雷の波涛 満州国演義 七

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雷の波涛 満州国演義 七の評価:

4.41/5点 レビュー 17件。 A ランク

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平均点4.41pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全26件 1〜20 1/2ページ
No.26
(2pt)

どうも人物の活動がとって付けた様で、歴史資料の説明になっているとしか思えません。

資料をよく読み込み、なんとか物語の中に組み込もうとしている執筆姿勢は理解出来ます。おかげで、満州事変から満州国成立の謀略の過程が、下手な歴史書以上によくわかりました。実在した様々な人物を登場させているのも新しい発見で参考になります。
 ところが、第6巻は資料を基に物語が展開されておらず、説明臭くなってしまっていました。それと同様にこの第7巻も資料の説明が主体となり、その間に登場人物と事件が、しかも、今までと同じ様な展開で取って付けた様に繰り返されています。言い換えれば資料を説明するため、資料をなぞったぬり絵の様な作品展開となっていると感じるのは自分だけでしょうか?大河小説として五味川純平氏の「戦争と人間」以来の大作と期待していますが、五味川氏の作品が陥ったのと同じ傾向が伺えます。(特に五味川氏の作は2・26事件の巻はひどかったと記憶しています。)そうなると誠につまらない。この巻はいよいよ仏印進駐・真珠湾攻撃から日米開戦に到りますが、シンガポール陥落までの展開が誠に退屈です。歴史資料をなぞっているだけで説明としか思えません。知ったことを総て書かずにはいられない、というノンフイクション作家が陥っていると同様の罠に嵌まっている様で、そうなっては小説としては失敗ではないでしょうか?次郎と三郎を中心にもう少し登場人物を動かすことは出来なかったのか?としか感じられません。
 加えて男は誰もが、やたらと煙草を取り出し燐寸で火をつけ灰皿でもみ消すシーンと、酒を「舐める」シーンは相変わらずで、やたらと会食し飯を注文するシーンが目立ちます。その種類をいちいち書くのはどうしたなのか?週刊誌連載ですから、場をつなぐためでしょうか?ちょっと芸がないのではと感じてしまいます。
 「~ではない・~ではなかった」と書く代わりに「~じゃない・じゃなかった」というくだけた口調の文章は、ここまで続くと、どうもこの作者の性格からくるものらしい様で、依然としてそれだけが違和感を感じます。加えて登場人物が最初はフルネームで紹介されるのですが、主人公の太郎・二郎・三郎・四郎は兎も角、他の人物もすぐに下の名前だけで描かれるのは、誰だったっけ?と前の見返すことがしばしばなのは、自分だけでしょうか?どうしてそういう風に描くのかもはっきりとわかりません。どうもこれらの文体は作者独特のものらしく、それが個性ある文体なのか、ある種の悪文なのか、最終巻を読むまでは判断が出来ませんが、兎も角、ある意味で歴史書として、最近には珍しい大河小説として、最後まで付きあうつもりです。あと残り2巻ですが、次巻以後はもっと面白くなりますように!
雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫)より
4101343268
No.25
(2pt)

どうも人物の活動がとって付けた様で、歴史資料の説明になっているとしか思えません。

資料をよく読み込み、なんとか物語の中に組み込もうとしている執筆姿勢は理解出来ます。おかげで、満州事変から満州国成立の謀略の過程が、下手な歴史書以上によくわかりました。実在した様々な人物を登場させているのも新しい発見で参考になります。
 ところが、第6巻は資料を基に物語が展開されておらず、説明臭くなってしまっていました。それと同様にこの第7巻も資料の説明が主体となり、その間に登場人物と事件が、しかも、今までと同じ様な展開で取って付けた様に繰り返されています。言い換えれば資料を説明するため、資料をなぞったぬり絵の様な作品展開となっていると感じるのは自分だけでしょうか?大河小説として五味川純平氏の「戦争と人間」以来の大作と期待していますが、五味川氏の作品が陥ったのと同じ傾向が伺えます。(特に五味川氏の作は2・26事件の巻はひどかったと記憶しています。)そうなると誠につまらない。この巻はいよいよ仏印進駐・真珠湾攻撃から日米開戦に到りますが、シンガポール陥落までの展開が誠に退屈です。歴史資料をなぞっているだけで説明としか思えません。知ったことを総て書かずにはいられない、というノンフイクション作家が陥っていると同様の罠に嵌まっている様で、そうなっては小説としては失敗ではないでしょうか?次郎と三郎を中心にもう少し登場人物を動かすことは出来なかったのか?としか感じられません。
 加えて男は誰もが、やたらと煙草を取り出し燐寸で火をつけ灰皿でもみ消すシーンと、酒を「舐める」シーンは相変わらずで、やたらと会食し飯を注文するシーンが目立ちます。その種類をいちいち書くのはどうしたなのか?週刊誌連載ですから、場をつなぐためでしょうか?ちょっと芸がないのではと感じてしまいます。
 「~ではない・~ではなかった」と書く代わりに「~じゃない・じゃなかった」というくだけた口調の文章は、ここまで続くと、どうもこの作者の性格からくるものらしい様で、依然としてそれだけが違和感を感じます。加えて登場人物が最初はフルネームで紹介されるのですが、主人公の太郎・二郎・三郎・四郎は兎も角、他の人物もすぐに下の名前だけで描かれるのは、誰だったっけ?と前の見返すことがしばしばなのは、自分だけでしょうか?どうしてそういう風に描くのかもはっきりとわかりません。どうもこれらの文体は作者独特のものらしく、それが個性ある文体なのか、ある種の悪文なのか、最終巻を読むまでは判断が出来ませんが、兎も角、ある意味で歴史書として、最近には珍しい大河小説として、最後まで付きあうつもりです。あと残り2巻ですが、次巻以後はもっと面白くなりますように!
雷の波涛―満州国演義〈7〉 (満州国演義 7) Amazon書評・レビュー: 雷の波涛―満州国演義〈7〉 (満州国演義 7)より
4104623083
No.24
(3pt)

本の形態違い

単行本とうたってあるので注文しましたが、実際はハードブックでした。取り換え依頼しましたが売れ切れとの
ことでした。
雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫)より
4101343268
No.23
(3pt)

本の形態違い

単行本とうたってあるので注文しましたが、実際はハードブックでした。取り換え依頼しましたが売れ切れとの
ことでした。
雷の波涛―満州国演義〈7〉 (満州国演義 7) Amazon書評・レビュー: 雷の波涛―満州国演義〈7〉 (満州国演義 7)より
4104623083
No.22
(4pt)

読後感

読みづらい本だったが、最後まで読み通したので、結局は面白かったと思う。
雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫)より
4101343268
No.21
(4pt)

読後感

読みづらい本だったが、最後まで読み通したので、結局は面白かったと思う。
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4104623083
No.20
(5pt)

すごくきれいな状態

船戸先輩の遺稿ということで気合を入れて読めました。
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4101343268
No.19
(5pt)

すごくきれいな状態

船戸先輩の遺稿ということで気合を入れて読めました。
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4104623083
No.18
(5pt)

望むべくもないが、この大河を映像で味わいたい、

と思うのは私だけではないはず。その反面、極私完結の脳内映像に勝るものを形に成し得る猛者は現れまい、とほくそ笑む片田舎の61歳。
雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫)より
4101343268
No.17
(5pt)

面白かった。

船戸与一さんのこのシリーズが文庫ででたので早速買いました。残念ながらこれで絶筆となってしまいました。もう少し書いて欲しかった。
雷の波涛―満州国演義〈7〉 (満州国演義 7) Amazon書評・レビュー: 雷の波涛―満州国演義〈7〉 (満州国演義 7)より
4104623083
No.16
(5pt)

面白かった。

船戸与一さんのこのシリーズが文庫ででたので早速買いました。残念ながらこれで絶筆となってしまいました。もう少し書いて欲しかった。
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4101343268
No.15
(5pt)

満州事変に成功すると歴史がおかしな方向に回り始めた

「満州事変に成功すると歴史がおかしな方向に回り始めた。陸軍も海軍も自らの組織を増殖させるために米英との戦争を選ぶしかなくなった。ナチスドイツの怒濤の動きを見れば、政治家や外務官僚も冷静になれるはずもなかった」。近衛首相発信の大政翼賛会は軍部主導に。運命づけられていた独ソ戦を読めず、松岡洋右の日ソ独伊四カ国同盟構想が瓦解。南部仏印進駐がアメリカを刺激して対日石油禁輸、石油の確保を巡り海軍と陸軍がそろって米英戦に傾く。
雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫)より
4101343268
No.14
(5pt)

満州事変に成功すると歴史がおかしな方向に回り始めた

「満州事変に成功すると歴史がおかしな方向に回り始めた。陸軍も海軍も自らの組織を増殖させるために米英との戦争を選ぶしかなくなった。ナチスドイツの怒濤の動きを見れば、政治家や外務官僚も冷静になれるはずもなかった」。近衛首相発信の大政翼賛会は軍部主導に。運命づけられていた独ソ戦を読めず、松岡洋右の日ソ独伊四カ国同盟構想が瓦解。南部仏印進駐がアメリカを刺激して対日石油禁輸、石油の確保を巡り海軍と陸軍がそろって米英戦に傾く。
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4104623083
No.13
(4pt)

韜晦、疑心暗鬼、思考停止 そしてさらなる南進

タイ、インド、インドシナ、ビルマ、マレー半島、そしてシンガポールまで連戦連勝の日本軍。満州や中国、対ソ連を固めながらの「北守南進論」の熱狂は国全体を覆いつくす。敷島四兄弟も満州国出向中の外務官僚である長男以外はまるで磁石に引き寄せられるように南進中。

もちろんハードボイルドな船戸節も要所要所で煌く。「「威張りたがるのは単純な民族的優越感のせいだが、同情心は陰湿な優越感に基づいている。」「「社会主義と国家社会主義は同根だ、違腹の子でしかない。」「社会主義者や共産主義者、無政府主義者を徹底して痛めつけてきた日本という国家が社会主義国家の盟主であるソ連と条約を結んだのだ。この矛盾をどう考えればいい?」「状況が煮詰まってくると、誰もが疑心暗鬼になる。個人が個人を、組織が組織をまず疑ってかかるようになる。」「(もっと危険なものは)思考の停止だよ。」「(どんなに残虐な行為も)いったん活字となって新聞に掲載されると、一切が何らかの競技のように思えてしまう。」等々。

この作者のいままでのエンディングからすると、主な登場人物が「全員死亡」が常道なので、ますます目が離せなくなっているが、ほんとうに残りはたった2冊だけになってしまった。
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4104623083
No.12
(4pt)

韜晦、疑心暗鬼、思考停止 そしてさらなる南進

タイ、インド、インドシナ、ビルマ、マレー半島、そしてシンガポールまで連戦連勝の日本軍。満州や中国、対ソ連を固めながらの「北守南進論」の熱狂は国全体を覆いつくす。敷島四兄弟も満州国出向中の外務官僚である長男以外はまるで磁石に引き寄せられるように南進中。

もちろんハードボイルドな船戸節も要所要所で煌く。「「威張りたがるのは単純な民族的優越感のせいだが、同情心は陰湿な優越感に基づいている。」「「社会主義と国家社会主義は同根だ、違腹の子でしかない。」「社会主義者や共産主義者、無政府主義者を徹底して痛めつけてきた日本という国家が社会主義国家の盟主であるソ連と条約を結んだのだ。この矛盾をどう考えればいい?」「状況が煮詰まってくると、誰もが疑心暗鬼になる。個人が個人を、組織が組織をまず疑ってかかるようになる。」「(もっと危険なものは)思考の停止だよ。」「(どんなに残虐な行為も)いったん活字となって新聞に掲載されると、一切が何らかの競技のように思えてしまう。」等々。

この作者のいままでのエンディングからすると、主な登場人物が「全員死亡」が常道なので、ますます目が離せなくなっているが、ほんとうに残りはたった2冊だけになってしまった。
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4101343268
No.11
(5pt)

日本近代史とハードボイルド・ロマンと大河小説の見事な融合

物語はいよいよ終盤の端緒へ。大日本帝国の快進撃と傲慢な軍部にも悲壮感が漂い始めるなか、歴史と運命の波に翻弄される敷島四兄弟。残すはあと二巻のみとなってしまいました。

「近衛新体制の大政翼賛会は軍部への対抗組織として結成される。・・・ かならず軍部に簒奪され、絶好の戦時体制として機能していくことになると思う」(38~9頁、同旨100頁・210~1頁・507頁)
「硝煙の臭いだけが絶望を希望に変えられる。死を目指すことによってのみ生きてる意味が与えられるんです」(53~4頁)
「ルーズベルトは戦争を欲してるんだ。ニューディール政策とやらは看板どおり機能してない。アメリカ経済を大恐慌まえの段階に戻すには圧倒的な需要を生じさせなきゃならない」(172頁、同旨592~3頁)。
「国務省顧問スタンリー・ホーンベックは支那の大学で教鞭を取ったこともある支那通で、国務省きっての日本嫌いという情報が国務院外務局にもはいって来ている。アメリカ対日強硬策にはいつもハル国務長官以上にホーンベックが関与しているとも」(214頁)。
「若い阿媽を別宅に囲い、日系官吏の高額俸給からその手当を払って肉を愉しむ。そういう真似ができるのも、皇国が健在だからこそだ。その皇国の保全のためには綺麗ごとは言わせない」(254~5頁)
「太郎は苦笑いしながら路看の裸身を胸のうえに乗せた。この若い肉を貪ったのは久しぶりだった。・・・ 太郎は路看の弾む乳房を揉みしだきつづけた。ふたたび股間に力が蘇りはじめた。・・・ 太郎は勃起したそこに路看を跨がらせた。肉づきのいいその腰がゆっくりと浮き沈みしはじめた」(340~1頁)。
「バルバロッサ作戦でヨーロッパ戦線は苦戦つづきなのに、極東ソ連軍は西へ移動しようともしない。なぜだかわかるかね? 帝国陸軍が熟柿主義に落ち着いたことを知ってるからだよ。兵力を動かさなければ、ふたたび南進論に立ち戻らなきゃならなくなる。それは日米開戦を意味することになるだろう。スターリンはそう考えた。要するに、熟柿論定着という情報をコミンテルンに流したやつがいると考えなきゃならない」(410頁、同旨501頁)。
「海軍省や軍令部は備蓄した石油権益を守るためには海軍も開戦に備えてその準備をしてると言わざるをえん」(478頁、同旨544頁・594頁)。
「状況が煮詰まって来ると、だれもが疑心暗鬼になる。個人が個人を、組織が組織をまず疑って掛かるようになる。・・・ そして、その緊張に耐えきれない時期が来て、状況が破裂を起こす。そのとき、全体を支配する心理は疑心暗鬼じゃない。もっと危険なものだと思う ・・・ 思考の停止だよ。何も考えずにだれもがひたすら突っ走りたがるようになる」(482頁)
「丁路看との二度の営みを終えて、敷島太郎は南湖のそばの別宅を出た」(546頁)。
(財務省特別補佐官ハリー・)「ホワイトは実は共産党の秘密工作員で、日米開戦によってアメリカがドイツとも戦端を開くことを望んだという噂もある」(551頁、同旨520頁)
「イギリス人将校はインド兵が怯えて戦場から逃げ出さないようにこうやって鎖で結びつけておいたんだ。他のトーチカのなかも似たようなことが起こってる」(561頁)
「しかし、いったん活字となって新聞に掲載されると、戦争で飛び散る肉片や夥しい量の血液の臭いが掻き消え、一切が何らかの競技のように思えてしまう。そのことが妙に日本人の血を意識させ、名状しがたい高揚感へ繋がっていく」(609頁)。
「舞台をどこに定めても大枠の「現実」を勝手にいじらない。・・・ 反面、実在の人間は直接書かない。・・・ 内面どころか見た目の描写さえない。おそらく、見た目を描写すると内面も透けて見えてしまうからだろう」(684頁、高野秀行解説より)。
「船戸作品の登場人物が最後にはほとんどが死んでしまうのも、彼独特のニヒリズムだけが理由ではなかろう。「自分が創ったものは自分で始末しなければいけない」-それもまた船戸さんの流儀の一部なのだと思う。芝居が終わったあと、舞台は前の状態に戻さねばならないということだ」(同頁)。
「「現場に行かねえと小説を書きたくなる。現場へ行くと、『あー、こういう山だったのか』とかわかって発散できるんだが、行かねえと発散できねえから、書きたくなるんだ」死を目前にした人間の言うセリフではない」(688頁)。

さてさて、あとは下り坂を転げ落ちるかのような怒涛の二巻なのだろうか・・・・・・
雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫)より
4101343268
No.10
(5pt)

若者に読んでほしい

経済と戦争は切り離せないのです。それに群がる利権者。’戦争の世界史’マクニール著と併せて読めば日本史の副読本としてピッタリです、
雷の波涛―満州国演義〈7〉 (満州国演義 7) Amazon書評・レビュー: 雷の波涛―満州国演義〈7〉 (満州国演義 7)より
4104623083
No.9
(5pt)

南の戦雲

「わたしはな、皇国のためならどんな無慈悲な真似でもやってのけるつもりだ」

間垣徳蔵最後の謀殺が行われる。しかしそれも空しく、日米は開戦の道へ。
物語はついに終盤。大東亜戦争編に突入する。
単行本ではラスト三巻を間をおかず読んでしまった。再読とはいえ文庫本の刊行ペースがもどかしい。

解説は早大探検部の後輩にあたる高野秀行。
確かに本書は、「いつもの船戸作品とは全く違う」。
登場人物が世界を変えることがない、というより、主人公クラスの4人に世界を変えようという意志がまるで見られないのだ。
良くも悪くも主体性を持ち、個々のレベルで変革を遂行してきたのは間垣だけだ(結果として報われることがなかったが)。
再読すると、やはり彼が物語の影の主役だったと実感した。
単行本で結末は知っているが、最終巻まで心して読み直したい。
雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫)より
4101343268
No.8
(5pt)

フランスがドイツの軍門に下った1940年6月から1942年2月帝国陸軍がシンガポールを占領するまで。二年間足らずの間に激変した歴史の大奔流に抗うことも掉さすこともできないままに浮き沈みしつつ流されていく敷島四兄弟。

太郎は満州国外交部で特権的地位と恵まれた処遇をよいことに妾との肉欲に溺れ家庭は崩壊寸前、何ひとつ時代に貢献できない。次郎は満州を離れ香港・海南島を経てついにはマレー半島へ辿りつきシンガポール攻略の一翼に。三郎は憲兵隊大尉として政治・思想弾圧とは一線を画して軍規遵守に専念しようと目論むも果たしたどこまで正義を貫けるのか。四郎は満映に職を得るが映画一本さえも作れず無為徒食の生活を続ける。

史実が虚構を圧倒する。間垣徳蔵特務中佐や同盟通信の香月信彦がたびたび登場するのはその時々の政治・軍事情勢の「解説者」として、である。他にも印象的な(虚構の)人物群像が現れるが、特異な実在の名前もある。「高木正雄という朝鮮人だ。朝鮮名は朴正熙・・とにかくできがちがう」p126。他にも八路軍政治委員鄧小平p397やベトナム独立同盟のホー・チミンp638も。

これまでもコメントしてきたが軍事史関連で気づいた点は
・英インド軍の制式小銃の「L42A1狙撃銃」を入手すると記されているがスナイパースコープ付きの特殊な狙撃銃ではなく1895年以来の制式「リー・エンフィールドMk.III小銃」であろうp106。
・米国ウィリス社製のジープを1941年夏にマレーで購入できたはずはない。ジープの試作は1940年9月でウィリス社の1941年の製造台数はわずかに1553台であった。ジープの量産は1942年からであるp464。
・英海軍の誇る超弩級戦艦プリンス・オブ・ウェールズの備砲は「35.6糎四連装砲二門」ではなく四連装砲二基と連装砲一基の合計10門、また巡洋戦艦レパルスの備砲は「38.2糎連装など計十門」ではなく連装砲三基計6門が正しいp574。
雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫)より
4101343268
No.7
(5pt)

怪傑ハリマオ登場

日本帝国が、世界大戦に、巻き込まれていく様が、4兄弟を軸にまざまざと、描かれている。残り2巻が、楽しみだ。
雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫)より
4101343268