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(短編集)

暗殺の年輪



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暗殺の年輪の評価: 4.26/5点 レビュー 34件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.26pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全34件 21~34 2/2ページ
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No.14:
(5pt)

再読藤沢文学の最高峰2作品

短編黒い縄と暗殺の年輪2作品は、藤沢文学のエキスを、十分凝縮させた面白さと完成度、フアンなら必ず読むべし。
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No.13:
(5pt)

わたくしも清廉な武士の娘になりとうございました

存命なら84歳の藤沢周平は、1927年12月26日山形県生まれの時代小説作家。15年前に69歳で逝去。

この本を読んだ時の衝撃を、今でもはっきり覚えています。

ええっと、たとえて言うなら、心地よいボディブローか痛快なアッパーカットか、うーん、ちょっと違うというか、そうであるようでないような、ひょっとして何気ない会話を交わしていたらいきなりクロスカウンターを食らうようなとでもいうのか、ともかく油断して無防備でいるこちらの全躯に、思いもかけない圧倒的な力技で真正面から真剣でズバッと斬りつけられそうになった感じ、でもよけるでもなく、このまま斬られてもいいわって感じ。ダメ、やっぱりうまく言えません。

しかも、なんとこれは、いったいぜんたい、時代劇というよりまさしく全篇ハードボイルドではありませんか。

何といっても文章がいいのです。私にとてもまろやかにフィットする、私の言葉の感覚や文の運びやボキャブラリーに通底する文章で、読んでいて恍惚然とカタルシスを感じることができるものなのです。

それほど熱心にではありませんが、今まで一応の著名な時代小説は、たとえば村上元三『真田十勇士』や山本周五郎『樅の木は残った』、山手樹一郎『又四郎行状記』とか吉川栄治『鳴門秘帖』、村山知義『忍びの者』あるいは野村胡堂『銭形平次捕物控』、中山義秀『戦国無双剣』に中里介山『大菩薩峠』、山田風太郎『伊賀忍法帖』および白井喬二『富士に立つ影』、座頭市の生みの親である子母澤寛『新選組始末記』または柴田錬三郎『眠狂四郎無頼控』、それに池波正太郎『鬼平犯科帳』などなど手当たり次第に読んできましたが、まさに本書『暗殺の年輪』を読んだときほど、このときほどズッシリと手ごたえのある感触を感じたことはかつてありませんでした。
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No.12:
(5pt)

なんという完成度

直木賞受賞作「暗殺の年輪」を含む初期短編集。
後期の心温まる作品群と比べ、暗く重苦しいものが多いけど、それだけ深みがあります。
特に「黒い縄」「暗殺の年輪」「ただ一撃」が素晴らしい。
二、三行読んだだけで引きまれ、作品世界に連れ去られる。
文章も崇高で気高く、傑作とはこういう作品をいうのでしょう。
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No.11:
(4pt)

短編故の緊張感があり

キレのある会話のやり取り、そして殺陣のシーンはあっさりと終わる。小説は臨場感のみではなく、会話、風景、背景から物事を類推し、読者にとっての意外性を説くものとなる。こうなるだろうと思うことをいい意味で裏切ったり、また、意外であるけれどひょっとしてこうなるのでは、ということをこの短編集はやってくれた。最近は何も変化がないか、変化がありすぎる小説がはやっているような気がするが、この時代を切る緊張感は結構良かったです。たまたま正月に絵師の番組があったので、イメージしやすく、読めました。ただ、この世界に浸るのは時間がかかりました。暗殺の年輪を読んで、そのまま放置し、気がつけば、一気に読んでいる感じでした。寝かすことで味わいが増す作品だと思います。

 いやな人物が付きまとい、いらだたしいのは世の常。ここで登場してほしくないところで現れる。

 老人が山に籠り、武術の達人に戻る。ヒクソングレイシーのようであるが、その野生は息子の妻をも襲う。勝負はあっさりと勝つ。そして戦いの後は精気を失い、衰える。

 絵は心。でも作業は作業。技術は鍛錬による。いや天賦の才もある。かなうかかなわぬか。まさに後世畏るべし。自分が一番と思っていながら、新興の力の前には脅えが来る。
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No.10:
(5pt)

うなずける直木賞

黒い縄・暗殺の年輪(直木賞受賞作)・ただ一撃・溟い海・囮からなる短編集。
どの作品が直木賞でも異論はない出来である。
その中で、一番はどれかというと、わたしは「ただ一撃」を挙げる。
のちの藤沢作品に通じるものがあり、
この題名をつけたセンスには驚嘆する。
嫁女の一撃と範兵衛の一撃、そこに「ただ一撃」と名づけた藤沢周平の力量のすごさ。
老若男女を問わず、ぜひ読んでほしい作品である。
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No.9:
(5pt)

理想的な女性たち

「黒い縄」「暗殺の年輪」「ただ一撃」「溟い海」「囮」の5編の短編が収められていますが、どの作品をとってもデビュー当時の作品とは思えない素晴らしさです。

特に感心したのは、それぞれ各作品に登場する女性たちで、そこはかとない恋心を抱き、最大限に頑張った行動をしながらも、儚い結末になる、その健気な姿の描き方は最高で、これは男性からすると理想的な女性に見えます。
こうした女性たちの姿が際立っているだけに、それに対する男たちも光って見えます。

登場人物たちの造型以上に素晴らしいのが、それぞれの作品の構成で、緻密に計算されつくしており、どれもなるほどと感心させられるものばかりです。
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No.8:
(2pt)

感情移入できない

藤沢周平の直木賞受賞作とのこと。

読んでみると、

硬いのだ、これが。
いつも読んでいる,用心棒日月抄やよろずや平四郎活人剣のような、明るさがないのだ。
そして、明るさや希望を持たない人たちの物語なので、それぞれの立場も動きもきちんと描かれているのだけれど、

どうにも、感情移入できないのだ。

藤沢周平を研究したい人には、大切な小説だろうが、娯楽小説を読みたい人には素通りしてよい小説じゃないかしら。
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No.7:
(4pt)

渋い作品勢揃い

藤沢周平のデビュー作が掲載されている。だから、かなり古い。

この中にある「ただ一撃」という作品。

主人公の爺さんと、爺さんの息子の妻がいい味を出している。

すごく弱そうなもうろく爺さんなのだけど、ただ一撃で強敵を倒してしまうのが印象的。

でももっと印象的なのは、そこに到る過程だけど。

この文庫の5編の中で、一番引きつけられた作品。

どれもこれも、渋い作品が勢揃い。
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No.6:
(3pt)

感情移入できない

うーん、どうも最近、タイミングがわるいんか、微妙に大好きな藤沢周平で、あたらない。。。とほほ。

江戸の時代のいわば名も無き市井の人達の息遣いが分かる、そんな話ばかりなんだけど、どうも、救いない寂しさが深くって、浮かばれない。

かろうじて「ただ一撃」が、自分の好みだが、これもかなりの犠牲を伴って成り立った話となっており(詳しく書けないが)この犠牲は、相当響く。確かに避けては通れぬ流れだが、どうも誰一人にも感情移入できない点、突き放されているようで、しばらく藤沢周平から遠ざからないといけないかなぁ。
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No.5:
(5pt)

絵はやっぱり怖いものだった

広重の版画を町田の国際版画美術館の2階の常設で見てしばし立ち尽くしたのは、もう十数年前。たぶん同じろころ、長谷川潔の一大個展の最終日(雨)の最後の1時間前に滑りこむようにして入ったのは、関内の横浜美術館だった。それから、この文庫所収の「クライ海」(半年前、クライを漢字にして文字化けで原稿ボツになった)に出会って驚愕するまでに、どれくらいの時間がたったのか。広重も潔も「日常」のなかに「美」を見いだした点はおなじ。明け方の宿場のあのえもいわれぬ孤絶した一瞬(広重)、福田平八郎にも似た鳥や花を象る崇高な線(潔)、その世界回復的な美の投企に藤沢周平の目は据えられていた。絵とは見るものではなく、存在への問いなのか。私はこの短編をきっかけに周平の文庫を60冊以上いっき読みしてしまったのだった。
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No.4:
(5pt)

『ただ一撃』だけを読む。

死ぬ前に、読みたい小説を一作だけ選べ。
 ぼくは、ウロウロする。
 しかし、藤沢周平の原点が凝縮している『暗殺の年輪』をえらび、その中に収録されている『ただ一撃』を読む。
 生きている時間が無いのだから。
 『ただ一撃』は爽快な作品。洟にたいしても気遣う嫁。もうろくしている老人は「剣で家臣に登用された」武士。
 彼の真の姿を誰も知らず。彼は、仕官をねがった不器用な浪人に対する主君の怒りから、脚光をあびる。不器用な浪人と戦えと言う上意。そして、かれは、野生と化す。天狗がでたという噂。かれは野からもどった。「野伏せりに似た一個の兵法者だった。」
 試合で彼は「ただ一撃」で相手を殺めた。しかし、嫁は自害した。舅と嫁の愛。これはあっていいはず。
 「−三緒がなぜ死んだかを知っているのは、儂ひとりじゃな−」
 藤沢作品がその後、明るさをもつにいたるのは、この『ただ一撃』が原点にあるからだ。その奥に潜む荒々しい現実。藤沢の結核療養所時代の体験を重くおもく想像してしまう。
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No.3:
(4pt)

どこか遠くが見える

「蝉しぐれ」につづいて読んでみました。
これまで藤沢周平を知らずに生きてきたのがもったいなかった~。
この初期の作品集にはきっとのちのちに連なる作品のアイデアや風合いといったものが凝縮されいるんでしょうね。
風景描写がいいです。「蝉しぐれ」に比べて暗澹とした心の重さが作品の基調になっていますが、風景は美しい。美しい空と雲。川。
藤沢は人生を肯定しつつ老いたのでしょう。苦しくも輝いていた、心に残る日本の景色。そして男と女。読んでください。どこか遠いところが見えますよ。
(できたら再版は字を大きくしてね。出版社の方、お願いしま~す。)
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No.2:
(5pt)

あまりにも重い、しいたげられた人々の物語

藤沢修平は後期の比較的ノーテンキなものから読み始めた。それでたいしたこと無いと思っていたのだが、.....この初期5編をを集めた短編集は素晴らしい。いずれも重苦しく、組織や社会に圧殺されそうになる個人とその手前での諦観、.....語彙がないのでかたっくるしく言ってしまったけど、どうにもならない事ってありますね、それは老いであったり、生い立ちであったり、職業やもしかすると情熱かもしんない。そういったもんと人間折り合いをつけて生きてかなきゃなんない、生やさしいことではない厳しさを突きつけられた気がする。
どの作品からもその辛さが漂ってくる。一番明るさがある「ただ一撃」でさえ、可憐この上もない息子の嫁を自害させているわけで....表題作もあまりにも過酷な物語。この残酷さは解決のまま終る。武士を脱ぎ捨てて飲み屋に向かう主人公に救いがあるのか無いのか、ワタクシにはわからないのである。題名は失念したが出戻りの女性が主人公の巻頭の物語の行き場の無さはどうだ。老いた北斎が広重に嫉妬する「溟い海」は設定そのものにホンマかいな?あの北斎がそんなせこいことを?と思わなくもないが、そこを受け入れると逆に強烈な凄味を感じさせる。この話の前段が短編集「花のあと」にあって、そこでは広重のほうの迷いが描かれていた。そんな中一番心惹かれたのは「囮」である。これも浮世絵の刷り師と下っ引きを掛け持ちする男の残酷な物語。事件の解決後、活気立つ彫宇・徹夜仕事の達成感は一見蛇足に見えながらその後に甲吉を襲う空虚なエピソードは耐え難いものがある。見張る男の見張られる女への心理。都市に生きる孤独を時代小説の形を借りてここまで見せつけられると「グー」の音を上げてしまう。読後の幸福感は無い。日常の闇を除いたような後味の悪さ、それも本を読む快感の一つだろうか。
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No.1:
(5pt)

作家デビュー以前の作品の完成度

再読である。藤沢周平がまだ電車で会社に通っていた頃の作品群である。
「溟い海」おそらく北斎と広重のことを調べて調べて自家薬籠中のものにした後に、ゆっくり寝かした後に書き出された物語なのだろう。短編の中に長編にしてもいいような背景が感じられるし、一つ一つの言葉が練りに練られている。物語は北斎が広重の才能を嫉妬して痛めつけようとした直前で思いとどまる、というフィクションである。その嘘を成立させるためにあらん限りの歴史的な事実をさりげなくちりばめる構成力には感心するし、この時期の藤沢はそういう嫉妬心をも作品テーマにしうるような勢いがある。あるいは一分の隙も無いような文章に返って若さ、気負みたいなものを感じる。今回再読して初めて思ったことである。しかし藤沢!!の真骨頂は嫉妬をする北斎にあるのではない。北斎が直前で思いとどまった広重の顔「人生であるとき絶望的につまずき、回復不可能のその深傷を、隠して生きている者の顔」を描いているということにあるのだ。それはたとえば通勤電車のなかで藤沢がふと窓を見て気がついた自分の顔なのかもしれない
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