玉蘭

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玉蘭の評価:

4.02/5点 レビュー 64件。 B ランク

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平均点4.02pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全80件 41〜60 3/4ページ
No.40
(4pt)

やはり読み応え大

やはり、いつもながらに読み応えがありました。複雑な、人の心の機微の描写において、桐野さん以上の作家さんを私は知りません。
玉蘭 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (文春文庫)より
4167918021
No.39
(4pt)

やはり読み応え大

やはり、いつもながらに読み応えがありました。複雑な、人の心の機微の描写において、桐野さん以上の作家さんを私は知りません。
玉蘭 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (文春文庫)より
4167602083
No.38
(5pt)

実話の交じった秀逸の描写力。大戦前の上海を舞台にしたせつなくも逞しい愛の物語

舞台は中国、広大な土地に咲いた華やかな上海に集まってきた日本人留学生達の閉塞的な関係に辟易する一方、自分の内面の矛盾に自暴自棄になっていく主人公の有子。
そんな彼女の暗い部屋に唐突にあらわれた大叔父の広野質の幽霊が有子をさらに狂わせていく。
物語は有子から質(ただし)とその妻、浪子の切なく、日中戦争前夜の混沌とした時代を描く。あまりの描写の素晴らしさに驚くが、実はこの質という人物は桐野夏生の大叔父で、実在の人物だそうだ。
この女性達の心の機微の緻密な動きは女性作家ならではのもの。
玉蘭 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (文春文庫)より
4167918021
No.37
(5pt)

実話の交じった秀逸の描写力。大戦前の上海を舞台にしたせつなくも逞しい愛の物語

舞台は中国、広大な土地に咲いた華やかな上海に集まってきた日本人留学生達の閉塞的な関係に辟易する一方、自分の内面の矛盾に自暴自棄になっていく主人公の有子。そんな彼女の暗い部屋に唐突にあらわれた大叔父の広野質の幽霊が有子をさらに狂わせていく。物語は有子から質(ただし)とその妻、浪子の切なく、日中戦争前夜の混沌とした時代を描く。あまりの描写の素晴らしさに驚くが、実はこの質という人物は桐野夏生の大叔父で、実在の人物だそうだ。この女性達の心の機微の緻密な動きは女性作家ならではのもの。
玉蘭 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (文春文庫)より
4167602083
No.36
(5pt)

スケールが大きく、幻想的なのに描写がリアル

東京で仕事も恋も上手くいかずに上海へ留学する有子、有子の元恋人の松村、有子の大伯父の質、その内縁の妻の浪子、と4人の視点で物語がすすんでゆく。現代に生きる有子の物語と、70年前の広東と上海を舞台にした質と浪子の物語が時を越えて交錯するという、複雑な構成を取っている。スケールの大きい大河ロマンである上、人物の設定や描写がリアルで、読み始めたら止まらなくなった。
現代に生きる有子は自己との「神経戦」で敗れ、「壊れていく」が、その壊れ方が非常に痛々しい。それとは対照的に、日中戦争を目前にした内戦の中、結核と戦う浪子の生と死が描かれる。浪子に頼まれ安楽死をその手で実行した質は、その後も苦しみ続け、現代に生きる呼吸器科の医師である松村と不思議な邂逅をし、対話する。そして、上海へ有子を追ってきた松村の前へ現れた有子は、現実だったのか夢だったのか、読者の想像次第で色んな解釈が出来るように作られている。
最後は、質の予想外の後半生が描かれる。最後まで展開が読めず、意表をつかれたり、期待を裏切られたりしながら、物語に引き込まれていく。玉蘭のモチーフが幻想的に用いられ、異国情緒にあふれる。男女の心理描写は1級品。
玉蘭 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (文春文庫)より
4167918021
No.35
(5pt)

スケールが大きく、幻想的なのに描写がリアル

東京で仕事も恋も上手くいかずに上海へ留学する有子、有子の元恋人の松村、有子の大伯父の質、その内縁の妻の浪子、と4人の視点で物語がすすんでゆく。現代に生きる有子の物語と、70年前の広東と上海を舞台にした質と浪子の物語が時を越えて交錯するという、複雑な構成を取っている。スケールの大きい大河ロマンである上、人物の設定や描写がリアルで、読み始めたら止まらなくなった。現代に生きる有子は自己との「神経戦」で敗れ、「壊れていく」が、その壊れ方が非常に痛々しい。それとは対照的に、日中戦争を目前にした内戦の中、結核と戦う浪子の生と死が描かれる。浪子に頼まれ安楽死をその手で実行した質は、その後も苦しみ続け、現代に生きる呼吸器科の医師である松村と不思議な邂逅をし、対話する。そして、上海へ有子を追ってきた松村の前へ現れた有子は、現実だったのか夢だったのか、読者の想像次第で色んな解釈が出来るように作られている。最後は、質の予想外の後半生が描かれる。最後まで展開が読めず、意表をつかれたり、期待を裏切られたりしながら、物語に引き込まれていく。玉蘭のモチーフが幻想的に用いられ、異国情緒にあふれる。男女の心理描写は1級品。
玉蘭 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (文春文庫)より
4167602083
No.34
(4pt)

最果てへ

有子は突然現れた叔父の幽霊に聞く。「あなたも共同体からつまはじきされたことがあるの?」「ある。個人として生き抜こうとすると、ぶつかるものは必ずある。」「話して」簡単な話じゃないよ。どこに行っても自分の世界を引きずって最果ての世界に到着する。新しい世界など存在しない、というのはそういう意味だ」「それはよく分からないけど、わたしは孤独だわ」
『柔らかな頬』と同じように、この作品では現実とも夢とも分からない描写に満ちている。そして主人公はここでも最果てに心を持っていくのである。世界の中心に自分がいたという思い出だけを連れて。
胸が潰れる。だけども、小説とはそういうものだ。謎は提示されるが、謎は必ずしも解決されうるものではないのだろう。
玉蘭 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (文春文庫)より
4167918021
No.33
(4pt)

最果てへ

有子は突然現れた叔父の幽霊に聞く。「あなたも共同体からつまはじきされたことがあるの?」「ある。個人として生き抜こうとすると、ぶつかるものは必ずある。」「話して」簡単な話じゃないよ。どこに行っても自分の世界を引きずって最果ての世界に到着する。新しい世界など存在しない、というのはそういう意味だ」「それはよく分からないけど、わたしは孤独だわ」『柔らかな頬』と同じように、この作品では現実とも夢とも分からない描写に満ちている。そして主人公はここでも最果てに心を持っていくのである。世界の中心に自分がいたという思い出だけを連れて。胸が潰れる。だけども、小説とはそういうものだ。謎は提示されるが、謎は必ずしも解決されうるものではないのだろう。
玉蘭 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (文春文庫)より
4167602083
No.32
(4pt)

人の近さと螺旋をつくる営み

上海の湿気と埃混じりの匂いが漂う描写に思わずひき込まれました。恋人と別れ上海に留学した主人公広野有子と、かつて上海で生きた有子の大伯父広野質(ただし)と、有子の恋人松村行生が、異性との近さをどう捉えようとしているのか、描き込んでいます。何度か使われている、どちらが相手としてより良い条件なのかと、相手との距離を「不等号」でしか捉えられないと思われる関係なのか、それらに囚われずに、相手との距離を少しでも縮めることに価値をおいた関係なのか、三者の生き方を、螺旋状にからませながら、書き尽くしています。そして、広野質が有子に伝えた、「新しい場所に足を踏み入れるってことは、良く知っている世界の、実は最果ての地に今いるっていうことなんだ」という言葉は、螺旋を新たに創らんとするメッセージであろうと思います。私は、この書は、ぎりぎりまで、悩み尽くし、落ちる所まで落ち込んだ時に、蘇生するために、まことに有用な書だと読みました。
玉蘭 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (文春文庫)より
4167918021
No.31
(4pt)

人の近さと螺旋をつくる営み

上海の湿気と埃混じりの匂いが漂う描写に思わずひき込まれました。恋人と別れ上海に留学した主人公広野有子と、かつて上海で生きた有子の大伯父広野質(ただし)と、有子の恋人松村行生が、異性との近さをどう捉えようとしているのか、描き込んでいます。何度か使われている、どちらが相手としてより良い条件なのかと、相手との距離を「不等号」でしか捉えられないと思われる関係なのか、それらに囚われずに、相手との距離を少しでも縮めることに価値をおいた関係なのか、三者の生き方を、螺旋状にからませながら、書き尽くしています。そして、広野質が有子に伝えた、「新しい場所に足を踏み入れるってことは、良く知っている世界の、実は最果ての地に今いるっていうことなんだ」という言葉は、螺旋を新たに創らんとするメッセージであろうと思います。私は、この書は、ぎりぎりまで、悩み尽くし、落ちる所まで落ち込んだ時に、蘇生するために、まことに有用な書だと読みました。
玉蘭 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (文春文庫)より
4167602083
No.30
(4pt)

70年の月日と2組の男女

面白おかしく。幽霊から始まったのは苦笑したが、読後と印象は違う。読後感は爽快だった。
 広野有子は全てを捨て、日本から上海に留学した。まずまずの業績を残し夜会社を辞め、元恋人だった松村行生に別れの手紙を送り、日本人寮に住んだ。そして表れた幽霊は大叔父の質。70年前同じ上海での質と浪子の想いが現代を通して交錯する。対照的な男女の織りなすミステリチックでもある恋愛小説。
 桐野夏生と言えば彼女らしい。終わり方が何とも中途半端な小説(有子と行生は決着していない)だからでもあるし、玉蘭という本作の重要なポイントは最後まで貫いている。有子にとってそれは眩しすぎた。質と浪子にとっては、自分たちの花とでも言うのか。それが70年後質の幽霊を出現させるきっかけにもなったのだろうが。
 読み終わっても分からないであやふやな点が多い。おそらく故意だろうし、ミステリーというミステリーでもないから中途半端な終わり方は別にルール違反でもない。故意ならそれはそれで作風である。
 単行本版は、文庫版の後書きによると第六章の行生の内面描写で終わったらしい。文庫版はエピローグ的なものとして質が日本に帰っての事を書いている。文庫の方がいいだろうな。このエピローグ的な内容がないと終わりにくいだろう。中途半端とは言ってもこの終わり方なら納得は行く。だからこそ読後感は爽快だった。
 有子の意思が分かりにくいかな。主人公は、いないに等しいかな。有子と質と言っても無理はないけれど、4人それぞれがそのまま動くのがストーリーの流れ。特に目立った人物は必要ない。4人が書ければいいと言った感じかな。
 
 前作「光源」も異色だったように本作も桐野夏生と踏まえれば異色だ。しかし本作は楽しかった気もする。前者はダラダラとつまらなかったが、本作は違うように思えた。
玉蘭 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (文春文庫)より
4167918021
No.29
(4pt)

70年の月日と2組の男女

 面白おかしく。幽霊から始まったのは苦笑したが、読後と印象は違う。読後感は爽快だった。 広野有子は全てを捨て、日本から上海に留学した。まずまずの業績を残し夜会社を辞め、元恋人だった松村行生に別れの手紙を送り、日本人寮に住んだ。そして表れた幽霊は大叔父の質。70年前同じ上海での質と浪子の想いが現代を通して交錯する。対照的な男女の織りなすミステリチックでもある恋愛小説。 桐野夏生と言えば彼女らしい。終わり方が何とも中途半端な小説(有子と行生は決着していない)だからでもあるし、玉蘭という本作の重要なポイントは最後まで貫いている。有子にとってそれは眩しすぎた。質と浪子にとっては、自分たちの花とでも言うのか。それが70年後質の幽霊を出現させるきっかけにもなったのだろうが。 読み終わっても分からないであやふやな点が多い。おそらく故意だろうし、ミステリーというミステリーでもないから中途半端な終わり方は別にルール違反でもない。故意ならそれはそれで作風である。 単行本版は、文庫版の後書きによると第六章の行生の内面描写で終わったらしい。文庫版はエピローグ的なものとして質が日本に帰っての事を書いている。文庫の方がいいだろうな。このエピローグ的な内容がないと終わりにくいだろう。中途半端とは言ってもこの終わり方なら納得は行く。だからこそ読後感は爽快だった。 有子の意思が分かりにくいかな。主人公は、いないに等しいかな。有子と質と言っても無理はないけれど、4人それぞれがそのまま動くのがストーリーの流れ。特に目立った人物は必要ない。4人が書ければいいと言った感じかな。  前作「光源」も異色だったように本作も桐野夏生と踏まえれば異色だ。しかし本作は楽しかった気もする。前者はダラダラとつまらなかったが、本作は違うように思えた。
玉蘭 Amazon書評・レビュー: 玉蘭より
4022575832
No.28
(4pt)

70年の月日と2組の男女

 面白おかしく。幽霊から始まったのは苦笑したが、読後と印象は違う。読後感は爽快だった。 広野有子は全てを捨て、日本から上海に留学した。まずまずの業績を残し夜会社を辞め、元恋人だった松村行生に別れの手紙を送り、日本人寮に住んだ。そして表れた幽霊は大叔父の質。70年前同じ上海での質と浪子の想いが現代を通して交錯する。対照的な男女の織りなすミステリチックでもある恋愛小説。 桐野夏生と言えば彼女らしい。終わり方が何とも中途半端な小説(有子と行生は決着していない)だからでもあるし、玉蘭という本作の重要なポイントは最後まで貫いている。有子にとってそれは眩しすぎた。質と浪子にとっては、自分たちの花とでも言うのか。それが70年後質の幽霊を出現させるきっかけにもなったのだろうが。 読み終わっても分からないであやふやな点が多い。おそらく故意だろうし、ミステリーというミステリーでもないから中途半端な終わり方は別にルール違反でもない。故意ならそれはそれで作風である。 単行本版は、文庫版の後書きによると第六章の行生の内面描写で終わったらしい。文庫版はエピローグ的なものとして質が日本に帰っての事を書いている。文庫の方がいいだろうな。このエピローグ的な内容がないと終わりにくいだろう。中途半端とは言ってもこの終わり方なら納得は行く。だからこそ読後感は爽快だった。 有子の意思が分かりにくいかな。主人公は、いないに等しいかな。有子と質と言っても無理はないけれど、4人それぞれがそのまま動くのがストーリーの流れ。特に目立った人物は必要ない。4人が書ければいいと言った感じかな。  前作「光源」も異色だったように本作も桐野夏生と踏まえれば異色だ。しかし本作は楽しかった気もする。前者はダラダラとつまらなかったが、本作は違うように思えた。
玉蘭 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (朝日文庫)より
4022643269
No.27
(4pt)

幽霊?と最初は引いたが

全てに絶望して逃げるように中国へ留学した主人公の恋愛と、幽霊となって現れる過去の彼女の遠い親戚。 時代が違えば、場所が違えば・・・しかし恋愛の本質を 作者はみごとに対比させてみせる。
物語は何気ない日常の描写が中心だが、その「普通さ」の中に感情をうまく表現していると思う。 「後日談」的に語られる最終章は不要と思う。 最後に説明をつけなくても伝わるものは、きちんと伝わる。
玉蘭 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (文春文庫)より
4167918021
No.26
(4pt)

幽霊?と最初は引いたが

全てに絶望して逃げるように中国へ留学した主人公の恋愛と、幽霊となって現れる過去の彼女の遠い親戚。 時代が違えば、場所が違えば・・・しかし恋愛の本質を 作者はみごとに対比させてみせる。物語は何気ない日常の描写が中心だが、その「普通さ」の中に感情をうまく表現していると思う。 「後日談」的に語られる最終章は不要と思う。 最後に説明をつけなくても伝わるものは、きちんと伝わる。
玉蘭 Amazon書評・レビュー: 玉蘭より
4022575832
No.25
(4pt)

幽霊?と最初は引いたが

全てに絶望して逃げるように中国へ留学した主人公の恋愛と、幽霊となって現れる過去の彼女の遠い親戚。 時代が違えば、場所が違えば・・・しかし恋愛の本質を 作者はみごとに対比させてみせる。物語は何気ない日常の描写が中心だが、その「普通さ」の中に感情をうまく表現していると思う。 「後日談」的に語られる最終章は不要と思う。 最後に説明をつけなくても伝わるものは、きちんと伝わる。
玉蘭 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (朝日文庫)より
4022643269
No.24
(5pt)

地味だが読む価値のある本

タイトルと内容があまり一致しない。読む前のイメージは、中国が舞台の、中国人と日本人が半分ずつくらい登場する、中国近代史を絡めたストーリーというものだったが、当然というべきか、実際のストーリーは、それとはまったく異なるものだった。
主人公は、広野有子という女性である。彼女は地方から東京の大学に入り、東京の会社に就職した。有子は、地元ではまぎれもない優等生だったが、東京に出て愕然とする。東京で、彼女はありふれた人間の一人にすぎなかった。
三十歳のとき、有子はつきあっていた男と別れ、仕事をやめ、中国語をマスターするために上海にやって来た。新しい世界に飛び込んだつもりだったが、上海の生活は、日本の生活よりももっと閉鎖的な、息苦しいものだった。
有子の生活の中心は語学教室と寮の往復だが、寮内の日本人グループの中で、有子は孤立した存在だった。そんな有子の部屋に、夜中訪れる人が現れた。それは、昔上海で失踪した彼女の大伯父だった。
これは、胸が苦しくなるような、恋愛小説である。
玉蘭 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (文春文庫)より
4167918021
No.23
(5pt)

地味だが読む価値のある本

タイトルと内容があまり一致しない。読む前のイメージは、中国が舞台の、中国人と日本人が半分ずつくらい登場する、中国近代史を絡めたストーリーというものだったが、当然というべきか、実際のストーリーは、それとはまったく異なるものだった。主人公は、広野有子という女性である。彼女は地方から東京の大学に入り、東京の会社に就職した。有子は、地元ではまぎれもない優等生だったが、東京に出て愕然とする。東京で、彼女はありふれた人間の一人にすぎなかった。三十歳のとき、有子はつきあっていた男と別れ、仕事をやめ、中国語をマスターするために上海にやって来た。新しい世界に飛び込んだつもりだったが、上海の生活は、日本の生活よりももっと閉鎖的な、息苦しいものだった。有子の生活の中心は語学教室と寮の往復だが、寮内の日本人グループの中で、有子は孤立した存在だった。そんな有子の部屋に、夜中訪れる人が現れた。それは、昔上海で失踪した彼女の大伯父だった。これは、胸が苦しくなるような、恋愛小説である。
玉蘭 Amazon書評・レビュー: 玉蘭より
4022575832
No.22
(5pt)

地味だが読む価値のある本

タイトルと内容があまり一致しない。読む前のイメージは、中国が舞台の、中国人と日本人が半分ずつくらい登場する、中国近代史を絡めたストーリーというものだったが、当然というべきか、実際のストーリーは、それとはまったく異なるものだった。主人公は、広野有子という女性である。彼女は地方から東京の大学に入り、東京の会社に就職した。有子は、地元ではまぎれもない優等生だったが、東京に出て愕然とする。東京で、彼女はありふれた人間の一人にすぎなかった。三十歳のとき、有子はつきあっていた男と別れ、仕事をやめ、中国語をマスターするために上海にやって来た。新しい世界に飛び込んだつもりだったが、上海の生活は、日本の生活よりももっと閉鎖的な、息苦しいものだった。有子の生活の中心は語学教室と寮の往復だが、寮内の日本人グループの中で、有子は孤立した存在だった。そんな有子の部屋に、夜中訪れる人が現れた。それは、昔上海で失踪した彼女の大伯父だった。これは、胸が苦しくなるような、恋愛小説である。
玉蘭 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (朝日文庫)より
4022643269
No.21
(5pt)

肌で感じる本

上海の活気溢れる風景や学生達のひしめき合う学生楼の
閉鎖感等の息遣い。
この本はあたかも自分もそこにいるかのような錯覚さえ起こさせる。
次々と変わる語り手達にも違和感なし。
様々なシーンの所々に現れる玉蘭の花が印象的。
実際の香りは知らないが確かに匂いを嗅いだ気がする。
2組の恋人を通して男女の分かり合えない様が痛ましくも悲しい。
欲する物は多分同じなのに理解出来ない辛さを肌で感じる。
今までの桐野作品で間違いなくベスト3に入る傑作。
「グロテスク」よりも人の心の深淵が描かれている気がする。
玉蘭 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 玉蘭 (文春文庫)より
4167918021