ウィッチフォード連続殺人
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先日、大昔に読んだ在庫ミステリのなかから探し出して読んだポーラ・ゴズリング著『赤の女』が結構面白かったので、その時一緒に積んであった『ウィッチフオード連続殺人』を読むことにした。 本書を読み始めてあるページを読んでいたら、もう何十年も昔のことであるが、風邪を引いたときなどに診てもらうため通っていた医院の待合室に懸けてあった額を思い出してしまったのです。 その額には、「鬼手仏心」と達筆で揮毫されていたのです。 多分名のある書家のものであろうと思いましたが、今では名前までは記憶にありません。 評者は、その医院へ行くと「鬼手仏心」と揮毫されたこの額を見るたびにその意味することに感銘を受けていました。 ロンドンからおおよそ100kmほど北西へ向かうと田園地帯にウィッチフォードという小さな町がある。 平穏なその町で連続殺人事件が起きたのは異例なことであった。 一人目の被害者が発見された同じ川沿いの惹き船道で発見された二人目の被害者は、一人目の被害者と同じように喉を深く切り裂かれた状態で見つかった。 捜査にあたったのは、このウィッチフォード出身のリューク・アボット主任警部と部下のパディ・スミス部長刑事である。 この現場で警察医のシリルとリュークのやりとりを、下の・・・内に引用したい。 ・・・「できればやっていただいきたいことが一つあるんですがね」彼はシリルにしてもらいたいことを告げた。「いや、恐れ入った冷血漢だな、あんたは」シリルはいった。それから、にゃっとした。「ま、むろん、わたし自身が思いつくべきだったが」「あのね、調べられるかぎりのことを調べてほしいんですよ」とリュークはいった。「そちらで何かわかれば、どんなことであれ参考になるかもしれない」「先生も冷血漢みたいだな、違いますか?」リュークがいった。「手はつめたく、心はあたたかく、さ」・・・(P98) えっ、こんな諺がイギリスにもあるのかと思い、つい調べてみてしまったのです。. イギリス諺集で「Cold hands, warm heart.」という諺がイギリスにもあったことを知ったのです。 英語を直訳すると警察医シリルがいったことそのままの意味になり、鬼手仏心とはニュアンスがかなり異なるようです。 が、この場合死者にたいして医師といえども敬する心を失わないと、シリルがリュークへ伝えたかったんだろうと評者は読んでしまったのです。 評者が先に書いた「鬼手仏心」という揮毫を思い出してしまったのは、警察医とリュークのこの場面での会話からなのです。 鬼手仏心という言葉は、仏教語からの造語で鬼手菩薩心からの由来なのですが、よく外科医の心得として使われてきた言葉のようです。 「閑話休題」 さて、さて、このミステリの感想を書かなければなりませんが、先に読んだ『赤の女』でもロマンスを、ほどよく挿入して描かれていましたが、これは著者ポーラ・ゴズリングの定番のようです。 本書を警察ものフーダニット・ミステリとしてだけで評価したならば、まぁ、傑作には程遠くクリスティのような古さを感じさせるような作品です。(ネタバレになってしまいますが、アリバイが強固な関係者が犯人というのは常套的すぎでしょう) ただ、登場人物たちの会話などに興味を惹かれることもあり退屈するほどではないのですが、本書ではロマンス過剰な作品なので評者の好みではないようです。(訳者あとがきで愛を描く繊細さがゴズリングの才能だと高く評価していましたが・・・) 評者は先に読んだ『赤の女』のほうが作品として出来が良かったと思いながら本書を読み終えました。 | ||||
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骨太な冒険小説で知られる作者が珍しくも英国風ミステリに挑戦した作品。女性らしさが出た作品とも言える。 話の骨格はロンドンの近郊の村ウィッチフォードで起こる猟奇的女性連続殺人事件である。ここでロンドンから警部が派遣される。ここまでは常道である。通常のサイコ・キラーものかと思う。しかし、その警部アボットがその村出身というのが作者の工夫である。少年時代の彼を知る村人の中での捜査はやりずらい。また、旧知の女性とのロマンスが間に入ったりして、これが読者の眼を眩ます。この辺の語りに女性らしさが出ている。こうしたストーリー展開に合わせて意外な犯人を用意している点も巧み。 実力派作家が多彩な作品を書ける事を改めて実証した、英国風ミステリの秀作。 | ||||
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