世界は密室でできている。

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初版刊行(参考)
種別
長編
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5,915回
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6
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あらすじ

2005年04月15日 世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS (講談社文庫)

十五歳の僕と十四歳にして名探偵のルンババは、家も隣の親友同士。中三の修学旅行で東京へ行った僕らは、風変わりな姉妹と知り合った。僕らの冒険はそこから始まる。地元の高校に進学し大学受験―そんな十代の折々に待ち受ける密室殺人事件の数々に、ルンババと僕は立ち向かう。(「BOOK」データベースより)

評判

世界は密室でできている。の評価:

5.00/10点 レビュー 2件。 B ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点5.00pt

世界は密室でできている。の総合評価:

8.47/10点 レビュー 43件。

感想一覧

サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

全1件 1〜1 1/1ページ
No.1
(3pt)

正直「なんじゃこりゃ」って感じです

『煙か土か食い物』のスピンオフ的作品。
上記作で探偵役として登場したものの、突然退場してしまったルンババの中学生時代が描かれています。
この作品も『煙か土~』で見られた個性的な文章と世界観が拡がっている、ミステリというよりは「もはやそういう独自のジャンル」と言うべき作品ですが、個人的には一部作風についていけない所もあったものの、見るべき所も多かった『煙か土~』に対してこっちは正直ただのよくわからん作品という感想です。

あっちの作品でよくわからないまま退場したルンババの話とかぶっちゃけ特に興味がわかず、それだったら、奈津川兄弟の誰かのスピンオフの方がよっぽど読みたかったです。
結局私にとっては『煙か土~』は、アウトサイダーでありながらもハイスペックで、優秀な医者で女にはモテる上に喧嘩をすればほぼ負け知らずな奈津川四郎と、そんな彼と同等以上のスペックを持つ彼の兄たちの暴れっぷりが痛快で面白かったんですが、今作の主人公は普通の中学生たちなので、暴れるにしてもたかがしれていて、むしろ周囲に振り回されてる感があるため、前作にあった魅力が感じられなかったのが個人的に合わなかった理由かなと思います。

▼以下、ネタバレ感想

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マリオネットK
UIU36MHZ

Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.41
(4pt)

また大江健三郎かもしれません

冒頭の、肌を搔きむしって全身が乳首のようになるシーンは、なかなかグロテスクです。下品でくだらなくて気色悪いのですが、最後まで読むと、まあめちゃくちゃでヘンテコリンな小説だけど、アリかなという気がしてくる。
 登場人物はみんなどこかおかしいけれど、まあツバキエノキ魅力的だしアリかな。連続殺人もバカミスすぎてアホらしいけど、ここまで飛ばしてると、全体と調和してるしまあアリかな。で、最後もよく書けてると思う。

 たとえばツバキさんが屍体を使ってしてしまったことが、たいへん狂っている。度肝を抜きました。しかしそのイメージがいつまでも頭から離れない。鮮烈なイメージです。

 笠井潔氏は、かつて日本推理作家協会賞の短篇部門に舞城氏の「ピコーン!」が候補になった時(2003年)、こう評しました。《ミステリとしての歪みや撞着にかんして作者は確信犯であ》る。つまり、わざとこのようなバカバカしい書き方をしているということです。舞城氏の作品が一貫してこの傾向にあることは、作品を読めば明らかです。

 さて、氏は小説にモチーフやパロディを用いる人です。たとえば、デビュー作の『煙か土か食い物』は、尾崎真理子氏の指摘の通り、大江健三郎の『万延元年のフットボール』でした。また、短篇「熊の場所」と『阿修羅ガール』は、神戸連続児童殺傷事件がモチーフです。『ディスコ探偵水曜日』はさまざまなパロディが仕込まれており、西尾維新やそのほかに留まりません。

 そう考えると、この『世界は密室でできている。』もなにかしらのものが根底にありそうな気がするのです。
 どうも私はまた大江健三郎の『万延元年のフットボール』なんじゃないかと、根拠薄弱ながら思うのです。なんたって『万延元年のフットボール』は、《この夏の終りに僕の友人は朱色の塗料で頭と顔をぬりつぶし、素裸で肛門に胡瓜をさしこみ、縊死したのである。》という、度肝を抜くある種のミステリ小説ですから。
世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS (講談社文庫)より
4062750678
No.40
(4pt)

また大江健三郎かもしれません

冒頭の、肌を搔きむしって全身が乳首のようになるシーンは、なかなかグロテスクです。下品でくだらなくて気色悪いのですが、最後まで読むと、まあめちゃくちゃでヘンテコリンな小説だけど、アリかなという気がしてくる。
 登場人物はみんなどこかおかしいけれど、まあツバキエノキ魅力的だしアリかな。連続殺人もバカミスすぎてアホらしいけど、ここまで飛ばしてると、全体と調和してるしまあアリかな。で、最後もよく書けてると思う。

 たとえばツバキさんが屍体を使ってしてしまったことが、たいへん狂っている。度肝を抜きました。しかしそのイメージがいつまでも頭から離れない。鮮烈なイメージです。

 笠井潔氏は、かつて日本推理作家協会賞の短篇部門に舞城氏の「ピコーン!」が候補になった時(2003年)、こう評しました。《ミステリとしての歪みや撞着にかんして作者は確信犯であ》る。つまり、わざとこのようなバカバカしい書き方をしているということです。舞城氏の作品が一貫してこの傾向にあることは、作品を読めば明らかです。

 さて、氏は小説にモチーフやパロディを用いる人です。たとえば、デビュー作の『煙か土か食い物』は、尾崎真理子氏の指摘の通り、大江健三郎の『万延元年のフットボール』でした。また、短篇「熊の場所」と『阿修羅ガール』は、神戸連続児童殺傷事件がモチーフです。『ディスコ探偵水曜日』はさまざまなパロディが仕込まれており、西尾維新やそのほかに留まりません。

 そう考えると、この『世界は密室でできている。』もなにかしらのものが根底にありそうな気がするのです。
 どうも私はまた大江健三郎の『万延元年のフットボール』なんじゃないかと、根拠薄弱ながら思うのです。なんたって『万延元年のフットボール』は、《この夏の終りに僕の友人は朱色の塗料で頭と顔をぬりつぶし、素裸で肛門に胡瓜をさしこみ、縊死したのである。》という、度肝を抜くある種のミステリ小説ですから。
世界は密室でできている。 (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: 世界は密室でできている。 (講談社ノベルス)より
4061822462
No.39
(5pt)

密室から出たのは愛

ルンババの姉の涼ちゃんは社会からのはみ出しものであり社会にとっては許容できない異物である。
涼ちゃんも社会を拒否して社会からさらにはみ出る行為(家出)を繰り返す。それは社会から、はみ出ているという状態を受動的なものではなく能動的なものとして定義するための行動だろう。

しかし、父親はその社会への反抗としての涼ちゃんの行為も部屋を密室にすることで圧殺しようとする。
本来は家族こそそのはみ出しを愛で受け止めてあげなければならないのにもかかわらず。
涼ちゃんは自殺なのか事故なのか判然としないが自宅の屋根から飛び降りという形で死んでしまう。
涼ちゃんの死による悲しみから謎の湿疹を起こしたルンババの気持ちを紛らわせるため、ルンババの友人友紀夫は、瓶に入っていた湿疹の芯を口に流し込み飲み込むという身を挺したギャグをやる。今は笑えないけど記憶に刻まれて思い出した時に何度も笑えるギャグを、と。

オチをつけて出来事・各シーンを笑いに変えることに友紀夫(作者)は意識的である。本作はオチをつけることに拘られた作品だといえる。菅原悠の四コマ漫画見立て殺人もそうだろう。ただし、ここにはオチがないし、あるいはオチがオチになっていない。良し悪し、善悪で言えば悪としている。殺人事件であるのだから、倫理的には当然だろう。

小説自体も四コマ漫画的な起承転結のはっきりした構成になっている。
友紀夫がエノキ姉妹に出会うまでが起。
ツバキと谷口徹の事件が承。
四コマ漫画の見立て殺人事件が転。
涼ちゃんのときはできなかった飛び降りから救う行為、その代替行為としての、ルンババがまさにオチるのを受け止める行為がなされたのが結。だろう。
そしてその小説の起承転結で語られた全体も《人生の縮図的四コマ漫画》のせいぜい一コマ目か二コマ目か三コマ目とされる。
菅原悠の《人生の縮図的四コマ漫画》にオチがなかったように人生にもオチがないこと、少なくとも友紀夫の青春時代においては(あるいは舞城王太郎の作家人生においては)まだ四コマ目が見えてこないこと、そのオチを寒いだけのものにはしたくないという友紀夫(舞城王太郎)の願いがラストで示唆される。
世界は密室でできている。 (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: 世界は密室でできている。 (講談社ノベルス)より
4061822462
No.38
(5pt)

密室から出たのは愛

ルンババの姉の涼ちゃんは社会からのはみ出しものであり社会にとっては許容できない異物である。
涼ちゃんも社会を拒否して社会からさらにはみ出る行為(家出)を繰り返す。それは社会から、はみ出ているという状態を受動的なものではなく能動的なものとして定義するための行動だろう。

しかし、父親はその社会への反抗としての涼ちゃんの行為も部屋を密室にすることで圧殺しようとする。
本来は家族こそそのはみ出しを愛で受け止めてあげなければならないのにもかかわらず。
涼ちゃんは自殺なのか事故なのか判然としないが自宅の屋根から飛び降りという形で死んでしまう。
涼ちゃんの死による悲しみから謎の湿疹を起こしたルンババの気持ちを紛らわせるため、ルンババの友人友紀夫は、瓶に入っていた湿疹の芯を口に流し込み飲み込むという身を挺したギャグをやる。今は笑えないけど記憶に刻まれて思い出した時に何度も笑えるギャグを、と。

オチをつけて出来事・各シーンを笑いに変えることに友紀夫(作者)は意識的である。本作はオチをつけることに拘られた作品だといえる。菅原悠の四コマ漫画見立て殺人もそうだろう。ただし、ここにはオチがないし、あるいはオチがオチになっていない。良し悪し、善悪で言えば悪としている。殺人事件であるのだから、倫理的には当然だろう。

小説自体も四コマ漫画的な起承転結のはっきりした構成になっている。
友紀夫がエノキ姉妹に出会うまでが起。
ツバキと谷口徹の事件が承。
四コマ漫画の見立て殺人事件が転。
涼ちゃんのときはできなかった飛び降りから救う行為、その代替行為としての、ルンババがまさにオチるのを受け止める行為がなされたのが結。だろう。
そしてその小説の起承転結で語られた全体も《人生の縮図的四コマ漫画》のせいぜい一コマ目か二コマ目か三コマ目とされる。
菅原悠の《人生の縮図的四コマ漫画》にオチがなかったように人生にもオチがないこと、少なくとも友紀夫の青春時代においては(あるいは舞城王太郎の作家人生においては)まだ四コマ目が見えてこないこと、そのオチを寒いだけのものにはしたくないという友紀夫(舞城王太郎)の願いがラストで示唆される。
世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS (講談社文庫)より
4062750678
No.37
(5pt)

最初から最後まで面白い

舞城王太郎特有の軽妙な語りが最初からフルスロットルです。事件とルンババの推理が中心になる中盤は少しダレますが、終盤、そしてラストシーンが素晴らしい。これは、作中でも語られている通り、「だれにでも当たり前にある、親との衝突」を描いた作品なのでしょう。そして主人公やルンババは、四コマにある通り、これから「和解」し、やがては自分自身が親になっていくのでしょう。
正直、めちゃくちゃ感動しました。私が今までに読んだ中で一番の青春小説です。
世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS (講談社文庫)より
4062750678

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