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てのひらの闇
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てのひらの闇の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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藤原伊織さんの本です。 ハードボイルド系統の本だと感じました。 舞台はバブル後の飲料メーカー。主人公はリストラ間際の宣伝部の課長堀江。 堀江は、ヤクザの父を持つものの、それを隠してリーマンしているという、アウトロー系。 プランニングしたCMが評価されているものの、辞職を申し出ている。 そんな主人公のもとに、会社の会長から呼び出しがあり、ある映像を提示される。 人助けをする映像で、それをCMに使えないか、というもの。 違和感を覚えた主人公が調べ始めると、さまざまな事件に主人公が巻きこまれていく…。 とりあえず、主人公はずっと高熱で、だけど頭は良いし、アクションもこなしちゃうし、 聡明な人妻の部下はいるし、 バイクのドゥカティのってる飲み屋のねーちゃん(美人)とも仲良いし、 剣道は強いし、 まるで光源氏をちょいワルにした風情なんですよね。 すべてが完璧というか…。 なんといいますか、バブル臭のするダンディズムがぷんぷんする主人公なんですが、 話自体としては、飲料メーカーから、政界の話、ヤクザの話と、 次々と話がリンクしていく、という面白さはあるのですが、 最期はややこしい人間関係の話におちついていって、 なんか、こういうのって、どっかで読んだことあるなぁ…なんか、大沢在昌っぽいなぁ、と思っちゃいました。 まあ、時間潰しには良いかもしれませんが、読み終わった後に、何も残っていない小説ですね。 | ||||
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作者得意のハードボイルドものです。 主人公は意外なことに企業戦士です。突然の解雇から、変な事件に巻き込まれます。 作者は東大出身で、電通に入社されていますが、1970年代の学生紛争とこの経歴が背景にあると思います。 テロリストのパラソルが有名ですが、この作品も負けていないと思いました。 また、吉川英治文学賞受賞作である奥田英朗のオリンピックの身代金や、横山秀夫の出口のない海のボレロのマスターが思い出されました。 時々見られるありえない設定(高熱でありながら盛んに動き回って事件を解決していく)や、さらりと目にした登記簿から見事に裏を読んでいく、親がヤクザの親分もありますが(セーラー服と機関銃ってか)、それぐらいは小説では許されるでしょう。 最後の方は展開がなくて、残念ながらしりすぼみな感じがします。 40代の少しくたびれたサラリーマンにオススメです。 | ||||
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飲料会社宣伝部課長・堀江はある日、会長・石崎から人命救助の場面を偶然写したというビデオテープを渡され、これを広告に使えないかと打診されるが、それがCG合成である事を見抜き、指摘する。その夜、会長は自殺した!!堀江は20年前に石崎から受けたある恩に報いるため、その死の謎を解明すべく動き出すが…。 | ||||
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「テロリストのパラソル」という衝撃的な作品で「デビュー」(?)した作家に私は、興味を持った。 しかし、「テロリストのパラソル」が「20年後の事件」であるのに対し、この作品は、「20年前の事件」を出発点としている点ですでに最初の成功作の残滓を引きずっている。 もちろん、その他のプロットや、設定は、斬新であるし、ネタバレにならない程度に書くならば、新しいハードボイルドもしくハピカレストロマンの要素は持っている。でも・・・・出世作に引きずられているという印象は免れない。 51歳にもなると何百冊かの、あるいは何千冊かの本を読んできたが、何人かの作家の(実質)デビュー作の後の対応がその後の作家の将来を決めてしまっているように思う。 この作家には、彼の背負った時代背景や周辺の社会運動を離れた『自由な』作品を望みたい、それが、旅のエッセイであっても、私は、「変節」とは思わない。 自分で自分を規制してしまうことは、「作家」としての自殺と思う。 | ||||
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大企業の会長が自殺した。その真相を探る退職間近の過去のある男と、それに力を貸す部下の女性や酒場の姉弟。大企業と暴力団、そして政治家と暴力団。日本にしか存在しないという「ヤクザ」と呼ばれる人達とは、いつの時代も切っても切れない仲なのか・・・?女性が書いた小説にしては、とてもハードボイルド。後半を過ぎたあたりから、どんどん目が離せなくなる。平凡に暮らしている私には、こんな世界もあるんだ・・・と、ちょっと怖くなった。 | ||||
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昨年2001年放送されたサスペンステレビドラマの原作小説かと思い込んで、読んでみたら暗に相違してハードボイルド系の小説だったのにはやや驚きました。しかも漫画「静かなるドン」のごとき堅気とやくざの両方の世界を歩いていくと聞いてかっこいいかと思いきや主人公の行動が何をしたいのか皆目わかりがたく、些か理解しがたく思え、今一読んでいる間も乗り切れません。勃発した事件も、事件と言えるのかどうか分かりませんが、もしかして推理サスペンスを盛り上げる事態に発展するのかと期待していたら実に淡々とした展開に、其の実態は暴力団が介入したらこんなことになるのであろうかと思わせる程度でした。サスペンスドラマの先入観で推理を盛り立てるような事件は発生しないし、展開も淡々としていまちだったし、読んでしまったのは失敗でした。藤原伊織氏には「テロリストのパラソル」とか有名な小説があるそうなのでそちらの方も先入観なしで読んでみたいです。 | ||||
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この人の文章の上手さは定評あるところですが、その上手さを剥ぎ取ってしまえば、結構ありきたりな元極道の生き様が予想通りに小出しにされてゆくシンプルな物語。いいのかこんな程度でって思う部分もなきにしもあらず。『てのひらの闇』ってぐらいだからその程度の闇で結構という作者の自負か。複雑に入り組んだプロットを組み立てなくても、筆先三寸で面白くしてしまいますよって自信満々で麻雀卓を囲む藤原伊織の姿が目に浮かぶぞよ(^_^;)。 この人の作り出すキャラクターは、確かに心地よいハードボイルドな独白で読者を魅了するが、何だかいつも一緒な感じが付きまとって既視感が支配するのだ。まあ、ハードボイルドな物語って多かれ少なかれそういう感じがありがちかも(^_^;)。藤原伊織だからってことではないのだが、この人の物語には波瀾万丈な展開がさほどないので余計その辺が目立ってしまう。作者も意識して主人公にアウトローな付属品でアクセントを付けておりますが、そういうヤツがサラリーマンやってて牙を隠したまま二十年近くも羊でいられなかったって、当たり前だのクラッカーじゃん(^_^;)。そんな洗練された元極道の隠れキャラが格好良く都合良く立ち上がってくる展開に、上手いなあと唸りつつ、こいつ自分の筆に酔ってるよなあとやっかみ半分…読み進むって寸法だ。 脇役の造形の確かさに感心しきりである。大原のキャラが男連中にはウケがいいのではないかな。こういう部下がいてくれたらルーティンワークな勤続疲労も吹っ飛ぶってもんだよね(^_^;)。バーの姉弟のユニークさもよく練り混まれているし、こういうバーだったら入り浸っちゃうかもしれませぬ。まあ、てのひら程度の闇がこの人の限界だとは思わないけれど、ここら辺から抜け出す新境地が欲しいと個人的には思っておるのだが、この人の売りである文章力を生かすのもこういう設定がしっくりくるからして、イメチェンは難しいような気もするなあ。 | ||||
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