千日のマリア
評判
千日のマリアの評価:
4.00/5点 レビュー 9件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1〜9 1/1ページ
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千日のマリアの評価:
4.00/5点 レビュー 9件。 B ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
流麗でひっかかるような部分はなく、読んでいる時間が幸福に感じられる、そんな力のある文章だ。
本書は作者が60代前半頃に出版された作品集であることからか、いずれの作品からも、どこか静かな孤独感のような雰囲気を感じます。かと言って、それを絶望するような孤独感というのではなく、その孤独感を自分なりに受け入れ生きていく姿勢を感じます。
例えば「常夜」では、晩秋の午後の光が弱弱しく刺す、古びた素朴な駅の踏切の音から物語が始まります。
十数年前に別れた夫日出夫が亡くなり、その姉佐知子と再会する修子。
両親も亡くし、子供もいない彼女は、ふと「家族や身内と呼べる人間が誰もいなくなった自分の孤独を思った。ひとりであることに改めて呆然と」する。
それでも「長く生きてきて、足のすくむような、怯えてしまうような孤独感には慣れっこになっている。」
日出夫は亡くなる前、小鳥を飼っていたという。
「死ぬまで狭いかごの中で生きていくことを強いられ、その小さな世界を身の丈に合った場所として静かに受け入れ、孤独を悲しまず、控えめに餌をついばみ、水を飲み、毛づくろいをい、眠ること以外することが何もない。そのくせ、虚空に向かって全力で囀っているときの彼らは、生きていることを誇らしげに主張しているように見える」
そんな日出夫の飼っていた小鳥を見、佐知子と話すうち修子は
「自分が世界と繋がっているのが感じられた。この大地、天空、ありとあらゆる生き物たち、過ぎてきた時間、失ったはずのものとも、自分が確実に繋がっている」と感じる。
そして思う。死んだ元夫も「もっともっと長く生きて、いやなこともいいことも、寂しいことも嬉しいことも、うんざりするほど味わい続けていたかったのではないか」と。そして自分もそれは同じだと。
「テンと月」でも、孤独に陥った女性が、庭に現れる動物を見て思う。
「生き物はみなそうやって生きている。どんな最期を迎えようが、どんな悲運にあおうが、文句ひとつ言わず生きている。そう考えると女はいくらか救われた。そしてまた、なんとかして生きていこうと思えるようになるのだった」
いずれの作品も「折り重なった葉の向こうから刺す柔らかい光」のような作品です。