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転がる検事に苔むさず
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転がる検事に苔むさずの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.45pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全20件 1~20 1/1ページ
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『転がる検事に苔むさず』は、小学館主催の第3回警察小説大賞受賞作である。著者の直島翔氏は、社会部時代に検察庁などを担当した現役新聞記者である。多くの検事や警察官と接し、様々な事件の真相を追ってきた記者の作品だけあって、捜査や取り調べなどの描写にリアリティ感があり、読み応えのある作品に仕上がっている。文章もはぎれが良く、読みやすい。読み始めたら時間を忘れどんどん先へと読み進めてしまい、あっという間に1冊読み終えてしまっていた。 主人公の久我周平検事は、能力が高く真実を求め真摯に事件に向き合う検事であるが、自分の知らないところで検察の派閥争いに巻き込まれて、人事面では恵まれず出世レースから外され、日の当たらぬ部署へ追いやられてしまう。 同僚である猪突猛進タイプでずけずけと物を言う新米女性検事の倉沢ひとみに対しても、優しい眼差しを向けおおらかな気持ちで接し、彼女を検事として育てようとする久我検事の温かな人間性を伺うことができる。まるで彼女の優しい父親か良き兄貴といったところだろうか。 新米検事の倉沢ひとみと久我検事とのやり取りがなんとも言えず面白い。そして、事件の真相を追っていく中で、二人の絆と信頼関係が次第に深まっていく。 登場する場面が多くはないが、主人公久我検事の妻多香子も、口には出さないが夫の真摯な仕事ぶりに理解を示し誇りに思っているのが伝わってくる。夫を温かく包み込むような雰囲気の検事の良き妻である。この妻がいるから、久我検事は安心して事件の真相を求め検事の職務に専念できるにちがいない。 この作品は検事を題材にしたミステリーであるだけでなく、心にしみる人間ドラマが描かれている。 この作品の帯には「柚月裕子さん激賞」と書かれている。この作品を読んでいると、柚木裕子氏の「佐方貞人シリーズ」とどこか似た雰囲気を感じてしまうのは私だけであろうか。 主人公のような真摯な態度で真実を求め地道な努力を重ねている人間が、正当に評価され報われる社会であってほしいと心より願う。 ぜひ続編が出ることを期待したいものである。 | ||||
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それぞれのキャラはとても立っていて最初はとても期待して読み始めたが そのキャラ達をうまく混ぜ合わせていないというか、 それぞれが別のところで頑張っているだけって感じ 盛り上がらない。 最後がなんかつまらない結末で少しがっかり。 でもこれからが期待できる作家だと思う。 | ||||
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昨今の「リアル」といわれるお仕事小説の中には、シリアスなだけで実はそれほどリアルではないものもあり気になっていました。 この作品は、全体の雰囲気は独特のユーモアに包まれていますが、真の意味でリアルな検察小説だと思います。 司法の世界を多少知っている者として、そのような感想を抱きました。 本物です。お勧めします。 | ||||
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拘留 → 正しくは、勾留! 拘留は刑罰(刑法16条)。勾留は逮捕後の身体拘束(刑事訴訟法205条、207条1項、60条)。 p150の直接証拠 → 正しくは、間接証拠! | ||||
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物語の展開は、物足らない。意外性もない。なぜ殺したのか?の理由が薄すぎる。 しかし、久我検事のキャラクターは、今の時代の検事の姿かもしれない。ちょっと無骨で、あえて出世を目指さず、淡々と仕事をこなす。仕事の仕方は優秀と言えそうだ。だからこそ評価する人もいるのだが、主流とはなれない。そして、倉沢検事のポジションが、女房のようで、生き生きしている。 なんと言っても、鹿児島出身の有村巡査。刑事に憧れる。この男も不器用で、真面目だ。話もうまいと言えないが、警察官としては真摯で誠実である。 検事間の暗闘と権力闘争が生々しい。人間を描こうとしているのだが、物語好きな私には、もっと楽しませて欲しいなぁ。 | ||||
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苔むすどころか、ピカピカになりそうな展開 ついつい応援してしまう 私も転がり続けたい | ||||
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情景や心情が目の前に広がるような描写と、二転三転四転するストーリー展開。人間とは何かについて考えさせられつつ、謎解きの魅力に引き込まれていく本格ミステリー……。次回作が楽しみです。 | ||||
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浅草分室に配属された久我検事が、出世争いの確執に巻き込まれながら、新人検事の倉沢や警察官の有村とともに事件の真相に迫っていく物語。 被疑者には真剣に向き合いながらも、出世争いには興味がなく、親父ギャグとお酒が大好きで、大事な時に連絡不能になる久我検事のどこか憎めないキャラクターがよかった。 また、新人の倉沢検事も猪突猛進タイプながらも、思慮深い一面もあり、久我とはよいコンビだったし、有村警察官との関係もどうなるか楽しみだった。 ただ、強盗事件、麻薬密輸事件、死亡事件、警察官暴行事件と様々な事件が入り乱れているにも関わらず、久我と倉沢の緩い空気のせいかどこか緊張感がない展開で、ちょっと物足りなかった。 また、検察官同士の派閥争いも、争いというより一方的に嫌がらせをされている感じで、もう少し検事としての気概を見せてほしかったし、緻密な駆け引きや情報操作なども見たかった。 | ||||
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面白かった。ほろっとさせる場面もあって、感動した。事件小説であり、法曹ドラマであり。捜査官の人生も織り込んで、共感に引き込まれる。登場人物が好きになる。従来のエンタメ小説のカテゴリーで説明するのはむずかしいけれど、こんなことを書ける作家が日本にいたんだなと思った。 | ||||
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検察、検事たる中身が丁寧に説明してあり、よく分かる。 昇進を糧とし、派閥争いをはじめ、検察組織の内情を赤裸々に描いている。 反面、事案の真相を明らかにしていくという検事たる使命感を映し出している。 その一方、ミステリー事件は、小気味好い軽快なタッチで、真相に迫っていく。 また、刑事を目指す若い警官の姿が描かれていて、その奮闘ぶりに、いぶし銀の職人的気質を感じさせられる。 | ||||
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予想以上におもしろかった。出てくるキャラも立っているし、続編をぜひ読んでみたいと思う。 | ||||
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あまり内容について書くとネタバレしそうなので、周辺部分を書きます。それぞれの登場人物の心をしっかり描かれてます。いつでも加害者、被害者になるのかな。加害者に悪意がないだけに・・・・・ 浅草などの街並みが目に浮かび、東京勤務のころを思い出しました。スカイツリー、浅草寺などなど 久我さんが弁護士にならないと言うことは続きがあるのかなと期待します。有村さんと倉沢さんの行方はいかに(笑) | ||||
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新聞社で検察庁担当経験を持つ著者が描く検察ストーリー。 鉄道高架転落事故の真実を摑もうと、ベテラン検事の久我、新人女性検事の倉沢、交番巡査の有村が奔走する。しかし、検察内部の確執が邪魔をしたり、久我が二日酔いで家族や新人の倉沢に怒られたり、有村が倉沢に恋をしたりで、簡単に事は進まない。やがて事件は思わぬ方向に向かっていく。 そんな内容だったが、とにかく面白かった。人間的な検事たちのやり取りが楽しく一気に読み終えた。 | ||||
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この表現は文中に登場しますが、人生の「もし」を進めていくと、ほんとに大切なものを知ることができるという物語です。秀逸なミステリー、ではすまないと思いました。 人物の輪郭は、ほかの方々が称賛しているとおりです。主人公だけでなく、登場人物のLifeをことごとく知り、ifを考えたくなります。 多くの犯罪小説と異なり、「物語」ではないリアリティーは、新聞記者としての経験なのでしょう。語られている検察組織の機構や矛盾は、事実です。 通常、小説のエピローグは歌い終えたメロディの趣がありますが、本作では登場人物が最後までみずみずしく生き、それぞれがさらに新しいメロディを奏でようとしています。新聞社のコラムニストだからでしょうか、「オチ」の余韻までしゃぶりつくせます。 次作を楽しみに待ちます。 | ||||
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検事ものと言えばキムタクか特捜エリートだけど、主人公は子供の万引きとか無線飲食の処理に追われ、嫌な上役の指示に腹を立てても従うことになる一見うだつが上がらないヒラ検事。でも調べは一流。なりたての女性検事と愚直な巡査の3人で不審死の現場から重層的な事件を追う。とにかく捜査や刑事とは違う検事の取り調べ、司法の現場描写がリアル。高価な証拠品の保管手続きまで書いてる。そもそも主人公が区検勤めって、区検知ってる人って警察小説好きでもあんまりいないのでは?著者が新聞記者だからかも知れないけど、余計な修辞がなくて、場面場面が映画的。女性検事と敵役の造形がちょっとステレオタイプだけど、映画と考えるとそれもイイ。誰をキャスティングするかななんて楽しみも。 | ||||
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ザ・ローリング・ストーンズのドラマー、チャーリー・ワッツが亡くなり気落ちする中、街の本屋を巡ったところ、本書と出会いました。国内ミステリーの棚で平積みされていました。タイトルにストーンズの影響を感じとり、小学館の「第3回警察小説大賞」受賞作と紹介されていたので手に取りました。ミステリーはあまり読んだことがないので、その精緻な構築ぶりを評価する自信はありません。しかし、検察の組織をモチーフにした小説としては圧巻のリアリティーです。「区検」に勤務する検事が主人公。東京地検特捜部で活躍するのを現役検察官の頂点とすれば、窓際もいいところ。本作の出だしでも茶化されています。司法試験に通った明晰な頭脳と、「割り屋」(しっかり取り調べて被疑者も納得する検察官調書を作成できる捜査官)であることに誇りをもっています。なのに組織で報われない。そのことに不満も抱いている。中年層ならとても身近に感じられる職人かたぎの検察官です。地道な捜査の末に少しずつ浮かび上がってくる事象からたぐりよせる犯人逮捕への道のりは、現実性が高い。取り扱っている犯行も実際に起きた事件からインスパイアされているようです。突飛ではない展開がかえって怖い。作者は新聞社に勤務しておられるそうで、小学館のサイト「小説 丸」によると、割り屋の検事に取材を通じて学んだ内容をモチーフにしているとのこと。一般には馴染みのない検察庁内の派閥争い(主人公はなぜか派閥のレッテルを貼り付けられて、割を食っている)や手柄の横取り(主人公はここでも割を食う)、冤罪が生み出される構図など、社会正義を実現するための組織でも起こっているであろう出来事がリアルに表現されています。深い取材経験に基づいているのでしょう。私のような中高年読者なら主人公の悲哀が身に沁みて来るでしょう。とはいえ、地元警察署の警察官たちと心を通わせながら(このあたりの検察、警察の距離感の描き方も見事!)事件解決に向けて熱意を失わない。応援したくなります。一貫して平明な言葉遣いで物語をつづっている点も好感が持てます。エンターテインメントミステリーの本質を最後まで失わない構成もしっかりしています。ストーンズの代表曲「(I Can't Get No)Satisfaction」が主人公の心理描写に正しい訳語で効果的に活用されています。満足しました。本作品が長編デビュー作だそうです。「小説 丸」によると、小学館の月間誌「Story Box」では本作登場のキャラのスピンオフ作品が掲載されているとのこと。こちらも目を通してみたいと思います。いい本でした。 | ||||
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検事や警察官の職業人としての熱く真っ直ぐな心意気は、泥臭くて好感しか持てない。 根っからの悪人がいないため、それ故に読後は一抹のやるせなさを感じてしまい、著者の術中に嵌る。 随所に散りばめられた巧妙な伏線が、怒涛の勢いでテンポよく回収される後半に唸った。 数多のスピンオフが出ると嬉しい(特に、倉沢と有村の恋?の行方が気になる)。 ドラマなどの実写化にも期待したい。 | ||||
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主人公は四浪の末、司法試験に合格した検事・久我。そのせいで出世には縁がなく、異動先は地方の支部ばかり。しかし、ひょうひょうとしながらも正義を貫く姿は好感が持てます。脇役も悪役、味方ともに個性豊かで楽しめましたが、個人的にはヤメ検の女性弁護士・常磐のファンです。こんな上司のもとで働きたい。 検察制度は馴染みがなく、人事関係の話は最初戸惑いましたが、読んでいくうちにわかってきました。 肝心の謎解きはちょっと切ない。事件自体も久我の生き方も余韻ある終わり方で、心に残る一冊でした。 | ||||
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検察庁という序列社会のパワーゲームの生々しさが圧巻です。 久我検事は冷遇されているのですが、検察庁内の派閥争いの急所を知っていることから様々な嫌がらせや侮蔑を受けることになります。 事件はセールスマンの遺体が見つかったことから始まるのですが、久我検事の見立てや有村巡査の地道な捜査で密輸や過去の強盗事件との繋がりが浮かび上がってきます。 久我が指導する新人検事倉沢はとある秘密を抱えているのですが、事件に対しては猪突猛進。新人だからというエクスキューズがあるにしても、同じ失敗を繰り返すのはちょっと軽率。 久我も有村も組織内で冷飯ぐらいの立場にあるのですが、周囲に仕事ぶりを評価してくれる上司や同僚がいて、真面目さや愚直さもひとつの才能として描かれています。本庁の検事がそういった美点がゼロなので、それがいっそう際立ちます。 事件の真相は鮮やかな絵解きがなされておらず、余白を多く残しているのでミステリとしてのインパクトは薄いです。 セールスマンもその兄も真面目に生きてきたのに報われない結末はやりきれないものがあります。 検察庁と敵対する元特捜検事でヤメ検弁護士の常磐、有村にチャンスを与えようとする刑事課長の追出、久我と赤提灯で意気投合する本庁検事田中など脇のキャラも魅力的です。 デビュー作がこれだけ厚みのある作品なのですから、次作も期待しています。 | ||||
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