写が延々と続きます。
三部作の真ん中ということで、中継ぎ的役割だとは思いますが、これらの”地獄”がどこに着地して行くのか、第三部を
読まずには「支配」の評価は難しいと思う。私は戸惑いながらも、刑事たちの軽口の応酬とかも結構楽しめたのだが、
上記の如き描写は好き嫌いが大きく分かれる所故、嫌悪感が先立つと、評価は低くなるのでは...。
それと、前作で期待させた超能力系新人類が全く無視されていたり、結構その行動にページを割いて”謎”をかき立てたNo.6
が、アッサリとした(と言うか、スカな)決着の付け方だったりと、確かに”粗さ”を感じることは間違いない所。
まあっ、最終章を読んでからですか....全体的評価は...
フランケンシュタイン支配 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-13)Amazon書評・レビュー:フランケンシュタイン支配 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-13)より
4150412413
No.1:
(3pt)

若干失速?

ほぼ完全無比に思われた前巻「フランケンシュタイン 野望」に比べると荒さが目立つ感があります。

日常の中に密かに潜行していくヴィクター・ヘリオスの野望と、たった2人+1人でそれに立ち向かう主人公たちの立ち位置が紹介されるまでが前巻。
すなわち、まだ状況設定が済んだばかりであったにも関わらず、本巻では一気にヴィクター・ヘリオスの計画が暴走し、主人公たちもまた、あっさりと非日常へと一線を越えてしまいます。

起承転結の承を飛ばしていきなり転に移行したようで、読者置き去りの印象は否めません。

蟻の穴から堤が崩れるように綻びていくかと思われたヘリオスの計画は、突然、あちらでもこちらでもいきなり破綻しまくります。
前巻ではごく一部の新人種に異変が生じ、ヘリオスの統制が及ばなくなる、といった進行だったように思いますが、本巻では出てくる新人種全員がヘリオスも対処できないような変異を起こしたり、タブーを破ったりとやりたい放題。
ヘリオスの新妻、エリカ5(ヘリオス作の新人種)も、ヘリオスはなぜ過去の失敗を省みることなく似たようなミスを繰り返してこのタイプの新人種を造ってしまうのだろうと思わせる、先代に輪をかけたパープー娘。
ついでに、3D電子秘書、アナンシエータまでが暴走し、ヘリオスの野望の基盤を揺るがします。
これだけアクシデントが続くと、これまでヘリオスが200年間うまくやってこられたことの方が不思議に思えてしまいます。

主人公サイドも主人公サイドで、ニューオリンズ市警の刑事たるカースンとマイクルが、他の誰も信用できないと、闇ルートでショットガンと大口径の拳銃を入手し、市街地で新人種たちとガンファイト。
足手まといになりそうなカースンの弟・アーニーはデュカリオンがチベットの僧院に送り届けるという方法で安全確保。
雷の力で時空を超越する力を得たデュカリオンは、カースンとマイクルがピンチに陥ると抜群のタイミングで現れて新人種と肉弾戦。旧タイプであるにも関わらず敵を圧倒。

ストーリーに合わせてキャラクターを動かしているというか何というか、はっきり言ってしまえば御都合主義が目立ちます。

唯一迫力があったのは、ヴィクター・ヘリオス=フランケンシュタインと、デュカリオン=フランケンシュタインの怪物の再会のシーンくらいでしょうか。

次巻に期待……といきたいところですが、次巻を定価で買うのも躊躇するかもしれない残念な出来の「フランケンシュタイン 支配」でありました。


「Homo Legens(読書人)の書評ブログ」より
フランケンシュタイン支配 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-13)Amazon書評・レビュー:フランケンシュタイン支配 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-13)より
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