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なおひろ さんのレビュー一覧

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レビュー数61

全61件 41~60 3/4ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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No.21: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

国境の感想

これは相当面白いです。前半の北朝鮮での冒険、後半の詐欺師、ヤクザが入り乱れての金の奪い合い。ノンストップのジェットコースターなので少し疲れますが、疫病神コンビの二人は疲れを知りません。北朝鮮や詐欺、ヤクザの実情は分かりませんので、リアリティーはともかく、圧倒的な筆力でねじ伏せられました。軽妙な関西弁の会話で読み易く、大長編を感じさせません。ラストも最高です。
間違いなく傑作、あまり読まれていないのが本当に残念。滅多に付けない10点献上します、おススメです。
国境 (講談社文庫)
黒川博行国境 についてのレビュー
No.20:
(10pt)

太平洋の薔薇の感想

タンカーのハイジャックから始まる海洋冒険小説。そしてその背後にある秘密をめぐる国際謀略小説でもあります。上巻の途中までは視点が再々変わり、なかなか話に入れない。しかし、下巻以降は続々と困難が襲ってくる展開に圧倒され、息が詰まる様な緊張感が続く。最後はどうなるのか、是非読んで欲しい。
とにかく出てくるのは男ばっかり。それも最高に格好いい男ばっかりです。このジャンルを初めて読んだので評価が甘いのかも知れない。出来れば少し話を整理して、序盤からもっとスピード感が欲しい気もする。でもこのエンディングを読了直後の今、満点以外は付けられない。
終盤は目が潤む感動作。男なら必読。間違いなく傑作。
太平洋の薔薇 (上) (光文社文庫)
笹本稜平太平洋の薔薇 についてのレビュー
No.19: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

カーテンの感想

ポアロ最後の事件です。作品全体を包む雰囲気は重く、その背景には老いや病気、また過去に失った多くの物への追憶が有るのでしょう。ミステリーとしても、錯綜する人間関係には読みごたえがあり、謎の解けない不可解な事件とラストの解決は素晴らしく良かったと思います。
まだポアロシリーズをさほど読んでいないタイミングでこの作品に手を付けたのが良かったのかどうか分かりません。今でも十分感動的で、最後のポアロの手記を読みながら泣きそうになりました。
でも、やっぱり少々早かったですね。シリーズ読破後にぜひ再読したい。10点はその時に付けます。
カーテン(クリスティー文庫)
アガサ・クリスティカーテン についてのレビュー
No.18: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

臨場の感想

誰もこのサイトでレビューしていないのはなぜでしょうか。ドラマで有名な作品ですので、もうとっくに読まれていれば良いのですが、こんな面白い作品未読の方は勿体ないですよ。
検死官が主人公の警察小説ですが、基本的に各話にはそれぞれ狂言回しがいて、主人公はちらちら出てくる感じで進みます。緊張感が持続して、最後は余韻を残して粋に終わる。どうにも横山秀夫には短編が合いますね。特に大人のみなさんには絶対オススメ。150冊目。
臨場 (光文社文庫)
横山秀夫臨場 についてのレビュー
No.17: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

ダナエの感想

今回100本目のレビューなので高評価を付けたくて、藤原伊織を読みました。3編の短編集ですが、やはり非常に素晴らしかった。今回は、アクションや謎解きがメインのハードボイルドではありません。特に命をかける様な事件は起きない、大人の男達のただ静かな物語です。特に表題作は群を抜いており、これだけで十分価値のある作品集と言えるでしょう。とにかく中年以上の男性は必読です。間違いないですから。
作品のみの評価は8点、感動的な小池真理子の解説と作者生前最後の作品と言う事に哀悼の意を表して、合計10点です。ちょっと強引ですが、好きなんだからしょうがない。
ダナエ (角川文庫)
藤原伊織ダナエ についてのレビュー
No.16: 9人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

カラスの親指―by rule of CROW's thumbの感想

中年の詐欺師二人の話から始まり、仲間が少しづつ増えて行きます。みんな過去から逃れられず、最後に追い詰められて危険な相手に大勝負に出る事となります。しかし結末は衝撃のどんでん返しで、それまでのすべての伏線が真相を示していた事に気づかされます。登場人物は魅力的で、ストーリー展開も巧みです。とても面白く読めましたが、満点は付けられません。
とにかく主人公達の過去が悲惨すぎて、気分が悪くなる。考えられる不幸をどんどん机上で詰め込んだ、という感じで、ここまで必要ですか?と言いたくなりました。こう背景が暗いと面白いと言っていいのかな?と考えてしまうんですね。
ただその辺りは好みの問題ですので、オススメ出来ることは間違いありません。すごく良く出来ています、是非どうぞ。
カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)
道尾秀介カラスの親指 by rule of CROW's thumb についてのレビュー
No.15: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

空中ブランコの感想

伊良部シリーズ2作目であり直木賞受賞作です。話の流れはいつも同じで、伊良部先生はまともな治療を全くせず、患者が自分で立ち直って(回復して)行く事になります。
どの患者も本当に辛そうで、読んでいて感情移入してしまいます。最後にストンときっかけをつかんで、好転する気配を見せてくれると、ホッとして暖かい気持ちになれます。
ミステリー要素は全くありませんが、最高のエンターテイメント。読まれた方も多いでしょうが、未読の方は是非。前作より数段上です、特に疲れた大人にオススメの傑作。

空中ブランコ (文春文庫)
奥田英朗空中ブランコ についてのレビュー
No.14: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ジョーカー・ゲームの感想

第二次大戦中の日本でスパイ養成学校が設立される。そこから生まれたスパイ達の活躍を描いた短編集。内容、文体共にハードでとても面白い。少し会話や行動が現代的に思え、本当に時代考証出来てるのかな?と感じる所と、スパイがあまりに超人的過ぎる部分はマイナス。しかし、各編に出て来る人々は魅力的で、ミステリーとしても謎とその解決は鮮やかで、十分満足できる物でした。すごく良かった。ぜひオススメします。

ジョーカー・ゲーム (角川文庫)
柳広司ジョーカー・ゲーム についてのレビュー
No.13: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

サクリファイスの感想

自転車のロードレースを題材とした青春ミステリーです。ロードレースの魅力を伝える事は、出来ているのではないでしょうか。かなり面白かったです。ただ、登場人物のキャラクターは主人公を含めて独特で、取っつきにくい為、感情移入しきれなかったです。ミステリーとしても、事件(事故)の真相にはかなり驚かされましたが、少々突飛過ぎませんかね、若干マイナス。
しかし、若者の情熱や苦悩をスポーツを通して描き切った作品、と言えるでしょう。多少の不満はすべて吹っ飛び、とにかく切なくて気に入りました。青春好きの方、ぜひお読み逃しなく。
サクリファイス (新潮文庫)
近藤史恵サクリファイス についてのレビュー
No.12: 8人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

13階段の感想

本作で描かれるのは死刑制度、冤罪、殺人犯の出所後の人生や家族に与える影響、また遺族の感情などです。テーマは社会派ですが、テンポよく解けていく謎と、気になる伏線、魅力的なキャラクターのおかげで素晴らしいエンターテイメントに仕上がっています。難を言えば、デビュー作の気負いなのかラストのドタバタはサービス過剰で、少し唐突でバランスを欠く感じもしました。
しかし、303ページをめくった時は鳥肌が立ちました。間違いなくオススメ出来る傑作だと思います。
13階段 (講談社文庫)
高野和明13階段 についてのレビュー
No.11: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

犬はどこだの感想

私立探偵物ですが、かなり面白く読めました。まず、主人公と助手のキャラが良かった。二人とも終盤にかけて徐々に違った面を見せて来て、その変わり方に魅力を感じました。
また、叙述はそれぞれの一人称で交互に書かれるのですが、二人の語り口の違いが面白い。主人公の淡々とした語り口は、突き放した雰囲気で妙に気持ちいいです。
ストーリーは、2つの依頼が実は後に関連して行くと言う物で、まあ定番。段々解決に近づいて行く過程も偶然や人頼みが多く、悪く言えばご都合主義です。と言いましても、内容は非常に面白かったし、最後明らかになる真相も、衝撃的で感心しました。続編を書いて欲しい、かなり気に入ったオススメの快作。
犬はどこだ (創元推理文庫)
米澤穂信犬はどこだ についてのレビュー
No.10: 9人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

ワイルド・ソウルの感想

まず第一章の「アマゾン牢人」が素晴らしい。どの位史実に沿っているのか分からないが、余りに厳しい描写に圧倒された。第二章以降の現在部分は、一転して痛快な活劇へと変貌する。前半に比べ若干軽いが、その分スピーディーでスリリング。登場人物は皆魅力的で、警察側の人物も含め誰かへの感情移入は必至。どの様な作戦が実行され、そして結末はどうなるのか?なんとなく不穏な伏線が気になるが、全員の幸せを祈り一気に終盤へ。なんか賛否両論有る様だが、自分としてはこのラストは大満足。
とにかく綿密な取材の上でよく練られたストーリー、キャラクターだと感じた。簡単に書き飛ばして出来る作品では無い。正に著者のソウルを感じた一世一代入魂の傑作。
こんなに面白い本を今まで素通りしていた事がすごく残念。未読の方に是非オススメしたいのは、もちろん休日の一気読みです。
ワイルド・ソウル〈上〉 (新潮文庫)
垣根涼介ワイルド・ソウル についてのレビュー
No.9: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

流星の絆の感想

子供のころ両親を殺された3兄妹は、現在は詐欺師をやって暮らしている。新しいターゲットの周辺で両親を殺した犯人を見つける事となり、復讐計画を始めると言う話です。
計画がスムーズに進み過ぎて若干スリルに欠ける感じがしますが、結構な長編の割に読み易いことは間違いなく、誰でも楽しめる良く出来た作品だと思います。終盤の真相が明らかになってからエンディングまでの流れも巧みで、読後感もかなり良かったです。
事前にドラマを見ていたので、ストーリーも犯人も分かっていたのが残念でしたが、どのキャストもピッタリで素晴らしい出来だったので、ご興味を持たれた方はそちらも合わせて是非どうぞ。
流星の絆 (講談社文庫)
東野圭吾流星の絆 についてのレビュー
No.8: 7人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ルパンの消息の感想

横山作品の最大の魅力は緊張感にある、と思っています。今作は前半の高校時代の部分がやや冗漫で、あまり面白く感じられませんでした。しかし過去の「ルパン作戦」決行辺り、同時に現在での捜査が急速に進んで行くにつれ、俄然盛り上がって来ます。登場人物それぞれが隠していた事が明らかになり、そして最後のどんでん返しへの流れ、終盤の展開にはすっかり痺れました。やはり傑作、横山秀夫に外れ無しです。
ルパンの消息 (光文社文庫)
横山秀夫ルパンの消息 についてのレビュー
No.7: 9人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

七回死んだ男の感想

SF新本格というジャンルになるそうですが、とにかく物凄く面白い。同じ1日を9回繰り返し、主人公の主観以外はリセットされてすべてなかった事になる。9回目に過ごした1日が決定となり翌日を迎える、という設定です。うまく説明出来ないので、是非読んで欲しいと思います。主人公の言動が高校生には思えないですが、ユーモアミステリーのタッチですから、細かい事は気にしない方が楽しめます。快作、傑作、代表作。
新装版 七回死んだ男 (講談社文庫)
西澤保彦七回死んだ男 についてのレビュー
No.6: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ゴールデンスランバーの感想

首相暗殺の濡れ衣を着せられた青年の逃走劇です。途中で過去の回想シーンが良く出て来ます。そこでは作者の特徴である、いつものふわふわした上滑りの会話が目立ちます。他の作品ではそれが嫌いで気持ちが内容に入って行かないのですが、本作はそれを主に回想シーンに使い、現在の文では少し抑えた感じにしています。その為甘い追憶と過酷な現実の対比に効果的で、切なさを感じるほど良かったです。また、内容もご都合主義すぎるとか、ラストがすっきりしないと言う批判的な評価も有る様ですが、私には非常に面白かった。伊坂作品でやっと良い本に出会えました。高評価も納得のエンターテイメント、是非オススメします。

▼以下、ネタバレ感想
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ゴールデンスランバー (新潮文庫)
伊坂幸太郎ゴールデンスランバー についてのレビュー
No.5: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

ひまわりの祝祭の感想

妻が自殺した後ひっそりと何もせず暮らしていた男。突然昔の知り合いが訪ねて来た事から事件が始まると言う、典型的な巻き込まれ型のハードボイルドです。主人公はストイックでセンチメンタル、他の人物達も非常に魅力的で、大変面白い作品でした。話の流れはほぼ予想出来た結末へ進み、あまり意外性は有りませんでしたが、これで良いんです。こう言う文体、世界観、物語が自分は好きなのだな、と再確認させられた文句なしの名作。ホントに格好良い話ですよ、オススメします。
ひまわりの祝祭 (講談社文庫)
藤原伊織ひまわりの祝祭 についてのレビュー
No.4: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

天使の囀りの感想

次々と自殺する人々、いったい何があったのか、を明らかにして行くと言うのがメインの謎であります。ジャンルとしては、ホラーでありSFでもあり、ミステリーとは少しイメージは違うかもしれません。専門的な説明文が多い為くどくも感じますが、文章が読み易いので意外とさくさく読めます。とにかく最高に面白い。極上のエンターテイメントであるのは間違いありません。結構グロイ描写が多いので、余程ホラーが嫌いな方は避けた方が良いでしょうが、その他のみなさんは必読です。最後まで続く恐怖、おぞましさ、そして悲しみに震えて下さい。
天使の囀り (角川ホラー文庫)
貴志祐介天使の囀り についてのレビュー
No.3: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ラットマンの感想

エアロスミスを聴くのは好きですが、自分では楽器演奏は出来ません。それでもこの作品では、バンドを続ける人間関係の楽しさ、難しさが味わえました。ミステリーとしても、先の見えないどんでん返しの連続で、かなり完成度は高いです。

▼以下、ネタバレ感想
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ラットマン (光文社文庫)
道尾秀介ラットマン についてのレビュー
No.2: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

第三の時効の感想

文句なしに面白い。どの話も最後に意外な真相が明かされ、何とも言えない余韻を残して鮮やかに解決します。濃密な本格ミステリーと言う点でも楽しめますが、この作品をここまで高めているのは、主人公達の強烈なキャラクターでしょう。みんなどこかが壊れている、そんな感じがあり、捜査にかける執念は物凄いのですが、同じくらい警察内での手柄争いにも必死です。その凄まじく暑苦しい状況を、冷静な視線で淡々と描いている。1話読み終わる度、心にグッと来ます。単に謎解きがすごいだけでは無い。満点です、これこそ傑作。
第三の時効 (集英社文庫)
横山秀夫第三の時効 についてのレビュー