ヘヴン

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ヘヴンの評価:

3.42/5点 レビュー 157件。 B ランク

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平均点3.42pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全176件 141〜160 8/9ページ
No.36
(5pt)

どう読むか

ただ読んで見ると、単純なイジメについての小説だと思うと思います。けど背景には善と悪という問題があるのですね。善と悪は絶対的な物では無く相対的なものと私は思うのだけど、この難しい問題をうまく小説で表現しています。独特の表現がなくなり、個性が無くなったという批判もあるようですが、この表現方法も彼女の個性であるし、いろいろな表現方法を通じてこれからも良い本を書いてくれると思います。背景を知ってから読むと、見方が変わりますね。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.35
(5pt)

どう読むか

ただ読んで見ると、単純なイジメについての小説だと思うと思います。けど背景には善と悪という問題があるのですね。善と悪は絶対的な物では無く相対的なものと私は思うのだけど、この難しい問題をうまく小説で表現しています。独特の表現がなくなり、個性が無くなったという批判もあるようですが、この表現方法も彼女の個性であるし、いろいろな表現方法を通じてこれからも良い本を書いてくれると思います。背景を知ってから読むと、見方が変わりますね。
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.34
(4pt)

いじめをする者、される者の心理を徹底的に描いた他にない作品

まず、『乳と卵』のような独特の文体ではありません。私達が普段使っている言葉で書かれています。
『乳と卵』ではわかりにくかった、著者の言葉の使い方の上手さ、感性の鋭さを、私はこの作品からは感じることができました。
この著者は「上手い文章を書く人」というよりは、「上手く表現する人」なのかもしれませんね。
特に、「日頃、感じたり頭で考えたりはするけど、言葉で言い表すことはない感覚、感情」を言葉で表現する術を持っている方であると感じました。

この作品で取り上げているのは「いじめ問題」であり、残忍ないじめの光景も出てきますが、それは他の著者もやっていること。この作品は他にはないほど、「いじめをする者、される者の心理状態」に徹底的にフォーカスを当てています。それゆえ、コジマ(いじめをされる者)や百瀬(いじめをする者)が語る言葉が、小説が本来持つべき「ドラマ性」からちょっと離れて独り歩きしている印象がありますが、コジマの自分がおかれている立場を客観的に語っている言葉や、百瀬の矛盾した自己肯定だらけの言葉は、この「いじめをする者、される者の心理状態」をリアルに言い表しています。

ちなみに主人公はコジマと同級生である「僕」で、こちらもいじめを受けています。そして徹底的な「僕」目線で、いじめを受けることの苦痛と、心の動き、そしてコジマとの交流により、コジマに対する心情の移り変わり(同じ「いじめられっ子」として、そして、異性としても)も、他の著者の場合、言葉で描かず素振り等でなんとなく表すような些細な感情までをも、あますことなく描いている印象がありました。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.33
(4pt)

いじめをする者、される者の心理を徹底的に描いた他にない作品

まず、『乳と卵』のような独特の文体ではありません。私達が普段使っている言葉で書かれています。
『乳と卵』ではわかりにくかった、著者の言葉の使い方の上手さ、感性の鋭さを、私はこの作品からは感じることができました。
この著者は「上手い文章を書く人」というよりは、「上手く表現する人」なのかもしれませんね。
特に、「日頃、感じたり頭で考えたりはするけど、言葉で言い表すことはない感覚、感情」を言葉で表現する術を持っている方であると感じました。

この作品で取り上げているのは「いじめ問題」であり、残忍ないじめの光景も出てきますが、それは他の著者もやっていること。この作品は他にはないほど、「いじめをする者、される者の心理状態」に徹底的にフォーカスを当てています。それゆえ、コジマ(いじめをされる者)や百瀬(いじめをする者)が語る言葉が、小説が本来持つべき「ドラマ性」からちょっと離れて独り歩きしている印象がありますが、コジマの自分がおかれている立場を客観的に語っている言葉や、百瀬の矛盾した自己肯定だらけの言葉は、この「いじめをする者、される者の心理状態」をリアルに言い表しています。

ちなみに主人公はコジマと同級生である「僕」で、こちらもいじめを受けています。そして徹底的な「僕」目線で、いじめを受けることの苦痛と、心の動き、そしてコジマとの交流により、コジマに対する心情の移り変わり(同じ「いじめられっ子」として、そして、異性としても)も、他の著者の場合、言葉で描かず素振り等でなんとなく表すような些細な感情までをも、あますことなく描いている印象がありました。
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.32
(5pt)

苛めでなく暴力

どうも気になって川上氏の作品ははじめてだが読んでみた。なんと言ったらいいか分からないけど、日本語をまとめた文章から成り立つ作品としてはとてもスリリングだし、どこまで意識的かは分からないが(作者がこの作品中の人物の中でどこにアイデンティファイしているかも掴めない)、きわめてリアルで、きわめて意味深いテーマを秘めていることは間違いがないと思う。
かと言って読んでいてキツい作品であるのも間違いないので、誰でも彼でも「良い作品!」とは思わないだろうし、あちこちに散乱したイメージも、意味性も最終的に収斂できていないので(読後にカタルシスがないのはそのせいかと。それはリアルさの証でもある)、個人的にいわゆる「小説」としては☆5個にはならないかも。が、はじめから最後まで貫き通した言葉の連なりが持つテンションに多大なる敬意を表して。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.31
(5pt)

苛めでなく暴力

どうも気になって川上氏の作品ははじめてだが読んでみた。なんと言ったらいいか分からないけど、日本語をまとめた文章から成り立つ作品としてはとてもスリリングだし、どこまで意識的かは分からないが(作者がこの作品中の人物の中でどこにアイデンティファイしているかも掴めない)、きわめてリアルで、きわめて意味深いテーマを秘めていることは間違いがないと思う。
かと言って読んでいてキツい作品であるのも間違いないので、誰でも彼でも「良い作品!」とは思わないだろうし、あちこちに散乱したイメージも、意味性も最終的に収斂できていないので(読後にカタルシスがないのはそのせいかと。それはリアルさの証でもある)、個人的にいわゆる「小説」としては☆5個にはならないかも。が、はじめから最後まで貫き通した言葉の連なりが持つテンションに多大なる敬意を表して。
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.30
(5pt)

名作です

素晴らしい感動をくれた作品です。読んでいってどんどん苦しくてなる・・・やるせなさと悲しさにさいなまれます。そして最後に救われます。だから「ヘブン」なんだ!こんな緊張をもって最後まで読むことができた作品は久しぶりです。著者の評価が変わりました。短編やエッセーを書く少し風変りなシンガーから「作家」へと印象が変わりました。川上さんは名を残せる作家になるかもしれません。期待します。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.29
(5pt)

名作です

素晴らしい感動をくれた作品です。読んでいってどんどん苦しくてなる・・・やるせなさと悲しさにさいなまれます。そして最後に救われます。だから「ヘブン」なんだ!こんな緊張をもって最後まで読むことができた作品は久しぶりです。著者の評価が変わりました。短編やエッセーを書く少し風変りなシンガーから「作家」へと印象が変わりました。川上さんは名を残せる作家になるかもしれません。期待します。
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.28
(5pt)

ドフトエフスキーを感じる

すばらしい小説です。苛めは大人の社会の縮図です。といわれますが、このテーマを単なる風俗や社会現象ではなく、神なき現代世界の構造としてリアルに書ききった作者に意志に敬意を表します。特にコジマは苛められつづけることに実の父親につながる弱者としての意味を見つけ、殉教者のような聖性を獲得します。百瀬はもっとも(イワンやスタビローギンに通ずる)ドフトエフスキー的人間で、現代ではもっとも現実的な説得力をもっています。ここには善悪の価値はなくすべてが自由です。そして現実に現代社会の多くの現象がそのような権力と暴力構造で動いていることも事実です。
僕はコジマを守るために二宮を殺すという人間的行為を止めた、コジマの聖性に限りなく惹かれつつ、百瀬ともコジマとも一線を隔すことになる。圧巻は最後のクライマックスでコジマと百瀬の声が重なる部分である。世界の意味に引き込もうとする点では両者とも同じなのである。主人公の僕は斜視を治して世界そのものを見ることを選ぶ。意味の以前の世界そのもの美しさを発見する。
この小説が単にいじめ現象を超えた広がりを感じさせるのは現代のわれわれの精神の深層を描いた作品であるからである。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.27
(5pt)

ドフトエフスキーを感じる

すばらしい小説です。苛めは大人の社会の縮図です。といわれますが、このテーマを単なる風俗や社会現象ではなく、神なき現代世界の構造としてリアルに書ききった作者に意志に敬意を表します。特にコジマは苛められつづけることに実の父親につながる弱者としての意味を見つけ、殉教者のような聖性を獲得します。百瀬はもっとも(イワンやスタビローギンに通ずる)ドフトエフスキー的人間で、現代ではもっとも現実的な説得力をもっています。ここには善悪の価値はなくすべてが自由です。そして現実に現代社会の多くの現象がそのような権力と暴力構造で動いていることも事実です。
僕はコジマを守るために二宮を殺すという人間的行為を止めた、コジマの聖性に限りなく惹かれつつ、百瀬ともコジマとも一線を隔すことになる。圧巻は最後のクライマックスでコジマと百瀬の声が重なる部分である。世界の意味に引き込もうとする点では両者とも同じなのである。主人公の僕は斜視を治して世界そのものを見ることを選ぶ。意味の以前の世界そのもの美しさを発見する。
この小説が単にいじめ現象を超えた広がりを感じさせるのは現代のわれわれの精神の深層を描いた作品であるからである。
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.26
(4pt)

傑作文学の域でなくとも、時折、輝度のある表現に心が揺れました

天吾と青豆(村上春樹の1Q84)程に互いに絶対的な存在でなくとも、それに準じる関係の苛められっ子同士の中2のロンパリ(僕)とコジマ。二人がギュッと手を握るシーンには1Q84とのシンクロニシティを以下の文体には村上さんの影響を強く感じました。

「疲れているということと葬式の帰りということを別にすれば、それはとても気持ちの良い午後だった」

後世に残る傑作文学の域でなくとも、時折、以下のような琴線に触れる表現が忍び込み、小説を良く読む方でも、何か大切な物事の核心や本質を突く著者の表現を楽しめると思います。

「コジマが不安になったり、安心しすぎたり、そういう時には僕の髪を切るといいよ。もう家の人に隠れてちらしとかさ、そういうのをこっそり切らなくていいよ。いつでも、僕の髪を切っていいよ」
「ねえ、神様っていると思う?」「大事なのは、こんなふうな苦しみや悲しみには必ず意味があるってことなのよ」
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.25
(4pt)

傑作文学の域でなくとも、時折、輝度のある表現に心が揺れました

天吾と青豆(村上春樹の1Q84)程に互いに絶対的な存在でなくとも、それに準じる関係の苛められっ子同士の中2のロンパリ(僕)とコジマ。二人がギュッと手を握るシーンには1Q84とのシンクロニシティを以下の文体には村上さんの影響を強く感じました。

「疲れているということと葬式の帰りということを別にすれば、それはとても気持ちの良い午後だった」

後世に残る傑作文学の域でなくとも、時折、以下のような琴線に触れる表現が忍び込み、小説を良く読む方でも、何か大切な物事の核心や本質を突く著者の表現を楽しめると思います。

「コジマが不安になったり、安心しすぎたり、そういう時には僕の髪を切るといいよ。もう家の人に隠れてちらしとかさ、そういうのをこっそり切らなくていいよ。いつでも、僕の髪を切っていいよ」
「ねえ、神様っていると思う?」「大事なのは、こんなふうな苦しみや悲しみには必ず意味があるってことなのよ」
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.24
(4pt)

「ぼく」の未来がヘブンになりますように

新聞等で評価が高く紹介されていたので手にしてみた。
前半はいじめのシーンが多く、読み進めるのがつらく心に錘を乗せたまま読んでいる気分だった。
コジマは中学生にして、人間の心の弱さ、愚かさ、浅はかさを悟ってしまっているようだった。
知ってしまっているからこそ、同じようにいじめにあっている「ぼく」に近づき寄り添い、
悲観的なこの世にも、そうではない場所「へヴン」はあるんだよと「ぼく」に光を与えようとしたように思う。
そこには全てを包み受け入れようとする人類愛のようなものを感じる。

重い気持ちで読み終えた私に、「ぼく」を理解し大人として物事を見極める継母の存在が救いだった。
そしてこの継母が「ぼく」のそばにいる限り「ぼく」は前に歩いていける気がした。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.23
(4pt)

「ぼく」の未来がヘブンになりますように

新聞等で評価が高く紹介されていたので手にしてみた。
前半はいじめのシーンが多く、読み進めるのがつらく心に錘を乗せたまま読んでいる気分だった。
コジマは中学生にして、人間の心の弱さ、愚かさ、浅はかさを悟ってしまっているようだった。
知ってしまっているからこそ、同じようにいじめにあっている「ぼく」に近づき寄り添い、
悲観的なこの世にも、そうではない場所「へヴン」はあるんだよと「ぼく」に光を与えようとしたように思う。
そこには全てを包み受け入れようとする人類愛のようなものを感じる。

重い気持ちで読み終えた私に、「ぼく」を理解し大人として物事を見極める継母の存在が救いだった。
そしてこの継母が「ぼく」のそばにいる限り「ぼく」は前に歩いていける気がした。
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.22
(4pt)

牽引力のあるストーリー

「僕」と「コジマ」の奇跡のような交流場面が美しかった。はかなく無力なものは美しいのか。外見が醜い分、聖性を感じさせた。
 どうストーリーを展開させていくのか、引き込まれた。中学生のコジマと百瀬が自己認識について十全に語るところが不自然で、違和感があるが、小説なのだから仕方がない。「僕」が石を持って迷うところで、ああ、この場面で作者も逃げを打って終わればいいのに…と思ったが、まだページが残っているのでハラハラして読んだ。
 ラストの涙は、場面として美しい。でもちょっとちぐはぐな感じがした。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.21
(4pt)

牽引力のあるストーリー

「僕」と「コジマ」の奇跡のような交流場面が美しかった。はかなく無力なものは美しいのか。外見が醜い分、聖性を感じさせた。
 どうストーリーを展開させていくのか、引き込まれた。中学生のコジマと百瀬が自己認識について十全に語るところが不自然で、違和感があるが、小説なのだから仕方がない。「僕」が石を持って迷うところで、ああ、この場面で作者も逃げを打って終わればいいのに…と思ったが、まだページが残っているのでハラハラして読んだ。
 ラストの涙は、場面として美しい。でもちょっとちぐはぐな感じがした。
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.20
(5pt)

世界を広げてくれた

普段は哲学などに全く関わりのない僕なので、

後半部分の考えは自分の考えを広げてくれました。

また、社会問題をこの様に描写する事で、

自分なりの答えを出す機会を読者に与えてくれていると思いました
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.19
(5pt)

世界を広げてくれた

普段は哲学などに全く関わりのない僕なので、

後半部分の考えは自分の考えを広げてくれました。

また、社会問題をこの様に描写する事で、

自分なりの答えを出す機会を読者に与えてくれていると思いました
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.18
(5pt)

コジマはセルマになる

薄汚れ周りから汚され続けたコジマ、後半、服を脱ぐというよりは脱皮というほうが正しいかもしれない彼女の姿は、周りの風景を凍らせ、言葉を奪い、セピア色のスローモーションが展開する。この場面、臨場感があり、ほかを圧倒して美しい。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のビョーク演じるセルマの躍動感が近いかもしれない。彼の自慰の描写も新鮮で、三島由紀夫の「仮面の告白」の類似の場面と比較しても表現力に遜色はない。言葉にするのは難しい表現をわかりやすく伝達しているところ、彼女は、人知れずブルペンで言葉の投げ込み練習をしてきたのだ。非常に的確な性描写に驚く。わかりやすいテーマで、彼女の過去の作品にいまひとつ馴染めなかった方、結果、彼女から距離をおいてしまった方がいるならば(私もその一人だが)この本を基点に、彼女の世界にもういちど飛び込んでみる価値は充分にあると申し上げておきたい。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.17
(5pt)

コジマはセルマになる

薄汚れ周りから汚され続けたコジマ、後半、服を脱ぐというよりは脱皮というほうが正しいかもしれない彼女の姿は、周りの風景を凍らせ、言葉を奪い、セピア色のスローモーションが展開する。この場面、臨場感があり、ほかを圧倒して美しい。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のビョーク演じるセルマの躍動感が近いかもしれない。彼の自慰の描写も新鮮で、三島由紀夫の「仮面の告白」の類似の場面と比較しても表現力に遜色はない。言葉にするのは難しい表現をわかりやすく伝達しているところ、彼女は、人知れずブルペンで言葉の投げ込み練習をしてきたのだ。非常に的確な性描写に驚く。わかりやすいテーマで、彼女の過去の作品にいまひとつ馴染めなかった方、結果、彼女から距離をおいてしまった方がいるならば(私もその一人だが)この本を基点に、彼女の世界にもういちど飛び込んでみる価値は充分にあると申し上げておきたい。
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469