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(短編集)
風に舞いあがるビニールシート
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風に舞いあがるビニールシートの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全93件 41~60 3/5ページ
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確かなともし火が胸の奥に宿った。 読了後の感想をひと言にすれば、こうなる。 この連作短編集の主人公は、「大切な何か」のために、懸命に生きる市井の人々だ。 といっても、単純無垢なのっぺりとした話では、もちろんない。 生きるということの複雑さを、力強く、暖かな眼差しで、リズムよく描ききっている。 近年の連作短編の中では、紛れもない傑作だ。 読んでまったく損はありません。 | ||||
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本作は森絵都氏による直木賞受賞作。 6人の主人公達が織り成す、表題作他6編の短編集。 ショップオーナーに振り回されつつも器を探す弥生。 ボランティアのため水商売のバイトをする恵利子。 レポート一本に苦しむ社会人大学生の裕介。 誰よりも真摯に仏像と向き合う潔。 若者とのギャップに戸惑う健一。 難民キャンプへ夫を送り出す里佳。 本作の主人公達は皆、ストーリーを通じて新たな自分を発見する。 ただし、それは自分ひとりの世界で悟りを開くようなものではない。 周囲の様々な人達との交流により、何かを吹っ切れた、といった感じだろうか。 どれもが心地よく、壮快で、心に落ち着くものばかりである。 日常で何かモヤモヤしたものを抱えている人、心と頭を切り替えたい人に読んでほしい一作。 | ||||
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やはり一番の秀作は表題作「風に舞いあがるビニールシート」だと思う。 時代のうねりの狭間に落ちてしまった難民達。彼らは風に舞いあがる ビニールシートのように、何の抵抗も出来ずただ世界に翻弄されるのみ。 あまりにぴったりな描写に、情景がありありと思い浮かんだのは 私だけではないと思う。 主題はカラフルと同じく、【他者との繋がりによる己の再生】といった ところであろうか。里佳はもちろん、エドについても同じ事が言える。 カラフルと違うのは、希望や幸せがまるで甘いデコレーションケーキの ようにたくさん散りばめられているのではなく、後口がほんのり苦く、 大人向けの小説としてしっかり構築されているところ。 30才を過ぎて読むと、胸に突き刺さる話ばかりで非常に魅力的な本だと 思う。 | ||||
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表題作の「風に舞いあがるビニールシート」のクライマックス部分で 主人公の旦那が自らの死生観・人生観について語るシーンは必見です。 小説を読んだときの心理状態などにもよるでしょうが、 情景・心境などが素直に体に入り込んでくる感じがしました。 また、主人公に惚れた理由なども人間らしくてとても共感がもてます。 ほかの短編もはずれがなく読みやすかったです。 | ||||
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カラフルを読んでから、森絵都さんのファンです。中2の息子もカラフルを繰り返し読んでます。 森さんの本は、読んだ後がとにかく爽やか。いい気分で眠りにつける。 長編好みの私は短編集果たして・・・と思いましたが 6篇すべて良かったですが、6篇目の表題作に久々に読書で、号泣してしまいました。 難民救済の現場で愛する人を失った里香が、その喪失感を乗り越え、前進する姿に。 こう書くと、なんだか安っぽく聞こえますが、 まずは一読あれ!森絵都さん読むとじわじわ元気出ます。 | ||||
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全6話の短編集。 個人的にここまで満腹感を味わえた短編集は初めて!なので星5つに。 伏線回収がすきな私は、すぐに結末を迎えてしまう短編が、とてもあじけなく、大した発展のない閉じた世界…といったものに感じていたのですが、見方が変わりました。 森さんのこの作品は確かにファンタジー大作のような劇的な展開はないものの、どこにでもいそうな「誰か」の代り映えもしないけど、でもどこか愛しい、そんな日常をやさしくすくい取るような、そんな話ばかりで、読み終えたあと、優しく澄んだ気持ちになれる一冊でした。 それにしても、個人的には「器を探して」と「風に舞い上がる〜」の主人公のその後が気になります… たくさんの方がレビューに書いておられますが、 「自分にとって貫きたいもの」とは、 「大事なもの」とは何なのかを考えさせてくれる作品です。 | ||||
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どの短編も良かったが 最後の「風に舞いあがるビニールシート」が一番印象に残った。 | ||||
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森絵都さんの作品は、小学生のときにを、そして、高校生でを読んだ。「風に舞いあがるビニールシート」は、森絵都さんの作品の中で、最高傑作ではないでしょうか? やはり、後ろ2つ。すなわち、「ジェネレーションX」と「風に舞いあがるビニールシート」の2作品が最高。 本当に綺麗で透き通ったように美しい作品だと思います。 | ||||
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短編集であるが表題作は最も読み応えがある。 人は悲しみから立ちあがろうとする時何が必要なのだろう? 今も紛争に逃げ惑う難民がいるアフガンで 最愛の人、エドを亡くした順子。 彼女がどう生気を取り戻していくのかを 模索しながら読み進めた。 「泣くよりもはるかにやるべきことがある」 というエドの言葉が胸を打つ。 国連難民高等弁務官として紛争地域の最前線で 支援を続ける者ならではの魂の言葉‥ 「悲しみなんてそう簡単に受け入れるべきじゃない」とも。 本当に‥私もそう思う。 茫然自失になってから「光」を見出すまでの過程を 丁寧に綴っている。 | ||||
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「何を言いたいのか?」を考えると非常に面白い短編集。 ストーリーの面白さを求めて読むと、やや不満足の作品ともなり得る。 ストーリーに、斬新さや意外性はあまりない。 多くの本は非日常性をテーマとするが、この本は比較的に日常性が強い。 しかし、だからこそ読者は各ストーリーの主人公に自分を投影し、この本の主張を身近に感じられる。 このストーリーの主人公達は、それぞれ自分の中に「大切なモノ」を持っている。 それが私たちに幸せ、勇気、自尊心などを与えてくれる。 帯にある「あたたかくて強くて、生きる力を与えてくれる」とはまさにこの本を端的に示している。 「私にとって大切なものはなんなんだろう?」と、ふと考えさせられる短編集。 ただ、例外的に「風に舞いあがるビニールシート」のテーマは重い。 日本人は日本の常識に支配されているがゆえに、この本に出てくるエドの言いたいことを掴むのは難しい。 この作品は、恋愛ストーリーとも捉えられるが、「難解で重苦しい現実は見て見ぬふりをされる」との一節のある通り、 平和ボケの日本人に一石を投じる面もある。この作品は、世界の現実を見なくして理解出来ない作品である。 本の好き嫌いは人それぞれだが、 この本は、読んで損はない作品としておすすめしたい。 作品を読むときは、心をからっぽにして、 ストーリーの主人公達になりきって読むことをお勧めする。 | ||||
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この短編集の主人公たちは、信念を持って生きている人たちです。 どの人の生き方も共感・納得できるものばかりです。 それだけ、どの話も完成度が高いということです。 特に印象に残った話は、「風に舞いあがるビニールシート」です。 難民を支援する国連機関に勤めている二人は、“夫婦’に対する考え方の違いから距離が生じてしまいます。 お互いの生き方を認め、尊敬し合っているのにも関らず、別れを選んでしまいます。 “信念を貫く”ことは犠牲を伴い、わがままにもなりかねません。 誰もが生きることに悩み、苦しんでいるということが感じられます。 彼らを“わがまま”と感じるか、“信念を貫く人”と感じるかは、読む人次第なのかもしれません。 努力しているのにも関らず結果につながらないときに読むと、心が落ち着く本だと思います。 | ||||
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初めて森絵都さんの作品を読みました。 文章があっさりしていて、それでいて暖かく もちろん内容も力強く、軽妙でありながら優しく 人間らしく…。短編として完璧だと思いました。 私はこの本を読んで、自分はいろいろなことに 目を瞑って生きている、って思いました。 悩みがあってもなくても、人生が楽しい人にも つまらない人にも読んでほしいと思う一冊です。 | ||||
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タイトルに引き付けられて購入しましたが、衝撃でした。どうして今までこの作者の本を知らなかったのか、自分を情けなく思いました。 全体的に柔らかくサラリとした文章なのに、女性のチクリとしたところを隙なく突いてきます。 彼との約束を仕事でドタキャンする羽目になり、初めは彼への申し訳なさと仕事の憂鬱感でいっぱいだったのに、度重なる彼からの電話攻撃に徐々に冷めていく様子。わかる!わかる!と思わず拍手。 そういう細やかなところを書ける作者に一目惚れしてしまいました。 ちょっと疲れた女性に、新しい風を見たい人にオススメしたい一冊です。 | ||||
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直木賞受賞もドラマ化も粗筋もよく知らないまま、 不思議なタイトルが気になっていた本だったので今頃読んでみました。 それで、最後に収められていた表題作品を先に読んでから、 最初に戻って5編を読んだのですが、 「風・・」を読んだ後、「犬の散歩」を読むと、 主人公の行動の変化の動機が共通していて、著者の価値観が感じらてよかった。 「器をさがして」 主人公の女性は、売れっ子パティシエの女性にいいように使われているようで、 これがなかなか・・・!彼女の人格でなく作品だけをとことん崇拝している主人公の とる行動は極端にもおもえるが、どこか胸のすく感じがする。 「ジェネレーションX」 かつての「新人類」(森さんと同じで私もここ)だった中堅会社員男性と 今の若い部下のやりとりを描いていて、先は読めるが楽しい。 「鐘の音」 仏像修復師という渋い?職業の男性3人が主な登場人物だが、これはラストがとても好きだった作品。 森絵都さんについては、絵本「にんきものシリーズ」やYA文学「ラン」でだけ 知っていたのですが、なるほど!それぞれキャラがパターン化して立っており(小説だとちょっぴりハナにつくときもなくはないですが・・)、ユーモアがあり、良い意味で予定調和的・作り物っぽくもあり、「おはなし」の持っていき方の巧さは、小説も同じで好感がもてました。 いろいろな題材の作品を期待します。 | ||||
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面白かった、買って良かった。 読む途中でさえそう思える素晴らしい短編集だった。 丹念に取材をされたらしく、世代も職も異なるそれぞれの主人公達の背景や心の裡が、 しっかりと描かれているため、どの人物も作品の中でしっかり腰を据えた存在に描かれている。 そういった土台の上で、話の中に人物の様々な考えや苦労などが、 ごくごく自然に浸潤しているため、 一作を読み終えるごとに、上手いなぁと、ため息と笑みが湧いてきた。 ややもすると話が出来すぎている感も否めないが、 それは短い中に丁寧に織り込まれたストーリーと、 「そうそう、確かにそうだ」と共感できる部分で洗い流され、気にならない。 簡単に人が殺される、事件が起きる、薬中毒や病気になる、犯罪に巻き込まれるといった、 最近よくある陳腐で手軽な小物を使わずとも小説とは面白いものだというのが分かる、 稀で素晴らしい作品だと思う。 | ||||
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「お金よりも大切な何か」のために懸命に生きる人々を描いた短編集,という売り込み文句ですが,実際は「他人には理解されにくいけど,自分にとっては大切な何か」と言っていいでしょう。表題作ほか6編を収めた,2006年直木賞受賞作。 「自分にとっては大切な何か」が単なる利己的なものであれば誰の感動も呼ばないのだけど,それが敬愛するパティシエに仕えることだったり,世界の隅々で起こる難民問題の解決することだったりすることが,読者を引き込むようです。 各編の主人公の生き方は「何もそこまでしなくても,もっと世間と折り合うやり方があるんじゃないの?」というものなんだけど,最後の救いの与え方で,読む側をほっとさせてくれるような気がします。 | ||||
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小説好きの友達に薦めたいと思う本であった。 六つの短編集から成り手軽に読めるのに、密度が濃くて、非常に満足感が得られる。 なによりも読後感がとても良い。心がじわっと温まり、確かな力を与えてくれる。 私のお薦めは、「守護神」という短篇。登場人物二人の生きる姿勢はもちろんのことであるが、古典文学に対する会話内容が面白く、よりいっそう物語に惹きこまれる。 ちなみに表題の「風に舞いあがるビニールシート」は、本書の最終短篇のタイトル。表題に選ばれ、巻末に置かれている故、本書一番の読み所であろう。国際連合難民高等弁務官事務所が物語の舞台になっており、作者の拘りは感じるのだが、取材力不足なのか、社会派描写の不慣れか、その拘りが伝えきれておらず、深みが出ていないのが惜しいように感じる。ちなみに本短篇は、NHKでドラマ化され、主人公を吹石一恵が演じているが、本書から受ける印象とは全く異なる。個人的にはドラマの方がよく出来ていると感じた。 | ||||
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文芸春秋発行の直木賞受賞作品って、今までがっかりさせられたことが多々あり、今回もあまり期待せずに読んだ。 しかし、表題作と「犬の散歩」を読むうちに、これこそ直木賞モノだなと唸った。 表題作は、国連機関という今までの小説にはない背景を採用しているところが作品の価値を後押ししている。 森絵都さんの小説は初めてでしたが、とても良かったです。 | ||||
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表題作は難民支援組織に勤務する女性の話です。 これが良かった。 女性の自立を描いた短編としては素晴らしいと思いました。 | ||||
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この本に出会えて、本当によかった。 読み終わって最初に感じた、私の心からの感想です。 6編が収録されていますが、どれもそれぞれ違ったすばらしさがあります。 多様な物語に、読んでいて驚きました。 中でも「鐘の音」は、私が今まで読んだ森絵都さんの作品とは 雰囲気が異なっている気がして、新たな作風が知れてうれしかったです。 どれもすてがたいんですけど、私は、 「ジェネレーションX」と「風に舞いあがるビニールシート」が特に好きです。 「ジェネレーションX」は話がどう進んでいくのか最初はわからず、 わくわくしながら読み進めていくと、楽しいオチが待っています。 車内での会話中心に描かれているので、テンポよく読めておもしろかったです。 「風に舞いあがるビニールシート」は後半になるにつれてじわじわ涙腺が緩んできて、 最後の主人公の決意に前向きなすがすがしさを感じました。 作中にも使われる、風に舞いあがるビニールシート、という言葉に込められた 悲痛な意味も、読めばわかります。 悲しくて、目をそむけたくなる残酷な現状が書かれている中に光る、ささやかな希望 それが叶う日を夢見て、今何ができるかを考えていきたいと思わせてくれました。 エドの難民について語る言葉一つ一つが、平和ボケした私の心に重く響きます。 | ||||
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