■スポンサードリンク
タッキー さんのレビュー一覧
タッキーさんのページへ書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.35pt |
レビュー数230件
閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
探偵ヘンリーメリヴェール卿の魅力が詰まった一冊。冒頭から爬虫類館での冒頭のドタバタの様子は面白く、そこから流れるように密室殺人事件が発生。1940年代の作品ということで、戦時体制下で空爆をうけているため、作品の中でも灯りが漏れないよう灯火管制が敷かれているのが特徴的。トリックや犯人が誰かというよりも、メリヴェール卿の犯人への仕返しが痛快なストーリーでした。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
下巻は最初からノンストップのスリリングな展開。未来を見ることができる能力を持つケインと、その力を解明して自分のものにしようとする研究者と追跡のプロ。ケインを守るナヴァ。このナヴァが本当にカッコいい!確率論の話はよくわかりませんが、それを置いておいても圧倒的な面白さで、息詰まるような展開に目が離せませんでした。ある行動の選択が引き起こす次の出来事。そしてその連鎖、未来を見ることができる能力が使えたら、と考えると楽しくもあり、怖くもあります。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
犯罪小説に似せた連続見立て殺人を追うカミーユのチーム。途中までは普通の展開。でもそれが逆に、このいかにも何かありそうなタイトルで、またこの作者なのできっと何かあるはずと思わせられ、早く読みたくなるという感じで読みました。そして終盤の第二部が始まって早々??という、たまにミステリーで得られるあの感覚。頭の中で理解できるまで少しかかりましたが、よくできているなぁと感心しました。この仕掛けを見れば、結末は最早どうでもいいんでしょうね。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
国名シリーズ第二弾。読んでいてこれも全て伏線なんだろうなぁと楽しく読み進められます。全編伏線に満ちていて、エラリーの理詰めの推理が冴え渡ります。特に最後の60ページで犯人に対して有無を言わさず、論理的に迫っていくこの迫力は圧巻の一言!古典と言われながらも、現在の数多くの作家をも凌ぐ実力であることを痛感。ただこの作品で唯一、残念なのは犯人のインパクトが薄いこと。それ以外は満点の出来に感じました。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
冷戦下でのアメリカとソヴィエトの両大国の意地の張り合いの攻防が、リアルによく表現されていて、なるほどベストセラー作家ということが、何となく分かりました。特に終盤は潜水艦同士の行き詰まる攻防。相手の潜水艦の居場所の探り合い、そして探知して魚雷まで発射するという、まさに緊迫の展開。でもやっぱり登場人物が多すぎて、最後まで何がなんだか分からない印象が残念に思いました。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
4つの短編集でそれぞれに有名な画家が登場し、特に印象派と言われる画家を中心に、その周囲の人たちを取り上げています。まるで外国人作家が書いたかのような雰囲気と柔らかいタッチの文章で、なんとも言えない落ち着いた静寂とした余韻の残る物語ばかり。ここに出てくる全ての作品を見たくなり、思わずネットで調べてしまいます。どれも良かったのですが、強いて言えばやはり表題作!画家モネと助手を務めたブランシュ。そしてその家族。なんとも言えない関係で、すっごく温かい気持ちになります。もっと他の画家バージョンの作品が読みたいっ!て思いました。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
今年の一月か二月ごろの朝日新聞の書評欄で宮部みゆきさんが、早くも今年の最高傑作か、とまで評していた一冊。これは読まなければと思い購入。放火殺人で息子を殺したとして裁判にかけられた母親を巡る法廷ミステリー。一章ごとに、刑事、被告、友人など、視点となる登場人物が変わり、裁判などから、次々と当事者が隠していた秘密が判明していくストーリーは、まるでパズルが解き明かされていくよう。先がすごく気になり、500ページもあっという間でした。最後は、意外な犯人とともに、罪を犯す、そして償うということの重さを考えさせられました。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
贅沢な6つのホラー短編集。全てではありませんが、誰かが体験した怖い話を紹介するという形式。当たり外れは感じたものの、いろんなバリエーションがあって楽しめました。雰囲気的な好みでいうと『湯治場の客』山奥深くの湯治場にやって来た主人公。旅館で偶然知り合った隣の部屋の客と一緒にいる時になぜかどこからか男性の声が聞こえるという体験をするというもの。怖っと思ったのは表題作と『ドールハウスの怪』、どちらも家の中を題材にしたものですが、得体の知れない怖さを堪能できました。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
昭和から平成に変わる時代。ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツを舞台にした物語を読むのは初めてですごく新鮮でした。全編にわたって音楽をキーにしていて、ストーリーは、単身東ドイツにピアノ留学にやってきた主人公と、そこで出会う友人との交流を中心に、秘密警察に監視されながらも希望を見出すため西への脱出あるいは革命を起こそうと試みる人、一方で退廃的な時代の中、音楽をこよなく愛する人たちという絶妙なバランスが印象的でした。ラストはなんとも余韻の残る終わり方。音と人間に溢れた上質な歴史ストーリーを読んだ気になりました。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
島田さんによるホームズもののパスティーシュ。そんな面白くないだろうと、あまり期待せずブックオフで購入。意外と言っては失礼ながら、これが読みやすくて面白い!赤毛連盟から始まり、そこからホームズが麻薬のやりすぎで発狂して病院送りに。主役不在でどうなることかと思えばワトソンが大活躍。中盤からは赤毛連盟で、ホームズが捕まえた悪者三人が脱獄不可能と言われる刑務所から脱獄。脱獄の手法は?そのキーワードがこの本のタイトルで、今作の最大の謎。ホームズの扱いがちょっとかわいそうながらも最後は、やはり名探偵ぶりを発揮。大満足のホームズパスティーシュでした!
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
自宅の窓から、向かいの家の部屋で殺人が行われるのを目撃したイヴとその前夫。いろいろな経緯により、犯人に疑われることになったイヴ。怪奇的な要素もなく、また謎の魅力はカーにしては乏しいものの、事件解決に至る道筋はまさに正統派本格ミステリー。カギを握るのは被害者の側で粉々に壊されていた鍵タバコ入れ。犯人とそこに至る推理を聞けば至ってシンプルながらも納得感も高く、さすがカーと言われるできの良作に思いました。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
五つの短編集。前半の作品は、ホラー要素がありつつも、オチはブラック色の強い作品で、タイトル作は、最初はホラーと思いつつ、比較的ホラー要素は控えめ。タイトル作の琴子と真琴の姉妹がやっぱりいい!その前の赤い服の作品はホラー要素たっぷりでよかったですけど、タイトル作のような、ほっこりくる作品もいいなあと改めて思いました。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
すっごく素晴らしく、あったかい物語。目も見えず、耳も聞こえず、言葉も話せない6歳のれんの家庭教師に選ばれた安。出会った当初は、獣同然。れんの無限の可能性を信じて必死に教える安の姿に胸を打たれるとともに、変貌を遂げていくれんの様子もまた素晴らしく、中でもれんと吉右衛門の出会いのシーンは特に感動的。一方で日本の古い田舎の体面を気にする家の制度や娘に対する家族の様子は読んでいて、なんだか身勝手に感じました。物語はれんが大きくなる姿までは書かれてなく、最後は飛んで、お婆ちゃんになっていたので、それが残念でもあり、なんとも感慨深くもあるところ。さすが原田さんの素晴らしい作品でした。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
特徴的なのは最後の70ページが袋とじ。『この後意外な展開が待っています。ここまで読んで面白くなければ、開けずに返品してください』と、見るからに絶対に面白いと思わせる仕掛け。殺人罪の裁判を現在に据えて、章ごとに過去の経緯と現在の裁判に切り替えながら進んでいくストーリー。裁判では誰が被告になっているかが隠されているため、過去編が気になって読んでしまうという仕掛けが秀逸。袋とじは開けると早々に確かに意外な展開が!ただもう少し最後の捻りが欲しかったなぁと思いましたが、この作者の他の作品も読んでみたいと思いました。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
大好きな柚月さんの作品。タイトルが面白くてどんな内容か全く知らないまま購入。あらすじを知らなくても、この人の作品というだけで買わされてしまう作家ってやっぱりすごい。あらゆるトラブルを解決する上水流事務所。詐欺や野球賭博、賭け将棋などで騙されたので助けて欲しいという依頼に対し、涼子とその助手の貴山が解決していく短編集。話のテンポもよく、また解決も実に鮮やか!読んでいてとにかくスカッとします。こういう本は、昔の必殺仕事人的な感じで、気軽に安心して読めます。また、貴山がクールでカッコいい。IQ140ってとにかく羨ましい。柚月作品にハズレなし!今回もその通りでした。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
最終巻でも面白さは、いい意味で変わらず。謎を解くのがパズルのようで、黒幕の意外性、家族にまつわる謎、そして最後のエピローグと、最後の最後まで、飽きずに読むことができました。もっとキリスト教の歴史や基礎知識があればもっと楽しめたのでしょうが、知らなくても楽しめる本書のバランスは抜群のでき!最後のエピローグの場所は、昔行った場所ですが、実際にもう一度行きたくなりました。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
今回もお約束のどんでん返しが全く予想もできない展開でありました!そうくるかぁと思わず唸らされます。二つの事件を取り扱いながら、一つ目の犯人逮捕も鮮やかな展開で、さらにその後に待っているもう一つの事件の結末という展開。あきることないストーリーでした。そしてさらにさらに、子どもの問題、そして最後にダンスの問題。まさに怒涛の終盤!ダンスの恋人のジョン、すっごくカッコいいです!こういうのはいかにもアメリカ的だなぁと思いました。まだまだ、このシリーズ書いて欲しいっ!
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
いやぁ怖い。この作者の創造力と表現力。一つの家を巡って起こる怪異を取り上げた連作短編集かと思いきや、違いました。ひとつの章を読み終わると次の章はどうくる?あーそこに戻るかぁ、楽しみ♪と思いながら読んでいるうちに、だんだんと一つのストーリーに収斂されるというパターンの作品。時間軸が二つなのがミソ。そして解説はなんと?!三津田さん。文章の力でこれだけ目に浮かぶように表現されていて怖かったです。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
面白くて夢中で読みました!殺人の時刻に一緒に過ごしていた女性。自らのアリバイを証明してくれるはずなのに、何故か誰も見ていない。でも自分の記憶では一緒に過ごしていた記憶が。謎の掴みはバッチリ。この謎を作者はどうまとめるのか?ワクワクして読みました!訳も上手くすっごく引き込まれ、もう途中からはこの本の結末も知らないうちに、この作家の他の作品も読みたくなるほど。そしてこの犯人!凄い伏線の張り方です。さすが名作ミステリーと言われる実力の書でした。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
クイーンの名作、耳の聞こえない元舞台俳優ドルリーレーンものの一作目、面白くて昔夢中になって読んだのを覚えてますが、内容は例によってすっかり忘れていますので、新作のように楽しめました。連続殺人事件ですが、一つ目の殺人から、レーンは犯人に当たりをつけつつも、第二、第三の犯行が。この辺りはわかっているなら早よ捕まえろよ、とツッコミたくなるところ。でも、最終幕のレーンが種明かしする『舞台裏』を読めばそれも納得。そこでの犯人に迫っていく論理は、全ての伏線が見事に回収される圧巻の推理。なぜ気づかなかったんだろうと自分で情けなくなるほど。『メインテーマは殺人』が本格ものと言われていて確かに面白いのですが、クイーンはそれ以上のものを連発している作家だということを改めて再認識させられた名作でした
|
||||
|
||||
|