千年の黙 異本源氏物語

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千年の黙 異本源氏物語の評価:

4.08/5点 レビュー 26件。 A ランク

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平均点4.08pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全34件 21〜34 2/2ページ
No.14
(4pt)

大きな謎

これが処女作ですか。見事な出来栄えですね。というのはこの3篇を通して一つの大きな謎が呈示され、あるひとつのストーリーがさまざまな登場人物の描写と時代の経過を伴って見事に完結しているからです。
小さなエピソードはすべて原作(紫式部日記や枕草子)から持ってきたものです。猫のエピソードもそうです。一瞬、これはいわゆる猫本かなとの印象も与えますが、猫は残念なことにすぐに背景に退いていきます。そして前面に出てくるのが、式部の創作活動を取り囲む次代の風景です。式部とあてぎというホームズ・ワトソンのパターンは平凡なものです。そして「上にさぶらう御猫」の謎とき自体も必ずしも目新しいものではありません。むしろこの舞台と雰囲気の描写が見事なのです。
作品は、時系列的に3つに分かれます。時代は15年以上にわたって流れていきます。この3篇の中でも2番目の「かがやく日の光」が見事な出来栄えです。ここで呈示される謎はスケールの大きなものです。そしてそこにかかわってくる人物たちの意外な素顔も見事な解釈です。最後の3篇目では、2編目の犯人に対する意趣返しが中心となります。最後は式部が亡くなってしまった後の時代が舞台となります。でもこれじゃ、続編が書けないぜ。
千年の黙―異本源氏物語 Amazon書評・レビュー: 千年の黙―異本源氏物語より
4488023789
No.13
(4pt)

大きな謎

これが処女作ですか。見事な出来栄えですね。というのはこの3篇を通して一つの大きな謎が呈示され、あるひとつのストーリーがさまざまな登場人物の描写と時代の経過を伴って見事に完結しているからです。
小さなエピソードはすべて原作(紫式部日記や枕草子)から持ってきたものです。猫のエピソードもそうです。一瞬、これはいわゆる猫本かなとの印象も与えますが、猫は残念なことにすぐに背景に退いていきます。そして前面に出てくるのが、式部の創作活動を取り囲む次代の風景です。式部とあてぎというホームズ・ワトソンのパターンは平凡なものです。そして「上にさぶらう御猫」の謎とき自体も必ずしも目新しいものではありません。むしろこの舞台と雰囲気の描写が見事なのです。
作品は、時系列的に3つに分かれます。時代は15年以上にわたって流れていきます。この3篇の中でも2番目の「かがやく日の光」が見事な出来栄えです。ここで呈示される謎はスケールの大きなものです。そしてそこにかかわってくる人物たちの意外な素顔も見事な解釈です。最後の3篇目では、2編目の犯人に対する意趣返しが中心となります。最後は式部が亡くなってしまった後の時代が舞台となります。でもこれじゃ、続編が書けないぜ。
千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫)より
4488482015
No.12
(5pt)

創元推理文庫らしい快作

紫式部を探偵役にした日常の謎作品です。中編の分量の作品が二作、後日譚が一作の2.5部構成。ちょっと格調高い感じと伏線の張り方が「ああ、創元ごのみだなあ」と思わせます。

当時、宮中に猫が参内していたことは有名ですが、その猫が失踪したという事件が第一部、源氏物語を献上したところ原稿の一部が失われしまったという事件が第二部。王朝ものというと難しそうですが、当時の生活・風習はともかく、探偵役とワトソン役二人に現代的な性格が与えられていて、するすると読めます。ライバルたる清少納言もおっかないおばさんとして登場(とはいえ、オニババにとどまらない所がまたいいのです)。

この作品は、蓮っ葉な猫好きとして登場したワトソンが育っていく「女の愛と生涯」を描いた作品としても読めますし、「第二の性」に属する紫式部が「作家性」に目覚める過程を描いた作品としても読めます。また、日常の謎の背景には当時の権力抗争があり、弱い立場に立たされた女性や部下たちが自分を守っていこうとする物語ともなっており、単なるほんわか推理に留まらない作品に仕上がっています。
千年の黙―異本源氏物語 Amazon書評・レビュー: 千年の黙―異本源氏物語より
4488023789
No.11
(5pt)

創元推理文庫らしい快作

紫式部を探偵役にした日常の謎作品です。中編の分量の作品が二作、後日譚が一作の2.5部構成。ちょっと格調高い感じと伏線の張り方が「ああ、創元ごのみだなあ」と思わせます。
当時、宮中に猫が参内していたことは有名ですが、その猫が失踪したという事件が第一部、源氏物語を献上したところ原稿の一部が失われしまったという事件が第二部。王朝ものというと難しそうですが、当時の生活・風習はともかく、探偵役とワトソン役二人に現代的な性格が与えられていて、するすると読めます。ライバルたる清少納言もおっかないおばさんとして登場(とはいえ、オニババにとどまらない所がまたいいのです)。
この作品は、蓮っ葉な猫好きとして登場したワトソンが育っていく「女の愛と生涯」を描いた作品としても読めますし、「第二の性」に属する紫式部が「作家性」に目覚める過程を描いた作品としても読めます。また、日常の謎の背景には当時の権力抗争があり、弱い立場に立たされた女性や部下たちが自分を守っていこうとする物語ともなっており、単なるほんわか推理に留まらない作品に仕上がっています。
千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫)より
4488482015
No.10
(4pt)

謎は源氏物語の中に

源氏物語や平安時代の貴族についての知識があるほど、面白みが深まる小説。知らなくても面白いが、知っているほうが面白い。

のちに紫式部と呼ばれる女性を主人にいただく「あてき」という名の少女が最初の主人公だ。
けして大貴族ではない、大貴族に仕える中貴族の家の中から「上にさぶらふ御猫」は始まる
「かがやく日の宮」はそれから数年、幻の第二帖をめぐる物語。そして、その結末をつける「雲隠」。
物語の比重は徐々にあてきから紫式部本人へと移り、源氏物語そのものの成立であったことを最後に思わせられる。

書いたものを手放さなくてはならない、作り手の不安と覚悟がひしひしと伝わる。歴史上の記録を踏まえつつ、時代を超えて人々が生き生きと浮かび上がってくるところが面白い。
個人的には、謎解きよりも、少女たちの成長、女性の生き方を楽しんだ。特に、あてきと岩丸の初々しい恋のあたりが魅力的。
物語の姫君にはない生き様を、物語の中で少女たちが選んでいく。選ぶ自由があったのは、妃がねとなるような大貴族の姫君ではなかった。
千年の黙―異本源氏物語 Amazon書評・レビュー: 千年の黙―異本源氏物語より
4488023789
No.9
(4pt)

謎は源氏物語の中に

源氏物語や平安時代の貴族についての知識があるほど、面白みが深まる小説。知らなくても面白いが、知っているほうが面白い。
のちに紫式部と呼ばれる女性を主人にいただく「あてき」という名の少女が最初の主人公だ。
けして大貴族ではない、大貴族に仕える中貴族の家の中から「上にさぶらふ御猫」は始まる
「かがやく日の宮」はそれから数年、幻の第二帖をめぐる物語。そして、その結末をつける「雲隠」。
物語の比重は徐々にあてきから紫式部本人へと移り、源氏物語そのものの成立であったことを最後に思わせられる。
書いたものを手放さなくてはならない、作り手の不安と覚悟がひしひしと伝わる。歴史上の記録を踏まえつつ、時代を超えて人々が生き生きと浮かび上がってくるところが面白い。
個人的には、謎解きよりも、少女たちの成長、女性の生き方を楽しんだ。特に、あてきと岩丸の初々しい恋のあたりが魅力的。
物語の姫君にはない生き様を、物語の中で少女たちが選んでいく。選ぶ自由があったのは、妃がねとなるような大貴族の姫君ではなかった。
千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫)より
4488482015
No.8
(4pt)

メイキング オブ 源氏物語

源氏物語はマンガでしか読んだことがないし、「かかやく日の宮」という幻の巻のことについても知らなかったけど、興味深く読めました。個人的には前半の帝ご寵愛の猫が消えるという「上にさぶらふ御猫」の話が好きです。
 紫式部に仕える少女「あてき」の恋。その片思いの相手「岩丸」少年の高貴な人へのかなわぬ恋。それから時の権力者「藤原道長」の陰謀。これらが猫消失の事件と絡む。
 「あてき」や「岩丸」がこの事件をきっかけに、子供時代に終わりを告げ旅立っていく感じがほろ苦くせつなくて、そこがなんとなく好きです。
千年の黙―異本源氏物語 Amazon書評・レビュー: 千年の黙―異本源氏物語より
4488023789
No.7
(4pt)

メイキング オブ 源氏物語

 源氏物語はマンガでしか読んだことがないし、「かかやく日の宮」という幻の巻のことについても知らなかったけど、興味深く読めました。個人的には前半の帝ご寵愛の猫が消えるという「上にさぶらふ御猫」の話が好きです。
 紫式部に仕える少女「あてき」の恋。その片思いの相手「岩丸」少年の高貴な人へのかなわぬ恋。それから時の権力者「藤原道長」の陰謀。これらが猫消失の事件と絡む。
 「あてき」や「岩丸」がこの事件をきっかけに、子供時代に終わりを告げ旅立っていく感じがほろ苦くせつなくて、そこがなんとなく好きです。
千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫)より
4488482015
No.6
(4pt)

紫式部探偵もなかなか面白い

『源氏物語』と関わるミステリーとしては、岡田鯱彦『薫大将と匂の宮』(扶桑社文庫)、長尾誠夫『源氏物語人殺し絵巻』(文春文庫)が有名ですが、この本の収録作品「かかやく日の宮」は、『源氏物語』の成立論とかかわる点で上記2作品とは趣を異にします。『源氏物語』成立論に関する予備知識がないと、読むのはちょいときびしいかもしれませんが、多少とも知識があれば面白く読めます。実在の人物の描き方も無理はないし、道長や彰子など魅力的に書かれています。紫式部が探偵というのも納得できます。
千年の黙―異本源氏物語 Amazon書評・レビュー: 千年の黙―異本源氏物語より
4488023789
No.5
(4pt)

紫式部探偵もなかなか面白い

『源氏物語』と関わるミステリーとしては、岡田鯱彦『薫大将と匂の宮』(扶桑社文庫)、長尾誠夫『源氏物語人殺し絵巻』(文春文庫)が有名ですが、この本の収録作品「かかやく日の宮」は、『源氏物語』の成立論とかかわる点で上記2作品とは趣を異にします。『源氏物語』成立論に関する予備知識がないと、読むのはちょいときびしいかもしれませんが、多少とも知識があれば面白く読めます。実在の人物の描き方も無理はないし、道長や彰子など魅力的に書かれています。紫式部が探偵というのも納得できます。
千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫)より
4488482015
No.4
(4pt)

紫式部の巻き込まれた些細な事件、だが、その後ろには・・・?

平安の都を舞台にし、紫式部が主人公、その上ミステリーとあればそれだけで読書欲をそそるというもの。
 中宮定子が出産のため退出されていた中宮御所で帝ご寵愛の猫が消えるのが第一部、第二部は、その数年後、源氏物語十一帖を彰子中宮に献上した式部は、その写本が世に出ると共にその一帖「かかやく日の宮」が失われていることに気づく。いったい誰が持ち去ったのか・・・。
 そのいずれの事件にも、時の権力者・藤原道長の影が・・・。
そして、あれほど宮仕えを拒んでいた式部だったが、彰子中宮の元へ出仕を決意する。
 式部に仕える小少将やその友達の小持従など登場人物も多彩でおもしろかったし、式部の道長への復讐もニヤリとさせられる。が、時代背景の説明がもう少しあれば、容易に平安朝へ没入できたのではないかとも思った。
千年の黙―異本源氏物語 Amazon書評・レビュー: 千年の黙―異本源氏物語より
4488023789
No.3
(4pt)

紫式部の巻き込まれた些細な事件、だが、その後ろには・・・?

 平安の都を舞台にし、紫式部が主人公、その上ミステリーとあればそれだけで読書欲をそそるというもの。 中宮定子が出産のため退出されていた中宮御所で帝ご寵愛の猫が消えるのが第一部、第二部は、その数年後、源氏物語十一帖を彰子中宮に献上した式部は、その写本が世に出ると共にその一帖「かかやく日の宮」が失われていることに気づく。いったい誰が持ち去ったのか・・・。 そのいずれの事件にも、時の権力者・藤原道長の影が・・・。そして、あれほど宮仕えを拒んでいた式部だったが、彰子中宮の元へ出仕を決意する。 式部に仕える小少将やその友達の小持従など登場人物も多彩でおもしろかったし、式部の道長への復讐もニヤリとさせられる。が、時代背景の説明がもう少しあれば、容易に平安朝へ没入できたのではないかとも思った。
千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫)より
4488482015
No.2
(4pt)

千年前にタイムトリップしてみたら

『かかやく日の宮』
源氏物語の「桐壺」と「若紫」の間に存在したとも推測される巻。
貴人ご寵愛の猫失踪事件は、源氏物語の作者紫式部と彼女が書き続ける物語にも影を落としていきます。源氏物語を深く知らなくても、雅なミステリとして楽しく読めました。
安楽椅子探偵は紫式部、助手は式部に仕える「あてき」という少女といったところでしょうか。この二人を軸に、権力者の姿や宮廷の華やかさを散りばめつつ、ほのぼのした夫婦愛や瑞々しい初恋、男女のしたたかさなど、現代と変らぬ人の姿と心が描かれているのも魅力です。
それにしても、『かかやく日の宮』。もし本当に存在したとすれば、どんなエピソードが書かれていたのか。気になるところです。
タイムトリップして確かめたいような。
千年の黙―異本源氏物語 Amazon書評・レビュー: 千年の黙―異本源氏物語より
4488023789
No.1
(4pt)

千年前にタイムトリップしてみたら

『かかやく日の宮』源氏物語の「桐壺」と「若紫」の間に存在したとも推測される巻。貴人ご寵愛の猫失踪事件は、源氏物語の作者紫式部と彼女が書き続ける物語にも影を落としていきます。源氏物語を深く知らなくても、雅なミステリとして楽しく読めました。安楽椅子探偵は紫式部、助手は式部に仕える「あてき」という少女といったところでしょうか。この二人を軸に、権力者の姿や宮廷の華やかさを散りばめつつ、ほのぼのした夫婦愛や瑞々しい初恋、男女のしたたかさなど、現代と変らぬ人の姿と心が描かれているのも魅力です。それにしても、『かかやく日の宮』。もし本当に存在したとすれば、どんなエピソードが書かれていたのか。気になるところです。タイムトリップして確かめたいような。
千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫)より
4488482015