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空を見上げる古い歌を口ずさむ
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空を見上げる古い歌を口ずさむの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.48pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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異色ミステリ?ダークファンタジー?とジャンル分けが難しい著者のデビュー作にしてメフィスト賞受賞作。 小学生の息子が突然、人の顔を認識しなくなった。戸惑う主人公と、その妻。そんな中、20年音沙汰がなかった主人公の兄が訪ねてくる。主人公は気がついていなかったが、兄は、息子と同様、少年の頃に突然、人の顔が認識できなったことを打ち明ける。そして、家族と暮らした地方都市で起きた悲惨な出来事を語り始めるのだった。 そこから、相貌失認の主人公の兄が主役となり物語は進む。突然行方不明となった友達、交番で拳銃自殺を遂げた警官、突発的な暴力衝動に駆られる者…。人を見分けられない兄の周りでおかしな事が多発し始める。本作品は、兄が犯人を目撃した(犯人の顔は見分けられないのだけど)拳銃自殺事件の謎解きがメインか…と思いきや、そうは単純ではない。 兄が顔を認識できる者たちが現れ、徐々に兄に課せられた大いなる(!)使命が判明していく…という展開だ。クライマックスでは、主人公のその後の生き方を決定付ける出来事が起きる。タイトルから想像する甘酸っさは、なるほどこういうことか。著者と世代が同じゆえノスタルジーには浸れた。 単なる謎解きではないのは良いとして、随分、違う方へ持って行かれた感がある。 【メフィスト賞】 | ||||
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設定は、小さな町で連続殺人事件が起きて、犯人を捜すというミステリー。しかし、作者の自伝的要素を含んでいるため、妙な生々しさがあった。もちろん連続殺人事件などは経験していないだろうが、パルプ町なる町が旭川にあるのを、この小説を読んで初めて知った。大手製紙会社の城下町で、1961年生まれの作者は北海道旭川出身ということなので、パルプ町出身なのだろう。作者の小学生時代の生活≒主人公の小学生時代の出来事が書かれていて、高度経済成長期の日本ってこんなだったんだと勉強になった。同時に、同じ城下町に住んでいて同じ学校に通っていても、本体の製紙工場で働いている家族と子会社に働いている家族とでは、住んでいる社宅の造りや生活レベルが違い、子供同士も学校ではあまり口をきかないなどと、妙に生々しいことまで書かれていた。 | ||||
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小路幸也作品を読むのは今作が初。何の予備知識も持たずに読み始めたので、話の意外な展開に 意表を衝かれてしまった。 作者とは同年齢なので、描いている世界には何とも言えない郷愁を感じたわけだが、そこで次々 と事件が発生していくという展開に、「ミステリーだったのか?」という新鮮な驚き。 でも、収束方法はミステリーのそれとは違い、「これは何かの寓話なのか?」とも思った。 氏のデビュー作ということで、粗さの目立つ作品だとは思うが、その独特の世界観は大変興味 深かった。 自分なりの解釈としては、他人と違うからといって悲観せず力強く生きて行くこと、周囲に他人 の助けを必要としている人がいるのならば助けてあげる。それが家族ならば尚更といったところか。 | ||||
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「いつかおまえの周りで、誰かが『のっぺらぼう』を見るようになったら呼んでほしい」と 言って、20年前に消えた兄。 その時は意味が判らない予言のようなことばだったけど、ある日突然、凌一はその意味を思い 知ることとなる。 自分の息子彰が、兄の言っていたようになってしまうのだ。 突然人の顔が認識できなくなる、しかもそれがのっぺらぼうだと思うとかなり怖い。 なので、読み進めながらホラーかと思ったけれども、「何故、人の顔がのっぺらぼうに見える のか?」ということを、兄が自らの過去を語りながら淡々と説明する様子は、そうではなく、 どちらかというとミステリィの謎解きを読んでいるように感じられた。 実際に、兄が20年前に消えた理由は、「のっぺらぼうを見るようになった」ことが発端で、 その時に色々な事件が連続して起こっている。 だけど、淡々と語られる兄の昔話は、その事件が解決したことを教えてくれるけれど、それで 終わりではなく、兄にとって皆とは違う人生を歩む始まりであったことを語っている。 なので、これは、途切れることなく脈々と続いている普通には知りえない戦いのお話であり、 凌一の息子・彰がこれからそこに加わることになるかもしれない、はじまりの話です。 | ||||
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「いつかおまえの周りで、誰かが『のっぺらぼう』を見るようになったら呼んでほしい」と 言って、20年前に消えた兄。 その時は意味が判らない予言のようなことばだったけど、ある日突然、凌一はその意味を思い 知ることとなる。 自分の息子彰が、兄の言っていたようになってしまうのだ。 突然人の顔が認識できなくなる、しかもそれがのっぺらぼうだと思うとかなり怖い。 なので、読み進めながらホラーかと思ったけれども、「何故、人の顔がのっぺらぼうに見える のか?」ということを、兄が自らの過去を語りながら淡々と説明する様子は、そうではなく、 どちらかというとミステリィの謎解きを読んでいるように感じられた。 実際に、兄が20年前に消えた理由は、「のっぺらぼうを見るようになった」ことが発端で、 その時に色々な事件が連続して起こっている。 だけど、淡々と語られる兄の昔話は、その事件が解決したことを教えてくれるけれど、それで 終わりではなく、兄にとって皆とは違う人生を歩む始まりであったことを語っている。 なので、これは、途切れることなく脈々と続いている普通には知りえない戦いのお話であり、 凌一の息子・彰がこれからそこに加わることになるかもしれない、はじまりの話です。 | ||||
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我が子から「人の顔がのっぺらぼうに見える」と言われた父は、兄を探して連絡を取る・・・ そこからして、なんだか変な話だという印象を持ちながら読み進めた。 物語は、その兄が幼少の頃起こった出来事を甥に話す、という形で進行する。 回想シーンでは主人公はまだまだ少年であり、ショッキングな事件も起こっていく。 でも、それを「回想」という形ですすめることで物語は淡々と進み、また昭和の時代の独特な雰囲気も手伝って、ほのぼのとした印象さえ受ける。 ミステリーなのかファンタジーなのか、と他のレビュアーさんも書いているけど、両者を足して2で割る感じなんだと思う。 強烈な印象をもつ作品ではないけれど、味のある作品だと思う。 | ||||
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タイトルとか、みんなが「のっぺらぼう」に見えるっつー設定とか、グッとくる要素満載なので期待したんだけど。 流行の三丁目の夕日っつか二十世紀少年風な「あの頃」話が延々続いて。 面白くない訳じゃないけど、いくらなんでも長いな〜いつこれ現在に効いてくるのかな〜と思って一生懸命読んでたら(以下一応自主規制) …イメージ先行の設定倒れで構成ミスって感じです。 設定は、誰かキャラ作りの上手い人に渡せば、ライト伝奇シリーズとかにして再利用できそうだけど……この人はキャラの造詣が薄っぺらくて、 次から次へと出てくるキャラがそれこそのっぺら坊(顔のところに写真じゃなくて設定の箇条書きが貼りついてたりして)状態だったし。 ノスタルジックな雰囲気に浸れる人にはけっこう面白いかもしれないんですが、 自分的には、なんかフルスイング空振り…みたいな一冊でした…。 | ||||
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みんなが「のっぺらぼう」に見える。そんな子供の訴えから始まるファンタジー。 この子供に、伯父が語り始める。自分もそうなんだ、と。 そして、伯父が小学生五年生の頃の話を語る。 この伯父は1963年生まれという設定なので、時は、1974年頃。場所は、パルプ町という町名があるほど製紙工場が圧倒的な存在感を示す町。 1974年といえば、オイルショックの真っ只中。トイレットペーパーが売り切れ、製紙工場もパニックだったろう。そんな時代を背景に、子供達の放課後が活き活きと描き出される。自分も同じ時代を生きた者としてとても懐かしい気分に浸りました。 ファンタジーは「違い者」との壮絶な戦いなのだが、なぜか陰惨さを感じない。 死体探しというグロい探検に出かける『スンタンド・バイ・ミー』という映画が珠玉の青春映画であったように、この作品も優れた青春小説であるに違いない。 | ||||
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第29回メフィスト賞受賞作.最近のメフィスト賞はインパクトに欠ける作品が続いているが,この本も内容的にはちょっとライトな学校の怪談的な話であり,妙にあっさりしていて起伏がないところとが不満である.冒頭で提示される謎,”みんなの顔がのっぺらぼうに見える”は非常に魅力的なのに,その謎の解明にいたるストーリー展開の必然性がもう一つ決定打に欠けている.素材をうまく生かし切れて無いという意味では非常に惜しい作品である.謎がすべて明かされていないこともあり,ひょっとしたら続編が用意されているのかもしれない.この著者への評価は次回作を読んでから下したい. | ||||
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