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橋ものがたり
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橋ものがたりの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全44件 41~44 3/3ページ
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江戸の町に架かるいくつかの橋を舞台にした、恋愛短編集。あたりまえだけど、ケータイもメールももちろん登場しない。登場人物たちは、人と出会った瞬間に恋に落ち、恋を理解する。それが当たり前のように。駆け引きも策略もそこにはない。あるのは恋する気持ちだけ。 今の私たちは、懐疑的でこんなふうにすぐには心を開けない。果たす義務が多すぎてこんなふうに恋愛だけに生きることも難しい。だけど、純粋なまっすぐな気持ちを持ち続けることが間違ってないって教えてくれます。 心に残ったのは『殺すな』。いつの時代も別れはせつなくて無慈悲。その道理を身をもって伝えようとする善左エ門。ラストで善左エ門の目に溢れる涙が、彼に課せられた重すぎる枷を解いたしるしのような気がして、とてもうれしいのです。 | ||||
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もう20年くらい前になる作品集だと思うのですが、結構、読み継がれているのですね。井上ひさしがこの文庫本の解説の中で、「今は、時代小説でさえも物語そのものの時代小説から、各種の情報を盛り込んだ情報時代小説となっていたりする。勿論、それをどうこう云うつもりはないけれど、ただ、藤沢周平を読むたびに、小説家のひとりとして、物語の再創造や文体の練り上げにもっと意を注ぐべきだと反省させられる。」と、述べています。・・・ 私の場合は反省とかではなく、単なるたまさかの心の欲求としてなのですが、確かに、時には藤沢周平の物語そのもののような時代小説を読みたくなってしまいます。個人的には、『小さな橋で』が一番のお気に入りです。こういう男と女(実際にはまだ小さな男の子と女の子なのですが、)のコミュニケーションが、時には、ことさらに心に沁みます。 | ||||
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橋にまつわる10編からなる短編集ですが、とっても切ない恋愛模様が描かれてます。 当時の橋は今みたいに鉄道がなかったので人々にとって重要な役割をはたしていたのが覗えます。現代の駅みたいな役割を果たしてる感じですね。 とにかく出会いや別れを情感溢れるタッチで紡いでおります。 どの話も本当に良く出来ており苦しみ悩みつつも情熱を持って生きている姿が胸を打つ。 そんなに展開的に無理はないし、時代物であるだけにあざとさも感じられない。 特にセリフが自然体で受け入れやすかったですね。 読み終えて、生きて行く上で大切なのは結果より過程であるということを教えてくれてるように思えました。 橋の向こうは違った生活が営まれてる点が作品全体を支えてるような気がして、思わずそれぞれの橋を東京に行って散策したい衝動に駆られますよ。 多作な作家さんなので1冊だけでは判断できないと思いますが、文体的にはしっとりしていて乙川さんよりは読みやすそうです。 早く読みすぎてもったいなかったかなあ。また再読しますね(笑) 特に良かった短編・・・「約束」「思い違い」「赤い夕日」 ただし10編ともハズレなしです。 無性に人がいとおしくなる1冊です。 | ||||
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藤沢周平氏の作品は剣の達人である侍が活躍するものが多いようですが、この短編集「橋ものがたり」は、一話一話が100万人もの江戸町人の誰かの物語です。普通のひとの物語です。 誰だって、愛しさや期待や喜びに酔い痴れることがあるし、誰だって、敵意や激情や嫉妬が突き上げることがあるものです。そうした誰にでも覚えのある、たくさんの感情が丁寧に描かれています。 実際、ひとびとの暮らしがそうであるように、物語は必ずしもハッピーエンドではありません。それでも、江戸の町の、今よりも少しゆっくりした時間の中で演じられるこれらの物語は、どれもふうわりと優しさに包まれています。劇中の全ての人物が許されているのです。 読み終わると、「それでいいんだよ、きっと」と登場!人!!物たちの肩を叩いてあげたくなります。同時に、自身の日常についても「それでいいんだよ」と認めてもらえた気持ちになります。 明日からは少しだけ生きやすくなる、そういう作品です。 | ||||
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