死せる獣 殺人捜査課シモンスン
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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最近、翻訳が多くなった北欧ミステリーだが、今度はデンマークの本格警察小説の登場だ。コペンハーゲン警察本部の殺人捜査課長コンラズ・シモンスンシリーズの第一作は、期待以上の本格社会派ミステリーだった。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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ある意味、冒頭に「真犯人」は分かっていて、永遠に逃げきってしまったような設定。 そのなかで、「ほかの犯人」も追っていくのだが、正直こっちの「ほかの犯人」はどうでもいい存在というか所詮駒なんだから、「真犯人」についてもっとえがくべきではと感じてしまった。 「真犯人」をハイスペックにしすぎて浮世離れしちゃっているのも残念。 冒頭数十㌻以降は消化試合みたいな感じで、義務感で読んでしまいました。 しかも、逮捕して終わりってある意味昨今の警察小説にはない設定のような(笑) 正直、☆三つは、子どもに対する性犯罪を告発したこのテーマ設定にささげているような物です。 | ||||
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5人の小児性愛者が処刑されるショッキングな冒頭から引き込まれて最後まで読み切ったが、読後感はあまりよくない。 処刑事件をきっかけに、小児性愛前科者への風当たりが厳しさを増していき、私的制裁も散発する不穏な世相を描き出していること、また個性的なキャラを持つ登場人物が織りなす人間ドラマもこの作品の魅力だと思う。 ただし、デンマーク語→フランス語→日本語の重訳のせいなのか、作風なのか、非常に読みにくい。 会話と会話がつながっていない部分も多々あり(つながりを読者が考えないといけない)、この途切れがちな文脈を補填しながら読むのは楽ではない。 | ||||
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北欧ミステリーという点にひかれて読み始めましたが… とにかく読了に時間がかかりました。 面白くないというのではなく、馴れないデンマークの名前や地名、警察のしくみ、膨大な情報量でこんがらがってしまい、 何度も前のページに戻り 確認しなければなりませんでした。 特に会話の部分は、ひねりすぎというか、普段の会話でこんな言い方をするだろうかと感じるところが多かったです。 一筋縄ではいかない難しい性格の登場人物が多く、私には、共感できる(好ましい)タイプはいませんでした。 その辺が今一つ物語に入り込めなかった理由かもしれません。 テーマは重く、気が滅入るところもありましたが、小説とはいえ作者が告発したいことは十分に伝わってきます。 | ||||
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近年デンマークのミステリー界から世界に向けて大ヒットした人気シリーズ「特捜部Q」に続いて大ブレイクした期待の社会派警察小説の新シリーズが堂々の登場です。これまでミステリー界では全くの未知数だったデンマークが、昨年の「特捜部Q」とはまた違った魅力のある作品で再び脚光を浴びたのは誠に喜ばしい事だと思います。本書を一読した印象としては、軽いユーモアよりもシリアスな面が強調された重厚な小説だと感じました。 月曜の朝ランズベク小中学校の体育館で、異様な姿の5人の男性の首吊り死体が発見された。娘と休暇中だったコペンハーゲン警察課課長殺人捜査課コンラズ・シモンスン警部補が急遽連絡を受けて駆けつけ、部下の刑事たちを率いて被害者の身元特定に取り掛かる。捜査が難航する中で、被害者が小児性愛犯罪の常習犯であるとの噂が広まり彼らに対する刑罰が生ぬるいという世論が高まり始める。やがてコンラズはマスコミを利用して犯人グループに圧力をかけるという作戦に打って出るのだった。 本書は現代ミステリーでは珍しくない形式の最初から犯人の正体を明かす手法が取られておりまして謎解きの興味は希薄ですが、その代わりに様々なエピソードを積み重ねて登場人物達の個性豊かな人間性を浮かび上がらせる濃密な人間ドラマが読み所でしょう。犯人グループでは理知的で狡猾な者、粗暴で残虐な者のどちらもが人間の持つ深い心の闇を感じさせます。殺人課刑事の脇役では、妻子ある身でありながら浮気症の男アーネ、真面目だが時に強面の部分も顔を出す男ポウル、新人でまだ怖い物知らずの女パウリーネ、何故か女伯爵の愛称で皆から慕われる切れ者ナテーリェ、鋭い頭脳はまだまだ衰えを知らない元殺人捜査課課長カスパといった面々です。そして我らが主役のコンラズ・シモンスン警部補については、十五年間も娘をほったらかしにしたという過去の私生活の事情は全く書かれていませんが、知性派ではあっても唯それだけではなく内面に激しい気性を持ちしばしば理性よりも本能のままに行動してしまう野性派の強い男です。彼の身を気遣う女伯爵との仲がどう発展するのかも今後の楽しみでしょう。本書は出だしこそ異常な残酷さですが以降はそれ程でもなく、警察とマスコミと犯人の知恵比べの駆け引きの興味が主体で中盤はややおとなし目ですが、終盤に入って盛り返しまして特にシモンスン警部補と異常殺人犯とのヤバイ心理戦はど迫力があり必読です。そして小児性愛犯罪者が一般市民によって私刑される過激な展開は現実に起きても少しもおかしくない暴力化の傾向にある現代社会の姿を映し出しており、誠に社会性に富み鋭い問題提起を投げ掛けていると言えましょう。 謎解きの面ではやや物足りない部分もありますが、個性的で達者な社会派警察小説の新たなシリーズの今後に期待して要注目して行きたいと思います。 | ||||
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