方舟さくら丸
評判
方舟さくら丸の評価:
4.20/5点 レビュー 25件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1〜5 1/1ページ
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方舟さくら丸の評価:
4.20/5点 レビュー 25件。 B ランク
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安部作品はどうも、長編が苦手だ。特有の違和感がある。それは例えばモグラの足が便器にはまるところだったり、「女子中学生狩り」という話が突拍子もなく出てきたり、女の割合都合のいい描かれ方(尻を叩かれるところとか)だったり。その場の思いつきで書いているという感じが、特に隠ぺいされることもなく、ぬけぬけと描かれている。というところがどうにも気になってしまう。
この作品の執筆前後のエッセイ「死に急ぐ鯨たち」で、安部は「分析はやめて、イメージのなかを泳ぐように執筆している」と述べている。そう思ってみればなるほど、自由連想的な描かれ方をしているのも納得できる。が、どうも自由連想的なその場の着想が、話の進行に関わる「都合のいい偶然」というか、「見え透いた偶然」のように思えなくもない。例えば主人公が便器にはまったシーンは、その後昆虫屋に主導権を握らせるための伏線になっているし、ダイナマイトを爆発させざるをえないという理由づけにもなっている。「女子中学生狩り」なんかは、シェルターに取り残された「ほうき隊」の老人連中と明確に対比されるところが作為的だし、「生殖・切り離された世界で独自の生活を築いてゆく」という未来を読み手に想像させるために無理矢理ぶち込んだ要素、という感じがしなくもない。
儀式的なものを嫌悪している安部からしてみれば、物語然とした物語を好まないだろうし、自身が描く小説が型にはまることも望まないだろう。そういう意味では、自分でも何が起こるかわからない、というその偶然的な描き方にこそ(安部にしてみれば)意味があるとも言える。が、私には安部による長編小説の自由連想的な描かれ方が、「どうしてもそうなってしまう」という必然性を欠いているように感じられる(短編は別)。安部自身が無くし去ろうとした「分析的な意識」を、随所に感じざるをえない。