羊をめぐる冒険

【この小説が収録されている参考書籍】

評判

羊をめぐる冒険の評価:

4.22/5点 レビュー 208件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.22pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全265件 241〜260 13/14ページ
No.25
(4pt)

村上ワールドの始まり

この作品から本当の意味での村上ワールドが始まった、と考えている。
青春3部作の完結編。
といってもこの後に「ダンス・ダンス・ダンス」が発表されて、結果として4部作になる物語の3作目。
始まりは前2作同様の雰囲気で淡々と静かにすすむ。
妻が他の男のところにシケこむことになって、離婚しても主人公の「僕」は動揺しない。
それが自分の知っている男だったとしても。
そして今度は双子ではなく(前作1974年のピンボールでは双子だった)、高級コールガールのバイトをしている耳モデルの女の子がガールフレンド。
いつものように静かに物語は流れていくのかと思いきや、ある日突然大物右翼の代理人と名乗る者が登場するところから話は転がりだす。
問題は、PRの仕事であるパンフレットに使用した羊の写真だった。
その写真は友人の鼠が旅先から送り、「人目につくように」してくれと頼まれた写真だった。
大物右翼の代理人は、「僕」にその羊の調査を命ずる。
従わなければ、生活をメチャメチャにすることくらい簡単だという脅しをつけて。
札束を渡され、猫の「いわし」を運転手に預けて、耳モデルのガールフレンドと一緒に札幌に飛び立つ。
ガールフレンドが選んだホテルはその名も「ドルフィン・ホテル」。
この「いるかホテル」からこの物語は加速度的に展開していく。
耳モデルのガールフレンド。
羊博士。
羊男。
独特の文体と雰囲気を残しつつ、まさしく「冒険」は続く。
読み終わった後もしばらく不思議な余韻が残る名作。
村上春樹の本領はこの作品から発揮される。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.24
(5pt)

良い作品です

良い作品です。文章も良いし、構成的にもバランスが取れていて、破綻していない。
最後まで読みきれば、透明な悲しみで満たされます。
村上さんの作品の中では、上位のものと思います。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.23
(4pt)

初期三部作はノーベル賞の対象外?

 村上のデビュー作「風の歌を聴け」で同じく我々読者の前にデビューしたのが、三階建ての豪邸に住むリッチな"鼠"とジェイズ・バーのオーナーである中国人の"ジェイ"である。ジェイズ・バーは、その後何度か場所を変え、今でも"街"の埋め立てられた海の近くでちゃんとやっている(はずだ)。"鼠"は村上の二作目「1973年のピンボール」で我々の前から消え、本作の最終章に近いところ「羊をめぐる冒険V」で、突然、"僕"と我々の前に現れるのだ。
"鼠"曰く、「これ以上堕ちていく自分を人前に曝したくなかったんだ・・・・・」だと。
"鼠"も"僕"も今や30歳になっている。
ここで、初期三部作は終了する。
 しかし、「羊男」と「羊博士」は、「クリスマス」と「ふしぎな図書館」でまたまた現れるのだ・・・・・。
 佐々木マキ描くところの「羊男」のギャップが大きすぎるのはどう考えたらいいのだろう。
 それとも、「羊男」ないしは「羊博士」なるキャラクターは、何らかの比喩か、そうだとすればそれは何?
 この初期三部作の三冊目を改めて読み返してみると、2008年そして今年2009年の二年連続して、期待されながら、しかし村上がノーベル文学賞が取れなかったその理由がなんとなくわかってくると言ったら・・・・・。
 今、この時期に「1Q84」が圧倒的な興奮を世界中に呼び起こした2009年という今年、この三部作を再読してみるそれなりの価値はあると言ったら・・・・・。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.22
(5pt)

羊を大地で追いかけて

大学時代に出会って,もう25年あまり。
あの頃はあまりにのどかで,北海道に来てしまったら連絡のとりようのない状態なんて当たり前だっただろう。
北海道は今でも広いが,高速道路ができる前は,本当にどこに行くにも遠かったのだ。
そんな北海道の大地で繰り広げられる話。
道産子にとってはうなずけるシーンが多いのだ。
羊男と鼠,そして主人公,耳のモデル。
今でも設定が斬新だし,海外で評価されるのもうなずける。
羊は日本にとって管理された家畜だった。
今では人間が情報に管理されてしまっている。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.21
(3pt)

青春はいつか終わるってことか

 新作1Q84の発表で、村上春樹への関心がバブリーに沸騰している。私は彼の作品のうち、本作をあまり好きではない。連作のキャラクター達が登場するから、好きな人は好きなのだろうが、長い割に楽しめなかった。 固有名詞が一切出てこない作風は、彼の小説の普遍性を演出しているのだろう。そこがややキザな感じがするし、もったいぶった感じがするのだが。人から人へ渡り歩く観念的かつ実存的な「羊」については、いくらでも深読みできるだろうが、共通仮想敵のいない現代日本にとっては決定的な解釈がない。
 これだけ長いが、読後の感想は「青春はいつか終わるってことか」という感じ。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.20
(1pt)

羊雲と鰯雲、サギとキザ

村上春樹の3作目。第1章は、誰とでも寝る女の子がいて、語り手である主人公はその誰とでも寝る女の子と寝て、誰とでも寝る女の子はトラックに轢かれて死んだ。この章はまったく不必要。第2章は主人公が離婚するはめになる話。村上春樹には子供がいないらしいが、この章にもあとのいくつかの章にもその言い訳がましい言葉が何回か出てくる。この物語の登場人物には、村上春樹を除けば、誰にも名前がない。無名だ。誰も名前で呼ばないし誰も名前で呼ばれない。そういう世界だ。それがねらいだって?「百パーセントな耳」(!?)を持った女がでてくるあたりから、話はまったくでっちあげであることがまるわかりの内容になってくる。鯨のペニスの挿話もいらない。平凡、退屈、凡庸といった言葉を多用し、あいかわらずうんざりし、煙草を吸いまくる。あるいはビールをのむ。梅雨は初夏だと勘違いしている。前作までに比べると、苦労して花の名前だとか鳥の声を出しているが、季節感が凡俗なのでどれもちぐはぐ。風景描写は実に下手だ。「世界に対して文句があるなら子供なんて作るな。」だって。やれやれ、いいきなもんだ。第4章からは羊をめぐるインチキ話が延々と続きます。乞う御期待。(下巻に続く)
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.19
(4pt)

独特の口調、リズムに、物語の推理性が加わった傑作

他の方のレビューとかを見ていると、どうも、私は
読む作品の順番を間違えているらしい。
本来は、『風の歌を聞け』、『1973年のピンボール』そして
本作品が一連の登場人物と、その物語らしい。それで、この後は、
『ダンス・ダンス・ダンス』を読む、というのが、正当な順番
だったらしい。
し、しまった。
とりあえず、『ノルウェイの森』に、なんとなく調子が似ている
ような感じだったので、あえての大作『海辺のカフカ』を今回は
辞めて、こっちにしたのだが・・・・。
でも。ま。
やがては、どれも、読むだろうから、順番はいいか。
まだ上巻だけだから、書評を書くのもいかがなものか、
という気もしましたが、でも、文章はおもしろい。
人気があるのも、うなづける。嫌いな人がいるのも、うなづける。
なぜか?
語彙や文章が簡単。簡単な文章で綴っていく「僕」。
音楽や詩のように、日本語のストリームが流れていく感触が
心地よいのかもしれません。
でも、ときどき、独特の哲学のような、思想のような、物語の
亀裂、ノイズのような台詞、言葉がどかっと出てくる。
そんなところが人気の秘密なのかもしれません。それはさておき。
この『羊をめぐる冒険』は、物語としても、今のところ、ミステリアスで
読者の興味を引きます。乾いた感性の物語というか、独白、手紙、会話
で成りたっているのは、いつものとおりなのですが、一体、「鼠」が
「僕」に託した、北海道で取られた「羊」の写真に写った、謎の
星型をもつ、存在しえない羊、と日本の闇を牛耳るフィクサーが追い求める
羊との因果関係。
この謎が、結局、僕と彼女を、「鼠」が待つ北海道へと、運命的な旅立ちを
引き起こす。
早く、下巻を読まなくっちゃ。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.18
(5pt)

初めての村上春樹

あなたのことは今でも好きよ、という言葉を残して妻が出て行った。その後広告コピーの仕事を通して、耳専門のモデルをしている二十一歳の女性が新しいガール・フレンドとなった。北海道に渡ったらしい“鼠”の手紙から、ある日羊をめぐる冒険行が始まる。
この本は美容師さんに薦められて読みました。
この本がきっかけで僕は村上春樹の言葉の世界に魅せられてしまった
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.17
(4pt)

ダンスダンスダンスを読んでからでは、ちょっと饒舌すぎるよう

10年ぶりに読んだ。ダンスダンスダンスほど高度資本主義に対する喪失感、あきらめ感がなく、言葉あそびというか、軽妙な文体でテンポよく物語が進んでいく印象を受けた。重力が少し減ったような村上ワールドが楽しめる。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.16
(4pt)

我が青春の文学を48歳にして再読

我々が大学生だった1980年頃は大江健三郎が大御所的な存在であり、村上春樹は村上龍や片岡義男とともに、まだ一部の若者に支持されるだけの不確実な作家だった。あまり知的とはいえない友人に勧められて初めて読んだ時は、ただ軽くドライで気障な文章に拒否反応を起こした記憶がある。
その数年後、もう一度読んだ時に、実は意外に思想的に深くウェットな純文学だということに気付き、以後、すっかり作者の小説世界にはまっていた時期があった。
それから25年の時が流れた。
今、もう一度手に取って読んでみると、自分の青春時代が重なって切なく懐かしいけれど、決定的に時代が移り変わっていることがわかる。
気障でニヒルな登場人物たちは、重要な場面になるとやたらと煙草を吸っているし(しかもポイ捨て!)、スヌーピーのTシャツを着てしまっていたりする。レコードから流れている音楽はボズ・スキャッグス!ちょっと寒くなってくるような設定だ。今の大学生が読んだら、かなり違和感を感じるのかもしれない。
今、改めて感じたことといえば、彼は我々と同時代の作家ではなく、団塊の世代の代表者だったということだ。学生運動の敗北によって、喪失感を抱えて生きることを余儀なくされ、そんな我が身を嘆きつつ、ドライな次世代の若者に乾いたまなざしを送る、団塊の世代。
この話の中で、何も考えていない清潔で軽い大学生というのは、まさに我々の世代(団塊より一回り下)ということになる。皮肉なことに、村上春樹はこの世代に絶大な支持を受けて育った作家といえるだろう。本人が望んだかどうかは別として、彼は今では高校の教科書にまで載っている、日本を代表する文豪の一人だ。この《羊をめぐる冒険》にしたって、大学の授業で一年かけて講義しても良いような文化史的な小説になってしまった。時代背景、若者の感じ方、考え方の変遷、興味深い歴史的資料にすらなりつつある。
村上さん、思ったよりも女性に対する見方が軽い。妻も、ガールフレンドも、ただの小道具でしかないところが、女性読者としてはちょっとムッとさせられるところです。だから〈僕〉は逃げられちゃったってことなのかな?
ストーリーについては、他の方のレビューを読んでいただければ十分でしょう。
こんな読み方もある、ということですが、内容に対する評価は☆4つ。
基本的な部分では共感、感動できる作品です。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.15
(4pt)

どの程度自由なのか。

この時代設定の1970年代末の時点で、私自身は10代だったし、
刊行された80年代前半では、当然、二十歳一寸過ぎ。
しかし、「僕」と同様、30歳前後に為って見ると、時代背景や世代の違いは
有るものの、
1.昔、特に、学生時代と比べると、思ったよりもリッチに為っていた。
2.それで居て、「自由に生きる」為に、何か知らんが、やけに苦労している。
の2点が、共通点だった。
更に、30歳くらいの時は、世の中の仕組みが大体判っちゃっているから、
少なくとも、自分の働いてきた業界を足場にして、多少の冒険は出来るだろう、
もし、失敗したら、また一からやり直せばいいや、と思っていたりする。
この前半部でのキーパーソン「黒服の男」に、挑みかかるだけの
気概は、「僕」と同様、あの頃の私自身も、有り余るほど持っていた。
いや、正確には「僕」の方は、エネルギーの半分くらいは
「耳のモデルの女の子」に向けられているかも知れないが。
近代日本史、そしてアジア史を突き動かして来た「謎のパワー」に
向かって、「冒険」が始まるッ!!
いや、90年ごろなら兎も角、70年代終わりの、あのシラケきった時代は
こんな荒木マンガのノリじゃ無い。
後半に続く。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.14
(3pt)

。『後日譚』という表現を使わせてもらうとすると、まさにその言葉どおりとなる

村上春樹の『僕と鼠』の俗に言う『青春三部作』の三作目。
比較的短い『風の歌を聴け』と『1973年のピンボール』に比べ、
上下巻があるなど長めの物語である。
しかしこのシリーズと一貫して大きな事件がおきるわけではなく、『僕』を語り部として淡々と日常がつづられていく。
物語性は薄い。
しかしこれはこの作品だけではなくて
前三作も物語としてみるとものすごく薄い。
かといって極度な観念性のある話という感じでもない。
登場人物はすべての象徴であり、凝縮したような存在に感じる。
しかし内容は直接つながっていないとはいえ、
前二作を読んでいないと完全に置いてきぼりをくらう感じである。
もっとも、読んでいたとしても
淡々と流れる日常にただ飲まれるだけであろう。
個人的には『風の歌を聴け』という名作を受ける作品として、
過剰な失敗作ではないのはもちろんの事、成功という感じもしない。
ただし、成功というのがなにを意味するのかは
厳密には定義しがたい。
『後日譚』という表現を使わせてもらうとすると、
まさにその言葉どおりとなる。
実際の物語は下巻からはじまるといってもいい。
だから、とりあえず上巻には★3つ。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.13
(5pt)

再読するほどに味わいが出てくる作品です

 この「羊をめぐる冒険」では、「風の歌を聴け」、「1973年のピンボール」では詳しく描かれなかった、主人公「ぼく」と友人「鼠」の性格や特徴が詳細に書かれ、物語としても引き込まれる仕立てとなっています。
 まるで、音楽を聴くかのように、小説の言葉がはいってきます。
 羊探しの旅のなかで発見する、様々な出来事。それぞれが紡ぎあい小説を、深く味わいのあるものに仕立てています。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.12
(2pt)

私も村上春樹初心者です

上下2巻を読んで感じたことはいまひとつというところ。
喪失感や体の中を風が吹き抜ける感を味あうならいいかも。よく「作品の中の主人公になった感じで・・」とか言うが、最後まで第三者(TVと視聴者)として読めた感じ。
村上ワールドがわからなくて残念です。
いつか分かるときがくるのでしょうか?もう少し彼の作品を読んでみます。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.11
(4pt)

冒険のはじまり

風の歌を聴け、1973年のピンボールが土台の話。
上下巻なので前二作を併せた以上の長編、内容もだいぶ赴きの変わった感がある。
独特の世界観をより楽しませてくれる。
*作品紹介には三部作とあるが2007年現在は四部作。
1.風の歌を聴け2.1973年のピンボール3.羊をめぐる冒険4.ダンス.ダンス.ダンス
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.10
(5pt)

村上春樹初心者が読んでみての感想。

いまや世界の村上春樹だが、
まだ全ての作品を読了したわけではない。
読了したのは、『風の歌を聴け』に続いて、
まだ、2作品目の初心者だ。
『風の歌を聴け』に比べると、
エンタテイメント的な要素が格段に増えたこと、
舞台が変わっていき、飽きさせないことなど、
初心者にも読みやすい作品だ、
登場人物は、読者が「受け入れやすい」形で描かれていると思う。
感情移入、というのとはまた違った感じなのだけれど、
認識しやすい風に、登場人物が描かれている。
奇妙なくらいに身体的特徴が明確であったり、
名前がストレートであったり。
文庫だと、前後編であるのが、また良かった。
前編を読了した後、
後編が読みたくてしょうがない、という気持ちになった。
そんな気持ちを得られることは、幸せだと思う。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.9
(3pt)

羊が象徴するもの

30才になった「僕」は、四年の結婚生活にピリオドをうつも仕事は順調にこなしていた。新しい恋人は完璧な耳を持った不思議な女の子。耳を解放したらって話はよくわかなかったが、妻がいなくなった僕の隙間を埋めていた。
単調な生活から、街を出て放浪する鼠から送られてきた羊の写真がきっかけとなって冒険というのか旅に出る。
背中に星形の印がある羊は人の中に入り込んで支配する。羊としての世界観を実現させることで、付随的に宿主だった人間は社会を支配するも幻想に悩まされるという。羊を探しに人里離れた山小屋にまで来た僕は、暗闇の中で羊に取り込まれることを拒否した鼠と再会した。
前作にも増して非現実的な世界が展開するけれど、相変わらずリアリズムに徹する日常生活の描写のおかげか単なる幻想小説にはとどまらない魅力がある。
「羊」は何なのだろう。野心? そんな単純なものではない。世界そのものかもしれない。いや、羊は羊のままでいいのだろう。頭で考えるだけでなく、心にまで羊が入り込んでくるような作品だった。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.8
(4pt)

村上三大長編のひとつ

「世界の終わり」「羊をめぐる」「ねじまき鳥」を村上三大長編と呼びたいと思います。「罪と×」「悪霊」「カラマーゾフの兄弟」とまでは行きませんが、頑張る村上春樹の頑張る名作長編。
多分この三つの大作は共通して作家が身を持って体験したと思われる60年代から80年代にかけての政治的思想的問題を全共闘世代らしくそれなりに精算してみた?という印象を受けました。「ノルウェイの森」も謂わば彼の青春の後産的傑作?と思われます。
育ちの良い教育のある若者が学生運動の洗礼を受け傷つき、そして生きる道を書く事そして読む事に求めた時、こうした物語というスタイルに辿り着いた。この本にある羊男はこうした村上春樹を100%象徴したよい見本です。「羊の皮を被った傷ついた狼」
それこそが村上春樹の真実の姿ではないかと思います。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.7
(3pt)

ギャグと恐怖との紙一重の存在、羊男

上下二巻。存在するはずのない羊を追いかけて、北海道へ行く話。
前半はわりと普通の都会的な推理小説のノリだが、中盤以降急に
独特の違和感を抱かせる不条理な展開になる。人間の心の奇っ怪でシュールな
部分を淡々とした旅を追いながら直視させられる、といった乾いた展開が
急に別次元の違和感に変化していく不思議な小説。
羊男が出るおかげで、著者独特の甘い過去から一方的に別れを告げられる
ような独特の喪失感が肉感的にわかりやすい。
逆にまず羊男ありきみたいなところも少なくないところが難点か。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122
No.6
(5pt)

多分、深い!

すごい作品です。村上氏の作品は全てまだ読破していませんが、いままで読んだ中で、一番好きです。よくわからなかった所もありますが、深いコメントが、ところどころにちりばめられています。読んだあと、車で夜、逗子のあたりのバーへ入って、ピーナツと葡萄ジュースが飲みたくなりました。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)より
4062749122