ウジェーヌ・ヴァルモンの勝利
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元々フランス警察で要職に就いていたフランス人で、ある事件をきっかけに母国を追われてイギリスで探偵事務所を開いたヴァルモンが活躍する短編8編を収録。 既読の有名作「うっかり屋共同組合」の印象が強く、名探偵パロディのような作風を想像していたが、意外とオーソドックスな名探偵物だった。 前半の4編は平凡な出来で物足りなかったが、後半4編はひねりの利いたプロットでなかなか面白かった。 前半と後半は別人が書いたのではと疑いたくたくなるほどだ。 訳文は読みやすく、発表年代を考えれば総じて質の高い短編集だと思います。 | ||||
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19~20世紀の作家、ロバート・バーの短篇集。 雑誌の編集者や新聞社で働いていたという事で、当時の通俗作家よりは一頭地上の作家だったとは思いますが、今読むとやはり物足りない物を感じたのも真実でした。 ただ、アンソロジーのマスターピースに数えられる「うっかり屋協同組合(放心家組合)」だけはやはり名作なので、これ一作で☆4つあげてしまいました。私事ですが、今色々な料金を口座引き落としで自動的に払う事が多いので、ここで被害にあう登場人物みたいになんとなく毎月払うから払うという場合が多いので、現在でも起こりうる犯罪かとも思いました(私がバカなだけで、ないかもしれませんが)。 それと、主人公の一人称が我輩なのが、前述の「うっかり屋~」が夏目漱石の「吾輩は猫である」で取り上げられたからか、原文の感じがそうゆう感じなのかとか思いました。 それから、当時世紀の変わり目で不穏で無政府主義者のテロが頻発した性か、そういうネタの作品があるのが興味深かったです。 今読んでも資する所のある短篇集。機会があったら是非。 | ||||
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ドイルと同時代の探偵小説というだけでなんとなく読んでみたのですが、思いのほか良かった。 どことなくブラックでひねくれた所と、ストレートな人情味とが入り混じった、独特の味わいが楽しめました。 なによりヴァルモンのキャラクターが魅力的でじわじわ好きになりました。 「我輩は…」と滔々と語るのですが嫌みがない。 フランスの刑事局長をクビになってイギリスで私立探偵をやっており、 自負心と愛国心が人一倍強く、イギリスのやり方にしょっちゅうボヤいています。 人情に動かされやすく、そのせいでけっこう振り回されてる所も憎めない。 「我輩はお金の槍では倒せないが、同情の杖をひと振りすれば我輩はあなたの下僕である」だそう(笑)。 古風ではあっても古臭くないのは、訳のおかげも大きいと思います。 軽妙で気持ちのいい言い回しです。 個人的に好きなのは 「チゼルリック卿の失われた遺産」…結末にはあきれますが(いい意味で)不幸な依頼人につい同情してしまうヴァルモンがいいです。 「うっかり屋協同組合」…手口にやたら現代的なにおいがしてリアルでした。 「レディ・アリシアのエメラルド」…美女に弱いヴァルモンが可愛らしい話。 | ||||
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イギリスに生まれ英米で作家として活躍しコナン・ドイルと親交を結んで優れたホームズ・パロディも二編残した往年の巨匠バーの代表作短編集の初紹介です。これまで日本に紹介された著者の作品は前述のパロディを除くと江戸川乱歩のアンソロジー「世界短編傑作集1」に収録された「健忘症連盟」のみで完全に記憶が薄れていましたが、今回本書を読んでフランス人名探偵ヴァルモンの人間味溢れるパーソナリティーの魅力にぞっこん惚れ込みました。ヴァルモンはホームズと違ってワトスン役を持たず「我輩は」で始まる自身が語る回想録の形が取られており、最初これは尊大な自画自賛調になるのかなと心配しましたが、それは幸い杞憂で意外に謙虚な語り口にホッと安堵しました。彼は元フランスの刑事局長というお偉方であったのが、ある難事件をしくじった為に不本意ながらも解任され今はイギリスで私立探偵業を営む身で、人生に於いて大きな挫折を経験した事が忍耐心を養い良い教訓を与えて自戒させ、彼をより人間らしく成長させたのだと思います。彼は慎重に証拠を分析し完璧を期するタイプではなく、直感に頼り感情の勢いに任せて突っ走るのでしばしば失敗する事もありますが、それもご愛嬌で冷たい推理機械ではない人間臭さを持つ愛すべき好人物として微笑ましく思えます。『ダイヤモンドのネックレスの謎』ヴァルモンがフランスの刑事局長の職を追われる契機となった大胆で用意周到な宝石盗難事件の顛末。単純で鮮やかな手口に感嘆し悪を栄えさせない結末にも感心させられます。『シャム双生児の爆弾魔』英仏共同のアナーキスト組織にスパイとして潜入し危険な要人暗殺の陰謀を未然に防ぐヴァルモンの胸のすく活躍。『銀のスプーンの手がかり』推定動機から一見犯人が歴然としている手形盗難事件の謎に対し手がかりとなる奇妙なエピソードの意味を瞬時に推理し意外な真実を見抜くヴァルモン。『チゼルリッグ卿の失われた遺産』変わり者の伯父の謎めいた遺言の謎を少ない手がかりを基に解き明かし貧乏青年を救う人情家ヴァルモン。『うっかり屋共同組合』何ともとぼけた味の巧妙な詐欺の手口の面白さと悪人につけ入る隙を与えるイギリスの法制度の弱点を風刺し正義の側が困惑する姿を描いた不可思議な傑作です。『幽霊の足音』ラントレムリー城の幽霊騒ぎに隠された醜悪な犯罪を暴き出し悲運の女性依頼者に思わぬ幸運をもたらす心優しいヴァルモン。『ワイオミング・エドの釈放』不肖の息子をアメリカの監獄から救い出すという父親からの危ない依頼を引き受けたヴァルモンだったが事件は意外な展開となり最後に衝撃的ですが満足すべき結末が訪れます。『レディ・アリシアのエメラルド』美人令嬢に頼まれて宝石盗難事件に挑むお人好しのヴァルモンが騙され完全にしてやられる洒落たロマンス劇です。本書で扱われる犯罪は今から百年前の時代色を反映してか盗難事件や詐欺事件といった大人しい物が大半で些か古めかしくはありますが、悪人に有利なイギリスの法制度を批判するという現代社会にも通じる鋭い切り口や弱い立場の人々を親身になって助ける古き良き時代の人情家探偵の温かな物語を存分に楽しめる時代を超えて読み継がれるべき素晴らしい名著だと思います。 | ||||
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イギリスに生まれ英米で作家として活躍しコナン・ドイルと親交を結んで優れたホームズ・パロディも二編残した往年の巨匠バーの代表作短編集の初紹介です。これまで日本に紹介された著者の作品は前述のパロディを除くと江戸川乱歩のアンソロジー「世界短編傑作集1」に収録された「健忘症連盟」のみで完全に記憶が薄れていましたが、今回本書を読んでフランス人名探偵ヴァルモンの人間味溢れるパーソナリティーの魅力にぞっこん惚れ込みました。ヴァルモンはホームズと違ってワトスン役を持たず「我輩は」で始まる自身が語る回想録の形が取られており、最初これは尊大な自画自賛調になるのかなと心配しましたが、それは幸い杞憂で意外に謙虚な語り口にホッと安堵しました。彼は元フランスの刑事局長というお偉方であったのが、ある難事件をしくじった為に不本意ながらも解任され今はイギリスで私立探偵業を営む身で、人生に於いて大きな挫折を経験した事が忍耐心を養い良い教訓を与えて自戒させ、彼をより人間らしく成長させたのだと思います。彼は慎重に証拠を分析し完璧を期するタイプではなく、直感に頼り感情の勢いに任せて突っ走るのでしばしば失敗する事もありますが、それもご愛嬌で冷たい推理機械ではない人間臭さを持つ愛すべき好人物として微笑ましく思えます。 『ダイヤモンドのネックレスの謎』ヴァルモンがフランスの刑事局長の職を追われる契機となった大胆で用意周到な宝石盗難事件の顛末。単純で鮮やかな手口に感嘆し悪を栄えさせない結末にも感心させられます。『シャム双生児の爆弾魔』英仏共同のアナーキスト組織にスパイとして潜入し危険な要人暗殺の陰謀を未然に防ぐヴァルモンの胸のすく活躍。『銀のスプーンの手がかり』推定動機から一見犯人が歴然としている手形盗難事件の謎に対し手がかりとなる奇妙なエピソードの意味を瞬時に推理し意外な真実を見抜くヴァルモン。『チゼルリッグ卿の失われた遺産』変わり者の伯父の謎めいた遺言の謎を少ない手がかりを基に解き明かし貧乏青年を救う人情家ヴァルモン。『うっかり屋共同組合』何ともとぼけた味の巧妙な詐欺の手口の面白さと悪人につけ入る隙を与えるイギリスの法制度の弱点を風刺し正義の側が困惑する姿を描いた不可思議な傑作です。『幽霊の足音』ラントレムリー城の幽霊騒ぎに隠された醜悪な犯罪を暴き出し悲運の女性依頼者に思わぬ幸運をもたらす心優しいヴァルモン。『ワイオミング・エドの釈放』不肖の息子をアメリカの監獄から救い出すという父親からの危ない依頼を引き受けたヴァルモンだったが事件は意外な展開となり最後に衝撃的ですが満足すべき結末が訪れます。『レディ・アリシアのエメラルド』美人令嬢に頼まれて宝石盗難事件に挑むお人好しのヴァルモンが騙され完全にしてやられる洒落たロマンス劇です。 本書で扱われる犯罪は今から百年前の時代色を反映してか盗難事件や詐欺事件といった大人しい物が大半で些か古めかしくはありますが、悪人に有利なイギリスの法制度を批判するという現代社会にも通じる鋭い切り口や弱い立場の人々を親身になって助ける古き良き時代の人情家探偵の温かな物語を存分に楽しめる時代を超えて読み継がれるべき素晴らしい名著だと思います。 | ||||
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