彼女が家に帰るまで
- 失踪 (242)
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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昔のアメリカって、こんな感じだったのでしょうか。 | ||||
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【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[?] ネタバレを表示する
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デビュー作でエドガー賞処女長編賞を受賞し、2作目の本書が2014年度エドガー賞長編賞にノミネートされたという、新進作家の注目作。坦々とした展開の中、じわじわと不安感が積み重なってゆく静かなサスペンス作品である。 | ||||
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50年代のアメリカで女性が失踪し・・・というお話。 前作でも田舎を舞台に静謐なサスペンスを紡いでらっしゃいましたが、本作も前作の流れによる、失踪事件がもたらす共同体の波紋を描いた静かなサスペンスだと思いました。特にトリッキーな仕掛けはないし、意外な結末もないし、どちらかと言えば文芸小説に分類される様な作品だと感じました。いい小説を読んだカタルシスはありますが。 最近の欧米のミステリの傾向ではトリッキーな仕掛けよりも本書の様な成熟した文芸小説風のサスペンス、ミステリが流行っている様で、他にもトム・フランクリン氏の著作などもそういう分類の作品だったと記憶しますが、英語圏のミステリ作家の多くはミステリで使われるトリックがもう出尽くして、小説としての完成度を目指す方向に向かっているのでしょうか。日本のミステリも英語に翻訳されて評価は高いけれども名のある賞はなかなか取れないのはこの辺に理由があるのでしょうかね。ミステリのフロンティアはもう消滅したという認識かも。 最近の欧米のミステリの傾向が判る佳作。機会があったらどうぞ。 | ||||
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1950年代後半のデトロイトにすむ主婦たちの生活、近隣関係、愛憎の描写、雰囲気は面白い。だが、意味ありげに提出された 謎や手がかり が、実は大したことではなかったという方向の結末になっていくのには、ちょっと脱力してしまった。 | ||||
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1950年代末、デトロイト。工場に隣接する路地で女性の死体が発見される。被害者は黒人で頭を殴打されていた。しかし大きく報道されることはなかった。 工場労働者が多く住むこの小さな地域にも、景気後退の波が押し寄せてきていた。 工場は次々に閉鎖され、街のネオンサインも消え商店街も朽ちかけ始めている。 そしてこの地域にも黒人たちが移住しはじめていた。街が不穏な空気に覆われ始めている。 白人住民たちは皆この町から出ることを考えている。 しかし障害のある白人少女が突然行方不明になり、白人の男たちは総出で捜索を始める。 本書は「ベント・ロード」(集英社文庫)でエドガー賞処女長編賞を受賞したローリー・ロイの第二作目である。 前作は1965年のアメリカが舞台で、やはり治安の悪化したデトロイトから故郷カンザスへ帰る一家を待ち受ける悪夢の物語であり、背景にはベトナム戦争、反戦、反政府運動で疲弊するアメリカの姿があった。 本書の舞台はやはりデトロイトで時代背景は1950年代後半に遡る。この時代のアメリカは米ソ冷戦のただなかにあり、国内では公民権運動の高まりと黒人の農村から都市部への移動、白人の郊外への移住がおきていた。 さらに50年代は「家庭の主婦」が女性の理想とされ、戦後の安定と豊かさを享受していた。しかし次第に景気後退の波が押し寄せ、より環境の良い地域への移動しようとする人々も多かった。 本書も「家庭の主婦」たちの物語である。 「マリーナ・ハーツ」は夫ウオーレンの浮気を疑っている。が嘘もついている。 「ジュリア・ワグナー」は自分の子供を亡くしており、心に傷を負っている。 「グレース・リチャードソン」は妊娠中だが人には言えない秘密を持つ。 主婦たちは皆何か重いものを背負いながら夫と向き合い生きている。 その中で独身だが障害を持つエリザベス・シマンスキが失踪する。母は亡くなっており、体調のすぐれない父チャールズ・シマンスキと地域の主婦たちが、彼女の面倒を見ていたのだ。 全編、現在形で語られる物語は、日々増していく不穏な空気で読者を包み込む。 そして告白される辛い結末。 50年代、狭いコミュニティ、教会の中での夫人会、人々の心の中にある「他人指向」の生き方。戦後の安定と豊かさの陰にある意外な息苦しさ。 「群衆の中の孤独」から脱するには社会の大勢に順応せざるを得ないという「孤独な群衆」(デイヴィッド・リースマン)たちの物語である。 本書ではエドガー賞を逸したが第三作目(未訳)で2016年の同賞を受賞した。 訳出を待望する。 | ||||
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