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浄土の帝
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浄土の帝の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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源平時代が好きで、小説、評論あわせていろいろ読みあさっています。この小説は後白河誕生から平家全盛、清盛との蜜月時代までの前半生を描いています。後白河といえば、源頼朝をして「日本国第一の大天狗」と言わしめた大変な策士、「今様狂い」と呼ばれ庶民の芸能に親しんだ型破りの帝、など過去の天皇の中でも抜きん出た個性の持ち主として語られることが多いですが、ここでもその自我が強くエキセントリックな面がよく描かれています。 ただ、実は策士などではなく、一般人民の幸福と平和を第一に望んだ理想主義の帝という見方は、あまりにも理想化しすぎているように思えて、ちょっとうなづけません・・・。時々、仏教的な奇跡も描かれているので、そういう意味では一種のファンタジーとして読んでもいいかと思います。ただ、仏教思想が強く、真剣に浄土と地獄などを信じていたこの時代の人々の精神性から考えれば、本当に奇跡が目に見えたと信じたこともあったかもしれません。(心理学者に言わせれば、集団心理のヒステリーになるのかもしれませんが・・・)が、ラストがそういう形で締められているのはちょっと・・・。この後も帝は、平清盛に対して策謀し、平家を西海へ追いやって滅亡させることに成功、さらに鎌倉時代に入っても源頼朝とあれこれ駆け引きを繰り広げます。そんな人物が煩悩を克服し仏教的に悟りを開いたところで話を終わるのは・・どうしても納得しがたいところがあります。 源氏と平家の目から見た保元の乱、平治の乱を描いたものは無数にありますが、当時の天皇、上皇方から見たものは少ないのではないでしょうか。立場が変われば同じ出来事でもこうも違って見えてくるものかというのは、大変興味深かったです。次から次へと起こる乱や陰謀、大火事を切り抜ける後白河を描く前半はなかなか迫力がありページを繰る手が止まりませんでした。帝像に共感できるかどうかは別として、なかなかおもしろい歴史小説だと思います。 | ||||
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