サイレント・アイズ



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    初公開日(参考)2005年06月
    分類

    長編小説

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    サイレント・アイズ〈下〉 (講談社文庫)

    2005年06月30日 サイレント・アイズ〈下〉 (講談社文庫)

    耳について離れない名前「バーソロミュー」とは、犯した女が産んだわが子のことか?モラルなき怪物・ジュニアの激烈な思い込みは、息子への殺意に彼を駆り立てる。一方、その子・愛称バーティは、3歳で腫瘍により視力を失うが、常人を超えた力を備えていた。曲者ぞろい、1ページ先は予測不能の傑作。 (「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

    サイレント・アイズの総合評価:7.83/10点レビュー 6件。Cランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (7pt)

    色々盛り込み過ぎて半ば迷走気味

    本作品ほど、クーンツは傑作を物するのに仕損じたと大いに感じたことはない。

    物語の構造は単純だ。幼き頃に虐待を受けたアグネスが授かった子供バーソロミュー。彼は量子力学を理解し、体現する神童であり、奇跡の理を知っていた。10代にしてレイプされたセラフィムはその子供エンジェルを産む。この子もまたバーソロミュー同様、奇跡の理を知る子供であった。
    一方彼らが産まれた同じ頃、自分をこよなく愛する妻を衝動的に崖から突き落とし、事故に偽装して死なせた男ジュニア。彼はこの後、狂気の論理で殺人を重ねて行く。
    そしてその彼を殺人鬼とみなし、付き纏う刑事ヴァナディアム。ジュニアは自分を潜在的に脅かすバーソロミューを探し、また死してなお、脅かすヴァナディアムから逃れながら殺戮の旅を続ける。そしてこの4者が数奇な運命を重ね、ブライトビーチで邂逅するとき、ある奇跡が起きる。

    クーンツの長所として

    ①ページを繰る手を休ませない物語の展開の早さ
    ②読者を退屈させない斬新なアイデアの数々
    ③どんなに窮地に陥ってもハッピーエンドに終わる

    という3点が挙げられるが、今回はこのうち③を特化して物語を閉じればかなりの傑作になったのではないだろうか?なぜテーマを1本に絞れなかったのか?

    物語の終盤で形成されるアグネス・ランピオンを中心にしたファミリーの歴々のそれぞれが重ねた人生の悲哀、喜びなどを描くことに専念した方が、ミステリ性・エンタテインメント性は落ちるものの物語の深みはかなり上がっただろう。
    今回最も印象に残ったのはアグネスの再婚相手となるポール・ダマスカスのエピソードで、ポリオで全身麻痺に侵された妻との死別するシーンはかなり胸を打った。またジュニアがいなくなってから語られるアグネス・ファミリーのその後がこの小説で一番醍醐味を感じた。最後の最後で数々の奇跡がバーソロミューに対し、実を結ぶ巧さもクーンツならではだと思う。だからこそジュニア・パートが宙に浮くような印象を強く受けるのだ。

    余談だが物語中でジュニアの独白で語られるアクション映画・小説の鉄則が面白かった。暴走列車が尼僧を乗せたバスと激突したときにカメラないしペンが追うのは尼僧の生死ではなく、あくまでも暴走する列車の行方であるということ。これがエンタテインメントの鉄則であり、小説作法なのだと改めて認識した次第。
    やはり西洋人の作家だなあと感じたのはジュニアが寝言で知りもしないバーソロミューの名を連呼することに対する答えを論理的に用意していたというところ。恐らく日本のホラー作家ならば説明のつかない超常現象めいたことを種にするだろうが、クーンツはしっかりとその理由についても論理的に用意していたのが興味深かった。

    正直な話、今回は物語がどのような展開を見せるのかが全然検討がつかなく、これがページを繰る手を止まらせないといったようないい方向に向かえば文句なしなのだが、迷走する様を見せつけられているようにしか受け取れなく、何度も本を置こうと思った。1965年から2000年にかけてのバーソロミューの半生を描くサーガという趣向なのは解るけれども1,200ページ以上をかけて語るべき話でもなかったというのは確か。最後の最後でじわっとさせられるものがあったけれども終わりよければ全て良しとはいかず、やはりそれまでが非常にまどろこしかった。クーンツ特有の勿体振った小説作法がマイナスに出てしまった。

    最後に重箱の隅を1つ。ジュニアが看護される看護婦相手に連想を起こす映画『ナイン・ハーフ』は1986年の作品であり、連想をする1965年には上映もされていない。実はこの矛盾のために今回は結構白けてしまった。


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    No.5:
    (5pt)

    職人作家の手練れの技巧が光るサスペンス大作

    ある男が妻を殺し、自分の息子かもしれない少年を探して殺そうとするが・・・というお話。
    登場人物、プロット、ストーリー、全てが尋常ではない特異なサスペンス。特に最初の方ではある古典的なミステリのトリックが二つ使われていて、今じゃなくて若い頃読んだら興奮したかもしれないと思いました、この最初の方だけある古典的名作ミステリを彷彿とさせられて、それを読者に判らないように使っている所にさすが、職人作家だなと思いました。
    作中の登場人物も巧みで、特に犯人役の人格が普通の人と全然違う人格異常のような所があって薄気味悪く、この辺もやはり著者クーンツの筆力を感じさせて読ませます。勿論、その他の登場人物も端役であっても手を抜かない卓越した筆力に感心しました。
    若干、ご都合主義っぽい、詰めの甘い部分もありますが、リーダビリティが凄いのであまり気にならないし、ここまで読ませたら大したものだと思いました。
    点数は甘いけれど、読めば面白いこと確実。1200ページ一気読みの傑作。是非ご一読を。
    サイレント・アイズ〈上〉 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:サイレント・アイズ〈上〉 (講談社文庫)より
    4062751437
    No.4:
    (4pt)

    量子力学を「感じる」人々を取り巻く物語

    クーンツの作品は本書が初めてなので、作品群の中でどんな位置を占めるのかはわからないが、とても面白く読んだ。 キーワードとなる「バーソロミュー」という言葉をめぐって、一見関係がありそうでなさそうな、さまざまな家族模様が交互に描かれ、それがどうつながっていくのか、読者に息もつかせない。登場人物も皆、個性的かつ魅力的だし、舞台となるオレゴンや(行ったことはないけど)サンフランシスコの情景描写も巧みだ。最後の詰めがちょっとあっさりし過ぎかなーとは思ったが、読後感は悪くない。 最近、あまり「ネタばれ」されると迷惑だという書き込みを見つけたので、これぐらいにしておくのがいいのかな。もう少し中身を知ってから読みたいという方は、上巻のレビューに詳しくあるので、そちらをどうぞ。 最後に一つ、「ニワトリが先か卵が先か」の回答の一例が示されているのが、ちょっと笑えた。
    サイレント・アイズ〈下〉 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:サイレント・アイズ〈下〉 (講談社文庫)より
    4062751445
    No.3:
    (4pt)

    SFとして昇華して欲しかった

    本書のベストセリフ「ジュニアが見つけたもっとも恥ずかしいものといえば、壁にかかっている芸術作品だ。悪趣味でセンチメンタルなリアリズム絵画。色鮮やかな風景画。果物や花などの静物画。プロッサーと亡き妻とゼルダを美化して描いた家族の肖像画まである。どれひとつとっても、わびしさや恐怖といった人間の状況に訴えかけてはこない。これは単なる飾りで、芸術ではなかった」上下巻合わせて1200Pの大作だが、12Pの短編読むような労力でサクサクと読めます。ホラーかスリラーか単なるサスペンスか明確にされないまま、途中で実はSFと思わせて、やっぱホラーで終わった。SFとしても斬新なアイデアが出てくるのに惜しい。平行世界もの、超能力者ものの大傑作になり得た惜しい作品。最強の超能力、平行世界を操る能力者が出て来ます。能力者は、雨が降っても濡れない。 雨が降ってない平行世界の空間と入れ替えてしまうから!もっとも都合の良い世界を引っ張ってこれる無敵の能力。敵も能力者かと思われたが、普通のサイコパスなので、呆気なく平行世界に吹き飛ばされて、主人公の世界はハッピーエンドw主人公の一族に平行世界を旅出来る能力者が生まれて終わり。壮大なプロローグを読んだような感じ。天国も平行世界のひとつではないかという解釈がホラーとしても斬新か?平行世界から敵が大量に侵略してくる続編読みたいです。
    サイレント・アイズ〈上〉 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:サイレント・アイズ〈上〉 (講談社文庫)より
    4062751437
    No.2:
    (4pt)

    マジックではなく並行宇宙の話?

    Dean Koontz の本を読むと、恐怖の質、設定と展開の特異性により、通常の本では得られない異質の読後感が得られます。この本の特異性として、第1章の最初の所に、Barty が3歳で視力を失い、13歳の時に視力を取り戻すとあります。しかし、両目を摘出した Barty がどのようにして視力を取り戻すのかが不思議でたまらず、最後まで読み続ける事になります。この話も、警官の Vanadium がコインを空中で消してしまうマジックが披露された段階では、何も疑問を感じていませんでしたが、Barty が雨の中を濡れずに走り回れる事を母親に示してから、何か変わった展開になっていくのだと分かったのです。Vanadium はコインを4次元空間に吹き飛ばしていました。Barty は人間の目ではとらえられないスピードで並行宇宙を巧みにウォークスルーする能力を持っているのです。こんな荒唐無稽な話と異常な殺人鬼の話がからんで、この異様な Koontz ワールドが展開していくのです。しかし、この味付けこそが Koontz の真骨頂であり、多作作家としての地位を確立しているのだと思います。次はどんな話が待ちかまえているのだろうという期待感で本に手が出ていきます。
    サイレント・アイズ〈上〉 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:サイレント・アイズ〈上〉 (講談社文庫)より
    4062751437
    No.1:
    (3pt)

    愛とは、女装したアンソニー・パーキンスのように、突然表れる。

    ハンサムで自意識過剰、電波系?の殺人鬼に狙われる二組の母子のサスペンスドラマというよりは、普通の人が見えない世界を見ることが出来る天才児たちの成長と、母親たちの葛藤と母性愛を描いており、どちらかというとファンタジー性の強い作品の印象を受けました。上巻に比べ、各章のページの長さが増えた分、キャラクターの心理面を深く掘り下げており、特に失明する息子を思いやる母親の心の揺れは、読んでいて心打たれるものがあります。殺人鬼との対決のオチが、あっさりしすぎているようで、少し不満に思いましたが、過去の大災害や歴史的な事件に詳しい兄弟や、一見マジックと思えるコイン移動が得意な刑事など、母子を支えるキャラクターたちの設定も良く、エピローグの静かな感動につながる作者の手腕はさすがというべきでしょうか。また、60年代末の世界情勢や風俗が、物語の背景になっているのも面白く読めました。
    サイレント・アイズ〈下〉 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:サイレント・アイズ〈下〉 (講談社文庫)より
    4062751445



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