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【古処誠二】
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生き残りの評価:
3.50/5点 レビュー 4件。 - ランク
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平均点3.50pt
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。 未読の方はご注意ください
戦場における人間と軍隊・将兵の本質を見つめ続ける著者ならではの一作
負け戦の絶望の中で生き残る兵隊たちの理性
戦場において、兵隊が一人でいることは甚だ不自然なことである。
戸湊伍長と丸江一等兵の2人は、ビルマ、イラワジ川の渡河地点で、一人たたずむ兵隊を見つける。
戸湊伍長は、森川上等兵と名乗るその兵隊を自分の指揮下に入れることにする。
森川上等兵は、6名の独歩患者からなる分進隊にいたが、ゲリラに襲われてみんな死んだという。
戸湊伍長の中である疑念が膨らむ。
森川は、自分が生き残りたいために足手まといになった残りの5名を殺したのではないのか?
森川の言葉尻を捉えるように矛盾を突き、戸湊は森川の嘘を暴いていく…
3人の転進の様と平行して、分進隊6名に起こった過去の出来事がフラッシュバックを用いて徐々に明らかにされる。
ビルマ腐れと呼ばれる熱帯潰瘍を足に抱えた独歩患者の分進隊6名
1.白方見習士官:転進を急ぐ中隊から切り離された分進隊を率いることを命じられた、戦場経験が乏しい若いが聡明な士官。
2.朝永伍長(下士官、森川の分隊長):ある理由でPTSDに陥っており、部下からの信用がない。
3.阿木原兵長:実質上の現場指揮者
4.瀧上等兵、
5.森川上等兵
6.宮野一等兵
分進隊の士官と兵の間にあるのは階級の差だけで、信頼や尊敬と言った心理的つながりはない。
そのために、この隊にはつねに不穏な空気がながれている。
戸湊伍長と丸江一等兵の2人の関係性とは対照的である。
冷徹とも言えるほど合理的な軍の論理を体現する若い士官と、庶民的な感情、戦友への思いを捨てない兵たちの間にある対立は、日本軍に限らず、普遍的なものだろう。
巨大な軍隊という組織の中の駒である兵隊。
機能できなくなった兵隊は「自決」や「処置」というあまりに冷酷でかつ極めて合理的な状況に追い込まれていく。
ゆっくりしか歩けない傷病兵5名と、彼らを率いることを任された若い見習士官の6名からなる「分進隊」。
極限状況の戦場で、彼らは何を考えどう振る舞うのか。
戦場における人間と軍隊、軍人の本質を見つめ続ける著者ならではの一作。
自分の死が迫る中で、もはや戦闘はできなくとも「兵隊としての機能」を全うする一兵士の姿は、この著者にしか書けないと思う。
極限状況でのミステリーの体裁を取ってはいるが、ある種の成長物語とも読むことができる。
また、軍隊手帳だけが自己証明であるという戦地でのアイデンティティの不確かさについても考えさせられた。