(短編集)
人間の天敵
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森村誠一氏の公式HPを覗いてみると、既存の作品(解説付きあり)の一覧とともに、近刊予定本や新たな連載開始予定の作品名などが記載されている。あまりに膨大な作品数とこれからも意欲的な執筆活動を続けるという作者の姿勢に驚嘆するしかなかった。何をしてそこまで彼を「執筆・創作」という行為に駆り立てるのか、むろんすぐには思い付かない。終生の傑作品を生み出したいという純粋な心情もあるだろうし、いつまでも第一線のプロ作家として活躍し続けたいという精神もあるに違いない。私はこれからも彼の作品を愛読していきたいと思っている。 森村作品は人間に対する深い洞察(人間同士に必然的に生じる利害関係や因果関係など)を<社会派>的な観点から鋭く描き出している。「腐食の構造」や「鉄筋の畜舎」といった彼の造語も、現代においてこそむしろその重みを増している印象が強い。高度情報化社会やグローバリゼーションの時代に突入し、世界はこれまで以上に激動・変革そして不確実な様相を呈している。人間は文明・技術を進化させるべく優れた能力を発揮してきているが、その反面、人間は愚かで悲しく儚い存在であることもまた事実である。 本書の「人間の天敵」という表題が物語るように、人間の天敵は「人間の欲望」であるとともに「人間自身」であるといっても過言ではない。人間社会はそうした意味で幾重にも十字架を背負っているのだ。森村誠一はいわば「人間道場」において格闘し続けているのである。年配の世代ではなく、むしろ20・30代といった若い世代に本書などが読まれることを私は密かに期待している。本書は「人間の天敵」を含め、計4本の作品が所収されている。第3作品の「殺人のフェロモン」は動植物に関する該博な知識を要する小説であり、森村氏の綿密な取材活動とともに、彼の尽きることない知識欲に圧倒される。いずれも彼の「こだわり」が随所にみられる好作品であった。 | ||||
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4篇の短編集。「人間の天敵」「ラストシーン」は会社に関係する、男の生き様が描かれ、「殺人のフェロモン」は政治がらみの事件を棟居刑事らが捜査する。「複眼の凶像」は少し趣が異なるが、これら4篇は社会派推理小説であり、特に「人間の天敵」は、サラリーマン哲学と呼べる様な記述が盛り込まれている。職場と家庭を往復する身の人間にとって、色々と考えさせられる部分が多い。 人間の天敵では、夫婦の生活を4つのステージに分類する。 それは当を得た解釈であるが、公園のベンチで時間をつぶす老人が、 悩めるサラリーマンに、すべてを捨てよと進言する。 しかし、これを実行出来る大胆な人間は少ない。 そんな中で、事件が起こる。 結局、保身が身を滅ぼすという結果になるが、 保身こそが人生の重荷を増幅させるという事を、 象徴的に著している。 自分の人生に「保身」という文字を当てはめると、 やはり大きな重荷になっている様に感じる。 保身は人間の天敵なのかも知れない。 | ||||
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