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(短編集)
千日のマリア
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千日のマリアの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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小池真理子の文体は気持ちが良い。 流麗でひっかかるような部分はなく、読んでいる時間が幸福に感じられる、そんな力のある文章だ。 本書は作者が60代前半頃に出版された作品集であることからか、いずれの作品からも、どこか静かな孤独感のような雰囲気を感じます。かと言って、それを絶望するような孤独感というのではなく、その孤独感を自分なりに受け入れ生きていく姿勢を感じます。 例えば「常夜」では、晩秋の午後の光が弱弱しく刺す、古びた素朴な駅の踏切の音から物語が始まります。 十数年前に別れた夫日出夫が亡くなり、その姉佐知子と再会する修子。 両親も亡くし、子供もいない彼女は、ふと「家族や身内と呼べる人間が誰もいなくなった自分の孤独を思った。ひとりであることに改めて呆然と」する。 それでも「長く生きてきて、足のすくむような、怯えてしまうような孤独感には慣れっこになっている。」 日出夫は亡くなる前、小鳥を飼っていたという。 「死ぬまで狭いかごの中で生きていくことを強いられ、その小さな世界を身の丈に合った場所として静かに受け入れ、孤独を悲しまず、控えめに餌をついばみ、水を飲み、毛づくろいをい、眠ること以外することが何もない。そのくせ、虚空に向かって全力で囀っているときの彼らは、生きていることを誇らしげに主張しているように見える」 そんな日出夫の飼っていた小鳥を見、佐知子と話すうち修子は 「自分が世界と繋がっているのが感じられた。この大地、天空、ありとあらゆる生き物たち、過ぎてきた時間、失ったはずのものとも、自分が確実に繋がっている」と感じる。 そして思う。死んだ元夫も「もっともっと長く生きて、いやなこともいいことも、寂しいことも嬉しいことも、うんざりするほど味わい続けていたかったのではないか」と。そして自分もそれは同じだと。 「テンと月」でも、孤独に陥った女性が、庭に現れる動物を見て思う。 「生き物はみなそうやって生きている。どんな最期を迎えようが、どんな悲運にあおうが、文句ひとつ言わず生きている。そう考えると女はいくらか救われた。そしてまた、なんとかして生きていこうと思えるようになるのだった」 いずれの作品も「折り重なった葉の向こうから刺す柔らかい光」のような作品です。 | ||||
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読みながらどれも淡々とした内容だと感じる中で、題名になった小説が1番しっくり来ず、読まなければ良かったと思うくらいの内容でした。そのため、最後の1つの短編は読みませんでした。 | ||||
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個人的には世界観にハマらなかった。好きな人には好きな作品なのかな。 | ||||
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面白かったです。続編が出ても買って読みます。良かった良かった | ||||
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大好きでもっとも尊敬する小池真理子さんの短編集。数々の小池ワールドに登場して来た女性達の集大成のように思えた。恋・性・別れ・老い・死。小池さんが描くとこんなにも美しく、儚く、気高く、凛々しいのです。綺麗で流れるように美しい表現や文章の読後はいつもとおり、独特な静寂とその景色と漂う香りに包まれ、しばらく放心状態になる。小池真理子さんを始めて読んだあの若かった日以来作者と一緒に年を重ねたからこそ、この作品の素晴らしさが腑に落ちる。 | ||||
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胸が痛くなる、でも自分でも経験ある感情になる短編が集まった本でした。 言葉にならなかった自分の気持ちを整理出来たような所もあります。 | ||||
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作者が54歳から9年間にわたって綴ってきた短編8作品。特に60代に入ってからの後半5作品が味わい深い。加齢とともにますます洗練さを増してきた文体は、晩春の慈雨のような密やかさと温もりと透明感を伴って、井戸の底へ突き落とされるような孤独感や寂寥感も不思議に胸にじわりとしみ込んでくる。こういうのって、若い人にはわからないだろう。作者と同世代あるいはその前後の「酸いも甘いも一応経験しました」という読者なら、うんうんとうなずいてもらえるはず。憎悪や絶望といったネガティブな感情も決して声高にがなり立てない慎ましさが静かな共感を呼ぶだろう。なかでも多幸症という精神疾患を描いた『修羅のあとさき』は出色。この一作が揺るぎない芯となって他の7作品を裏打ちしている。 | ||||
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この著者の短編は完成度が高く、文章は美しく、本当に感動する。 大きな出来事があるわけではない。 劇的な物語が綴られているわけでもない。 日常のふとした瞬間、一瞬の心の微細な動きを描き出す。 毎作毎作長編もすばらしいが、短編もまた素晴らしいの一語に尽きる。 小池ファンならずとも、是非お勧めの1冊です。 | ||||
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欠かさず読んでいる小池真理子さんの短編集です。 「過ぎし者の標」「つづれ織り」「落花生を食べる女」「修羅のあとさき」 「常夜」「テンと月」「千日のマリア」「凪の光」 の8編が収録されています。 本の帯に「9年越しの最新作品集」と記載されている様に1話目の「過ぎし者の標」は 2006年5月に発表された作品です。 そして今年2015年1月に発表された「凪の光」まで9年越しに 生と死、愛と性、男と女を描いた作品集になっています。 小池作品は全作品読破し本棚に宝物の様に保存しています。 初期の頃のホラーやサスペンス、それに続く恋愛、怪談と様々なジャンルがありどれも充実した内容ですが 最近描かれる生と死がテーマの作品もしみじみとした味わいがあって心を打たれます。 今回の8つの短編ではまっとうではない歪んだ男女関係も登場しますが 小池さんの美しい文章と淡々と静謐に流れる独特な空気感の中ではそれすらも自然に思えて来ます。 表題作の「千日のマリア」では妻とその母との関係を持つ男、秀平が描かれていますが 歪んだ関係の中にも人間の脆弱さや哀しみを感じ、切ない気持ちになりました。 どの短編も決して派手ではないけれど趣があり会話1つ1つを取っても登場人物の表情が浮かび上がる様でした。 装丁の美しさもいつも楽しみの一つとなっています。 次作も待ち遠しいです。 | ||||
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