彼女が家に帰るまで



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初公開日(参考)2016年04月
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長編小説

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彼女が家に帰るまで (集英社文庫)

2016年04月20日 彼女が家に帰るまで (集英社文庫)

1958年アメリカ。不況がちらつくデトロイトの小さなコミュニティで、若い白人女性が失踪した。町をあげて捜索するも、行方は不明。一方、時同じくして黒人女性が撲殺されるが、白人はこの事件にはほとんど無関心だった―ただ一人の主婦を除いては。売春、レイプ、人種対立…。衰退する町が抱える闇と、人々の鬱積した思いを映し出しながら、事件は意外な顛末を迎える!エドガー賞処女長編賞受賞作家の力作。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

彼女が家に帰るまでの総合評価:7.60/10点レビュー 5件。Cランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(7pt)

ミステリーというよりも、人間ドラマみたいな

昔のアメリカって、こんな感じだったのでしょうか。
ご近所との距離感や「男は外で働いて女は家を守る」これって、本当だったのでしょうか、たぶん本当のことだったのでしょうが
にわかに?信じがたいことで、それが意外でした。
物語としては十分ミステリーなのですが、私はこの時代のアメリカに(生々しくて)魅力を感じました。
食べ物が沢山紹介されている点も私好みで、あと飲み物の紹介がもっとあったら、時代を写す?鏡になったのかも。、

「地中の記憶」はそれほど面白い小説とは思わなかったのですが、この「彼女が家に帰るまで」はアメリカの生活に
興味がある方には是非お勧めです。
レシピを検索して、作ってみたいな~と、思ったほどでした。

ももか
3UKDKR1P
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

じわじわ来る、イヤな感じ

デビュー作でエドガー賞処女長編賞を受賞し、2作目の本書が2014年度エドガー賞長編賞にノミネートされたという、新進作家の注目作。坦々とした展開の中、じわじわと不安感が積み重なってゆく静かなサスペンス作品である。
長期的な不況への入口に立っている1958年のデトロイト郊外の小さな白人コミュニティに暮らす主婦たち。繁栄した50年代のアメリカ中産階級の典型のような彼女たちも、自動車産業の衰退、近隣に進出してきた黒人たちなどの不安を抱えるようになっていた。そんなある日、夫たちが働く工場の近くで黒人娼婦が殺害される事件が発生、さらに数日後、コミュニティの一員で知的障害がある若い白人女性が行方不明になった。黒人娼婦の事件には無関心だったコミュニティも、白人女性の捜索には地域の全力を挙げて取り組むことになる。
ストーリー展開の中心は行方不明者の捜索なのだが、作品のテーマは、時代の影響を受けて変化して行く主婦たちの心理である。満ち足りた、平凡な生活を送っているように見える主婦たちだが、それぞれに不安や心の闇を抱えており、それが互いに影響し合って、複雑な心理ドラマが展開される。そして最後、もうあの時代は戻って来ないことが明らかになる。
静かなストーリー展開にも関わらず、じわじわとサスペンスが高まって行く上手さは新人離れしたテクニックである。殺人、行方不明ともに、解決方法にあいまいさが残るのは、本作品のメインはそこには無いということだろう。
謎解き、本格ミステリーファンには不満が残るだろうが、社会派作品、心理ドラマ好きの方にはオススメだ。

iisan
927253Y1
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.3:
(4pt)

最近の欧米のミステリの傾向が判る静かなサスペンス

50年代のアメリカで女性が失踪し・・・というお話。

前作でも田舎を舞台に静謐なサスペンスを紡いでらっしゃいましたが、本作も前作の流れによる、失踪事件がもたらす共同体の波紋を描いた静かなサスペンスだと思いました。特にトリッキーな仕掛けはないし、意外な結末もないし、どちらかと言えば文芸小説に分類される様な作品だと感じました。いい小説を読んだカタルシスはありますが。

最近の欧米のミステリの傾向ではトリッキーな仕掛けよりも本書の様な成熟した文芸小説風のサスペンス、ミステリが流行っている様で、他にもトム・フランクリン氏の著作などもそういう分類の作品だったと記憶しますが、英語圏のミステリ作家の多くはミステリで使われるトリックがもう出尽くして、小説としての完成度を目指す方向に向かっているのでしょうか。日本のミステリも英語に翻訳されて評価は高いけれども名のある賞はなかなか取れないのはこの辺に理由があるのでしょうかね。ミステリのフロンティアはもう消滅したという認識かも。

最近の欧米のミステリの傾向が判る佳作。機会があったらどうぞ。
彼女が家に帰るまで (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:彼女が家に帰るまで (集英社文庫)より
4087607208
No.2:
(4pt)

ちょっと脱力

1950年代後半のデトロイトにすむ主婦たちの生活、近隣関係、愛憎の描写、雰囲気は面白い。だが、意味ありげに提出された
謎や手がかり
が、実は大したことではなかったという方向の結末になっていくのには、ちょっと脱力してしまった。
彼女が家に帰るまで (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:彼女が家に帰るまで (集英社文庫)より
4087607208
No.1:
(4pt)

「最後のひとりになるのは恐ろしいことだ」

1950年代末、デトロイト。工場に隣接する路地で女性の死体が発見される。被害者は黒人で頭を殴打されていた。しかし大きく報道されることはなかった。

工場労働者が多く住むこの小さな地域にも、景気後退の波が押し寄せてきていた。
工場は次々に閉鎖され、街のネオンサインも消え商店街も朽ちかけ始めている。
そしてこの地域にも黒人たちが移住しはじめていた。街が不穏な空気に覆われ始めている。

白人住民たちは皆この町から出ることを考えている。
しかし障害のある白人少女が突然行方不明になり、白人の男たちは総出で捜索を始める。

本書は「ベント・ロード」(集英社文庫)でエドガー賞処女長編賞を受賞したローリー・ロイの第二作目である。
前作は1965年のアメリカが舞台で、やはり治安の悪化したデトロイトから故郷カンザスへ帰る一家を待ち受ける悪夢の物語であり、背景にはベトナム戦争、反戦、反政府運動で疲弊するアメリカの姿があった。

本書の舞台はやはりデトロイトで時代背景は1950年代後半に遡る。この時代のアメリカは米ソ冷戦のただなかにあり、国内では公民権運動の高まりと黒人の農村から都市部への移動、白人の郊外への移住がおきていた。
さらに50年代は「家庭の主婦」が女性の理想とされ、戦後の安定と豊かさを享受していた。しかし次第に景気後退の波が押し寄せ、より環境の良い地域への移動しようとする人々も多かった。

本書も「家庭の主婦」たちの物語である。
「マリーナ・ハーツ」は夫ウオーレンの浮気を疑っている。が嘘もついている。
「ジュリア・ワグナー」は自分の子供を亡くしており、心に傷を負っている。
「グレース・リチャードソン」は妊娠中だが人には言えない秘密を持つ。
主婦たちは皆何か重いものを背負いながら夫と向き合い生きている。

その中で独身だが障害を持つエリザベス・シマンスキが失踪する。母は亡くなっており、体調のすぐれない父チャールズ・シマンスキと地域の主婦たちが、彼女の面倒を見ていたのだ。

全編、現在形で語られる物語は、日々増していく不穏な空気で読者を包み込む。
そして告白される辛い結末。

50年代、狭いコミュニティ、教会の中での夫人会、人々の心の中にある「他人指向」の生き方。戦後の安定と豊かさの陰にある意外な息苦しさ。
「群衆の中の孤独」から脱するには社会の大勢に順応せざるを得ないという「孤独な群衆」(デイヴィッド・リースマン)たちの物語である。

本書ではエドガー賞を逸したが第三作目(未訳)で2016年の同賞を受賞した。
訳出を待望する。
彼女が家に帰るまで (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:彼女が家に帰るまで (集英社文庫)より
4087607208



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