喪失-ある殺意のゆくえ
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九州テレビ放送の敏腕ディレクター・杉原渓子(沢口靖子)は、仕事はできるが男に縁のない独身女性。ある日「彼氏がいる」と見栄を張ったために、悪趣味な同僚たちに尾行される羽目に。今さら嘘とも言えず公園へやってきた渓子(けいこ)は、噴水前に立つ人待ち顔の紳士に駆け寄り、「お待たせ」と声をかけた。男は「シロウズさんですか?」と尋ね、そのまま渓子と車に向かった。その様子を見て驚く同僚と同じく離れた所で見ていたのは、渓子と学生時代からの友人で同僚のカメラマン・立花洋介(寺脇康文)。そこへ一人の女が噴水前に駆けつけ、誰かを探す素振りを見せる。気になった洋介は女をカメラに収めた。渓子の乗った車は、博多郊外の新宮町の海岸に到着した。そこで偶然、知り合いの構成作家に声を掛けられたことで、渓子は紳士に人違いであることを告げて謝った。紳士はそんな渓子を食事に誘い、渓子もまた紳士に昔の恋人の面影を重ねていく。そしてホテルでの別れ際に連絡先を尋ね、紳士から「勝木秀久」という名前と電話番号の書かれたメモを受け取った。その2日後、新宮町の港で女性の水死体が発見された。犠牲者の塚越早苗は、洋介が噴水前で写真を撮った女性によく似ていた。一方、あの晩以来勝木と連絡が取れないでいた渓子は、帰宅途中に車に引かれそうになるという危険な目に遭う。 ある日帰宅すると部屋の鍵が開けられていてそこで勝木秀久(実は偽名だった)の死体を発見するハメになった。一体この二つの殺人事件にどんなつながりが隠されていたのか? 塚越早苗と勝木は阿蘇のシロウズという場所で6年前起きた交通事故と関係があった・・・ しかし容疑者には完璧なアリバイがあった、 | ||||
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夏樹静子のデビューは32歳の時の『天使が消えていく』で、72年には『蒸発 ある愛の終わり』で推理作家協会賞を受賞している。美人推理作家ということで脚光をあび、これは73年に、題名的に『蒸発』の続きとしてカッパノベルスから出したものだが、実際には20代半ばに書いたものを、70年の「夕刊フクニチ」に「幻の季節」として連載、さらに加筆したものだ。 しかし習作の範囲を出ることはなく、29歳でテレビ局に勤める、おそらく美人二歩手前くらいのヒロインが、いきなり、人違いで車に載った男に処女をささげたり、その後も恋人のつもりでいたり、次から次へと錯綜した人間関係が明らかになったり、それが同じテレビ局の人間だったりと、不自然さが多く、江戸川乱歩賞に応募しても一次で落とされるレベルである。まあ1960年代に、推理作家志望の若い女性がこういうものを書いていたという、時代の証言くらいにはなるであろう。 | ||||
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29歳の働く女性が主人公。ミステリー小説ではあるが、女性が一度は経験する恋の物語でもある。主人公は、心の中に描いてきた理想に近い男と、ふとした行き違いから結ばれ、激しい恋に落ちる。しかし、その男の正体は謎に包まれており、二度と会うことのないまま殺害されてしまう。その男は何者か、何故殺害されなければならなかったのか、主人公の女性はその謎解きに挑み、男の正体を突き詰めていく。そしてその過程で、男への恋情が実は幻のようなものにすぎなかったことに気づいていく。主人公にとって、その男は初めての男であり、主人公は、いわゆる古風にいえば処女を「喪失」し、そして自らの、幻影としての恋を「喪失」する、という二重の意味での「喪失」を経験することになる。恋する女性の心理描写がいい。ドキドキするような甘い陶酔。私にも、むかーし経験があったなあ・・と共感。 | ||||
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夏樹静子の長編第3作です。『喪失』というタイトルは推理小説としてはありがちなものという印象を与えますが、読み終わってからタイトルの意味を改めて考えてみるとちょっと意味深です。幼い夢を捨て去って精神的に大人になるというような意味がメインではありますが、セクシャルな意味も込められているのですね。 本作は1973年に書かれており、時代を反映して国際線を利用したトリックが登場します。ところが、犯人のトリック以外に、様々な登場人物による各々の思惑によって事件が複雑性を帯びるという手法が用いられており、この部分がじつに見事です。あらすじを書き出してみるだけで数十ページにも上ってしまうであろう込み入った話をうまくまとめているし、その絡まり具合が、警察も見抜けなかった真相にただの会社員が到達することに説得力を与えています。 | ||||
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夏樹静子の長編第3作です。『喪失』というタイトルは推理小説としてはありがちなものという印象を与えますが、読み終わってからタイトルの意味を改めて考えてみるとちょっと意味深です。幼い夢を捨て去って精神的に大人になるというような意味がメインではありますが、セクシャルな意味も込められているのですね。 本作は1973年に書かれており、時代を反映して国際線を利用したトリックが登場します。ところが、犯人のトリック以外に、様々な登場人物による各々の思惑によって事件が複雑性を帯びるという手法が用いられており、この部分がじつに見事です。あらすじを書き出してみるだけで数十ページにも上ってしまうであろう込み入った話をうまくまとめているし、その絡まり具合が、警察も見抜けなかった真相にただの会社員が到達することに説得力を与えています。 | ||||
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