(短編集)

メルカトル悪人狩り

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評判

メルカトル悪人狩りの評価:

3.71/5点 レビュー 14件。 B ランク

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平均点3.71pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全27件 21〜27 2/2ページ
No.7
(5pt)

名(銘)探偵の絶対性がテーマかな?

「わたしは長編には向かない探偵なんだよ」とうそぶく名(銘)探偵:メルカトル鮎シリーズの短編集。

前作の「メルカトルかく語りき」は、推理の曖昧性と名(銘)探偵の絶対性をテーマとしつつも、前者により重きが置かれているように思えたが、本作品集は後者により重きを置いていると感じた。

いずれにしても、本格ミステリ好きなら必読の書ではなかろうか。

「愛護精神」
 :短編としても短めで、ミステリの濃度も低め。
  
  むしろ眼目は、やる気のなかったメルが急に捜査に乗りだした理由だろうか。
  
  とはいえ、メルの得た役得は読者からすれば明らか。
  なのに、「いまだに判らない」と述懐する美袋は、そうとうな鈍感かお人よしだろう。
  
  それとも、「本格ミステリの探偵は女性に興味がない」という固定観念に縛られているのかしらん。

「水曜日と金曜日が嫌い」
 :道具立てからみて、「黒死館殺人事件」を意識していると思われる。

  入り組んだ謎が提出されるが、説かれない謎があるのと犯人が意外というより唐突なのが残念。

「不要不急」
 :非ミステリ作品。
  コロナ禍の今、メルは五重塔の木造模型を完成させることに集中している。

「自筆調書」
 :非ミステリ作品。
  「なぜ、屋敷で殺人が起こるのか」、その理由をメルが語る。

「囁くもの」
 :お屋敷で起こる殺人事件を、メルがまさに快刀乱麻を断つごとく解決する。
 
  細かな手がかりをつなぎ合わせ、犯人を限定していく推理の過程はさすがのテクニック。

  それに加え、そもそもなぜ犯人を特定できるのかという、ある種のご都合主義ともいえる本格ミステリ  
  の構造に疑問を投げかけるラストが印象深い。

「メルカトル・ナイト」
 :殺されるかもと怯える依頼人の宿泊するホテルに泊まりこむメルと美袋。

  だが、翌朝、依頼人は死体で発見されてしまう。

  メルカトル鮎というキャラクターを生かした捻りのあるプロットが冴えている。
  タイトルのダブルミーニングも上手い。

「天女五衰」
:別荘で起こる殺人事件を、これまたメルがまさに快刀乱麻を断つごとく解決する。

 不可思議な状況を簡潔に説明する手際はさすが。

 本作では、探偵の行動が人の死を左右しているのではないか、という問題提起を投げかけている。

「メルカトル式捜査法」
 :これまた別荘で起きる殺人事件。

  メルは、或る前提に立って、推理を展開する。

  その前提を使用する推理法は、寡聞にして前例を知らない。

  本書の説明文にあるとおり、まさしく「独自の論理」である。

  また、この論理が意表を突くだけにとどまらず、それによって紡がれる推理が魅力的であるところが素      
  晴らしい。

  さらに言えば、本作の前に3編を配することで、プロットに説得力を増す効果を発揮させているあたり
  も周到。
 
  ただし、この推理法は一度きりしか使えないのではなかろうか。繰り返し使用すると、単なるご都合
  主義と批判されかねないからだ。

  いわば禁じ手ではあるが、それに踏み込んでしまった氏が、今後いかにして本格ミステリを追求して
  いくのか、楽しみでならない。
メルカトル悪人狩り (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: メルカトル悪人狩り (講談社ノベルス)より
4065240565
No.6
(2pt)

謎や事件にまで傲慢な様子になじめず

※以下の内容には【ネタバレ】が含まれる可能性があります

かなりクセの強い作品で,銘探偵メルカトルの傲慢キャラは珍しくないのですが,
彼に見えている世界が,こちらにはどうにも見えず,なぜその推理が,閃きがなど,
もちろん,最後には解決編がありますが,認識の共有ができていないような感覚です.

また,彼だから解けた,防げたばかりでなく,彼が居たからこそ事件が起きたと,
あれこれと超越した存在のような,謎や事件にまで傲慢な様子に最後までなじめず,
これはもう,メルカトルのメルカトルぶりを理解,楽しむ作品なのではと感じました.

このほか,こちらもそういう作風なのか,消化不良に終わるやり取りや設定の多さ,
今ひとつ要領を得ないたとえなど,残念ながら自分には合わず,楽しめませんでした.
メルカトル悪人狩り (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: メルカトル悪人狩り (講談社ノベルス)より
4065240565
No.5
(2pt)

謎や事件にまで傲慢な様子になじめず

※以下の内容には【ネタバレ】が含まれる可能性があります

かなりクセの強い作品で,銘探偵メルカトルの傲慢キャラは珍しくないのですが,
彼に見えている世界が,こちらにはどうにも見えず,なぜその推理が,閃きがなど,
もちろん,最後には解決編がありますが,認識の共有ができていないような感覚です.

また,彼だから解けた,防げたばかりでなく,彼が居たからこそ事件が起きたと,
あれこれと超越した存在のような,謎や事件にまで傲慢な様子に最後までなじめず,
これはもう,メルカトルのメルカトルぶりを理解,楽しむ作品なのではと感じました.

このほか,こちらもそういう作風なのか,消化不良に終わるやり取りや設定の多さ,
今ひとつ要領を得ないたとえなど,残念ながら自分には合わず,楽しめませんでした.
メルカトル悪人狩り (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: メルカトル悪人狩り (講談社文庫)より
406533019X
No.4
(5pt)

メルカトル鮎、再誕!

愛護精神
水曜日と金曜日が嫌い
不要不急
名探偵の自筆調書
囁くもの
メルカトル・ナイト
天女五衰
メルカトル式操作法

8篇収録。
中には2頁で終わる作品も収められていたりして、各作品とも味が出ている。銘探偵メルカトル鮎の傲慢性と超越性が巧く表現されており、メルカトル鮎好きには堪らない一冊かな、と。
メルカトル悪人狩り (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: メルカトル悪人狩り (講談社文庫)より
406533019X
No.3
(5pt)

メルカトル鮎、再誕!

愛護精神
水曜日と金曜日が嫌い
不要不急
名探偵の自筆調書
囁くもの
メルカトル・ナイト
天女五衰
メルカトル式操作法

8篇収録。
中には2頁で終わる作品も収められていたりして、各作品とも味が出ている。銘探偵メルカトル鮎の傲慢性と超越性が巧く表現されており、メルカトル鮎好きには堪らない一冊かな、と。
メルカトル悪人狩り (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: メルカトル悪人狩り (講談社ノベルス)より
4065240565
No.2
(5pt)

メルがやらねば誰がやる

喜べ!みんな大好き麻耶雄嵩、みんな大好きメルカトルの10年ぶりの新刊だ!!
注: みんなというのは一部の本格ミステリマニアのことです…

入手を諦めていた「愛護精神」「自筆調書」も入った、デビュー30周年に相応しい短編集!いかにもメルカトル初期作品という感じで、メルカトルと美袋のための殺人を彷彿とさせる。最近は少し穏やかになった(そうでもないか)美袋の受難が心地よく、初めて読む読者もとっつきやすいだろう。

そして本番は「囁くもの」から始まる4連作、そして大トリ「メルカトル式捜査法」…!
この4連作はメルカトルが「ある特殊な行動をする」シリーズなのだが、正直、自分は最初はそこまで新規性があるとも思っていなかった。似たような発想のミステリもあるにはあったからだ。それに、「メルカトルならこのくらいのことはできても不思議ではない」とも思ってしまっていた。

だが「メルカトル式捜査法」ですべてがひっくり返された。初読時はさっぱり意味がわからなかったが、繰り返し読むことでようやく「囁くもの」の正体がわかり、この作品の評価が物凄く上がった。
おそらく、初読時に分かった気分になったとしたら(たとえば、無意識にメルカトルが事件を解決するように行動していた、というような解釈)、それは誤りである。
是非、メルカトルの推理の根拠がなかった場合に何が起きたのか、メルカトルが今回のような特殊な推理をしなかった時に何が起きるはずだったのかをよく考えて欲しい。最終作だけ、構造がまるで違うのだ。

そして、おそらくほとんどの読者が、初読時には「メルカトル式捜査法」を馬鹿馬鹿しいと感じるだろう。自分もそうだった。だが、このメルカトル式捜査法は、強烈な問題提起なのである。本当に我々はメルカトル式捜査法と今まで無縁に生きてきただろうか??少なくとも私は違う。この作品の意図に気付いた時、本当に頭をバットで殴られたような気がした。

私は、今後「メルカトル式捜査法」という言葉が、ミステリ界の辞書に載って、一般的な用語としてファンの間で用いられるようになってもおかしくないと思うし、ミステリファンでこの作品を読んでいないということはあり得ない作品になるのではないか、と思う。とりあえず、好き嫌い問わずミステリファンであれば読んでおくべき作品であることは間違いない。

麻耶雄嵩はたった1人で30年にわたり「探偵のあり方」「後期クイーン的問題」などに問題意識を持って取り組み、最近では若手のミステリ作家も似たような作品を書くことも増えてきた。
だが、麻耶雄嵩はやはり独自の問題意識を持ち続け、まったく違うアプローチから傑作を完成させた。

王道を極め続けた麻耶雄嵩にしか投げられない強烈な変化球であり、真にクリエイティブで歴史を変えるミステリとは、本作のようなものだろうと思う。
メルカトル悪人狩り (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: メルカトル悪人狩り (講談社文庫)より
406533019X
No.1
(5pt)

メルがやらねば誰がやる

喜べ!みんな大好き麻耶雄嵩、みんな大好きメルカトルの10年ぶりの新刊だ!!
注: みんなというのは一部の本格ミステリマニアのことです…

入手を諦めていた「愛護精神」「自筆調書」も入った、デビュー30周年に相応しい短編集!いかにもメルカトル初期作品という感じで、メルカトルと美袋のための殺人を彷彿とさせる。最近は少し穏やかになった(そうでもないか)美袋の受難が心地よく、初めて読む読者もとっつきやすいだろう。

そして本番は「囁くもの」から始まる4連作、そして大トリ「メルカトル式捜査法」…!
この4連作はメルカトルが「ある特殊な行動をする」シリーズなのだが、正直、自分は最初はそこまで新規性があるとも思っていなかった。似たような発想のミステリもあるにはあったからだ。それに、「メルカトルならこのくらいのことはできても不思議ではない」とも思ってしまっていた。

だが「メルカトル式捜査法」ですべてがひっくり返された。初読時はさっぱり意味がわからなかったが、繰り返し読むことでようやく「囁くもの」の正体がわかり、この作品の評価が物凄く上がった。
おそらく、初読時に分かった気分になったとしたら(たとえば、無意識にメルカトルが事件を解決するように行動していた、というような解釈)、それは誤りである。
是非、メルカトルの推理の根拠がなかった場合に何が起きたのか、メルカトルが今回のような特殊な推理をしなかった時に何が起きるはずだったのかをよく考えて欲しい。最終作だけ、構造がまるで違うのだ。

そして、おそらくほとんどの読者が、初読時には「メルカトル式捜査法」を馬鹿馬鹿しいと感じるだろう。自分もそうだった。だが、このメルカトル式捜査法は、強烈な問題提起なのである。本当に我々はメルカトル式捜査法と今まで無縁に生きてきただろうか??少なくとも私は違う。この作品の意図に気付いた時、本当に頭をバットで殴られたような気がした。

私は、今後「メルカトル式捜査法」という言葉が、ミステリ界の辞書に載って、一般的な用語としてファンの間で用いられるようになってもおかしくないと思うし、ミステリファンでこの作品を読んでいないということはあり得ない作品になるのではないか、と思う。とりあえず、好き嫌い問わずミステリファンであれば読んでおくべき作品であることは間違いない。

麻耶雄嵩はたった1人で30年にわたり「探偵のあり方」「後期クイーン的問題」などに問題意識を持って取り組み、最近では若手のミステリ作家も似たような作品を書くことも増えてきた。
だが、麻耶雄嵩はやはり独自の問題意識を持ち続け、まったく違うアプローチから傑作を完成させた。

王道を極め続けた麻耶雄嵩にしか投げられない強烈な変化球であり、真にクリエイティブで歴史を変えるミステリとは、本作のようなものだろうと思う。
メルカトル悪人狩り (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: メルカトル悪人狩り (講談社ノベルス)より
4065240565