嘘でもいいから殺人事件
評判
嘘でもいいから殺人事件の評価:
4.29/5点 レビュー 7件。 E ランク
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1〜13 1/1ページ
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嘘でもいいから殺人事件の評価:
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
『島田荘司全集 II』のあとがきには、それについても触れられていて、174ページには、『いきなり作風が変わって社会派風が二作と、あろうことか、ユーモア体裁の作も二作並んでいる。・・・・しかしフィールドの玄人筋の反応は、特殊性では済まなかった。こうなったのはそれなりに理由があったのだが、これは取りようによっては異様なまでに人を食った話にも見えて、評価不能、つまり論評のための定型文脈の不存在で、その筋を鼻白ませたりもしたのだろう』とある。
島田荘司としては、自信を持って世に出した『占星術殺人事件』が乱歩賞を逃し、講談社からは冷たくされ、作家として生き残るために必死であったが故の作品が、『フィールドの玄人筋』に叩かれる。散々である。しかし、実際に『占星術殺人事件』は日本のミステリー史上の最高傑作の一つであることは間違いなくて、それを乱歩賞にすら選出できなかった『フィールドの玄人筋』がダメなのであって、『乱歩』が何者であるかすら理解していなかった。松本清張に代表されるようなモノがミステリーの本道だと考える思考回路そのものが間違っていたのだ。
これは、現在でもある。恩田陸の『蜂蜜と遠雷』が、『ユウジ・フォン=ホフマンというピアノ演奏の大家が、風間塵を見出し養蜂の旅に付いてまで指導した』となっていて、クラシックの世界の大家というのは、自分自身の芸術の完成に全ての時間を費やしているヒトであり、そういうアーティストが『養蜂の旅にまで付いていって指導した』という発想がもうありえない、こんなことを小説家として書く事自体が、はっきり言って、滑稽でしかない。 にもかかわらず、そんな内容のこの作品が第156回直木三十五賞と第14回本屋大賞をダブル受賞したことは、日本という国のレベルがいかに低いかを世界に発信してしまったことになる。つまりは、文学界も書店も出版社も、この滑稽さが理解できないということになっている。
そういった状況下でありながら、『嘘でもいいから殺人事件』は明るい。そして、この明るさ・優しさはどこかで触れた感触があるなぁ、と思い返してみると、島田荘司の御手洗潔シリーズの短編集が思い当たる。御手洗と石岡くんとの間にある明るさと優しさの原点はここにある気がする。
そして、こういった散々な環境を乗り越え、島田荘司は完成し、読者は正しく評価した。何よりも世界の読者は正しく評価したのだ。
そういった背景を把握した上で読む『嘘でもいいから殺人事件』は全く違った感じになる。それは完成に向かう作者の絶対に必要だった一作だということなのだろう。