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漆黒の霧の中で
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漆黒の霧の中での評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.27pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 21~22 2/2ページ
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伊之助シリーズの第2段。元凄腕の岡っ引きが知人に頼まれ、本業(彫師)の傍ら探偵家業に勤しむうちに、江戸に巣食う巨悪を暴き出すという構図は前作と変らない。人情物の印象が強い作者が意識的に人生の暗黒面を描くシリーズにしたものと思われる。改めて作者の懐の広さを感じる。前作の「消えた女」という題名が平凡過ぎるのに比べ、本作は題名からして内容を強くイメージさせるものとなっている。 伊之助は、今回は川に浮んだ身元不明の男の調査から始まり、連続殺人魔に相対する事になる。捜査を進める度に一枚一枚剥がされて行く悪の皮。読者も心情的に伊之助と一体化して悪と向き合う事になる。これが藤沢氏の他の作品群に無い本シリーズの魅力であろう。そして、このハードボイルド・タッチのストーリー展開の中で、捜査時間を稼ぐ苦労、オバさんの井戸端会議を聞く苦労(これは重要な手がかりになる)等、ユーモアと市井の人々の機微の描写も忘れない。さすがと感心させられる。 江戸の暗黒面を描くという作者にとっては新境地のシリーズでありながら、ユーモアと市井の人々の機微の描写も忘れないという作者の懐の広さを見せ付けた秀作。 | ||||
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前作で、前の事件が片付いたらいっしょになると約束をした伊之助であったが、今作ではおまさとは結婚の約束までにはいたっていない。しかし伊之助の気持ちは前作と比べるとずいぶんと明るい。二人の中はずいぶんと進展してるみたいだ。今回の事件はずいぶんと陰惨な連続殺人なのだが、所々コミカルな描写が目に付くようになった。8~9時まで残業をする同僚を後目に(秘密の探偵家業の為に)定時出勤や早帰りを繰り返す伊之助と棟梁とのやり取り、などがそれだ。あるいは、長屋の女房の井戸端会議から巧妙に事件の情報を聞き出す、その会話の妙。この聞き取りは場所を変えて3度にわたって描き分けられる。よほど女性とのおしゃべりに付き合っていないとここまでは書けないだろうと思える上手さ、である。また、コミカルではないが、立ちまわりの部分も上手い。命が狙われること3回。いずれも剣ではなく、十手ではなく、柔術で切り抜ける。世の捕り物帖とは違う部分だ。 今回伊之助、1人の女性の命を結果的には救っている。「何のかのといっても、男は手前勝手が出来るが女は耐えるしかない。耐え切れずに自分の勝手に走れば、死んだ女房のようにわれとわが身を殺す羽目に陥る。」という悔恨の気持ちが強いためか、このシリーズを通して伊之助は常に女性の味方である。ホントに伊之助は「優しい」男なのだ。 | ||||
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