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梁山泊 さんのレビュー一覧

梁山泊さんのページへ

レビュー数271

全271件 201~220 11/14ページ

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No.71: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)
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探偵映画の感想

クランクアップ前に、作品未完成のまま疾走した映画監督の代わりに、スタッフ・役者陣が解決編を推理し、作品を完成させようとする物語。
残り僅か10分程度のシーンなのだが、肝心要の解決編であり、しかも、完成済みの映像及び設定部分には手を加える事は不可と制約が多い。
面白いアイデアだと思ったのですが、提示された解決編のシナリオが何れもお粗末だったのが残念です。
「こうすれば可能」的な推理ばかりで、原作兼監督が「映像に残していてしかるべき結末への伏線」について誰も言及していない点が・・・
冒頭であれだけマニアックな映画薀蓄を披露した面々が、誰一人として、そこに触れないのは、不自然にすら感じました。


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探偵映画 (文春文庫)
我孫子武丸探偵映画 についてのレビュー
No.70:
(7pt)

あいにくの雨での感想

冒頭いきなり第13章から始まり、そこで本編の連続殺人の密室トリックが解明されています。
密室殺人事件を扱う作品において、その冒頭でハウダニットを明らかにしてしまうという暴挙。
そしてフーダニットに関しても「糸くず」という決定的手掛かりを提示しています。
作者が麻耶雄嵩である事を考えると、いかにも「らしい」と言えるのですが、「フェイク」だと思った読者は多かったのではないかと思います。


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あいにくの雨で (集英社文庫)
麻耶雄嵩あいにくの雨で についてのレビュー
No.69: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

セカンド・ラブの感想

イニシエーション・ラブ系の作品です。
最後の2行で世界観をひっくり返すという手法は同じですが、衝撃度、美しさという点でイマイチです。
これは、直前にある程度のネタばらしがされているためですが、果たして、このネタばらしがなければ不親切なのか。
個人的には不要だったのではないかと思っていますが・・・


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セカンド・ラブ (文春文庫)
乾くるみセカンド・ラブ についてのレビュー
No.68: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

愚者のエンドロールの感想

古典部シリーズ2作目。

1作目の「氷菓」を読んでいなくても読めますが、先に読んでおくにこした事はありません。
それよりも、古典ミステリに精通しているかどうかで、作品に対する印象が大きく違うように思います。
個人的には、この手の趣向は好きではありませんが・・・

ミステリ映画の結末を、途中までの原作、映像をヒントに脚本担当の意図を汲みながら推理していくというお話です。
正解を除くと、主人公・奉太郎を含めて4本の推理が提示されます。
(ミステリ好きにはどう見ても)密室殺人という状況を前にして、サスペンスやホラーといった、トリック云々よりドラマ性を重視した推理も含まれていました。
広義の定義では、サスペンスやホラーもミステリに含まれる訳ですし、破綻もしていないように感じました。
寧ろ2番目に登場した、自称ミステリマニアの推理の方が、面白みがなく、最も基本的とも言える見落としを指摘され却下されています。
ミステリマニア気取りの連中(読者含む)に対するアンチテーゼのようにも受け取れましたけど・・・


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愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫)
米澤穂信愚者のエンドロール についてのレビュー
No.67: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)
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果つる底なきの感想

池井戸潤さん初読。

作者は元銀行マンだけあって、業界の内情や、派閥による歪な人間関係をリアルに描けており、読み応えがあります。
主人公は、派閥という枠に拘らず、媚びず、自分の信念の赴くままに突き進むタイプとして描かれています。
組織に受け入れられる人間ではないという事になりますが、巨大な組織に立ち向かう個人という意味で、その資質は十分だと思いますし、この構図自体が日本人が好むところではないでしょうか。

また、驚くのは、当然のように金融専門用語が飛び交うのですが、読み辛さを感じなかった事です。
筆力があるとも言えるのでしょうが、やはり、付け焼刃的な知識によらない造詣の深さが、それを可能にしているのかなと思いました。

ドラマ性のある題材で、しかもそれを深く描き切れる下地があって、更に筆力もあるのですから、高評価も当然かも知れません。


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果つる底なき (講談社文庫)
池井戸潤果つる底なき についてのレビュー
No.66: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

頼子のためにの感想

綸太郎シリーズ3作目。

雪に閉ざされた密室、双子・首なし殺人という本格ミステリのド定番のプロットをいじり倒しただけでなく、探偵役の推理を二転三転させて、読み手を混乱させたこれまでの二作。
一方、この作品は、そのプロットに本格ミステリらしさは影を潜めており、派手さもなくかなり地味です。


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頼子のために (講談社文庫)
法月綸太郎頼子のために についてのレビュー
No.65:
(7pt)

「北斗の星」殺人事件の感想

タイトルから勘違いする方も多そうだが、この作品は鉄道ミステリではありません。

初吉村達也。
朝比奈耕作という探偵が登場するシリーズ物のようですが、この作品では、その朝比奈耕作さんは探偵として機能していません。
普段ワトソン役の人物が大活躍するという、いわばシリーズの番外編を最初に手に取ったようである(笑)
従って、読後も朝比奈耕作なる人物がどんな探偵かすら不明なままなのだが、これが意外と面白かったのである。


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「北斗の星」殺人事件 (徳間文庫)
No.64:
(7pt)

麦の海に沈む果実の感想


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麦の海に沈む果実 (講談社文庫)
恩田陸麦の海に沈む果実 についてのレビュー
No.63: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

理由(わけ)あって冬に出るの感想

高校を舞台にした怪談ミステリ。
雰囲気としては、米澤穂信氏の古典部シリーズに近いですが、登場人物のキャラ設定などには、明らかに有栖川有栖氏の学生アリスシリーズを意識していると思える部分があります。
そのキャラ設定も、探偵役を除いて強烈なキャラこそいないですが、しっかりキャラ立ちして描かれており、互いに領空侵犯する事なく、役割分担がしっかりなされている印象で、非常に読みやすいです。


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理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫)
似鳥鶏理由(わけ)あって冬に出る についてのレビュー
No.62: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

解体諸因の感想

西澤保彦氏のデビュー作。
バラバラ殺人事件における何故バラバラにされたかの理由を、事件と全く関係のない第三者視点から安楽椅子探偵よろしく、論理的に解明していくという一風変わった短篇集です。
実はこの短編集「連作」になっているところがミソですので、通勤途中とかにとぎれとぎれ読むのではなく、休みの日などに一気読みする事をお薦めします。
終盤において、序盤の記憶が曖昧になっているようなら、作品全体としての面白味は恐らく半減すると思います。


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解体諸因 (講談社文庫)
西澤保彦解体諸因 についてのレビュー
No.61: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

人形はなぜ殺されるの感想

登場人物の大部分を占めるのが魔術サークルのメンバ達。
そしてのっけからワトソン役・松下研三に対する、魔術サークルメンバからの、人を馬鹿にしたかのような挑発的な発言。
本格の名作である事は重々承知でしたし、かなり期待感が高まったのですが、若干ハードルを上げ過ぎたかも知れません。


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人形はなぜ殺される 新装版 高木彬光コレクション (光文社文庫)
高木彬光人形はなぜ殺される についてのレビュー
No.60: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

三月は深き紅の淵をの感想

「言葉の意味はわからんがもの凄い自信だ」
は、キン肉マンに登場するアデランス中野さんの言葉ですが、
この作品、というかこのシリーズは、

「なんだかよくわからんが(恐らく)もの凄い話だ」

な気がしています。
この作品単体の評価は難しいと思います。

因みに、私はこのレビューを書く時点で「麦の海に沈む果実」→「三月は深き紅の淵を」の順に、この2作品のみ読了しています。
この「三月は深き紅の淵を」がシリーズの出版順では1番早く、起点となっている(はず)と思うので、やはり最初に読むべき作品だとは思うのですが、順番云々よりも、このシリーズは他の恩田陸作品と色々関連している作品だという事を知った上で読んだ方がいいと思います。


▼以下、ネタバレ感想
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三月は深き紅の淵を (講談社文庫)
恩田陸三月は深き紅の淵を についてのレビュー
No.59: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

私が殺した少女の感想

ハードボイルドと言われると確かにそういう感じもしますが、暴力的なシーンの描写もないし、性描写もありません。
主人公である澤崎が、思索型でなく行動型の探偵なのは間違いないにしても、本来ハードボイルドとして象徴的な、反道徳的、冷酷非情、精神肉体的に強靭等の側面を持っているかと言うとちょっと違うかなと。
そもそも、この作品の最も秀逸なところは、そのタイトルの意味であり、
物語のほぼラストまで、自分(のミス)が少女を殺してしまったのかもしれないという自責の念、苦悩を抱えながら行動する澤崎の心理描写を中心に展開していきます。
それは、非常に人間味に溢れ、冷酷というより暖かみすら感じるものであり、私が抱くハードボイルドの印象とはかなり異っています。


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私が殺した少女 (ハヤカワ文庫JA)
原尞私が殺した少女 についてのレビュー
No.58:
(7pt)

ツナグの感想

連作短編です。
生者を主人公とした4編と、「ツナグ」役の少年を主人公とした1編の計5編という構成になっています。
生者が死者に会えるのは1度切り、同じく死者が生者に会えるのも1度切り。
そして両者の再会を仲介するのが「ツナグ」です。

辻村氏の作品は、兎に角人物造形が深くページを割くという印象があって、それが辻村氏独特の世界観を産み出していると感じています。
なので、短編では、その威力が発揮できないのではと、読む前は危惧していたのですが、心配無用でした。
でも、やはり読後のカタルシスという意味では、長編作品に軍配を上げたいですね。


▼以下、ネタバレ感想
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ツナグ (新潮文庫)
辻村深月ツナグ についてのレビュー
No.57: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

蒲生邸事件の感想

主人公が、まさに二・二六事件が起ころうとしている帝都東京へタイムトラベルしてしまい、そこで発生した殺人事件に巻き込まれるという物語です。


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蒲生邸事件 上 (文春文庫 み)
宮部みゆき蒲生邸事件 についてのレビュー
No.56: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

奇想、天を動かすの感想

消費税が導入された当時の作品で、消費税に対する不満という時代を反映したとも思える動機が、掘り下げて行ったら、実は重い問題がぶら下がっていたというお話。
それを考えると、この作品の主眼は「その問題」にあるのかとも思えますが、今読むと結構デリケートな問題だったりもしますね。
「社会派ミステリ」としての側面も兼ね備え「本格」との融合がなされた作品と捉える事も出来るのでしょうが、個人的にはイマイチかなという印象です。
この作品の社会派の部分から発せられるメッセージは、そもそも題材にも問題がある上に、本格部分の相も変わらぬ豪腕ぶりとがアンバランスで、空振り感が否めませんでした。

吉敷シリーズは初読でしたが、基本御手洗シリーズと同じなんですね。
最早ファンタジーとも思える謎を次から次へと登場させ、読んでいる方がどう回収させるのか不安になります。
それをファンタジーで片付けないのが御大の凄いところですが、中にはそれはちょっと・・・というのもありますね。
手順を踏まなければならない刑事と突飛な発想も許される探偵という立場の違いもあり、過程の面白味という意味では御手洗シリーズの方が上かなと思いました。

奇想、天を動かす (光文社文庫)
島田荘司奇想、天を動かす についてのレビュー
No.55: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

幽霊刑事の感想

関西弁の登場しない有栖川有栖さんの作品は初めて読みました(笑

黒幕はさておき、被害者を殺害した犯人が予め読み手に分かっているので、所謂倒叙型作品といえるかも知れませんがちょっと違います。
倒叙型作品によくある犯人視点で犯人の心理状態の変化のトレースが主眼となる物語ではないです。
普通では有り得ない被害者=刑事=幽霊が視点人物として、証拠を追う事が主眼になる作品で一線を画します。
ただ、非現実的な設定で全編通してコミカルに描かれていますので、従来の倒叙型小説の行き詰まる心理戦が好みな方には物足りないかも知れません。


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[新版]幽霊刑事 (幻冬舎文庫)
有栖川有栖幽霊刑事 についてのレビュー
No.54: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

クラインの壷の感想

岡嶋二人の合作最後の作品ですね。
バーチャルリアリティをテーマにした作品です。
この作品が発表されたのは89年だそうですが、何ら色褪せておらず20年以上経った今読んでも全く違和感がありません。
五感の内、視覚と聴覚なら現在も相当なレベルの再現技術があるように思いますが、他はまだまだ再現するに至っていないのではないでしょうか。
つまり、今読んでも、近未来SF小説として成り立っており、作者の先見性の高さには驚かされます。


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クラインの壺 (講談社文庫)
岡嶋二人クラインの壷 についてのレビュー
No.53:
(7pt)

ぼくのメジャースプーンの感想

「罪」と「罰」に対する作者なりの考えを、小学生を隠れ蓑にして、徹底的に吐露したという印象です。


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ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)
辻村深月ぼくのメジャースプーン についてのレビュー
No.52: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

弥勒の掌の感想

失踪した妻を探す教師と、妻を殺された刑事が、それぞれ真相を解明しようとする中で、新興宗教団体の存在とお互いの事件の関連性に気付き、協力して捜査を進めるという物語です。
更に、章毎に交互に視点を変えながら、真相に少しづつ迫っていく構成になっており、読み手の興味をそそる上手い見せ方だと思いました。


▼以下、ネタバレ感想
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弥勒の掌 (文春文庫)
我孫子武丸弥勒の掌 についてのレビュー