汚れた手をそこで拭かない
評判
汚れた手をそこで拭かないの評価:
3.89/5点 レビュー 63件。 C ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全16件 1〜16 1/1ページ
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汚れた手をそこで拭かないの評価:
3.89/5点 レビュー 63件。 C ランク
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余命いくばくもない妻が夫のかつての罪悪感を解消しようとする「ただ、運が悪かっただけ」。学校のプールの水のミスを隠蔽しようと教師がもがく「埋め合わせ」。認知症の妻と暮らす夫、ラストでタイトルがダブルミーニングだと明かされる「忘却」。映画のクランクアップ直前に起こった事件が連鎖する「お蔵入り」。成功を収めた料理研究家がかつての愛人に立場をおびやかされる「ミモザ」。
解説にも書かれているように芦沢央の小説は殺人事件など起こらなくても充分にサスペンスフルだ。収録されているどの話も「ほんの些細なかけ違い」で人間がぐんぐん悲劇に巻きこまれる過程がすこぶる怖い。この短篇集もそんなクオリティ充分…なのだが、こちらはとしては、すでに既読の『火のないところに煙は』や、同傾向の『許されようとは思いません』のハラハラドキドキ感に較べて……正直ちょっと物足りない、と感じる話が多かった。 だが、これは「そんな読者の読み方が悪い」面もある。この順番を逆に読んでいたら『許されようとは…』の方がピンとこなかった、という読者もいるだろう。「作風が決定した小説家がその作品のクオリティを維持し続けること」は至難の業なのだなあ、と思わざるを得ない。
それにしても「悲劇」とは、あくまで本人にとっての主観で、他人から見たら「喜劇」に思える場面もあるだろう。この短篇集であれば「埋め合わせ」「お蔵入り」はその側面がある。例えば、ドタバタ喜劇としてスタートしたストリーが一転してぞっとする悲劇として終わる……みたいな芦沢央の短篇も読んでみたいな、と本書を読み了えてそう思った。