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(短編集)

骨餓身峠死人葛



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骨餓身峠死人葛の評価: 4.89/5点 レビュー 9件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.89pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(5pt)

どこの書店にもない

どこの書店にも置いてなくここで見つけました。
読んだ感想はなんとも言えない汗
骨餓身峠死人葛―野坂昭如ルネサンス〈6〉 (岩波現代文庫)Amazon書評・レビュー:骨餓身峠死人葛―野坂昭如ルネサンス〈6〉 (岩波現代文庫)より
4006021178
No.8:
(5pt)

比類なき傑作

素晴らしい。兄妹相姦が、こんなにも、麗々しく異常な筆致で描かれている小説は、全世界で、これをもって超えるものはないと思います。
骨餓身峠死人葛 (1969年)Amazon書評・レビュー:骨餓身峠死人葛 (1969年)より
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No.7:
(5pt)

骨餓身峠の異常すぎるストーリー

「骨餓身峠死人葛」。
 九州北部の骨餓身(ほねがみ)峠にある小炭坑とその専用墓場。死者を栄養にして死人葛(ほとけかずら)が生い茂る。主人公は、葛の白い花を偏愛した炭坑主の娘・たかをかもしれないし、炭坑そのもののような気もする。明治末から昭和30年代はじめまでの、一時は活況を呈した炭坑の盛衰記であり、たかをの異常がタタリとなって、この炭坑に関わる人々を永く狂わせる話でもある。

 人間の暗部をさらけ出す地獄巡りのような炭坑史と夥しい死が、価値観や心理描写を省いた乾いた筆致でザラリと語られる。導入部と対になったオチは成功しているが、プロット全体は異常すぎるというか、究極のグロテスクに満ちている。大変な作品で、ほとんど評価不能だ。
 部分的に素晴らしいところがたくさんあるが、戦前・戦中部分はリアリティがあるのに戦後の部分でいきなり伝奇的になるので、まとまりの悪い感じはする。

 「人情フィナーレ」。
 下町に生まれた少女がひょんなことから浅草の踊り子になり、どたばたの末に結婚し、戦時下を生き抜いてゆくが夫は結核で戦時中に亡くなってしまう。
 荷風の世界をちょっと明るく軽くした小説かと思っていると戦後へ話が続き、主人公は生活に追われてストリップに転じ、さらには・・・という展開。一人の母性本能豊かな、そして潔い女性の人生に託して語る、戦前から戦後にかけての歓楽街・三業地の風俗史だ。
 独特の文体と、時折はっとするくらい鋭い心理描写を挟みながら、女性の情感がドライに語られる。女性心理の描写がびっくりするほど巧い。味わいのある短篇だ。

 「同行二人」。
 カポーティが関西弁で書いたらこんな感じになるのではと思うような、後味のよい好短篇。
 神戸の女学校で知り合った親友の二人、苦しい戦中期を経て再び出会ったあと、運命が分かれる。一人はふつうに結婚し男の子を生むが、もう一人はアメリカ兵相手の街娼になって混血の娘ができる。60年代に入り、高校生の息子は混血児の娘と知り合い家出。息子を溺愛する母は抗議の気持ちで昔の親友に会う・・・。二人の会話と心理描写だけでストーリーが違和感なく進む。
骨餓身峠死人葛―野坂昭如ルネサンス〈6〉 (岩波現代文庫)Amazon書評・レビュー:骨餓身峠死人葛―野坂昭如ルネサンス〈6〉 (岩波現代文庫)より
4006021178
No.6:
(5pt)

表題作

表題作目当てで購入。エロティシズムとグロテスクの極み。ぬらぬらどろどろ。
骨餓身峠死人葛―野坂昭如ルネサンス〈6〉 (岩波現代文庫)Amazon書評・レビュー:骨餓身峠死人葛―野坂昭如ルネサンス〈6〉 (岩波現代文庫)より
4006021178
No.5:
(4pt)

ビザールな天賦の才

本の帯にて著者曰く「おれは天才だ」。

確かにあの文体の妙は天才である。ただし、野坂さんの作品は構成が崩れることが多い。よって、あたりはずれも多い。

同著作「文壇」でも語っていたが、野坂さんは天啓によって創作を行う様で、書きはじめの設定はともかく、構成は後付けらしい。

ただ、本人も「ちゃんと構成ができあがってから書いた傑作」と評する「骨餓身峠死人葛」は大傑作。脳味噌ぶっ飛ぶおもしろさ。

その他も佳作まじりで満足できる内容。単行本(文庫)を買ってはずれを引くより、こっちの集成本を買うのを薦めます。

「骨餓身〜」なら満点だけど、全体で見ると星4つ。
野坂昭如コレクション〈2〉骨餓身峠死人葛Amazon書評・レビュー:野坂昭如コレクション〈2〉骨餓身峠死人葛より
4336042624
No.4:
(5pt)

天才が天才だったころの一閃

帯には「読後感、俺は天才だ」。

その通り。
この作家さんは正直なところ駄作もいっぱいあるけれども、
これは文句のつけどころがない。

天才文筆家の一閃、恐らくは何十年にひとりという物書きが、
一番伸び伸びと、才能をむき出しにして、
本人いわく「無意識に」書いていた文章には、鬼気すらこもっています。

晩節の乱れを踏まえて読むと、なお愛おしい一冊。
掛け値なしに「まいった」と思える読書体験がここに。
野坂昭如コレクション〈2〉骨餓身峠死人葛Amazon書評・レビュー:野坂昭如コレクション〈2〉骨餓身峠死人葛より
4336042624
No.3:
(5pt)

かっこいい野坂さん

昔、野坂さんのインストアイベントに
行ったら、、あきらかに冷やかしとわかる
野次を飛ばしまくる二人の若者が来てました。

登場した野坂さんは彼らを怒りも無視もせずに、
率先して話しかけました。
「お前らわかってるか?小泉純一郎なんて奴はな?」
と、御大に直接話しかけられた二人は野次も忘れ、
楽しそうに話を聞いてました。

そして帰り際、
「野坂、マジカッけえよ・・・」
と、すっかりファンに変わっていました!!

野坂さんは修羅場をくぐりまくっているので、
作家である前に人として、蓄積が凄いんだなあと
感心します。

そこが、純粋芸術主義、な人にうとまれたりもします。
でも、ここに収められた作品の背景には、
書斎の外で苦闘して生きてなきゃ、
表現できない、と思わせる凄みがあります。

最近、町田康さんや川上未映子さん、など
文体とある部分で内容も影響された方が
出ていますが、
この凄みは誰にもまね出来ないと
思うのです。

しちめんどくさい文体だ、と
最初は困惑しますけども、馴れたら逆に
読みやすいです。

若い方、是非読んでみて!!
野坂昭如コレクション〈2〉骨餓身峠死人葛Amazon書評・レビュー:野坂昭如コレクション〈2〉骨餓身峠死人葛より
4336042624
No.2:
(5pt)

是非、是非、野坂昭如怪奇小説集の刊行を望む!!

当のご本人は『骨蛾身峠死人葛』について「別に怪奇小説を書こうと思って書いたのではない」と、確か、おっしゃっていたような気がしますが、なんのなんの(笑)あの筒井康隆大先生も、ご自身が編纂された、今は絶版の怪奇小説アンソロジー「異形の白昼」に「収録したかったが諸般の事情で収録を断念した」と、おっしゃっていたほどの怪奇小説の大傑作であります。僕がこれを初めて読んだのは、今は亡き半村良大先生が編纂されたアンソロジー「幻想小説名作選」で読んだのですが「凄い!」と一読慄然とし、何度も読み返してしまいました。そしてそこから、僕の野坂大先生の怪奇小説収集が始まるのですが(笑)もちろん、野坂大先生は他にも色々なジャンルの面白い小説を書かれていますが、一度、どこかの出版社から野坂大先生の「怪奇小説集」を刊行してもらえないでしょうか。切なるお願いです(笑)
骨餓身峠死人葛―野坂昭如ルネサンス〈6〉 (岩波現代文庫)Amazon書評・レビュー:骨餓身峠死人葛―野坂昭如ルネサンス〈6〉 (岩波現代文庫)より
4006021178
No.1:
(5pt)

「骨餓身峠死人葛」は「崇高」である

「入海からながめれば、沈降海岸特有の、複雑に入り組んだ海岸線で、針葉樹におおわれた岸辺、思いがけぬところに溺れ谷の、陸地深く食いこみ、その先きは段々畠となって反りかえる。南に面した地方のそれとことなり、玄海の潮風まともに受けるこのあたりでは、耕して天空にいたるといった旅人の感傷をすら許さぬ気配、人間の孜々たる営みを自然のあざわらうようで、それは、いずれも尖端にちいさいながら激しい瀬をもつ岬の、屋根となって谷あいをかこみつつ、背後の、せいぜい標高四百メートルに満たぬ丘陵にのびる、その高さに似合わぬ険しい山容のせいでもあろう」。…この冒頭を読んでしまったら、やはり続きを読まねばなるまい。三島由紀夫、澁澤龍彦らを震撼せしめた若き日の野坂がものした「骨餓身峠死人葛」こそ、「戦後文学」最高傑作の一つといっていいはずだ。さる思想家は「崇高」には「戦慄」という感情性が伴うといった。彼にしたがえば、この一編は間違いなく「崇高」である。
野坂昭如コレクション〈2〉骨餓身峠死人葛Amazon書評・レビュー:野坂昭如コレクション〈2〉骨餓身峠死人葛より
4336042624

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