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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数147件
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奇面館の予告から数年経って念願の発売。館シリーズが読めるだけで嬉しいです。
数年ぶりとは言え、中身は相変わらずの本格物。 Anotherで少し物足りなさを感じましたが こちらは、期待していた新作を納得して読めた満足感がありました。 著者も参加されていた、 ゲームのトリック×ロジックをプレイしていた事により感じる事ですが、 何気ない文章が伏線に繋がり、かつ、それが深読みしすぎてミスリードになる。と言った ゲームっぽい誤真相(仮説)がとても豊富に感じました。 意識しているかわからないですが、 何となく過去作よりも文章の作り方に遊びを感じました。 仮説の数々で結末を描いてもよい所を あえてそうじゃない所に落ち着かせた捻りが効いているのは、 やりすぎて好みから逸れた感じがしましたが、全体的には面白かったです。 コテコテ要素が満載でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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古き良き海外古典の名作を感じられました。
その時代の新作を読んだかのような不思議な第一印象です。良い作品でした。 翻訳本のテイストが苦手な人は読書が辛く感じそうですが、 この文章が18世紀ロンドンの世界へ導いてくれて、 物語が楽しめるようになってます。 雰囲気も然ることながら、 手足のない死体、死体消失、謎の死化粧など、 ミステリの謎もお約束も序盤から豊富で贅沢でした。 もう、何が起きているやら犯人は誰やら 良い意味で濃密すぎて視界がクラクラしました。 登場する盲目の判事の気分を味わいました。 最後は綺麗に全貌が明かされ収束し 個人的に爽やかな終わりでしたので、 海外翻訳の雰囲気が苦手でなければオススメしたい1冊でした。 表紙も素敵です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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あだ名で呼び合う犯人たち、
トランプのくじ引きで決めた四重交換殺人、 計画の齟齬により2転3転する構成など。 ミステリの読み所が豊富。 4人ものは、登場人物に頭を悩ませないで済むので、 巻き起こる事件のパズルに集中できるのがとても好みです。 ただ、何故だろう・・・。 舞台は巧妙で、驚きの要素が多く凄い作品だと感じているのに、 何かがパっとせず、印象的ではないのが勿体無く感じました。 感情的ではないからか、淡々と理論的な為なのか、文体なのかわかりませんが、 真相が明かされても衝撃が弱かったです。 (もっと凄い作品となりそうな勿体無さを感じてしまいました) 交換殺人、トランプ、などなど、 扱う道具の活用が非常に巧いと感じた本格モノ。 久々に著者の本を読みましたが、とても面白かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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音を色として認識する共感覚の扱いが巧く、
不思議な新しさを感じたミステリでした。 相手の声色で心理状況はもちろん、犯人までわかると述べる探偵。 この探偵の能力が嘘なのか本物なのかの疑心を交えて話は進行しつつ、 当の探偵は犯人が分かっているから証拠集めに専念して行動する。 倒叙ミステリのようで、そうではないユニークな進行でした。 本書を手に取った時はライトノベルで良く見られる、 設定とキャラ立ちが強い小説かと思いました。 ですが読み終わってみると、細かな伏線が多く散りばめられたミステリとも感じ、 特殊能力系のミステリの逸脱した雰囲気に負けない真相もインパクト大で、 なかなか面白い小説でした。 肌に合わなかった点としては、 無能な助手としてヘイスティングズ扱いを受けている山紫郎の行動や思考が 最後まで好みに合わず不快でした。 引き立て役なのか、その分他の人物が魅力的でした。 コテコテの本格ミステリと違って、 特殊能力で解決していく内容は好みが分かれそうですが、 私には個性的な作品で面白かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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邪馬台国はどこですか?に続く2作目。
本書はアトランティス、ストーンヘンジ、ピラミッドの謎である、 あれは何なのか?なぜ存在するのか?などを新解釈していく小説です。 前作より評判が劣りますが、私はこちらの方が好みでした。 ピラミッドについて1990年以前は奴隷が作っていたものと解釈されていましたが、 現代の研究では、きちんとした雇用と専門の技術者でつくられている事がわかっている。など、 歴史の解釈は現実的に変化しています。 本書で掲げる珍説は、前作以上に「これは無いだろう」と感じるのですが、 頭の片隅では、「でも…もしかしたらアリかも」。と、その発想に惹かれるものがありました。 世界の七不思議を日本らしく解釈している珍説でまとめてあり、、 特にストーンヘンジの解釈については、とても素晴らしく思いました。 面白い小説です。 |
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人の心。心理状況を正しくも悪くも
深読みもできる想像力が長けている作家さんだと今回は強く思いました。 人が接触した時に交わされる心模様を 明るく爽やかに描くのとは逆で、 ミステリの謎で分からない心理状況である不安さを巧く活用して 毎回違った心の物語を作っている気がします。 著者の作品は読み終わって、楽しかった、気分が晴れる。 とは違った複雑な気分を持ってしまうのですが、 それぞれどういう言葉で区別したらいいか分からないような、 毎回違った物語が魅力的だと思いました。 |
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目張りされた密室、敷き詰められたラベンダー、充満する花の香り。
吉村達也のシリーズ作品はお手軽でさっと読める推理作品が多く、これもその1冊です。 本自体に香料インクでラベンダーの香りを入れている仕掛けもあり、 "香り"が特徴的な作品で使い方も巧いです。 元々短編だった事もあり、短めでさらっと読める作品にしては、 犯人を特定する方法や、敷き詰められたラベンダーの目的の意外性もあり、なかなか面白かったです。 特に本書で特徴的な香りの使い方が見事です。 あまり類を見ない臭覚を巧く活用した作品の1つだと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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この小説は、事件が起きて謎を解決するジャンルのミステリではありません。
勝つ為には後輩を犠牲に何だってすると噂されている エースへの疑心などがミステリの要素として存在しますが、 半分以上はロードレースを魅力的に知る物語でした。 が、これはこれで凄く面白かったです。 ロードレースの事をまったく知らないで読みました。 自転車で競走して1位を目指すぐらいの感覚でしたが、 実は個人競技ではなく、団体競技であって仲間をサポートしながらチームで戦うなんて事を初めて知りました。 エースをゴールへ導くために他のアシスト達が風を受け、他選手を誘導し、事故が起きたらタイヤを受け渡す。 そんな試合中の雰囲気や、選手たちの葛藤などに凄く引き込まれました。 結末は納得しかねるものでしたが十分楽しめました。 続編もある模様なので読んでみたいと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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表紙のイラストから軽いテイストを感じさせますが、
創元推理から出版で、鮎川哲也賞佳作がうなずける、中々良くできたミステリでした。 実の所、この表紙によって中に登場するキャラクター造形が頭の中で定着してしまい、 この表紙じゃなかったら別の画が浮かぶ気がします。 悪い言い方をしてしまうと文章での表現でキャラの個性が思い浮かび辛くて、 このセリフが誰のものなのか。男なのか女なのかイメージし辛い面がありました。 なので表紙のイメージと昔読んだ何かのマンガの記憶の画が浮かびながら読みました。 気になったのはそのぐらいで、 爽やかな青春小説として楽しめましたし、 トリックや動機についても読了後の気持ちはとても良いものでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ミステリではなく、SFになると思いますが、
SFとも違う。単純なジャンル分けに収まらない作品だと感じます。 世の評判とあらすじを見てもさっぱり内容が判らず、 どんなものかと手に取り読みましたが、なるほど。。。これは凄くて表現できない。 近未来を舞台とした殺戮の物語。 虐殺を駆り立てる切っ掛けとなる虐殺の文法。言語とは何か?と言う この小説では見えやすい目的を軸に宗教観や生物、言語や思考を リアルなSFの世界感で包んで物語にした上で頭に入れられた感じです。 世界観に圧倒。凄いものを読んだ読了感です。面白かった。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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作者自ら描いた絵を挿入しミステリに絡ませた独自の作品作りに感銘を受けました。
美術の先生という事もあり図像学による絵画を読み解く話はとても面白いです。 絵の見方・楽しさに触れた気がします。 他の作品を先に読んでからこのデビュー作を読みましたが、 作中に流れる独特の雰囲気や若い女性の印象は作者の持ち味だと感じました。 今作で扱われる題材は複合的で、かつマニアック。 人におすすめし辛い難しさがありますが、 いくつもの仕掛けを独特な美術の世界で包んだ本書はとても贅沢な作品だと思いました。 仕掛けの感想はネタバレで。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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表紙の雰囲気が素晴らしいですね。
まずそう感じました。 素人探偵みかげの口から 探偵の存在についての力強いメッセージを受け、 ミステリにおける探偵とは何か? 真相とは何か? を考えさせる内容だったと感じました。 実は、本書の結末は1つの解答例なだけで、 夏冬や神様ゲームのように 裏の真実を描ける麻耶雄嵩ならではの別の真相があるんじゃないか? と深読みしてしまう作品でした。 探偵が語る真相が真実ではない。 本書の解答も真実ではない。 読み終わってから自分で真実を探る。 そんな麻耶雄嵩の魅力が本書でも感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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死ぬ事、殺す事は最悪の出来事。
馬鹿か貴様は。スパイは孤独だ。自分で判断しろ。 と、何度も繰り返されるスパイの規律。 そのスパイを養成する結城中佐の存在が不気味で圧巻。 読中に出てくる"魔王"の言葉がしっくりきます。 プロットの良さはもちろんの事、 これらを引き立てる硬質な文体がとても良いです。 長編ではなく短編集ですが この緊張感溢れる文章を読むには 短編で一呼吸おけるこの文章量がとても丁度良いと感じました。 短編とはいえ、1つ1つがとても良くできています。 相手の先の先の先までよんで静かなる行動を遂行するスパイ。 常識を超えた者たちの行動や真相に驚かされました。 作品の中では「ロビンソン」が一品。 真相にゾクっと来ました。 |
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前作同様、ぐちゃぐちゃのエログロなので、
推理作家協会賞受賞しているとはいえ耐性がある人向け。 子供の無邪気さ残酷さがそのまま大人になってやりたい事をしている感じで、 気持ち悪い所は気持ち悪く、でもユーモアを忘れずそんなに気が重くならない 絶妙な危ないバランスがとても気持ち良い。 富蔵のエールのシーンとかもう、良い意味で変態です。 乱暴な会話文と言い回しのセンスが今作も凄いなと思いました。 ハチャメチャな話なのですが、 最後に一気に物語を収束させたのが圧巻。 前作の髑髏の様な扱いを感じた 本編と外れた美樹夫のナムールの物語がいろんな意味で面白い。 単純に小説の伏線と捉えたり、蟲の気持ち悪さの雰囲気作り、 深読みして人種差別を感じられたりなどなど、、、 エログロのインパクトの裏側に作られている土台がすごい。 とんでもない本だなと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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蛭(ヒル)女というなんとも陰鬱な雰囲気を感じさせる作中作のタイトル。
蛭女の書の中では孤島に閉じ込められた女子高生たちが殺人事件に巻き込まれていきます。 孤島の雰囲気と日本家屋が舞台の密室殺人。 現場の廊下に残された蛭の徘徊を思わせる濡れた足跡の存在など。 本格物の舞台設定とホラーの妖しさを足した コテコテの舞台がとてもワクワクしました。 とはいえ、 ガチガチのミステリと言うわけではなく、 バカミスと言われても仕方がないニヤリと失笑するトリックが出てきたり、 嫌な気分になる陰鬱な心情を読ませるシーンなど、 色々な要素が絶妙なバランスで構成されている作品と言う印象でした。 作品全体を通して実現した大仕掛けがありますが、 これはこのアンバランスさで 禁じ手を、禁じ手と思わせない世界観を作り、 読者が許容できる不確かさの敷居を下げて実現されたのではないかと感じました。 事情がある本書ではありますが、 そのまま埋もれてしまうには勿体無い仕掛けと 魅力に溢れた作品だと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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高校生の世代が抱えるだろう心の問題がこれでもかって程、訴え掛けてくる。
思いつく不幸を全部入れてみましたと言わんばかりです。 誰もが自殺したくなってしまう辛さを文章で感じました。 物語は自殺する瞬間を未来視した所から始まり、 学校に赴任したカウンセラーが自殺して誰かを救うために 高校生達をカウンセリングする流れになっています。 自殺を止められるかどうか――? この目的の本筋の中にこの世代の葛藤が描かれ感じる物語です。 ↑に高校生の世代が抱えるだろう心の問題が たくさん出てくると書きましたが、 多く出ている中でとても繊細な要因が最後まで書かれないものがあります。 この要因が、 ミステリとは違った読了感を得る本書に対して、 ミステリと思わせてしまう読書への鋭い切り口だと思いました。 自殺をテーマとしたメッセージ性が強く出てしまう作品を ミステリ仕立てにして読み物にした印象です。 そう感じる程、読了後に心に残る物がありました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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