新たな旅立ち
- 密偵ファルコシリーズ (17)
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この作品の読後感に残ったのは主人公ファルコの友情や家族愛だった。ストーリーそのものは首都の真ん中での内ゲバなどでハラハラさせるところもあれば、ファルコの少年時代に遡る淡くも悲しく終わる恋物語もあり。最初の通読の段階で「読ませる」ことは間違いないのだが、読み返してプロットを丁寧に追っていくと、推理小説としては設定の粗雑があちこちで目につき、結果としてリアリティを感じられないのである。 例を挙げてみると、 1 ペトロニウス麾下の品行方正職務態度満点の若い捜査員が、汚職警官に内部情報を漏洩した理由は何か。金、地位、女、何も想像できるものが無い(ストーリー中でも説明なし)。仲間の生命を売るのだから、よほどの事情、理由がないはずがない。 2 本書で重要なファクターとなる身代金目的の連続幼児赤子誘拐は(本書に登場する犯罪組織が手を下したのではなく、)犯罪組織がアジトに使った娼館の娼婦達が仕組んだことになっている。奴隷身分であり、自由気ままに娼館から街にでることも許されない彼女たちが、どうやって有産階級の屋敷の中で大切にされている誘拐対象を見つけ、誘拐し、身代金をせしめるまでの間、手のかかる幼児赤子を養えたのか 3 組織犯罪の頭目が最後の隠れ家にしたのが主人公ファルコの自宅アパート前の倒壊寸前の集合住宅というのも、用心深いが贅沢三昧の巨悪にしては隙があり過ぎて現実味が感じられない。ましてやその頭目の顔を含めて全身をファルコは見ている。ローマの裏社会に情報網を張り巡らす巨悪の主が、自分を追い込む捜査官ペトロニウスの家族友人関係を調べなかったはずもなく、この筋立ても都合が良すぎ といった具合である。 ファルコとペトロニウスの身に容赦なく降り掛かった危険と困難と心配の全てがきれいに片付いて終わる安心感は凡人読者には嬉しいのだが、それは大団円で入り組んだプロットが見事に謎解きされる推理小説の読後感ではなく、親友である善良な警察官を助けるために手弁当で動く私立探偵と彼らの家族に平和が訪れたことを寿ぐ、社会派ドラマのそれなのである。 自分にはどこまで歴史的に正確なのかは判断できないのだが、皇帝側近の高官からローマ市の治安維持体制を訊かれてペトロニウスが親衛隊、ローマ市警察、警備隊という三段階の組織について答えるくだり(p85)は、珍しい情報でとても興味を惹かれた。なお、岩波新書「軍と兵士のローマ帝国」井上文則(2023年)によれば、ウェスパシアヌス帝の時代のローマ市内の軍事力は、①騎士身分の近衛長官が統率する近衛隊が10個大隊1万人、②元老院議員の首都長官に率いられた首都警備隊1,500人(治安維持を担当)、③騎士身分の夜警隊長官に率いられた夜警隊3,500人(消防を担当)で構成され、②と③は戦闘部隊ではなかったとのことである(pp76-77)。 | ||||
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今回は、地元ローマです。 古代ローマの刑法で、犯罪者の「所払い」(江戸時代にもあったね)っていうのが原題の意味ですね。 なんとまぁ、公務員の鑑のペトロが所属する警備隊まで汚職の疑惑が。普段は好漢なペトロがむずかしい顔してる!捜査の情報を流しているのは誰だ。みんな怪しく思えてくる。 前作の中東ミッションの結果が ガールフレンドの家族とのビミョーな関係に影響してきます。しかしあの厳しい中東の状況下でしっかり商売もしてくるガールフレンドの凄腕。恐れ入りました。 相変わらず、たくさんの登場人物とその生活ぶり。今回はローマの結婚式まで出てきます。ただし、主人公のじゃないケド。 | ||||
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